シリメツレツにも、学ぶ歴史アリ(その4)

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●「皇室にもジェンダー平等を」と主張するなら、男が皇后になれないのは差別なのか?倉山満「言論ストロングスタイル vol222」『週刊SPA!』2024年2月27日号より

〇前回ブログでは、古代社会において「皇后」という地位・称号が、「正妻として、天皇を補佐する立場」という形で成立していった過程を見ていきました。性別とか呼び方云々にいちいちこだわる事が、いかにナンセンスであるかは理解できるかと思います。

中身が大事なのよ。中身が!!

では、天皇が立憲君主となり、政治的権能を失った日本国憲法下において、「皇后」の役割は軽くなったのでしょうか?

平成の終わり、天皇在位中最後のお誕生日記者会見に臨まれた上皇陛下が、

「結婚以来皇后は,常に私と歩みを共にし,私の考えを理解し,私の立場と務めを支えてきてくれました。(中略)60年という長い年月,皇室と国民の双方への献身を,真心を持って果たしてきたことを,心から労(ねぎらい)たく思います。」(宮内庁HP)

とまで、この上ない信頼に満ちたお言葉を送られている事からも、「国民統合の象徴」という極めて孤独なお立場に寄り添い、支え続けてこられたのが上皇后陛下だという事は、痛い程に伝わってきます。

涙ナシには見られない、あの記者会見を拝見した者であればね。

側室制度が消滅した現代であれば尚の事、天皇が安心して背中を預けられる伴侶は、全世界にたったお一人しかいらっしゃらないという事になりますから、ある意味古代社会よりも、「皇后」の存在の重さは増していると言えるかもしれません。

近い将来、めでたく皇室典範が改正され、性別によって役割が逆転したとしても、この「重さ」は変わらないでしょう。

さしずめ「皇婿陛下」とでも呼ぶべきかはわかりませんが、伴侶として女性天皇から信頼され、御公務その他で、公私にわたってお支えできる男性皇族がいてくだされば、それでいいんじゃないの?

もちろん、血筋なんか関係ナシで。

「婿として、生涯にわたり女性天皇を補佐する立場」に、一般男性がなれない日本の現状は、やはり性差別ではないのか?

天皇の孤独に、ちょっとでも思いを馳せた形跡すらない倉山満だから、「内親王が旧皇族の男系子孫と結婚された場合・・・配偶者も皇族になれる」などと、本人のお気持ちをガン無視した放言が平気で出来るんだよ。

女性皇族方に対しては甚だ不遜な言い方だが、孤独な人生を歩まれる「天皇」となられるのだから、せめて生涯の伴侶くらいは、自由に選ばせてさし上げたらどうだ?

文責 北海道 突撃一番

参考文献

・天皇陛下お誕生日に際し(平成30年) 宮内庁ホームページhttps://www.kunaicho.go.jp/page/kaiken/show/25
・倉山満「言論ストロングスタイル vol221」『週刊SPA!』2024年2月13・20日合併号

4 件のコメント

    突撃一番

    2024年3月8日

    皆さん、コメントありがとうございます!

    薄情者の俺も、どうしても「歴史」とか「制度論」だけで皇室を語りがちになってしまいます。
    人付き合いの悪い陰キャですから(笑)

    今回のブログ投稿に当たって、改めて上皇陛下の、あの涙声で語られた記者会見を見返して、今更ながら天皇・皇族とて、感情を持った人間なんだ、という事に気付かされました。

    っていうか、そんな当たり前の事実を忘れていた事に気付かされました。
    「無私」を貫き、国民に分け隔てなく接する事が、感情を持った人間にとってどれ程孤独な人生なのか、勉強したつもりになっててもちゃんと理解するのは、当事者になってみないと無理だと思います。

    だからこそ、公私共に信頼して背中を預けられる伴侶の存在が、天皇陛下にとっていかに重要かくらいは察しがつくでしょう。

    女性皇族方の結婚相手を手前勝手に決めつけたり、或いは悠仁様に対して「学業よりも御世継ぎづくりだ!」と放言してる事にも顕著なように、皇族を男系ルールを守る為の「駒」としか思ってない倉山満にとって、ちょっとでもイメージダウンになれば、してやったりだねwww

    ダンケー派を卒業できない立憲民主党の皆さん、読んでる~??

    ひとかけら

    2024年3月8日

    生前退位を発表した時、私は憲法と天皇について何も知らないなと感じ、天皇論と天皇論平成29年を読みました。お正月と天皇の関係、よしりん先生のお父様によるユーモアたっぷりの昭和天皇のマネ、平成時代の天皇皇后両陛下の公務のなさりよう、パブリックに天皇陛下を守り、伝統を真に守ろうとする皇后陛下の姿勢に感銘を受けました。平成の御代に安定的な皇位継承を守ろうと国民にメッセージを送られた天皇陛下に感謝し、支えられた皇后陛下に感謝します。
    引き継がれた思いは令和でも燦然と光り輝いてます。

    SSKA

    2024年3月7日

    現在の両陛下も一般参賀の為に何が国民や被災者にとってベストか納得いくまで6日間話し合われたとの事ですから、お二人にとって男か女か皇族か民間の出かは全く関係ないですし、そのご様子を間近でご覧になっている愛子様とご一家でお揃いになった際の独特の空気感に自然に吞まれるものがあるのだと思います。
    夫から国家事業を引き継ぎ、またそれを後継者に譲り渡す事に終生苦心されたのが前回の持統女帝でしたが、個人の性別では無く親族間で共有されている公の使命感に注目すべきであり皇后が皇族でなくなった現在も精神性は何も変わりませんし、男系云々言い張る人は程度が低すぎるとその都度感じています。

    ふぇい

    2024年3月7日

    投稿ありがとうございます。
    常識で考えればわかることが、何かのバイアスがかかってんだが何だか
    わからん人がいるのですね。

    陛下のおことばが沁みます。

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