愛子さまトーークに出演いただいた、サトルさんより、下記のようなレジュメが寄稿されました。以下を、御覧くださいませ(by基礎医)。
このレジュメの目的は、細かな古代史の知識比べではありません。三橋(京橋)が自分の本で何を問い、何を根拠として示し、そこからどんな結論を出しているのか。その「根拠 →結論」が本当に繋がっているかを、本人の記述を中心に見ていくことです。
三橋(京橋)の歴史解釈をいったん受け入れて読んでも、なお残る疑問があります。むしろ、詳しく説明すればするほど、最初の主張とは別の構図が見えてきます。
*この導入は、「愛子さまトーーク(第1115回)」とつながっているので、そちらの番組もご参照くださいませ(by基礎医)
1 最初の問いは、とても分かりやすい
第3章の出発点は、フランス王家のサリカ法です。my(サクラちゃん)が、日本の皇統とフランス王朝がなぜそこまで男系にこだわるのかを尋ねます。三橋(京橋)は、理由をこう答えます。
「理由は、ズバリ、女性が権力を握ると、どうしても『野心』を持つ男性が近づいてくるためです。結果、政治が混乱してしまう。つまりは、最高権力者である女性と関係を結んだ男性が引き立てられ、やがては『皇統』や『王朝』が危機に至る。」(p.85)
要するに、出発点はこうです。
女性が権力を握る → 野心を持つ男性が近づく → その男性が引き立てられる → 政治が混乱する →皇統が危機に陥る → だから男系
非常に明快です。では、その後に三橋(京橋)が紹介する歴史は、この説明を本当に裏付けているでしょうか。
2 ところが、男性天皇も男性政治家に左右される
三橋(京橋)は藤原仲麻呂の権力拡大を詳しく描き、その影響下にあった男性の淳仁天皇について「まさに恵美押勝の傀儡天皇だった」と説明します。
ここで早くも疑問が生じます。
女性が最高権力者だから野心的な男性に政治を左右される、というのが男系を必要とする理由だったはずです。しかし、三橋(京橋)自身の説明では、男性天皇も有力な男性政治家に強く左右されています。
ならば、問題の原因は本当に「天皇が女性であること」なのでしょうか。
3 男系男子が大勢いても、政治は安定していない
その後、三橋(京橋)は天武天皇の男系皇族について詳しく説明します。天武天皇には多数の男子がいました。しかし、草壁皇子、大津皇子をはじめ、その後の男系皇族たちは政治闘争の中で次々と失脚・処断・排除されていきます。
三橋(京橋)自身も、奈良時代を「権力闘争が激しい時代」として描きます。
つまり、本の中で実際に描かれているのは「男系男子がいれば安定する」という世界ではありません。男系男子が多数存在していても、皇位をめぐる政治闘争は起きています。
ここでも、「女性だから危険」という最初の説明とは別の原因が見えてきます。
4 道鏡事件。「皇統外の男子を排除」から、なぜ「男系限定」になる?
和気清麻呂と宇佐八幡宮神託の場面は、この本の中心部分の一つです。my(サクラちゃん)が紹介する神託は、次の趣旨です。
「わが国家は開闢より君臣に秩序は定まっている。臣下を君主とすることは未だかつてなかったことだ。天津日嗣には、必ず皇統の人を立てよ。無道の人は早く払いのけよ」(p.136)
これを受けて三橋(京橋)は、
「何しろ、神武天皇から連なる皇統以外の『男子』が天皇に即位することが、『神様』により全否定されてしまったのですから。」(p.138)
と説明します。ここまでは「皇統と無関係な道鏡のような男性・臣下を天皇にしない」という話として読めます。
ところが三橋(京橋)は、そのまま、
「日本の男系の皇統が断絶寸前の危機に至り、和気清麻呂という一人の人物によって救われた。」(p.138)
と結論します。
ここに橋が一本足りません。「皇統外の臣下を天皇にしない」と「皇統は男系でなければならない」は同じ命題ではありません。女系まで排除して男系限定とするなら、その理由を別に示す必要があります。
5 しかも、称徳天皇の意図は「真相は誰にも分からない」
道鏡を天皇にしたかったのは、称徳天皇自身だったのか。この重要な点について、三橋(京橋)はこう書いています。
「真相は、もはや誰にも分かりませんが、わたくし個人としては、称徳天皇が道鏡を天皇に即位させたいという思いはあった、という説をとります。」(p.137)
ここは三橋(京橋)自身が、確定した史実ではなく、自分が採用する解釈であることを認めています。
その解釈を採ること自体が問題なのではありません。しかし「真相は誰にも分からない」とした部分を使って、現代にも通用する大きな制度原理を説明するなら、その間にはさらに論証が必要です。
この後も続くのですが、長くなるので(*編集長権限でm(_ _)m)、次回に続きます。
5 件のコメント
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2026年9月10日
感想はサトル様が登場する「愛子さまトーク」の方に書いたので、こちらでは明日鍍様に一言。三橋は西部邁の弟子ではありません。藤井聡・中野剛志と行動を共にすることが多かったので「反緊縮の三羽烏」などと呼ばれたことがあるようです。三橋は単なる野良ケインジアン男系派です。あんなのが弟子だと言われたら西部氏は草葉の陰で慟哭します。藤井・中野・施だけでも屈辱でしょう。
千本通り
2026年9月10日
男系男子固執の連中の根底にあるのが「女は愚か」という抜きがたい思想。なぜ愛子様を天皇にしてはいけないのか? それは「女は愚かだから」。心ではそう思っているから、論理は破綻して当たり前なのです。そして男系男子を推す高市首相が女性というのがまた皮肉。
千本通り
2026年9月10日
道鏡事件というのは、明治時代にクローズアップされ、和気清麻呂は国を救った忠臣として、戦前は修身や国史系教科書で取り上げられた人です(紙幣の肖像画にもなった)。その分、称徳天皇は道鏡に操られたダメな天皇という烙印を押され、戦前は「女は愚か。だから女は男の言うとおりにすればいいんだ」という家長制度を補うイメージ戦略に用いられた。
三橋は理屈なんかある意味、どうでもいい、「女は愚かだから天皇にしてはダメ」という道鏡事件をあおり、それをうれしがる連中から商売をしている。
もう一度いうと、三橋の話は「女は愚か」ということを言いたいだけです。
明日鍍 禮Xロックに抗議中
2026年9月10日
西部邁”不肖の弟子三羽ガラス”の一匹も、遂に取り上げていただけましたか。
肩書だけでやって来た学者って評価が妥当だと思います、庶民の味方ぶった経済論を一見語ってますが株やアベノミクスで儲けた側の人間でしょう。
「~は定かでは無いが、こう言う立場を取る」って定型文で、いざ論破や論理破綻が露呈したら逃げる御用学者の典型ですね。
サトル
2026年9月10日
うひゃあ……レジュメ…が汗
>基礎医さん
掲載ありがとうございますm(_ _)m
がっつり書いたのもありますが、続くようならお届けするかも知れませぬ。
……なお、(京(けい)橋)、サクラちゃん……は、前ふりですm(_ _)m