グリル厄介者vol.6 勝利宣言の先にあるもの――倉山満氏の寄稿文?を読んで

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サトルです。

倉山満氏のSPA!寄稿?文を読みました。(たぶん…ストロングスタイル?の原稿?)

読後、最初に感じたのは、「これは誰に向けて書かれた文章なのだろうか?」…ということでした。

一般読者でしょうか?国民全体でしょうか?あるいは、皇位継承問題にあまり関心のない人々でしょうか?

寄稿の体裁ですし…。

ワタクシ何度も読み返してしまいました。網膜を焼きながら。その結果、私には「あぁ…そういうことか…」と。なんで気づかなかったのか?誠実過ぎた…笑

もちろん、これは筆者の意図を断定するものではありませんよ?

ただね、「全戦全勝」「国体を守り切った」「第一案の猛毒」「反対派の最後の拠点が切り崩された」…なあんて言葉が並ぶ文章を読んでいると、制度論というより、戦況報告ペーパーに近い印象を受けますね。

そして私は、さらに、「ひょっとして、この文章そのものが現在の男系派支持層の不安を映しているのではないか?」
 そんな読後感を持ちましたね、かえって。

【「何を維持したいのか」はよく見える】

今回の寄稿には、筆者自身が維持したいものがはっきり書かれています。

・男系継承
・旧宮家系男系男子の皇籍取得。
・女性皇族の配偶者や子の皇族化阻止。

ここは不思議と曖昧ではありません。

・何を守りたいのか?・何を維持したいのか?

これも、文章全体から十分に伝わってきます。だから私は、この文章群を読んでいて、「筆者は何を維持しようとしているのか分からない」…とは全く思いませんでした。

むしろ逆です。

維持対象は非常に明確。問題は、その次です。

その維持対象?が、

「なぜ維持されなければならないのか?」
「象徴天皇制とどう接続するのか?」
「国民統合とどう接続するのか?」

そこが、恐ろしい程見えてこないのです。

【しかし「全戦全勝」は語られている】

今回の寄稿には、「薄氷の勝利」「全戦全勝」「国体を守り切った」「令和の和気清麻呂」といった時代ががったかのような表現がこれでもか!…と並びます。

勝敗は語られてる…誰が勝ったのか?も語られています。誰が正しかったのか?も語られています。

あくまで筆者目線ではありますが。

一方で、

「その勝利が何を維持するためのものなのか?」
「その制度が将来どのような価値を守るのか?」

そこはほとんど…不思議になるくらい語られていません。

確かに、男系継承の必要性は繰り返し語られてはいます。なのに、なぜか?…象徴天皇制との接続は語られていません。もちろん、国民統合との接続も語られていません。制度正統性との接続も語られていません。

しかし、維持対象はクッキリ見える…でも、維持理由はほぼ見えない。

私はそこに、この「文章の特徴を感じました」

【本当に不安なのは、第二案なのか】

私が興味深く感じたのはここです。

最初、私はこの文章を、「第二案を守り切った勝利宣言」として読み始めました。だって、戦況単語がこれだけ溢れてますからね。しかし読み進めるうちに、少し違う印象を持ちました。第二案について、倉山氏はかなり冷静です。

むしろ、その重さを認めています。

「国民としての自由を捨てる」
「悠仁殿下の為に尽くすだけの人生」
「秋篠宮家の盾となってもらう」
「茨(いばら)の道」…。

ここまで書いています。

つまり倉山氏自身、第二案が簡単な制度ではないことを理解していますよね?負担の大きさも理解している。制度の重さも理解している。

…ところが、本当に強い言葉が飛び出すのは第一案なんです。

「第一案に含まれた猛毒」という表現です。私はここに引っ掛かりました。

なぜなら、第二案については重さを説明している。第一案については猛毒と断定している。しかし、何が毒なのか?何を壊すのか?その説明は、これまた驚くほど少ない。

【「猛毒」は何を壊すのか】

本来、制度論であれば、危険だと言うだけでは足りません。

何が危険なのか?何が壊れるのか?

そこが必要です。間違いなく。

・男系継承が壊れるのか?
・象徴天皇制が壊れるのか?
・国民統合が壊れるのか?
・制度正統性が壊れるのか?

制度論ならば、そこが必ず見えなければならないハズです。ところが今回の寄稿では、「猛毒」という評価の呈示はある。しかし、その毒?が何を壊すのかは語られない。

私はここに、制度説明なんかよりも、強い、筆者の支持層へのメッセージ性を感じました。本当に不安がないのであれば、そこまで強い言葉は必要ないからです。

【「絶対に一般人の男は皇族にならない」】

今回の文章には、「絶対に一般人の男は皇族にならない」という趣旨の説明も出てきます。もはやフレーズです。しかし、ここも興味深い部分です。

ところが文章は、制度設計の説明よりも、

「大丈夫だ」

という確認に近い形になっています。

誰に?

私はここにも、支持層への「安心供給?」を感じました。つまり、第一案への不安。女性皇族の婚姻後身分保持への不安。その先にある未来?への不安。

それを落ち着かせようとする文章として読むと、非常に理解しやすくなるのです。

【「新皇族」という言葉の重さ】

今回の寄稿で、私が最も重要だと思ったのはこの部分です。筆者は、旧宮家系男系男子について、「新皇族」という表現を使っています。

さらに、「国民としての自由を捨てる」「秋篠宮家の盾となる」とも書いています。

ここで語られているのは制度だけではありません。「人間の人生」です。私はここを軽く読むことは到底できません。なぜなら、制度とは本来、「人間を使い潰すために存在するものではない」からです。社会を持たせるために存在するものです。ところがここでは、特定の人々に極めて重い役割が集中しています。そのことは、筆者自身が、「茨の道」と表現しているほどです。

であるならば、その制度がなぜ必要なのか?その負荷は何によって正当化されるのか?

その説明責任は倉山氏には極めて重くないですか?
言論人として語るならば…ですが。

今回の寄稿では、その説明が十分ではないようです。妙に速いですが。

【「先例」は入口であって終点ではない】

今回の寄稿では、先例という考え方が強く意識されています。意外でしょうが、私は先例それ自体を軽視はしません。なぜなら皇室制度を論じる上で、歴史や先例は重要な側面があるからです。

ただし、先例が存在することと、制度が正当化されることは別問題です。過去に存在した。だから現在も正しい。

・制度論として語るならば、それだけでは成立しませんよ?
・必要なのは、その先例が何を維持していたのか?
・そして、現代の象徴天皇制とどう接続するのか?
・国民統合とどう接続するのか?
・そもそも憲法とは緊張関係にならないか?

そこなんです。先例はあくまで入口です。説明責任の終点ではありません。

【近代皇室が見えてこない】

今回の寄稿を読んでいて、私が最も気になったのはここでした。

出てくるのは、男系継承。旧宮家。先例。勝敗。…戦況です。

もちろん筆者が言わんとする、歴史は重要です。伝統も重要です。当たり前の話です。ただ、光の当てかたには注意が必要です。

なぜなら、現在の皇室は、日本国憲法の下の象徴天皇制なのですから。現代の皇位継承問題を論じるのであれば、憲法下に於いて

私はそう考えています。

【平成の有識者会議との距離】

平成の有識者会議は、誰を天皇にするかから議論を始めていませんでした。

象徴天皇制を将来にわたって維持できるのか?
国民の支持と敬愛を持続できるのか?
安定的な継承を実現できるのか?

そこから始めています。つまり、先に維持対象が置かれているのです。

今回の寄稿を読む限り、筆者である倉山氏の議論は、男系継承を維持する理由よりも、男系継承を維持した歴史の一端としての事実の方に重心があります。

私はそこに、平成の議論との距離を感じました。今回の寄稿は、倉山氏が何を維持したいのかを知る上では非常に参考になりました。見る角度を変える必要性も感じました。一方で、なぜそれを維持するのか?その維持対象が象徴天皇制や国民統合とどう接続するのか?そこは、それでもやっぱり見えてきませんでした。勝った負けたは、見えるんですがね。

だから私は、倉山氏の制度論を読んだというよりも、ああ、これは、彼の支持層を安心させるための文章なんだ…と。

もちろん、これは私の個人的な読後感です。ただ、もし私の読みが外れているのであれば、「男系継承と象徴天皇制の接続」および「男系継承と国民統合の接続」

その説明は、これから避けて通れないはずです。言論人としての「矜持」があるならば。

繰り返しますが、

皇位継承問題は、誰が勝ったかの問題ではありません。
何を維持するのか?なぜ維持するのか?
その維持対象は国民に説明可能なのか?
象徴天皇制を将来にわたって持続できるのか?

問われているのは、そこだと思います。

2 件のコメント

    mantokun

    2026年6月15日

    Xのポストの件についてですが…
    養子案賛成の数字が高く出た「世論調査」には大喜びなんて、自分がこれまで書き散らしてきた数々の駄文の記憶すら無くしてるんですかね。「ストロング」というのは、恥を感じる感覚のない己の神経の図太さのことを指してるんだなと思います。もう、この人物の名前を視界に入れることすら嫌になってきました。

    サトル

    2026年6月15日

    今回も素早い編集掲載ありがとうございました。

    https://nikkan-spa.jp/2169146

    こちらが、元記事になりますm(_ _)m

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