心臓を捧げる対象は「たかが血統」で良いのか?

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 「進撃の巨人」をご存じでしょうか。壁の中に住む人類が壁外から来た巨人に襲われ、人類と巨人が存亡を掛けて戦う様を描く漫画作品です。以下では、その作劇の根幹にかかわる部分をネタバレしつつ皇室論を展開しますので、未読・未見の方はご注意ください。

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 まず、ある大陸に住む少女ユミルが同胞からの酷い裏切りに遭って悲嘆に暮れていた頃に巨人化能力を授ける何物かと合体し、以後少女の子孫には巨人化能力が宿りました。エルディア国のフリッツ王(1世)は対外戦争に巨人を利用すべくユミルを娶り、エルディアはユミルの子孫(巨人)の力で他国を制圧しましたが、残酷な巨人大戦を反省した第145代フリッツ王は、始祖ユミル(神の如き存在)と「不戦の契り」を交わし、一部のエルディア国民を連れてパラディ島へ渡り、三重の壁を築いて引き籠り、壁内人類は巨人の特殊能力によって過去を忘れ去りました。また大陸に残されたエルディア人は新興国マーレの収容区内に幽閉されました。

 お気付きのように劇中で起こる出来事は世界史上で実際に起こった悲喜劇がモチーフとなっています。歴史を忘却した壁内人類は平和ボケ日本人、不戦の契りは憲法9条、マーレ人がパラディ島のエルディア人を悪魔と罵る件は近隣国の反日感情、収容区内のエルディア人はゲットーのユダヤ人…ですが、毛色の違う符号も存在し、エルディア王族が受け継ぐ「始祖の巨人」は皇位継承の隠喩かもしれず、王族女子は巨人化血統の継承のために生む機械のような扱いも受けました。主人公エレン・イェーガーの異母兄ジークはエルディア人収容区の出身ゆえ悲劇の連鎖を断つために巨人の特殊能力で全エルディア人の生殖能力を奪う「安楽死」を望みましたが、マーレが放った巨人に母を殺されたエレンはエルディア以外の人類を滅ぼすために巨人大戦の再来を望みました。リアル日本は核(他国を蹂躙する巨人)を持たず、憲法9条2項により通常戦力(立体機動装置を備えた兵団)も戦えず、生殖能力を奪うまでも無く少子化は破滅的に進行中ですが…。

 絶望から世界の破滅を望むほど狂ったエレンですが、それでも彼は王族女子ヒストリア・レイスを巨人化可能な子を生むための機械にはさせず、巨人化能力は自らが引き受け、そうしてヒストリアは女王に即位しました。翻ってリアル日本の男系派はエレン程の絶望も感じていないくせに皇族女子を生む機械とすることを躊躇しません。私は彼らの脳髄に雷槍を打ち込んでやりたい気分で居ます。    

文責:京都のS

1 件のコメント

    壁内キョート区に住まうS

    2023年5月8日

     「進撃の巨人」には他にも多くの論点があります。名誉マーレ人は名誉白人のことでしょうし、ヴィリー・タイバーは日系米国人の反日派でしょうし…。
     複雑で長いストーリーの解説と皇室論との関連付けを1000字以内に抑えるのは難しい作業でした。

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