養子案の疑義について、宮内庁書陵部の元編修課長でお茶の水女子大客員研究員(日本史)の鹿内浩胤(しかない・ひろたね)氏の談話を、東京新聞も報じました。
元宮内庁課長が「極めて特異」と指摘する「養子案」の復活 皇族数確保、問題点はクリアされたのか【東京新聞】
・(平成の有識者会議の報告書で養子案は)「憲法上の平等原則との整合性」「歴史的な類型が未確立である」として「選択肢から外れた養子案が前面に出てきている」
これがクリアされたという報告も政府からないまま復活したことは「一貫性の観点から極めて特異と感じた」「論理的に整合性を欠く拙速な議論で、強い危惧を覚える」
・「皇族の養子を禁じた皇室典範9条の精神は、皇位という公的な地位を「人為」から遠ざけることにある」「当事者間の私的な合意が基盤となる養子縁組では皇位継承の世襲の客観性が揺らぎかねない」
・「過去に皇籍に復帰した事例がある」とされる宇多天皇は、「大鏡」に「当時は身分秩序の破壊とみなされていた特例」「一度人臣に降(くだ)れば戻れない不可逆性の法理を逸脱している」
・「一般女性が皇族との結婚によって皇族になる現行制度は、明治の皇室典範で導入された『家の原理』に基づいている。女性皇族の夫も皇族にしないと整合性はとれない」
・「(憲法で天皇の地位は「国民の総意に基づく」)国民が主体的に参加できるよう
「皇室典範国民会議のような場で熟議を尽くすべきだ」
「当時は身分秩序の破壊とみなされていた特例」とされた
「大鏡」の該当箇所を調べてみました。
位に就かせ給ひて後、陽成院を通りて行幸ありけるに、「当代は家人(けにん)にはあらずや」とぞ仰せられける。さばかりの家人持たせ給へる帝も、あり難き事ぞかし。
宇多天皇が帝位にお就きなられた後、陽成院を通って行幸された際に「当代は臣下ではないか」と陽成院がおっしゃったとのこと。天皇を臣下に持たれた帝は、めったにないことだ。
「大鏡 宇多天皇」
「源氏物語」で、冷泉帝は臣籍降下して臣下として仕えている光源氏が
実の父親であると知り、帝位を譲ろうとしますが、固辞されます。
宇多天皇は数ある光源氏のモデルの一人とされていますが、やはり
「一度人臣に降(くだ)れば戻れない不可逆性の法理を逸脱している」故に
紫式部も主人公を再び帝位に就けることはなかったのでしょう。
「憲法上の平等原則との整合性」「歴史的な類型が未確立」が
クリアされたという報告も政府からないまま復活された養子案
やはり立憲・長浜議員が「過去の有識者会議 報告書の再確認、また必要であれば
新たに両議長、副議長の下での有識者会議の立ち上げ 等」を
全体会議で求めたことは正しい。
天皇の地位は「国民の総意に基づく」
国民が主体的に参加できるよう
「皇室典範国民会議のような場で熟議を尽くすべきだ」
宮内庁の研究職トップだったという鹿内氏の提言を
報じた東京新聞に感謝。
皇室典範国民会議を実現する手立てはないものでしょうか。
「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ
2 件のコメント
みすたあ
2026年5月17日
私も、 〉「皇族の養子を禁じた皇室典範9条の精神は、皇位という公的な地位を「人為」から遠ざけることにある」 この指摘は端的で重要だと思いました。養子推進案にはこの‘人為’を色濃く感じています。
サトル
2026年5月17日
これは重要な記事紹介だと思います。
特に、
「皇室典範9条の精神は、皇位という公的地位を人為から遠ざけることにある」
という指摘は重い。
旧宮家系国民男性の皇籍取得案は、
単に「人を増やす」話ではなく、
皇位継承の客観性・安定性そのものに関わる問題です。
さらに、
・憲法上の平等原則との整合性
・歴史的な類型が未確立であること
・国民の総意に基づく熟議の必要性
これらが未整理のまま、
養子案が復活している。
ここは冷静に確認し、
政府、立法府に問い続ける必要があると思います。
東京新聞と、
元書陵部課長職である鹿内氏の問題提起に感謝します。