安定的皇位継承に関して読売新聞は、5月19日に真っ当な社説を出していたように思っていたので11月5日の社説には落胆しました。
5月19日の社説 皇族数の確保 制度維持へ政治の責任は重い を改めて読んでみました。
自民党は、配偶者と子は皇族としないことが適切だと主張した。将来、皇族女子の子が皇位を継ぐことになれば女系天皇となり、男系で126代継承してきた皇室の伝統を覆すことになるからだ。
ただ、配偶者と子を一般国民とした場合、政治活動や自らの意見表明が自由にできることになる。皇室の政治的中立性や品位を保てるのだろうか。
そもそも皇室典範は、皇位の継承を男系男子に限っている。万が一、皇室を維持できなくなるような事態に備え、少なくとも皇族女子の子を皇族とすることは選択肢としてあり得よう。
旧宮家出身の男系男子の皇族復帰案についても、支持する意見が大勢を占めた。自民党は、養子となった男性には皇位継承の資格を与えず、その後生まれた男子に資格を与えるよう主張した。
憲法は、天皇の地位を「日本国民の総意に基づく」と定めている。戦後長い間、一般国民として過ごしてきた人を皇族とし、さらにその子に皇位継承資格を与えることが「国民の総意」に沿うと言えるのか、慎重な検討が必要だ。
11月5日の社説も並べてみます。
皇位継承のあり方は、国家の基本にかかわる事柄である。その見直しを国連の名の下に、付属機関で活動している個人が要求してくるとは、筋違いも甚だしい。
国連の女子差別撤廃委員会が、皇位継承を「男系男子」に限っている皇室典範について、男女平等を保障する内容に改めるよう、日本政府に勧告した。
勧告は、皇位継承のあり方を「女性に対するあらゆる差別を禁じた女子差別撤廃条約の趣旨に反している」と主張している。
日本の皇室制度は長い歴史の中で培われてきた。男系男子による皇位継承は、今上天皇を含めて126代にわたる。また、一時的に女性が天皇になった例もある。
王室や皇室のあり方は、それぞれの国の伝統や国柄が反映されており、尊重されねばならない。
委員会は、23か国の専門家で構成されている。今回の勧告は、ネパールの委員がまとめたものだ。勧告に法的拘束力はないが、この発信は、あたかも皇室典範に女性差別があるかのような誤った印象を広げる恐れがある。
政府が委員会に抗議し、皇室典範に関する記述の削除を求めたのは当然だ。国際社会に対し、勧告が日本の皇室制度の特徴を何ら理解せず、誤解に基づくものだと説明していくことも欠かせない。
そもそも憲法は、天皇の地位について「国民の総意に基づく」と定めている。皇室をどう安定的に維持していくのかは、国民が考えて決めるべき問題である。
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5月19日の社説、「男系で126代継承してきた皇室の伝統」は「女性はいいけど、女系はね?」であり、自民党の主張について述べているのか、読売新聞の言説なのかが、いま一つ、曖昧ですが、「配偶者と子を一般国民にすること」「一般国民として過ごしてきた人を皇族とし、さらにその子に皇位継承資格を与えること」に疑義を呈し、「皇族女子の子を皇族とすること」を選択肢としているので、読売新聞は「女性・女系天皇 賛成」なのだと受け止めていました。
11月5日の社説、「男系男子による皇位継承は、今上天皇を含めて126代にわたる。また、一時的に女性が天皇になった例もある」は、女性天皇とは書いているものの、「あたかも皇室典範に女性差別があるかのような誤った印象を広げる恐れがある」と「あたかも皇室典範に女性差別が無いかのような誤った印象を広げている」ことから、実は「女性・女系天皇 反対」という本心が読み取れました。
同じ新聞社が出した二つの社説を比べてみて、「女性天皇賛成・女系天皇反対」と回答した立憲民主党の岡本みつのり氏が「まあ残念ながら、この先、女系天皇にしなければならないかという、議論をしなければいけないときも来るかもしれません」と発言したことを思い出しました。「残念ながら」という言葉には、ゴリゴリの「男系固執」「女性差別」の匂いがぷんぷんしました。
11月5日の社説が「皇位継承を男系男子に限っている皇室典範に女性差別が無い」としているならば、5月19日の社説も「残念ながら」「皇族女子の子を皇族とすること」を選択肢としていたのでしょう。
「女性はいいけど、女系はね?」=「女性天皇賛成・女系天皇反対」と回答した国会議員は、「男系固執」「女性差別」であると見透かされていることを、よく考えていただきたいと思います。
1 件のコメント
SSKA
2024年11月9日
これまで隠れ蓑にしていた人達の本性がこうして徐々に暴かれて行くのは決して悪い流れではないと思います。
一方で誰も彼もが男尊女卑の批判によって社会的に致命傷を負うのを怖れている臆病者であって、堂々と表明できない代わりに心の闇の中の差別心を満たしてくれる制度を奥底で望んでいるのも良く分かりました。
男系主義は皇統問題に限らず、他の政治や社会への視点を曇らせ腐らせるので、老若男女の読者を対象とした新聞にとって命取りなのは産経を見れば分かる事なんですがね。
自民党案の非常識と理不尽さはそのまま男系主義が現代では死んだ思想である事を示すと5月の記事で気付いているはずなのに、しかしその制度をやっぱり残さねばならないとこの期に及んで翻すどっち付かずは矛盾も甚だしく信用を失うだけでしょう。