馬淵議員の質疑への内閣法制局の回答 令和6年との比較 

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立憲民主党の馬淵澄夫議員が、2025年2月12日「衆議院 内閣委員会」で安定的皇位継承に関する質疑を行い、内閣法制局 第一部長 佐藤則夫氏が回答をした様子を視聴したところ、気になる文言がありましたので、文字起こししてみました。(2:19:37頃~)

馬淵議員:あと僅かではありますが、皇位継承問題で、法制局、お越しいただいていますので確認をさせてください。これも質問にお答えを端的にしていただくということでお願いいたします。まず内閣法制局にお越しいただいていますが、有識者会議の報告書で、女性皇族が婚姻後も皇族としての地位を保持する場合、配偶者と子はその皇族という特別な身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保有し続けるものとする、と明記されています。そこで質問ですが、配偶者と子が国民のままということであれば、所謂、皇族の家族であることによる公共の福祉による制約は生じないということで宜しいですか、イエスorノーでお答えいただければと思います。

佐藤第一部長具体的な制度設計につきましては、明らかではございませんので、具体的な内容に応じてということでということではないかと思います。従いまして、私共として、この公共の福祉の問題が生ずるかどうか、ということを制度に照らしてお答えすることは出来ませんので、お答えをさしていただきたいと思います。

馬淵議員:そういうお答えになることも、これも何回もお話を聞いている中で伺っておりました。一般論で私は聞いたつもりですが、残念ながら、それはお答えいただけないということであります。しかしながら、これは国民ならば当然、権利の制約はありませんその上で、皇族方というのは権利の制約が生じます。つまり、同じ皇族が家族となったとしても、その間、家族の中で、権利の不平等が生じるということ。このことを改めて私はお伝えをして、この質問を終わりたいと思います。以上です。

何回もお話を聞いている」とのことで、昨年第213回国会 予算委員会第一分科会 第2号(令和6年2月28日(水曜日))に、同じく内閣法制局、当時の第一部長 木村陽一氏との質疑応答がありましたので、議事録の該当部分を転載させていただきます。

馬淵分科員 (林官房長官と安定的な皇位継承問題のやり取りの後)法制局の方でのこれも答弁をいただきたいんですが、婚姻後の女性は皇族、配偶者は一般国民とすることに関して、婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とするという憲法二十四条第一項、これに、付与しないという状況であれば、整合性は取れないのではないか、このように考えるわけでありますが、これについての法制局の答弁をお願いいたします。

木村政府参考人 現時点では具体的な制度を前提にすることができませんが、最高裁判所の判決におきまして、憲法二十四条につきましては、両性の本質的平等の原則を婚姻及び家族の関係について定めたものであり、夫たり妻たるの故をもって権利の享有に不平等な扱いをすることを禁じたものとされているところでございます。

一般論として申し上げますと、内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持し、配偶者に皇族の身分を与えないとする案において、婚姻及び家族と関係しない権利につきまして、内親王、女王のみが皇族の身分を保持していることにより、その配偶者との間で差異が生ずる状態になったといたしましても、基本的に憲法二十四条第一項の適用が問題となるものではないと考えております。

馬淵分科員 これは新しい解釈を明確にして教えていただいたんですが、つまり、夫婦同等の権利を有することについては二十四条に抵触しない、夫と妻の違いで帰属する権利が異なるということにはならないということで、二十四条が想定しているものとは異なって、許容され得るという今御回答をいただきました。

こういう状況ではありますが、一方で、先ほど来申し上げるように、宮家、これは規定はありませんが、しかし、皇室経済法にも示されているように、一体と成すという考えの下で制度が構築されている部分もあるわけですから、このようなことを考えると、皇族としての身分を配偶者や子に付与することも、これも並行して、並列して議論を行うべきだということを申し上げておきたいと思います。

長官、最後に何か、今申し上げた点についてお答えいただけるものがあればお願いいたします。

林国務大臣 馬淵委員の御意見は御意見としてしっかり受け止めたいというふうに思っておりますが、先ほどのヒアリングについて、配偶者や生まれてくる子を皇族としない意見が二点ということですが、それ以外に、実は、現状を維持するべきという意見がございます。すなわち、女性皇族は婚姻により皇族の身分を離れる、それが六点ございまして、そうした中にも、皇族とするべきではないという意見が複数あったということでございます。

いずれにいたしましても、先ほど御説明したような経緯で有識者会議の報告書はまとまっておりますので、政府としては、これを尊重しているということでございます。

しっかり議論を続けていきたいと思います。

馬淵分科員 現状維持ではこの結論とは違う意見ですから、そこは入れるべきじゃないということは申し上げておきたいと思います。

時間となりましたので、終わります。ありがとうございました。

馬淵議員の質疑は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議 報告における「【皇族数確保の具体的方策】①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること 〇 皇位継承資格を女系に拡大することにつながるとの考え方もあるが、子は皇位継承資格を持たないとすることが考えられる。配偶者と子は皇族という特別の身分を有せず、一般国民としての権利・義務を保持し続けるものとすることが考えられる。」に疑義を呈して行われたものと思われます。

昨年の内閣法制局は、「内親王、女王のみが皇族の身分を保持していることにより、その配偶者との間で差異が生ずる状態になったといたしましても、基本的に憲法二十四条第一項の適用が問題となるものではない」、すなわち「女性皇族の配偶者と子が国民のままであっても憲法には抵触しない」と回答しており、産経新聞も報道していました。

女性皇族配偶者に皇族身分与えられなくても「憲法抵触せず」内閣法制局、女性皇籍保持案で【産経新聞】

今回の内閣法制局は、「具体的な制度設計につきましては、明らかではございません」「公共の福祉の問題が生ずるかどうか、ということを制度に照らしてお答えすることは出来ません」としており、昨年の回答よりも曖昧で、後退していました。

女性皇族の配偶者と子が国民のままであっても憲法には抵触しない」とは、もはや言えなくなってきているのではないでしょうか?

今回、質疑応答の時間が少なかったのは非常に残念ですが、安定的皇位継承に関する与野党協議においては、議論を深め、今年こそ慶事をお迎えできるよう御尽力お願いいたします。

「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ

1 件のコメント

    突撃一番

    2025年2月13日

    そっか、確かに「夫婦同権」が憲法第24条の要請なんだから、妻と夫で保障される権利が異なる状態は、明らかに憲法違反ですね!!

    元々「他系の男を皇室に入れない」なる謎ルールを固持する為の身分差婚なんだから、まさに法制局の木村が白状したように、「夫たるの故をもって」、夫婦間に権利の違いを生じさせようとしている政策なのは、間違いありません。

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