【文字起こし】皇位継承問題、法の専門家の反応

Post's thumbnail

新潟県ただしさんによる文字起こしです。

すっかりおなじみになった、倉持麟太郎さんのYouTube番組「このクソ素晴らしき世界」からです。

倉持さんによる皇位継承問題の現在地の説明に対し、横大道聡教授、ケネス・盛・マッケルウェイン教授の反応に注目です。

※できるだけ動画に忠実に文字起こししましたが、内容を変えない範囲で読みやすくしている部分もあります。

倉持:今、政治における憲法改正の動きと、司法における判決等々での憲法の動きを見たんですが、憲法の根幹を機能的にも機構的にも実は支えている、皇室の話。私は今年のトピックとして取り上げたいと思っております。

(画面にスライドが映る)

《「皇位継承問題、動くのか?」
2017年6月:天皇退位等に関する特例法“附帯決議”
2021年12月22日:「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議による報告書の提出
2023年2月26日:自民党党大会「日本国民、統合の象徴である天皇における安定的な皇位継承を確保する、ための方策への対応も先送りの許されない課題であり、国会における検討を進めてまいります」
2023年10月20日:額賀福志郎衆院議長「各党の協議の経緯や状況を把握した上で立法府の考え方を整理していく」
2023年10月23日:岸田首相「皇族数の確保のための具体的方策」について「『立法府の総意』が早期に取りまとめられるよう、国会における積極的な議論が行われることを期待します」@所信表明
2023年11月17日:自民党「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会の初会合」》

倉持:で、何でわざわざ今年のトピックとして取り上げたかって言うと、2017年に、あ、2016年の8月8日に、今の上皇陛下のお言葉が出て、あれは私の解釈というか普通に読めばっていうことで、皇室典範を改正して恒久的な譲位制度を入れるべきだと。
要は、国事行為とされていることをやってるだけでは、憲法が予定している象徴性を獲得出来ない。やっぱり、人のところに行って被災地に行って戦跡地に行ってとか、人が忘れていたハンセン病の施設に行ってとかっていうことをすることによって、象徴性を獲得していくのだと。
なので、その象徴性を人間が担ってるので、高齢になっちゃうと、象徴性獲得のための活動が出来ないと。なので、恒久的な譲位制度を入れるべきだっていうのが、あの言葉の趣旨だったと思うんですけども。
ただそれが、今の皇室典範には欠けているので、皇室典範を改正すべきだっていう含意まであったと思うんですけども。
あの時は、一応「特例法」という形で、成立をしましたと。それが2017年6月だったんですよね。

ケネス:うん。

倉持:で、えっとこの次かな、次のスライドかな‥、あ、そうそう。

(スライドが映る)

《「天皇の退位等に関する特例法附帯決議」
一 “政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等”について、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。
二 一の報告を受けた場合においては、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、『立法府の総意』を取りまとめられるよう検討を行うものとすること。》

倉持:そん時に、この「天皇の退位等に関する特例法附帯決議」というのが付いてんですよ。
で、「政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について云々かんぬん」とあるんですが。
え〜〜…「本法施行後速やかに」。「成立後じゃなかったんだ」って見落としたんですけど。「施行後速やかに」、だから令和になった瞬間ですよね。「速やかにその検討を行い」、「結果を速やかに国会に報告すること」ということを附帯決議で決めたのが2017年ですと。

ケネス:うん。

倉持:にも関わらず、ちょっと今の年表に戻って頂くと、ほぼほぼ全く議論がされずにですね、であの〜、やっと2021年、岸田内閣になってからですかね、この「天皇退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」、いま見せたやつです。

ケネス:うん。

倉持:あの附帯決議に関する、「有識者会議」を募って。
で、前々回のゲストだった細谷雄一先生も、この会議の、え〜〜委員になられてましたけども、で、この報告書を提出しましたと。
この報告書の問題点は、後で触れることにしますが。
何となくこれも、アリバイ作り的にやったのかなと。
かなりこう、それこそ宍戸先生‥、憲法学の宍戸先生とか、この配信にも来て頂いた君塚直隆先生とか、色んな方にヒアリングをして、勿論あの分厚い意見があるんですけれども、短期間でバッと出して、内容については後ほど触れるように、本当に「皇位の安定的継承」には全く資さない、むしろ害があるような内容になってるんだけども、これがペロッと出てきて‥、

ケネス:うぅん。

倉持:また音沙汰なしの状態だったんですが。
今年になって急に、岸田さんが自民党党大会で、「先送りの許されない課題であり、国会における検討を進めて参ります」という風に宣言をし、え〜10月にはですね、新しい衆議院議長の額賀さんが、「各党の協議の経緯や状況を把握した上で立法府の考えを整理していく」。

ケネス:うん。

倉持:で、10月23日、この3日後にはですね、あの〜臨時国会の所信表明演説で岸田首相も、「『立法府の総意』が早期に取りまとめられるよう、国会における積極的な議論が行われることを期待します」と。
で、これを受けてまあ、この前後で、自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」っていうのが出来て、麻生副総裁を座長に、

ケネス:うん。

倉持:で、かなり「日本会議」っぽい人たちも入ってるんですけども。
これが初会合を11月に開き、先日12月19日には議長公廷に、各党の代表者が何名かずつ呼ばれてですね、それこそ、その立法府の総意を取りまとめるために、議長公廷で話し合いが成された。

ケネス:うん。

倉持:で、立憲民主党からは、野田佳彦元総理と馬淵議員。
これ実は2017年の天皇退位等な関する特例法が、かなり自民党寄りに進んでたところを押し戻して、割と恒久的なルールを3要件ちゃんと設定してみたいなのは、野田さんと馬渕さんの働きでなったんですね。

ケネス:ほお〜〜。

倉持:すごい水面下で攻防があったんですけども。

ケネス:うん。

倉持:で、この2人が参加されて。
で、こういう流れなので、今まで全然6年間放置されてきたものが急に、また岸田さん口だけかなと思ったら、実際本当に動き出してるので。

ケネス:うん。

倉持:で、えっと、このあと触れますけども、2つのプラン、有識者会議の報告書で出てきたものを、そのまま法制化するっていうことを、いま、その流れで突っ走ってます。
で、さっきもちょっと始まる前にケネス先生とも話しましたが、岸田さんはその任期中に、「憲法改正」と「皇室の安定的継承の問題」をバンと掲げてましたけど、憲法改正がかなり難しいだろうなと、

ケネス:うん。

倉持:後傾に退いたので、この皇位継承についての議論を、これ進めるんじゃないかと。

ケネス:うん。

倉持:で、それは多分きっと来年の早い段階で。
議長公廷で集まってっていうのは、実は2017年の時も、2016年の12月とかにこういう議論してたんですよ。で、パパパッと決まって、6月に。
ま、6月は、この、特例法が出来たのは、もう形式的なので、3月4月ぐらいまでもう全部、決まっちゃってたので。
あの流れからすると、来年の3月4月ぐらいまでには中身が全て決まるだろうと。

ケネス:何故このタイミング、なんですか?

倉持:それはちょっと分かんないんですよね。
本当に多分、ことここにきて、今の悠仁親王殿下がもう17歳ですから。で、愛子さまがもう成人になられて。もう21歳とかですかね。
そうすると、本当にこう身分が不安定にどんどんなっていくし、じゃあ結婚とかどうするのみたいなのが、本当に現実的になってきたところでっていうのと。
後はその、自民党内のそういう日本会議的な人たちへの周波もあると、

ケネス:ああ。

倉持:思います。その人たちがずっと言ってきた案を今、突っ込もうとしてるので、岸田さん的にも、そういうところも取り込みたいのかなっていう、

ケネス:うん。

倉持:気もしてます。
じゃあ一体、どんなプランが検討されているのかっていうのが、えっとこの次のスライドで。

(スライドが映る)

《「皇位継承<皇族数の確保」
「ヒアリングの中では、皇位継承のルールについて悠仁親王殿下までは変えるべきでないとの意見がほとんどを占め、(中略)この皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないということで一致しました。“悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、”かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられます。
6 以上を踏まえると、悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承については、将来において悠仁親王殿下の御年齢や御結婚等をめぐる状況を踏まえた上で議論を深めていくべきではないかと考えます」
「まずは、“皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題”であります。これについては、様々な方策を今のうちに考えておかなければなりません。」》

倉持:これね、その前段なんですけど、これ映せます、これ。私の‥、カメラとかに、はい、これに‥、変えられます?

(倉持氏の持つ「有識者会議報告書」と書かれた資料が映る)
倉持:これね、これが、報告書っていうのが、令和3年、二年前の2021年12月に出来てるんですけど、これ、まえがきが長々と書いてあるんですよ。
これさっき言ったみたいに、「附帯決議に関する有識者会議」なんで、あの「皇位の安定的継承」、「女性宮家を含めた皇位の安定的継承」のための会議なんですよね。

ケネス:うん。

倉持:で、さっきのスライドに戻れます?
なんだけど、その冒頭で、「ヒアリング色々したんだけど、この皇位継承のルールについては、悠仁さまっていう、その悠仁さままでは変えるべきではないという意見がほとんどを占めたので、悠仁親王殿下の次代以降の皇位の継承について具体的に議論するには現状は機が熟しておらず、かえって皇位継承を不安定化させるとも考えられます」と。

倉持:で、下に行って、
「まずは皇位継承の問題とは切り離して‥、」切り離すなよ!って話しなんですけど。

ケネス:うぅぅん。

倉持:「皇位継承の安定化のための附帯決議」だったのに、「“皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題”」という風に、「安定継承の問題」は1回置いといて、「皇族数の確保」に論点がすり替えられちゃったんですね。
なので、この有識者会議の報告書も、これがまあ法律となって、この後これで突っ走ろうとしてる中身も、安定的な皇位継承じゃなくて「皇族数を確保すること」、「皇族数を増やすこと」のためのプランを示しますっていう風に、もう冒頭で問題が矮小化されてしまって。

で、その後に、え〜……、あれ、プランが2個なかったでしたっけ。スライドが。
えっと、2個出たんですよ。…ちょっと待って下さいね。
「養子縁組プラン」と、その「女性皇族が、結婚した後も皇族にとどまる案」って、この2つなんですね。
で、この養子縁組のプランっていうのは、特に旧11宮家、昔その皇族だったけど、日本国憲法下で皇族じゃなくなってしまった人たちの中から、養子縁組の相手を選ぶと、いう案なんですね。
で、これは、それこそ、憲法学者の宍戸常寿先生。東大の結構いまは、あの権威ですか? (権威)と言ってもいいですか?

横大道:いいと思います。

倉持:(笑)はい。ありがとうございます。
え〜宍戸先生が、その有識者会議のヒアリングの中で、この「旧11宮家とのみ養子縁組を可能とする法律」っていうのは、「旧11宮家の方はもう一般国民ですよね」と。
もう厳格に、天皇ないし皇族っていうものと一般国民は、日本国憲法上も違うし、法制も戸籍があるかないかでもう違いますから。

ケネス:うん。

倉持:で、「これ一般国民ですよね」と。
で、じゃあ一般国民の中で養子縁組出来る人と出来ない人を血で別けるっていうのは、

横大道:うん。

倉持:「憲法14条」が規定している「門地による差別」に該当する可能性がある。

ケネス:これですか。

倉持:ああ、ありがとうございます。すみません。

(ケネス氏が倉持氏のPCから見つけたらしく、そのスライドが映る)
《「皇族数の確保についてのプラン」

① 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること
・婚姻後も皇族の身分を有しながらも自由は制限?
・配偶者は「国民」ゆえ自由の行使は無制限
・「夫婦が同等の権利を有する」??(憲法24条)
②皇族には認められていない養子縁組を旧11宮家とのみ可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること
・養子縁組の対象を国民と旧11宮家の人間で区別することは門地による差別(憲法14条1項)》

倉持:え〜該当する可能性、②番のとこですね。なので「違憲の疑いがありますね」、「憲法違反の疑いがありますね」っていうことをヒアリングでおっしゃってるんです。

ケネス:うん。

倉持:で、これは多分‥、あのどうですか、横大道さんが聞いても、この立論っていうのはおかしくないよねっていう。

横大道:うん、そうですね。その、広く養子とれるんならまだともかくとして、旧宮家に限定して、そこからとると。

倉持:はいはい。

横大道:うん、で、当然、旧宮家の人間からの合意も必要だと思うんですけれども、そこから、何で当然とれるということ前提に、制度を組もうとしてるのかってのも、ちょっと疑問ありますね。

倉持:そうですよね。で、そもそもこれ以外にも、「なる人いるのか問題」。

横大道:うん。

倉持:とか、色々もう調査してるんですよね。で、割と週刊誌とかが当てていって、どっかでバーテンやってる人とかも全然、「自分はそういう気はありません」とかっていう。名前が出てるとか意思表示してる人は消極的だし、そうじゃない人たちはもう一体どうかもよく分からない。そもそもそんな人がいるのかっていう話と、あと受け入れる側ですよね。

ケネス:うん。

倉持:もう常陸宮とかは本当に80(歳)以上とかで、その夫婦のところに養子がきてどうするの、みたいな話とか。

ケネス:うんうん。

倉持:現実的にも難しいし。
そもそも、「国民統合の象徴」の、もしかしたら皇位を継承するかも知れない人たちが、違憲の疑いがあるかも知れないみたいな話っていうのは、正当性としてマズいんじゃないかっていう問題もあると思います。これが養子縁組プランの問題で。

もう1つは、「内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する」プランてやつですね。
これも、「皇族の身分を有しながら自由は制限される」っていうのはどうなのかもそうですし、配偶者はもう国民なんですよ。
なので、自由の行使は無制限なんで、もちろんインスタに上げることも、立候補することも、どんな宗教を信じることも配偶者は自由。
で、そのまあ、そうすることによって、皇室のある種のシークレットな部分は保てるのかっていうのもそうですし、

ケネス:うん。

倉持:憲法24条に「夫婦は同等の権利を有する」って書いてあるので、そういう制度作って大丈夫かっていう問題とか。
で、しかもこの報告書の中で出てくるのは、この配偶者になった人とか、その子供に皇位継承資格ないんですよ。

ケネス:うんうん。

倉持:だからつまり、皇位をつないで行くプランにはなってない。ただただ増やすだけで。
この養子プランも報告書の中では、養子になった人とか、えっと養子が例えば連れ子がいた場合、その人たちは皇位継承資格ないんですよ。

ケネス:うん。

倉持:ということは本当に皇族数が増えるだけで、皇位継承には資するものではないし、挙げ句の果てに憲法上も問題があるんじゃないかと、

ケネス:うん。

倉持:いうプランを、有識者会議と称する会議体が出して、それをいま国会、内閣を通じて国会が、そのまま突っ走ろうとしているっていうとこなんですね。

ケネス:うん。

倉持:で、この次のスライド、行けますか?
これはあの、さっきの憲法裁判所みたいな話になっちゃうんですけど、結局、「安定的な皇位継承」っていう目的達成のための手段として、合理性があるのかっていう。

(スライドが映る)

《「皇位継承…目的と手段?」
・そもそも安定的な皇位継承という目的達成のための手段として合理性があるのか?
・目的を達成するためにより憲法適合的な手段が存在する場合はより憲法適合的な手段を選択する義務が政治部門にはないのか?》

倉持:司法試験的に言うと、「法の下の平等」を害しているにも関わらず、目的・手段の整合性があるのかどうかっていうところもそうですし。
これはあの、こう、ポエティックにしか言えないですけど、2個目は(笑)。

ケネス:(笑)。

倉持:目的を達成するために、より憲法適合的な手段が存在するんだったら、やっぱ政治部門は憲法適合的な手段を選択する義務が、憲法尊重擁護義務があるんだから、あるんじゃないのと。それは別に「皇室典範改正」で女性宮家を認めるとか、女性天皇を認めるっていう、より憲法適合的なある種の◯◯◯があるにも関わらず、こういう政治的な選択をしていくっていうのは、ポエティックに問題なんじゃないかっていうのは、私は思うんですけど、この辺いかがですか?

ケネス:うん。

横大道:はい。そうですね。
昔ちょっとこの問題をやった時に、アレしたんですけども、世界200ヵ国ある中で、いわゆる君主制を採用してる国ってのは40ぐらい。で、その内、イギリス国王を君主にしてる国が14ぐらいあるので、現実としては20何カ国ですよね。で、その内ヨーロッパ10ヵ国ぐらいあるんですけれども、さっきちょっと雑談で話してましたが、ヨーロッパは基本的にはもうあの、男女同権とは言わないですけども、長子優先がマジョリティーになりつつあると。もちろん男性がいたら男性優先って国もあるんですけれども、男系優先から長子優先に変えてると。
これ、ある種、男女平等の動きもあるんですけども、一番大きいのはやっぱり皇位の継承なんですよ。

倉持:うん。
ケネス:うん。

横大道:で、皇位の継承の不安定化を防ぐために、そういう方に動いてると。
で時期、継承順位1位は女性って国が結構多くてですね。

倉持:はい。
ケネス:うん。

横大道:近々、女性、女王が多く誕生するんですけれども。
そういう各国の「君主制」の「君主の維持」のためにどういうことをしてるのかって、まさに君塚先生とか詳しい。
そういう問題とは全く独立して、かなり独自の…。

倉持:はい(笑)。

横大道:養子を昔の人から入れるとか、そういう。
そのまさに、有識者からヒアリングした成果ってのはどこに反映されてるのかってのが、率直な感想ですね。

倉持:確かに。
ケネス先生は、いかがですか?

ケネス:いやもう、思うところはたくさんあります。
2年前に発表した論文で、やはり様々な皇位継承プランについての「世論調査」をしました。
すごいセンシティブなトピックなんで、どういう風に調査するかっていうのを結構、何ヶ月も練ってやったやつだったんですが。
やはりえっと、その旧宮家を‥何でしたっけ、その、◯◯◯する、

倉持:はい、養子としてね。

ケネス:ですよね、っていうのが、もう圧倒的に人気が低かったです。
特に、他のオプション、要するに「女性天皇」ですよね。(それ)は、反対がほぼない。っていう状況で、それはさっき、ポエティックな発言に比べても、「女性天皇」っていうのが、ある種ナチュラルな1つの選択肢ですし、国際的に見ても有り得るオプション、多くの国がそれを採用してるなら、それをそもそもの選択肢から排除するというのは、えっと理にかなってないですし、世論を考えると民主的でもないと思います。
で、ただこの問題というのは、「先送り」しにくいというのは、ヨーロッパの各国でも制度変化が起きたのは70、まあ80年代以降、で2000年代以降で増えてきたんですが、それは皇太子が婚約するタイミングで、「法改正」を議論する。というのは、婚約したら、たぶん結婚する。で、どの性別の子供が先に生まれるっていうのは分からないので、ここで整理しなかったら、1世代先送りになってしまう。で、その間に子供が何人生まれるかというのも分からないので、えっと、なんかまあ選択肢がなくなるということが有り得る。

倉持:まさに今の日本の状況ですよね。

ケネス:まさしくその通りです。
あの、もちろん結婚するっていう話はないかも知れないんですが、成人した後に、どういう交友関係を持つかとか、っていうことも関係してきますので、早く議論をするべきというのは、まさしくその通り。
でも1番ナチュラルな選択肢を選ばないというのは、さっきあの、シークレットの部分っておっしゃってましたよね。
何か崇高な、天皇家で生まれ、そういうようなトレーニングを受け、国民との対話っていうのを重要なファミリーの中でそういう風に育てられた人よりも、Yクロモソームって何て言いますっけ?

横大道:ああ、染色体?
倉持:はいはいはい。ああ「Y」ね(笑)。

ケネス:そういうもの全てよりも、あの、「Y」が、シークレットだと言ってるようなものですよね。「Y」がロイヤルである。

倉持:はい(笑)。

ケネス:この天秤が、本当に、国民の「天皇制」自体に対する不安とか、正当性に関係してくると思います。ので、やっぱりいまの議論されてる方向に進むというのは、数の確保になるかどうかも分からないですし、結果的には、いまの皇族のある種スペシャル、国民の支持がすごい高いファミリーっていうのが、えっとダメージをかなり受けると思います。確かに入る人がウェルカムされるっていうのも、想定しづらいです。

倉持:そうですよね。で、しかもね、いまいらっしゃる方々も、自分がどうなるのか、よく分からない。
法律の改正によって、もしかしたら次、「天皇」になるかも知れないみたいな、状況を続けるのかみたいなのも、非常にあの。
そもそもがこうやって自由が制限されてる中で、より自由制限的でない制度に、やっぱしてくべきだと思うんですけど。

ケネス:でもこれ「法改正」して、本当にやるかっていうのは別の話ですよね。その制度を準備する必要はあるんですけど、本当にいい人が見つかるかどうか。その見つける場合でも、

倉持:まあ確かに、養子縁組の場合ですよね?

ケネス:うん。で、何歳を選ぶかとか、結構それが、‥まあ勿論、水面下で色々やってるとは思うんですが、あの、結構実行しにくいような感じがしますよ。

倉持:そうですね。

ケネス:うん。だから使い勝手が悪い制度という意味でも、「女性天皇」っていうのは、1番シンプル、だと思います。

横大道:ただ皇室をね、抜け、結婚したら抜けるわけでしょ、女性は。
で、そのパートナーである小室さんの話なんかを見ると、抜ける皇族と結婚する人だけで、あそこまで追い回されて叩かれるわけですよね。

倉持:はい。抜けないでね‥

横大道:抜けないで入る時はもっと、もうバックグラウンド・チェックもされて。
「あいつ小学生の時、消しゴム貸したのに返してくんなかった」

倉持:(笑)
ケネス:(笑)

横大道:そんな話まで出てくる可能性がある。

倉持:うん、出てくるでしょうね。

横大道:そこに入りたいかって言うと、やっぱり、なかなかないんじゃないかなって思いますね。

倉持:いや、どんどんそういう制度になってっちゃってる、

ケネス:そうですよね。

倉持:あらゆる意味でリスクが高すぎる、コストが高すぎるっていう。手を挙げる人がいないってなっちゃいますよね。

ケネス:うん。
横大道:うん。

倉持:で、ちょっと最後のスライドで、いま正にYの話が出ましたけど、

(スライドが映る)

《「フィクションの精神?? By丸山眞男」
✔「近代精神」
『フィクションの価値と効用を信じ、これを不断に再生産ふ?もの。フィクションは制度、組織、機構などであり、「うそ」とも違う』
⇑                            ⇓        
『フィクションの「実体化」やフィクションを絶対化する精神、フィクションの自己目的化』》

倉持:これ、丸山眞男の「フィクションの精神」っていうのをちょっと取ってきたんですが。丸山眞男は「戦後最大のリベラリスト」の1人と言われていますけども、その自己相対化、彼の「主体論」みたいなの結構面白いじゃないですか。

ケネス:うん。

倉持:で、自己目的化主体みたいなのを彼はよく言いますけども。その自分が、まあ福沢の言葉を使って「惑溺」、その惑溺せず何かの価値を、一時点の価値を絶対視せずに、彼がよく使う表現の1つ「ずるずるべったり」しないと。自分はそこから引き剥がして見るんだって時に、「自己相対化主体」になるための何か「ポイントがいくつかある」みたいな話をしていて、その中に「フィクションの精神」みたいなのが出てくるんですよ。
で、それ何かって言うと「近代精神」。いちおう「近代」の、僕らが報じているとされてる「近代の価値」とか「近代の精神」というのは、このフィクションの価値と公用を信じて、これを不断に再生産するものなんだと。
「フィクション」っていうのは制度とかシステム、機構とか組織であって、嘘とも違うと。

ケネス:うん。

倉持:で、これはあの、「フィクションの精神」っていうのは下に書いてんですけど、「フィクションの実体化やフィクションを絶対化する精神、フィクションの自己目的化とは真反対のものですよ」と、いう風に言ってるんですね。
で、これは例えば今回の「皇室制度」っていうのも、やっぱり憲法上の制度ですし、皇室が本当に誰もいなくなったら、法律の公布とかも出来ないし、

ケネス:う〜〜〜ん。

倉持:じゃ、じゃ憲法改正しないと、たぶんいけなくなるんですけど、憲法改正の発布も出来なくなったりとか、

ケネス:うんうん。

倉持:実は制度としても、機関的な位置に置いているわけだし。やっぱ人間が象徴してるから何となくそこにいるものと思ってますけど、たぶん皇室っていうものもフィクションだと思うんですよね。

ケネス:うん。

倉持:この「天皇制」ってフィクションの1つだ。どうやったってフィクション的な側面があると思っていて、これを逆に絶対化しちゃうみたいなのが行き着くのが「Y」だと思うんですよ。

ケネス:うんうんうんうん。

倉持:僕らどこかで、「皇室制度」・「天皇制度」フィクションとして受け入れ、じゃ、このフィクションをどれだけ安定的に継承していくのかっていう、不断にフィクションを再生産していかなきゃいけないのに、

ケネス:うんうん。

倉持:絶対化して実体化すると、「いやYなんだ」「男なんだ」みたいな話に、行っちゃうってあうのと。
僕は今回、ケネス先生が最初に、昨今の「子供の権利」を理由にしたマスコミのマウンティングみたいなのを、批判的に、

ケネス:うん。

倉持:されるのかなと思ってたんで。
一方で、「人権」とかっていうこのフィクションも、実体化しちゃってる絶対化しちゃってる人たちがいるなと

ケネス:うんうんうんうん。

倉持:思ってるんですね。
これもやっぱり、「常に僕らが思ってる人権って何だっけ」と、

ケネス:うん。

倉持:「この人権って刀なんでも斬れるぜ」っていう、実体化、絶対化じゃなくて、この人権じゃあ行使すると、じゃあ「向こう側には違う人権がいたり文化があったり」みたいな話を、どうバランスとるんですかっていうのを常に働きかける、フィクションの、

ケネス:ええ、ええ。

倉持:中でそれを再生産していくのが、この「フィクションの精神」、そうしかも「近代精神」。
僕らが「近代人」だと言うんだったら、ぐんと再生産していく頭になっていかないといけない。けど、これがなくなってるなと。
で、僕この配信で、小室さんと眞子さん結婚した時に、それについて1回やってるんですけど。

ケネス:ほお。

倉持:そん時に、「国民統合の象徴」っていう概念がありますねと。
いいんだけど、それがいま危機に瀕しているのは、「憲法が予定した国民がいなくなってる」からだって話をしたんてすよ。
それもある種のフィクションとしての国民は、たぶん想定されてる。

ケネス:うん。

倉持:まあ痩せ我慢も含めて、それがもうどんどんどんどん、「衆愚」と言いますかね「大衆」と言うかですね、「デモス」的なものになって行っちゃって。
「国民がいなくなってる」んで、「それを象徴するものも同時に消えつつある」んじゃないかって話をして。
で最後は大喜利みたいなので終わって、

ケネス:(笑)

倉持:ウケたんですけど。
「憲法上の概念」と、「眞子さまへのバッシング」を掛けて、「不敬(父系、かな?)」っていうので、

横大道:(微笑)
ケネス:(爆笑)。

倉持:お後が良かったんですけど(苦笑)。

ケネス:いや〜、あのでも、すごく大切だと思います。
やはり、「天皇制」と「皇室」を分けて考えるのか、同質と思うのか。
勿論、伝統っていうものに、価値がないとは思いませんし、「日本の象徴を守りたい」っていう気持ちは、すごい分かるんですけど。
その、やっぱり守るところというのが、「天皇制のどの部分なのか」。やっぱり「Yの話」なのか、それとは違う、あの何か、「家族的なもの」なのかっていうのもあるので。
何か、それらの議論って、「簡単じゃない」し、

倉持:はい。

ケネス:もっとまあ、公ふくめて、公でやるのはすごい難しいトピックっていうのは勿論、理解してるんですが。やるはずなのを、何か、会議で処理してって、

倉持:はい。うん。

ケネス:都合が悪いというか、片方から見てあまり良くないという選択肢を除き、それを法制化しようとするっていうのは、えっと‥まあ、立憲的でもないし民主的でもないし、危機感は感じます。

倉持:そうですね。

ケネス:結果的には「やりたいようにやるんだろうな」っていう風に感じ取られるから、たぶん倉持さんも。

倉持:はい。結局7年間なにもせずに、附帯決議まで付けてやろうとしてるのを7年間ほぼほぼ何もせずに、ここに行くっていうのは、僕らは、国民は危機感を持たなければいけないことなんだろうなと思って、敢えて。急に動いたので、2023年のテーマに‥、何で笑ってんですか?

ケネス:いや勉強になりましたと思って。

倉持:(笑)。横大道さん、どうでした? この、

横大道:うん。

倉持:「倉持プレゼン」。

横大道:あの、良かったですよ(微笑)。

倉持:(笑)。

横大道:はい(微笑)。

倉持:何かコメント下さい最後。

ケネス:いや、明日、大学に、何か色んな電話かかって来たらどうしようっていうのが、今さら思い始めて。

横大道:(笑)。

倉持:あ、でも、そんな風なことが、やっぱり。

ケネス:たぶん、ないとは思いますけどね。

倉持:ないとは思うけど、でも、そういう、でもそういう議論の対象ですよね。

横大道:うん。

ケネス:そう、「何故これが、普通の議論にならないのか」っていうのが。
勿論それを威嚇する、方々もいるし、あの、国会でオープンに議論しない。だから、「何か知らないところでどんどん話が進む」っていうのは、

倉持:はい。

ケネス:あの健全では、ないので(何度もうなずく)。

倉持:うん。

ケネス:断固として、戦う、かな。

倉持:(笑)
横大道:(微笑)

倉持:そうだから初めてぐらい、あの特例法の時も「全会一致」というか、

ケネス:うぅん。

倉持:まあ棄権した人とか、「意識が飛んじゃった」という風に言って、いきなりいなくなっちゃった人とかはいるんですよ、自民党の議員とか。

ケネス:へぇ〜〜〜。

倉持:野党で棄権したのは枝野幸男議員とかですね。

ケネス:うんうん。

倉持:あの、逃げたんですけど。いちおう全会一致で、だったので、今回も本当はそういう風に出来ればいいなと。

ケネス:でも本当どういう、どのくらいのスピードで動きがあるのかっていうのは、全く僕もマークしてなかったんで、より興味、何か、追跡していきたいと思います。

倉持:ぜひぜひ。ありがとう。

7 件のコメント

    ただし

    2024年1月13日

    ダダさん、ご感想、どうも、ありがとうございます!!

    また、同じ時間帯だったみたいですね(汗)。
    ( ̄ー ̄;ハウアッ!!

    常識的な感覚を、再確認出来た思いで、嬉しくなりました。
    (*^^*)

    「フィクション」の話は、何だか、小林先生の「物語」の話とも通じ、感動いたしました。
    倉持先生の感性って、めっちゃ貴重な気がします。

    「不敬」は、「深え」だったのですね~っ!
    Σ(´∀`;)

    ダダさん、いつも、どうもありがとうございます♪
    (^^)

    ただし

    2024年1月12日

    mantokunさん・サトルさん・L.Kさん・ジョージさん、ご投稿、どうも、ありがとうございます!!!!
    読ませて頂き、めっちゃ元気が出て、また、やる気が漲りました☆♪
    (*^^*)

    元旦の地震は、新潟県は、石川県を初めとする北陸地方の県に比べ、比較的、被害は少なく済んだと思います。
    液状化現象や地割れによる被害は、県内のおそらく断層に当たる地域では、結構なものになっています。
    あと、特にお年寄りの声で、恐怖が脳裏に焼き付いているようで、先日の新潟県を震源地とする地震の際も、かなり怖い思いをしたようです。

    私は今年から、新たな職場で邁進して行きます!!!!

    「愛子天皇への道」を切り拓くため、また、小林先生の思い描く未来を実現するため、微力を尽くします。

    皆さま、今年も、どうぞ宜しくお願い致します。
    (๑•̀ㅂ•́)و✧

    ダダ

    2024年1月12日

    ただしさん、ありがとうございました。

    旧宮家養子案は門地差別に抵触する。これは憲法を素直に読めば当然そうなるので、「囚われの聴衆」のように判例集に掲載されることもない低レベルの議題でしょうね。

    フィクションの実体化・具象化・絶対化は、男系固執派に限らず左翼のキャンセルカルチャーにも当てはまり、とても興味深かったです。

    <ご参考>
    不敬は、深え(ふけぇ~) にかけています。
    クソすば#27 この回も良かった!
    https://www.youtube.com/live/X6Y5LFNUmLU?si=WNyAyGOl7ByA921V&t=3227

    あしたのジョージ

    2024年1月12日

    文字起こしと関係ない話ですいません。🙇
    ただしさん、ご無事だったんですね!
    良かったです。
    何かあったのかと心配してました。
    とりあえずホッとしました。😮‍💨

    L.K

    2024年1月12日

    文字起こしの大作ですね。
    いつもながら、ただしさん、本当にありがとうございます(。- 人 -。)

    サトル

    2024年1月12日

    「モーニングショー監視」で鍛えられているとは言え、状況も状況でしょうに、お疲れさまですm(_ _)m💦

    mantokun

    2024年1月11日

    ただしさん、正月からすごい力作ありがとうございます。しかもスライドまで掲載してくださり、至れり尽くせりですね。動画ももちろん便利ですが、文字起こしはやはり手軽に読める利点がありがたいです。
    いつもの倉山やら谷田川やらのどうしようもないお喋りの内容と違い、今回はお耳にも優しそうですね。後ほどゆっくり読ませていただきます。

    ただしさんは新潟県にお住まいとのことですので、地震の影響を心配しておりました。大丈夫でしたでしょうか。(私も帰省していた福井の実家で遭遇しましたが家族・親戚には被害はありません)
    昨年も大変お世話になった文字起こし、今年もどうぞよろしくお願いいたします🙇

コメントはこちらから

全ての項目に入力が必須となります。メールアドレスはサイト上には表示されません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。