皇室典範に関する有識者会議 報告書 平成17年(2005年)に立ち戻る全体会議に

Post's thumbnail

2月17日に『女性皇族の婚姻後の皇族の身分保持』について議論されたという第二回全体会議(天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議(令和7年2月17日))の議事録は、現時点でまだ衆参両議院のHPに掲載されていません。

そこで、20年前の小泉政権時に提出された「皇室典範に関する有識者会議 報告書」について、改めて振り返ってみることにしました。

「皇室典範に関する有識者会議 報告書」(平成17年11月24日)の概要
1.問題の所在
現在の皇室の構成では、早晩、皇位継承資格者が不在となるおそれがあり、安定的な皇位継承を可能にする制度を早急に構築することが必要。
2.基本的な視点
象徴天皇にふさわしい継承制度の在り方につき、①国民の理解と支持を得られるものであること、②伝統を踏まえたものであること、③制度として安定したものであることの3つの視点から検討。
3.安定的で望ましい皇位継承のための方策(提言)
(1)皇位継承資格
○女子・女系への拡大は、社会の変化の中で象徴天皇制を安定的に維持する上で、大きな意義。
○女性天皇・女性皇族の配偶者確保には、適切な環境整備が必要。
(2)皇位継承順位
○「長子優先」又は「兄弟姉妹間男子優先」が適当。
○その中では、幼少の頃から、将来の天皇として国民が期待を込めて成長を見守ることができるような安定性という意味で、出生順に順位が決まる長子優先が適当。
(3)皇族の範囲
○継承資格の拡大に伴い、女子が婚姻後も皇族にとどまることが必要。
○皇位継承資格者の存在を安定的に確保するため、世数限定とせず、永世皇族制を前提とし、皇籍離脱制度の弾力的運用により規模を調整することが適当。

平成の有識者会議の議事録は今のところ見つけられませんが、ウィキペディアには詳しい経緯が掲載されています。皇室典範に関する有識者会議

第6回会合においては、八木 秀次氏から、第7回会合においては、高森 明勅先生からヒアリングが行われたという有識者会議は、真っ当な意見のみがピックアップされた模様で、報告書の概要は非常に見識のある取りまとめとなり、安定的皇位継承のための最適解が提言されました。

女子・女系への拡大は、社会の変化の中で象徴天皇制を安定的に維持する上で、大きな意義

この平成17年(2005年)皇室典範に関する有識者会議の内容は、令和3年(2021年)「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」によって更新され、現在は、平成の有識者会議における以下の論点に沿って全体会議が行われています。

①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持することとすること
②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること
③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること

しかしながら、第一回、第二回全体会議には平成の有識者会議が出した最適解に立ち戻るような意見が出されました。

第一回全体会議
共産党小池晃議員 
女 性 宮 家 、 女 性 天 皇 、 女 系 天 皇 に つ い て も 正 面 か ら 検 討 す べ き
社民党・福島みずほ議員
女 性 宮 家 、 女 性 天 皇 、 女 系 天 皇 と い う こ と の 極 め て 根 本 的 な 問  を 、 な ぜ 国 会 は 議 論 を し な い の か
沖縄の風・高良鉄美議員
「 国 連 に 対 し て の 拠 出 金 を 、 も う こ う い う こ と を 言 う と ころ に は 上 げ な い と い う よ う な こ と を 政 府 が 言 い 始 め る と 、 こ れ は ま さ に 、 も う 女 系 天 皇 の 話 を し て は い け な い と い う よ う な こ と に な っ て し ま う の で 、 進 め 方 と し て 、 き ち ん と 手 順 を 踏 ま え た 上 で や っ て ほ し い 」
令和7年1月31日 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議 議事録

第二回全体会議
共産党やれいわ新選組からは「女性天皇、女系天皇(の是非)を正面から議論すべきだ」との声が上がった。
女性皇族案、家族身分で隔たり 皇族数確保策巡り与野党協議―皇位継承【時事通信】

そもそも、令和の有識者会議の元となった「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」そのものが、平成の有識者会議が出した最適解を汲んだものであることは、明らか。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議
一政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢から しても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情 等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。
二一の報告を受けた場合においては、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、「立法 府の総意」が取りまとめられるよう検討を行うものとすること。
三政府は、本法施行に伴い元号を改める場合においては、改元に伴って国民生活に支障が生ずることがな いようにするとともに、本法施行に関連するその他の各般の措置の実施に当たっては、広く国民の理解が 得られるものとなるよう、万全の配慮を行うこと。
右決議する

安定的皇位継承のために全体会議が行われているならば、平成の有識者会議が出した最適解に立ち戻ること。それが
「愛子さま立太子」実現のための皇室典範改正への最短距離です。

「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ

3 件のコメント

    くりんぐ

    2025年3月5日

    一夫一妻で皇位を安定的に継承していくなら、平成の皇室典範に関する有識者会議報告書の内容に沿って、女性・女系へ皇位継承資格を拡大、女性皇族がどなたとご結婚されても皇族の身分を保持、配偶者とお子さまは皇族の身分を取得できるように皇室典範改正が今すぐなされるべきです。

    ダダ

    2025年3月5日

    国会議員は、平成有識者会議報告書p.20のまとめだけでもいいから読んで欲しいです。
    https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/998223/www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/houkoku/houkoku.pdf

    国立国会図書館のWARPで、平成有識者会議の議事を確認することが出来ます。
    改めて、平成版の熱量に驚かされます。事務局の資料が凄い。。

    ●事務局説明のここが残念
    皇室典範に関する有識者会議(第3回)議事要旨
    https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/998223/www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/dai3/3gijiyousi.html
    ・今回の江戸時代以前の皇位継承と前回議論した明治時代及び戦後の皇室典範を比較するとどういう異同があるのか、という質問に対し、事務局から、「皇統に属する男系によって皇位の継承が行われてきたことは共通であるが、まず、江戸以前はそのときどきの外戚等の影響があった場合もあろうが、天皇や上皇の意思により継承者が決められていた。明治時代に、天皇が定める皇室典範という形で成文化され、現行皇室典範ではさらに国会が定める規定によることとされた。また、その内容としては、江戸以前は庶系、養子も認められており、女性天皇も否定されていなかったが、明治の皇室典範で非嫡出子は認められたものの、養子と女性天皇が認められないこととされ、さらに現行典範で非嫡出子も認められないこととなった。その意味では現行制度は、歴史の中では皇位継承の幅が狭まったものと考えることができるのではないか。」との説明があった。
    ※ダダ補足:父方を遡れば男性皇族や男性天皇に行き着くという意味で、歴代の女性天皇を男系に分類しているのが残念。。
    その理屈なら全ての天皇は天照大神の女系男子・女子でいいはず。

    ●男系男子の出生率
    第10回 皇室典範に関する有識者会議
    資料3 少子化の現状
    https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/998223/www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/dai10/10siryou3.pdf
    ※ダダ補足:男系男子継承に固執する場合、男性皇族が5人いても、出生率1で、孫世代:1.25人、曾孫世代:0.63人と行き詰まることが示されています。
    双系継承で皇族が5人いる場合、曾孫世代:5人。
    安定的な皇位継承に寄与するのはどちらなのか、馬鹿でも分かります。

    ●マスコミの反応
    第11回 皇室典範に関する有識者会議
    資料1 主要紙解説記事
    https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/998223/www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/dai11/11siryou1.pdf
    ※ダダ補足:産経はこの時には男系カルトに傾き始めていますね。

    ●皇位継承関係不明
    第3回 皇室典範に関する有識者会議
    資料2 皇位継承の考え方が記録されている例
    https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/998223/www.kantei.go.jp/jp/singi/kousitu/dai3/3siryou2.pdf
    ※ダダ補足:世襲かどうかも分からない事例があったようです。

    ひとかけら

    2025年3月5日

    皇位の安定継承を望み全体会議は平成の有識者会議に沿った結論を参院選までに出して欲しいです。

コメントはこちらから

全ての項目に入力が必須となります。メールアドレスはサイト上には表示されません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。