男系固執派という純粋培養の悪

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「鬼太郎誕生・ゲゲゲの謎」を観た方はおられるでしょうか?(ネタバレあり)

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 劇中の昭和31年は高度経済成長の真っ最中で、主人公の水木は敗戦直後に実在した血液銀行の会社に勤めていました。同社は貧困層からの売血で成り立っていましたが、経済成長で国民が豊かになると立ちいかなくなるため、起死回生の策として龍賀製薬の血液製剤「M」の秘密を探るよう水木に密命が下ります。M(戦中の特攻隊員に打たれたと噂されるメタンフェタミンの隠喩)は高度成長を支える企業戦士を不眠不休で働かせるために必要という設定でした。

 龍賀製薬の創業者一族が支配する哭倉村に来た水木は、亡き龍賀家の当主の孫・沙代と出会い、ここから「犬神家の一族」ばりの跡目争いに突入します。龍賀家の長男が変死すると、「妻を探しに来た」と言う片目を隠した外部の男が疑われ、同じく外部から来た水木と「ゲゲ郎」(水木が命名:鬼太郎の父)は各自の目的のためにバディを組みます。やがてMは幽霊族(被差別民の隠喩:ゲゲ郎も該当)の血が原料で有ることが判り、さらに龍賀一族は霊力を保つために近親婚を繰り返しているという設定(皇室の隠喩?)でした。

 つまり本作は、戦前・戦中・戦後における日本の悪(と著者が感じた事物)を純粋培養した作品だと言えます。これは、水木しげる氏の原風景が、自身は死ぬ気も無い上官からバンザイ突撃を命じられた体験だからだと思われます。そして、その責任の天辺に天皇が据えられていたため「戦争責任は天皇にアリ」論に行き着きます。しかし、ここで留意すべきは、大陸での戦争続行や対米開戦を望んだのは当時の国民であり、それを煽ったのは当時のマスコミであるという厳然たる事実です。世間に個を埋没させたまま自己を免責する遣り口はコロナ禍でも繰り返されましたが、それによる無意識的な疚しさ天皇や皇族への怒りに転化する行き方は人道的に間違っていないか?と国民一人びとりが己の胸に問わねばなりません。

 そして、言うまでもなく水木に突撃を命じたのは日本の大衆世間であって天皇ではありません。にも拘らず天皇は戦跡を訪れて水木の戦友のためにも祈ってこられました。また皇室は民間から妃を迎えて近親婚を排し、また国民的な男尊女卑の克服も望んでおられます。その皇室に旧宮家系という特定血族の男系子孫を入れて「擬製の近親婚」を復活させたがる純粋培養の悪が存在します。我々は何を憎み、何を排すべきか、そろそろ真剣に考えるべき時ではないでしょうか?    

文責:京都のS

4 件のコメント

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2024年1月24日

     Y様、※ありがとうございます。「年をとるほど固執」って厄介ですね。取り返しがつかなくなって「シマウマ」えに何とかしたいものですね。
     戦中の中高年が戦争を望んだ(≒若者を戦地に送り出した)動機は、一次大戦の好況を再び望んだからかもしれませんし、それによる疚しさが天皇にも戦争責任アリ論に帰結し、今も尾を引いている可能性があります。コロナ禍でもコロナ風邪を怖がった高齢者が若者を犠牲にしましたが、それによる疚しさを皇族方や関係者に向けたのが小室母子バッシングや秋篠宮バッシングなのでしょうし、それが斜め下に波及したのがジャニーズキャンセルや松本人志キャンセルなのでしょう。そのまま横滑りで自民党安倍派のパー券問題も叩いていますが、皇位継承問題の解決に向けて動き出した岸田政権に大ダメージを与える動きになっているのは、クソのように醜悪な構図ですね。

    神奈川のY

    2024年1月23日

    人間色々あって心の余裕がないと誰かのせいにしたいと言う気持ちが強く出て、年をとるほどそれに固執してしまうのだな、と感じました。無意識的な疚しさ、厄介です。

    京都のS

    2024年1月23日

     SSKA様、※ありがとうございます。
     マスコミが商売に走るのは生業だから仕方が無いとも言えますが、やはり面白ければ飛びつく消費者としての国民(マスコミ人とて国民で消費者)が最も問題です。それを改められないのなら我々に皇室を戴く資格が無かったということなのでしょう…。自覚的なヤツらを全て叩き潰すことは前提ですが、その先ですよね。

    SSKA

    2024年1月23日

    皇室と国民との間の風通しの悪さ、その為に起こる情報の行き違いは現代の問題にも繋がる話ですね。
    直近の秋篠宮家の事情も徒に商売目的の雑誌媒体が群がる以外、高森先生の様に専門家の立場で情報整理して下さる方は実に少なく、自称専門家の保守派が無視を決め込んでいる状態では誤解が糺される事も無く皇族方が傷付くばかりで宮内庁任せでは無く発信の仕方から考え直さなければどうにもならないと感じます。

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