日経新聞からの記事です。
22日~ 両陛下が英国訪問 155年の絆「未来志向」へhttps://www.nikkei.com/article/DGKKZO81423050V10C24A6EA4000/
*デジタルで、1部を読むことができます。
この記事は、昨日6月16日(日)に、6面(総合4)に近藤彰俊記者の指名記事で、New Forecastという欄で、両陛下の平国訪問を先取りした記事です。日経新聞さんは「皇室」に関してはニュートラルな立場をとる全国紙ですが、6月14,15日には、「皇位継承問題」における「皇族確保策 今国会中断念」という記事をきちんと掲載しましたし(日経新聞さん。これらの記事を見落としたこと、失礼致しました<(_ _)>)、今回も他紙に先駆けて掲載されたのは、良い流れです。
以下、電子版で読めない部分を補います。
本来は、2020年春に訪英する予定になっていたらしいが、コロナ禍の影響で延期することに。
宮内庁によると、両陛下は22日に東京を出発。23、24日は日本側が設定した非公式日程として天皇陛下が、日本文化の発信拠点「ジャパン・ハウス」や、テムズ川にある可動式の防潮堤を視察される。陛下は水の研究をライフワークとし、オックスフォード大学留学時、テムズ川の水運を研究された。
もちろん、英国側の国賓としての”おもてなし”も予定されているのですが、なかなか興味深いのが、この比較。
・夜にはバッキンガム宮殿でチャールズ国王夫妻が主催する晩餐会が開かれ、国王のスピーチや天皇陛下の答辞が予定されている。
⇔
・通例では公式行事の期間中に英首相との昼食会があるが、今回は見送られた。
どうやら近く英下院の総選挙があり、選挙に影響を及ぼすことがないように英側が配慮したのでは?という可能性があるようです(これは、日本の皇室が「政治」に影響を与えるようなふるまいをしない、というのと共通するものがありますね)。
それから、非公式な日程としては、
・エリザベス女王や夫のフィリップ殿下の墓をおとずれて供花される(これは陛下の希望を受けて、とのこと)
・昭和天皇や上皇さまも訪れた王立キュー植物園も見学される。
・両陛下が学んだオックスフォード大学を訪問する。
ところで、公式行事で1つ目を惹いたのは、
26日は生命科学研究所「フランシス・クリック研究所」を訪問予定、
というもの。
フランシス・クリックというのは、アメリカのジェームズ・ワトソンとともに、DNAの2重らせんモデルを構築した科学者で、研究所には彼の名前を使用しています。この研究所は2015年に開所され、物理学を生物学に本格的に取り入れるような研究を進めることを目指しています(例えば、高解像度で撮影した細胞の顕微鏡画像から、細胞がどのように動くのかを微視的なレベルでシミュレーションするモデルを構築するような研究)。実は、意外に知られていないのですが、クリックは元々物理学の分野で「水の粘度の測定法」を研究していたので、DNAの構造を解くためのX線回折格子の画像を解釈する素養がありました。さらに、後半生の研究分野は、脳の意識のメカニズムを神経細胞レベルから構築する(いわゆるシナプス可塑性)というものだったので、この研究所はクリックの精神を見事に引き継いでおり、私見では、そのような英国の誉れを両陛下に披露したかった、ということになるのだと思います。
それから、皇室と英王室の交流について、下記のようなエピソードがあったことを紹介しています。
エリザベス女王は1998年、在位中だった上皇ご夫妻をバッキンガム宮殿に招いた晩餐会で「英国は、日本にとって晴れの日だけの友人ではなく、本当の友人です」と両国関係をたたえた。
タイトルにあるように、まさに、天皇陛下とチャールズ国王により皇室や王室の存続を前提とした「未来志向」という観点で両国の関係が語られるのでは?と思わせるような内容でした。
ご参考までに
ナビゲート:「愛子天皇への道」サイト編集長 基礎医学研究者
7 件のコメント
基礎医学研究者
2024年6月19日
>SSKAさん
昨日の毎日新聞に、山田記者による彬子様の「両陛下」訪英に向けてのインタビュー記事がでていたのですが、自分、この本の情報は知らなかったので、貴重な情報ありがとうございました。で、まったくおっしゃる通りで、産経新聞に聞かせてあげたい意見です。
SSKA
2024年6月19日
ベストセラーで話題の彬子様もエリザベス女王に丁重に遇された内容を語っておられますが、戦争で国民同士が憎しみ合っても歴史のある君主家同士の友好により戦後の関係の安定が図られるとは男系カルトは考えないのでしょうね。
旧宮家系なんて国内外何れも相手にされないと誰にも分かる話で自民男系案は皇室をぞんざいに扱う国の恥を晒す様なものです。
パワーホール
2024年6月18日
コロナ騒動で中止を余儀なくされた訪英が実現されたことは喜ばしい限りです。
基礎医学研究者
2024年6月18日
>佐々木さん
すみません。ちょっと、誤解を与える書き方をしてしまいました。自分は文系の分野は完全に門外漢ですが、陛下のご専門は「中世の交通史・流通史」で、水の研究は水運学という人文科学・社会科学に近いのだと思います(生物学は、昭和天皇(植物分類学、上皇陛下(魚類分類学)、秋篠宮さま(鳥類分類学)の専攻でございます)。天皇陛下だけは文系で、少し異端ですね。悠仁さまもこのままの興味でいくと(毎日や産経(こういうときは良い)、節足動物(という広い生物目中の昆虫)の分類学を専攻されるのではないかと。愛子さまは、中世の文学ですね。
なお、フランシ・スクリック≒小林先生か~(;^_^A。1つの枠にこだわらない天才というのと、ワトソンのようにへんな目立ちたがり屋ではない?というのは、けっこういい線いってますね(ちなみに自分、ワトソンは半径2m以内で実物に会ってます。アメリカで(;^_^A)。なんか、早メシ食べてました~!)
佐々木
2024年6月18日
>基礎医学研究者さん
コメントありがとうございます。
今上陛下の水の研究は生物学に
属するんですね。
紹介されたフランシス・クリックの、最初の研究テーマにすぐ飽きて、別のテーマで学位を取ったエピソードは、よしりん先生っぽいなと思いました。
(ちょっと強引かな?)
天皇皇后両陛下の英国訪問が、
つつがなく終わりますように。
基礎医学研究者
2024年6月18日
>佐々木さん
コメント、ありがとうございました。なるほど、それは面白い見方ですね、自分は考えなかった視点(^_^)。ただ、この粘土の問題は純粋に物理学の問題で(もし、強引に生物学にもっていくのならば、血管中の血流の粘性(レイノルズ数問題)ですかね)、クリック自体はこの研究テーマはすぐに飽きてしまい、結局学位は別のテーマで取ることになりました。
ちょっと自分が知っている分野だったもので、ついでに書き込んでしまいましたが、ありがとうございました。
佐々木
2024年6月18日
お疲れ様です。
今上陛下は水を研究されているので、「水の粘度の測定法」に
興味をそそられたのかなと思いました。