〈記事紹介・感想〉第23弾 森暢平成城大教授の警鐘(これでいいのか「旧宮家養子案」)

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森先生のこれでいいのか「旧宮家養子案」第23弾です。

サンデー毎日:皇族という「血のスペア」「かかし」と扱われる苦悩 成城大教授・森暢平

 現皇室典範での男子皇族の存在意義は、究極的には「血のスペア」、すなわち皇位継承予備者であることであろう。過去、多くの皇族がスペア(補充者)であることに悩んできた。旧宮家養子案は、苦しみから解放された家系にある人たちを苦悩の世界に再召喚するプランである。今回は、久邇宮邦彦を中心に戦前の皇族たちが、苦悩にどう向き合ったのかを考えてみる。(一部敬称略)

と始まる今回。
皇族男性もかなロ色々な苦悩を抱えて過ごしてくださっていることがわかります。

森先生は、久邇宮邦彦氏(くにのみやくによし)について書かれています。
日露戦争に出征された際や海外(ベルリン)で過ごされていた際の気持ちを

「日本国内にいると、皇族としていかにも尊敬されるように扱われるが、実際の手柄は、その手柄を立てた人が取り、表面だけで皇族として尊ばれるのは、この上ない不快なことである」(1906(明治39)年12月28日)
「(宮内省は)我々(皇族)の賢愚、善悪を論じないで平等に扱い、その日をやり過ごすために費用を与える。実に、皇族に対する扱いは、ほとんど社会主義の平等論と少しの差異もない」「実に日本の皇族ほど『かかし』のような無用の長物として扱われるものは、世界の王族にはもちろんないし、平民にもないだろう。私はときとして、皇族たる肩書があるのを残念に思うことがある」(08年8月22日付)

本人の皇位継承順位が低く、順番が回ってくることがない中、皇族でいる苦悩、常人にはわからないもどかしさは感じます。
そしていわゆる「旧宮家臣籍降下」の話が始まると邦彦は反対した。
森先生は

 邦彦は皇族が「血のスペア」であることに苦しみながら、一方で、臣籍降下の原則には反対した。なぜか。それは、自身が宮内省のロボットではなく、主体的な存在、考える皇族でありたいと考えたためであろう。邦彦は宮内省や元老の考えには従わず、宮内省にとって厄介な存在となった。

 皇族は血のスペアである。しかし、それだけでは生きる意味がない。だから、意味を見出(みいだ)すために、主体的に行動したい。ところが、そうすると、宮内省から煙たがられる存在となる――。皇族は矛盾を抱えた存在だ。

自身の主張をすると、厄介な存在になる。煙たがられる存在にになる。

高円宮さまは

「日本が、万世一系の天皇の統(す)べたまう国であるために、その嗣継のために皇太子が必要であり、そのまた予備の人がほしいことも否定できないところであるが、しかし、無数無限の予備を意味しない」「生きていて、悪いことをしないのがスペアとしての全生命である」(『高松宮日記』1929年補遺欄)

生きていて、悪いことをしないのがスペアとしての全生命

ヘンリー王子の苦悩も書かれています。

ダンケーカルトは平然と「旧宮家養子案」を言いますが、
森先生は結びに

 今のままでは断絶する常陸宮家、三笠宮家、高円宮家の三つの宮家すべてに、旧宮家の男子の養子を入れる。場合によっては、すでに断絶した秩父宮、高松宮、桂宮を、養子によって復活させてもいい――。男系主義者たちはそんな案を語っている。

 市井で暮らす旧皇族の一部を、苦悩と葛藤と屈折の暮らしに引き戻すプランが本当に妥当であろうか。それ以前に、そもそも「かかし役」を引き受ける旧皇族がいるだろうか。

と書かれています。

「あなたは男系で皇室をつなぐための『血のスペア』です。悪いことをしないのが全生命です。そして男を産むことが求められています。過去にも悪いことしてませんよね?共同通信の世論調査で75%の国民は反対してますが、あなたの努力でなんとかできますよね。」

「かかし役」を引き受ける旧宮家の子孫はいないでしょう。
そして、ものすごい非人道的で、皇室と国民の相思相愛が確実に崩れる制度にむけて議論を重ねている…
国会議員は何をやってるのでしょうか。

森先生の次回作、

そして本日の議論にとても注目しています!

3 件のコメント

    くりんぐ

    2024年7月30日

    血のスペアとしか見なされず、一人の人間として評価されない苦悩。
    その苦悩から政治的活動に走って周りのひんしゅくを買ってしまう人と、そうでない人は何が違うのでしょう。

    男系派は血のスペアの苦しみから解放された元皇族及びその子孫に、またその苦しみを押しつ蹴ようとしています。

    今はちやほやしておいて、皇族になることを承諾すれば、手のひら返して「男子を産め」と罵ってくることは確実。
    誰もなりたがらないでしょう。

    黄泉瓜照令美

    2024年7月29日

    糞素人の私見だが、建前上女系を容認させることによって男系も維持させることができると思う。長い日本の歴史の間で、男系子孫も市井で四散していると思うからだ。

    SSKA

    2024年7月27日

    皇室内の方々が常人と異なる異生物の様に見られ、この様な多様な悩みを抱え苦しまれた過去の経験から当事者達のアイデンティティー崩壊を防ぐ事が重要視された結果、何もしない殿上人では無く就職や組織に入り社会の一員として生きる意識が大切にされると同時に公務や皇室活動に積極的に関わる事で皇族としての自覚が養われる現在の在り方に行き着いたのだろうと納得させられる論考でした。
    しかし現在の国会や自称保守は国家や社会に対する意識の高い女性皇族方を役立たず扱いして排除する一方、一般の生活に慣れた旧宮家系国民を本人の意思とは無関係に勝手にピックアップし針の筵に立たせる案を他人事の様に議論していますが、国民の自由は奪われてはならないとする憲法の基本理念が蔑ろにされれば、その反感が却って皇室に向かい関係にヒビが入り危うくなる事すら理解しないのも酷い話だと思います。

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