古代は世襲ではないと端的に示す新書『継体天皇』がベストセラーになったことがヤフーニュースになっています。
有力豪族が王権と血縁のつながらない人物を即位させた? 『継体天皇』の謎に迫る新書が5刷5万部超[新書ベストセラー]【ブックバン】
5世紀以前の倭国では、複数の王族集団から適格者が大王に即位していたとされる。ところが6世紀初頭、北陸地方からヤマト王権の有力豪族たちの招聘を受けて、王権との血縁関係が極めて不確かな人物が即位する。それが継体天皇だ。なぜ、有力豪族たちはそれまでの王権と血縁のつながらない彼を担ぎ上げたのか。なぜ彼の即位後、初めて「世襲」が王権の原理として定着したのか。そしてなぜ彼は、後世「始祖王」と呼ばれるべき特異な位置を占めるに至ったのか。本書はこれらの問いに対し、8世紀に編纂された『日本書紀』『古事記』の記述に引きずられることなく、編者による改変の痕跡までを緻密に読み解き、近年の研究成果をもとにその実像に迫っていく。任那四県割譲事件や磐井の乱といった内憂外患の実態を国際的な視点から描き出す点も読みどころだ。
このニュースに先立ち、産経新聞が同著を取り上げていました。
緻密な史料検証から実像追うミステリー 支配権確立の経緯に迫る 『継体天皇』河内春人著【産経新聞】2026年7月19日
第26代継体天皇とは何者か。古代史上の大きな謎である。応神天皇の「五世孫」で北陸出身とされる出自ゆえに王朝交替説が論点となった。継体天皇以降、大王(おおきみ)の世襲が確立されることからも、皇室制度の起源や皇統を考える上で外せない人物だ。
継体天皇以前は、世襲が確立されていないことを、文化部の櫟原千寿帆(いちはらちずほ)記者は、理解しておられるようですね。
翻って、同新聞が直前に出した二つの社説や記事はいかがでしょうか。
<主張>皇室典範改正案 おかしな非難もう止めよ【産経新聞】2026年7月16日
天皇、皇族の継承の最重要原則は男系(父系)継承だ。そこには一度の例外もない。君主とは歴史的存在で伝統を毀損(きそん)すれば正統性を失ってしまう。
皇室と国民が長く紡いできた皇統、皇族の在り方は全ての時代を貫いていなければならない。「時代遅れ」という安易な発想で断絶させてはならない。皇統を壊すのが時代の流れではないはずだ。
<主張>改正皇室典範 皇統を守る成立を歓迎する 静謐な環境で養子縁組実現を【産経新聞】2026年7月18日
日本の天皇、皇族は例外なく男系(父系)継承で続いてきた。
「皇統の伝統と歴史を前に謙虚でありたい」自民・山谷氏 典範改正で「日本の命の輝きへ」【産経新聞】2026年7月15日
「2600年以上にわたり、連綿とつながれた皇統の伝統と歴史は重く、美しい。その前で今を生きる私たちは謙虚でありたい」山谷えり子氏(継体天皇を引いて国会で質疑)
山谷議員:私の故郷・福井には第26代継体天皇の大きな石像がございました。幼い頃は福井から天皇と不思議に思っていました。私は平成 24年内閣委員会で継体天皇の説明を当時、民主党政権の官房長官に求めましたところ、「第25代武烈天皇が崩御された時、お世継ぎがなく、第 15代応神天皇の五世の孫であった継体天皇が迎え入れられ、即位されたと聞いている」と答弁されました。そうなんです。第25代武烈天皇から 10親等、男系をずっとつないで 200年遡って第 15代応神天皇、そしてまた男系をつないで越前にそのお血筋の方がいらっしゃるということで、第26代継体天皇が即位されたということでありまして、先人の男性の男系継承の伝統を守ろうと思う強い意思、思いを感じるところでございます。
「2600年以上にわたり、連綿とつながれた皇統の伝統と歴史は、
男系(父系)継承、そこには一度の例外もない」という妄言は
ほかならぬ『継体天皇』によって、論破されていますよ。
「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ
4 件のコメント
京都のS
2026年8月1日
mantokun様、『継体天皇』は引き込まれますよね。古市集団(讚・珍)VS百舌鳥集団(済・興・武)に割って入る馬見集団(飯豊)と北陸集団(継体~)とか、任那割譲事件の真相とか、磐井の乱の真相と記紀編纂者の思惑とか、その全てが手に汗握るスリリングさですよね。一族の根拠地は近江国高島郡三尾だけど、4世孫・汗斯は越前から日本海に出たとか、5世孫・乎富等は大和の中央政界に参画したとか、そういうことが在り在りと想像できるような書きぶりですよね。
mantokun
2026年8月1日
『継体天皇』、早速取り寄せて読んでいますが、古墳の分布という考古学的分析とともに、わずかな痕跡から系譜作成の意図を推測し、継体天皇の実像に迫る緻密な論考で、一度や二度では十分に理解できなさそうです😂
少し前までは、継体天皇は近江の豪族であって越前に居住したことはないだろうと唱える学者もいましたが、本書はそうした(ちょっと乱暴な)切り捨て方はしていませんね。
そして山谷えり子のこざかしい答弁はほんと、福井県出身者には腹立たしいことこの上ない。『継体天皇』を100回読め!と言いたいです。
京都のS
2026年8月1日
『継体天皇』(河内春人著)は刺激的な新書でした。これで既に1本書いて送っています(笑)。
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2026年8月1日
乃木や黒須が「美しき我が国を汚す者」として潮騒橋から吊り落とすとしたら、麻生・高市・山谷…でしょうね。