私には、今でも忘れられない光景があります。
1993年1月19日、当時皇太子であった陛下と、雅子さまの婚約会見です。
愛子さまも、自身がお生まれになる前のご両親の姿に、どのような感慨を抱かれたことでしょうか。
お二人らしい、穏やかな中にも真摯な気持ちが込められた会見でした。
雅子さまはご自分の言葉でしっかり想いを伝えようとされ、陛下も当意即妙なフォローをされて……。
ずばぬけた聡明さと、微笑ましさのバランスが絶妙なカップルでした。
重い責任を背負いながらも、国民に対し誠実であろうとするその姿勢――。
それまでの「皇室」に対してあった「遠くて不思議な世界の人たち」というイメージが、私の中でガラリと変わった瞬間でした。
私たちと同じ言語を持ち、私たちの心に直接響く言葉を話す。
日本には、このような男女がいる。
将来、天皇と皇后として立つ。
「日本=天皇」だ。
私は、この国に住んでいる。「日本人である」ことの拠り所が、ここにある。
私にそう気づかせてくれた両陛下は、私にとって宝のような存在です。
そして、お二人の子として、この世に生を享けられた愛子さまも。
愛子さまは、両陛下のそばでお育ちになられました。
ご両親からは自然と、あるいは意識して、様々なことを学び吸収されたことでしょう。
おそらく、時には厳しく自らを律しながら。
それは、誰にでもできることではない。
天皇としてふるまい、言葉。
他者を感動せしめ、圧倒させるほどの気品。
一朝一夕ではできあがらない――。
今の日本で、それを受け継いでいるのは、愛子さましかいらっしゃいません。
愛子さまが将来、皇太子となり、人々の心に響くようなお言葉を発すれば。
私のように、皇室に対して興味を抱き、畏敬の念に目覚める人が出てくる。
必ず。
そして「愛子天皇」の誕生の日には、お婆ちゃんになった私が、またテレビの中継を食い入るように見ることでしょう。
日本の明るい未来を寿ぎながら。
今からその時がとても楽しみですし、これは日本人として、私のささやかな生きがいでもあります。
文責:奈良県 だふね
1 件のコメント
l_k
2020年6月15日
ご投稿いただきありがとうございます。
国民とともに人生を歩んでいかれるのが天皇となられる方々ですよね。
そして折りに触れてぐっと皇室との距離が近づくのを感じることができる。
そう感じさせてくれるのが、千年を越える皇室に培われてきた「魂(エートス)」なんじゃないかと思います。
皇室で生まれ、育たれた方こそがそのエートスを受け継いでおられるのとともに、そのエートスに共鳴する方が、互いに惹かれあい、皇室に迎えられていくのだと思います。