(第5話の感想です)
連載初の「登場人物の背景を深堀する」試み。お見事です。ネトウヨ・デモ行進に混じっていた主婦に対し「何でこの人、ここにいるのだろう」と、疑問に思った事がありますが。そのパターンの一つが、これか!と納得です。
系子が、CAという「自立した職業人」になる事に否定的な夫(新田、西尾などに似た顔です)。その娘が「自立した職業人」になったら、今度は肯定し、周囲に自慢する。夫は、常に「自分にとって都合のいい女」を求めたが故に、矛盾した態度を取ってしまった。こんな「裏切り」を受けた傷を埋めたのが、「愛国心の証、男系バンザイ!」だったのですね。
その系子も「自分を肯定し、女性を否定する」という矛盾に陥りました。それを助けようとする直系よしりん。「敵に塩を贈る」こと以外にも、複雑な心境があるのでしょう。
全体的には、映画・ドラマのパロディー、マスク&世間教の分析、祭祀の意外な「ユルさ」、悪役の顔芸「のへへへへ・・」など、教養・笑いが8ページに凝縮され、読んでいる最中、喜怒哀楽をフルに感じ取れました。舞台背景は、序章と同じ公園ですが。それでも「読者を飽きさせない!」という小林先生の意志が伝わる一作であり、次回への期待も膨らみます。