「愛子さま排除法」成立の際、統一教会と国際勝共連合が出資して創刊された世界日報は、産経新聞と酷似する社説を出していました。秋の臨時国会の前に、改めて振り返ります。
社説 改正皇室典範 皇位の男系継承が強固に【世界日報】20260721
皇位の男系継承の伝統が守られ、その基盤がより安定的になったことを歓迎したい。制定79年で初めての皇室典範改正は、「戦後レジームからの脱却」への大きな一歩でもある。
(中略)
皇族数、特に男性皇族数の減少は、将来、悠仁殿下が皇位につかれた時、周りに男性皇族がいないという状況にもなりかねず、喫緊の課題であった。2021年に政府有識者会議が報告書を提出したが、野党の実質的サボタージュ、与党の怠慢によって国会での議論は進展しなかった。しかし高市早苗政権の誕生で議論は本格化し、衆参両院正副議長の下で「立法府の総意」がまとめられ、今国会での成立に至った。
(中略)
国民の理解の前提となるのは、皇位継承の伝統や旧11宮家に対する正しい理解である。神武天皇から126代今上陛下に至る皇位は例外なく男系で継承され、国の統一性と安定の基礎となった。そのために先人たちは大変な苦心をしてきた。
旧11宮家は、室町時代に創設された伏見宮家に始まり、明治天皇の内親王4方が嫁がれ、香淳皇后は久邇宮家から昭和天皇に嫁がれ、昭和天皇の内親王は東久邇宮家に嫁がれている。戦後GHQ(連合国軍総司令部)の指令で皇籍を離脱するが、昭和天皇の御意向によって旧宮家の方々は「菊栄親睦会」などで皇族方と親戚としての交流を続けてきている。共産党の小池晃書記局長の「赤の他人」など、とんでもない指摘である。
(中略)
今後、養子縁組の話が進められることになるが、養子案に反対だったメディアが妨害的な報道をすることが懸念される。国会での議論中に言われた「静謐(せいひつ)な環境」を、これからも求めていきたい。
社説<主張>改正皇室典範 皇統を守る成立を歓迎する 静謐な環境で養子縁組実現を【産経新聞】20260718
改正皇室典範が参院本会議で可決、成立した。宮内庁は今上陛下と秋篠宮皇嗣殿下に報告した。
国の始まりから現代まで途切れることなく続く皇統を、これからもお守りしていく内容だ。成立には極めて大きな歴史的意義がある。高く評価したい。
ただし、皇統の安定継承を確かなものとする上で、改正典範の成立は第一歩にすぎないとも言える。旧宮家からの養子縁組をはじめ内容を確実に実現していくため、高市早苗政権は全力を尽くしてもらいたい。宮内庁だけに任せず、首相直轄で対応すべきだ。
(中略)
改正典範が目指したのは、将来即位される悠仁親王殿下をお支えする皇室の態勢整備だった点を忘れてはならない。皇室には危機が指摘されてきた。今上陛下と秋篠宮皇嗣殿下の次の世代で皇位継承資格がある男性皇族は悠仁親王殿下だけだからだ。皇位の安定的な継承に不安が残る。親王殿下が将来即位される際に、他に皇族がほとんどいない事態も避けたい。
(中略)
今上陛下は立皇嗣の礼で次の天皇は秋篠宮皇嗣殿下だと宣明された。悠仁親王殿下への継承の正統の流れは確立している。
この今上陛下の宣明を顧みない「愛子さま天皇」論は、上皇陛下の譲位特例法に伴う付帯決議から始まった議論において、内閣でも国会の全体会議でも取り上げられていない。
愛子内親王殿下のあり得ないご即位を持ち出して「女性天皇」を喧伝(けんでん)し、悠仁親王殿下のご即位や旧宮家からの皇籍復帰を妨げる議論は皇統の安泰とは正反対を向いていた。日本を分断し皇室に迷惑をかけたと気づくべきである。
(中略)
日本は議会制民主主義の国だ。国会の制定を重く受け止め、静謐(せいひつ)な環境を用意して、改正典範の内容を実現していきたい。特に、養子縁組を巡り誹謗(ひぼう)中傷が行われないようにしなければならない。
「愛子さま排除法」を歓迎するタイトルや冒頭の文言から、
「高市政権を鼓舞」し、
「国の始まり・神武天皇から例外なく続く皇統・男系継承」と
「悠仁さまを支える旧宮家系の養子」を主張し、
養子縁組の誹謗中傷を警戒して「静謐な環境」を求める結句。
真実ではない中傷誹謗は、もちろんあってはなりませんが、
「真実性の証明」=公共的な事柄について公益目的で発言した場合、
真実であることを証明できれば処罰されない規定は守られるべき。
最も公共的な事柄である皇室における養子縁組の対象者に関する
周知の事実である過去や現在の行跡が脚光を浴びてしまうのは、
致し方なく公益そのもの。
もうひとつ、しんぶん赤旗の社説も取り上げておきます。
主張 皇室典範と憲法 改憲と一体の戦後否定の狙い【しんぶん赤旗】20260721
「男系男子の継承」と憲法改悪を二大課題とし、一体のものとして追求するのは、改憲右翼勢力に共通するものです。日本会議の谷口智彦会長は、「高市さんが首相になった意義というのは二つです。憲法改正と、皇統の将来にわたる安定的な男系維持のための皇室典範改正。これが高市さんに託された歴史的使命なのです」とまったく同じことを述べています。
高市首相支持グループ「国力研究会」事務局長の山田宏参院議員が名誉顧問を務める「皇統を守る会」の要望書は、男系継承を求め、養子を可能にする皇室典範改定を目指すとした自民・維新の政権合意の実現を強く要請。旧宮家の「臣籍降下」を「皇統断絶を狙ったGHQの遠謀」「占領政策の象徴」と非難し、「皇籍復帰実現は…『戦後レジーム』から脱却するための突破口にもなり得る」と狙いを隠しません。
「戦後レジームからの脱却」とは、憲法を中心にした戦後の民主化を否定しようというものです。
改憲団体の共同代表を務める櫻井よしこ氏は、皇室典範改定をめぐる動きを「安倍晋三元首相が掲げた戦後レジームからの脱却の、核心部分に首相が到達しようとしている」と手放しで評価し、「皇室典範改正を達成した暁には、…憲法改正が待ち受けている」(「産経」6日付)とあけすけに述べています。
「戦後レジームからの脱却」を掲げ「男系男子の継承」に固執する特異で危険な立場から皇室典範改定案を作成したために、国民の総意に反し、審議のすすめ方も、あまりにも乱暴なものになったのです。
日本共産党は改めて浮き彫りになった憲法敵視、男尊女卑の高市政権の危険な政治に真正面から対峙(たいじ)します。
山田宏参院議員は、日本会議国会議員懇談会に所属。
櫻井よしこ氏は、統一教会との関係事例が多数。
日本会議、神社本庁、統一教会という男系維持のための
養子案を推し進める団体が首相を強力に後押ししている
由々しき事態については、先日、当サイトでも取り上げました。
「養子の子を天皇」にする制度を歓迎する側と、
「愛子さま排除法」に真正面から対峙する側と、いったいどちらが
「天皇制廃止」に結びついているのか。多くの国民は理解しています。