第四回全体会議後の共産党・小池晃議員の記者会見が非常に秀逸でしたので、文字起こしでお伝えします。
共産党 小池晃議員:率直に言って今日の会議の運営の仕方に大変問題があるという風に思っております。
玄葉衆議院副議長がほぼ全体を仕切ってやられたんですが、テーマをかなり。事前にちょっと我々も聞いてなかったんですけども、この間の議論を踏まえてということで、かなり限定してですね、テーマを絞って、これについて発言をしてくださいというようなことでありまして。
1つは論点で言いますと、女性皇族の婚姻後の皇族の身分保持の配偶者や子の身分をどうするかという問題。その範囲をどうするかというような問題。女性皇族ということの範囲をどうするかっていうこと。
もう1点はですね、いわゆる皇統に属する男系男子を養子に迎えるということについての対象の意思の確認などの問題というようなことで、すごくもう要するに結論ありき的にですね、テーマを絞ってこれについての意見はどうかというようなね、こう進め方をして。様々、憲法に関する考え方なども含めてお話をすると、いやそれは今日のテーマではありませんというようなことで、遮え切るというような場面が多々見られました。
私は率直に言って、天皇の制度というのは憲法でも国民の総意に基づく制度であるっていう風に言われてるわけで、やはりきちんと議論を尽くすと。様々な意見の違いも含めて、丁寧に議論するということが大前提として必要だと思うんですが、そうした運営とはかなり異なる、かなりもう結論を急いでるという印象を受けまして。
最終的にも結論的にも額賀さん、衆議院議長は最後に言われたんですが、次回の会議に衆参両院の議長副議長で取りまとめを行ったものを示して、それを基に次は議論していただきたいということなんで、女性皇族の婚姻後の問題、身分保持、皇族として身分保持するということと、それからいわゆる皇統に属する男系男子を養子に迎えるっていうことを前提とするような、そういう取りまとめをしていく方向を出してくるのではないかっていうことを非常に危惧をしております。そういう議論であったというのは全体の問題点としてまず言いたいと思います。
私の方からは後半、皇統に属する男系男子を養子に迎えることについて、これは重大な問題があるという風に思いましたので、これについてまとまって発言をいたしました。
そもそもこれはですね、旧皇族の皇籍復帰ということについては、すでに2005年の有識者会議でこれはもう採用できないという風に否定をされている問題であります。
その時の議論も紹介をいたしまして、その時にはどういう議論があったかというと、旧皇族はすでに60年近く一般国民として過ごしており、また今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代まで遡る遠い血筋の方々であることを考えると、これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることはできるか懸念されるという問題点。
それから2つ目に皇籍への復帰・編入を行う場合に当事者の意思を尊重する必要があるため、この法策によって実際に皇位継承資格者の存在が確保されるのか、また確保されるとしても、それが何人程度になるのかっていう問題は個々の当事者の意思に依存することになって不安定だという指摘があります。
これについて申し上げたのは、結局、男系男子継承のための努力、いわばひたすら男の子を生むことをですね、ひたすら強制される、求められるというようなことを果たして選択できるのか、といったことがあっていいのかということがあるのではないかと。
それから一旦、皇族の身分を離れた者が再度、皇族となる。元々皇族でなかったものが皇族になる。これまでの歴史の中で極めて異例であるという風にも言われています。こうしたことが、2005年の有識者会議で指摘されているにも関わらず、今回2021年の有識者会議には全くそのことが反映されていないということが重大ではないか。
今日、指摘したのは、やはりこの養子縁組については4年前の2021年の有識者会議で意見を述べた憲法学者もですね、憲法上、疑義があるという風に言ってるわけです。
東京大学の宍戸常寿教授は内親王・女王との婚姻を通じた皇族との身分関係の設定によらず一般国民である男系男子を皇族とする制度を設けるというのは門地による差別として憲法上の疑義があるとおっしゃってます。
それから京都大学の大石眞名誉教授も養子縁組であるが、いろんな理由、例えば宗 系 (そうけい 世系 祖先から代々受け継いだ系統 ちすじ 血統)の 紊 乱 ( ぶ ん ら ん 秩序・風紀などが乱れること)を招くといういうことであるから、やはり養子というのは下げた方がいいんだろうなという結論になると。
この憲法学者の意見っていうのは実は前回の全体会議の場で衆議院の法制局長、橘法制局長が、本件については憲法学説が分れているということを指摘されてるんですね。
にも関わらず前回の全体会議で内閣法制局の佐藤第一部長は養子縁組により皇族とする方を男系男子に限るとしても憲法14条第1項に抵触するという問題は生じないという風に言ってるんですね。これはですね、いかがなものかということを今日言いました。
やっぱり憲法第2条の定める世襲というのは、これは女性を排除するものではないというのが、これは政府見解であります。今日も紹介しましたが、憲法制定議会において当時1946年ですが、金森徳次郎国務大臣は「憲法2条について、なぜそれまであった皇男子孫を省いたのかという質問」に対して、
「根本的な支障のない限り男女の差別を置かないというのが憲法の考え方だということで憲法2条について建前として男女の区別につきましては法律問題として自由に考えて良いという立場である」と。
その2条の成り立ちの問題について、解釈無視して、男系男子の限定が憲法上問題ないっていう風に前回の会議で内閣法制局第一部長は答弁してるんですが、これはもう非常に法制局としていかがなものか。
結論として申し上げたのは、やっぱり衆参の両院の法制局長が違憲の議論もある指摘もあるというようなものを言ってる以上、やはり国会として憲法学者などの有識者の意見を直接聞くことが必要ではないか。それが国会として日本国民の総意に基づく天皇の制度のあり方を議論する上で不可欠ではないかということを提案をいたしました。
最後、結論としては男系男子継承を不動の原則とするということは憲法の精神に反するものであり、女性天皇を支持する世論が多数である国民の総意にも反することになると。改めて日本国憲法の条項とその精神に照らして合理性を持つ女性天皇について正面から検討すべきだということを申し上げました。
こういう憲法論について申し上げたんですが、その後で自民党の衛藤参議院議員がこれ合憲なんだということをおっしゃったので、それ違うでしょうと。やはり内閣、内閣法制局は合憲だっていう見解を言ってるんですが、衆院の法制局長はこれは憲法学者の中でも両論あるって言ってる以上、やはり憲法学者の意見を聞いて議論するっていうことが国会の責務ではないかっていうことを2回目、発言をいたしました。
全体としてはそういう経過の会議になったということでありまして極めて憲法の問題に関わる重大な問題でありながら、そういうことを正面から議論しないで進めていこうというあり方については大変疑問を感じたということであります。今日の会議については以上であります。
第三回全体会議で、憲法学者が憲法上の疑義があるとした養子案を、内閣法制局が憲法に抵触しないと言っていたことへの指摘を、しっかりされたことが非常に素晴らしい。憲法学者の意見は、あまり報道されていないので、小池議員が記者会見して周知してくれたことは多大なる意義があります。
また、同じく第三回全体会議で、沖縄の風が「憲 法 の 規 定 は 世 襲 と 書 い て あ る だ け で 、 そ こ に は 男 性 、 女 性 が 書 い て い な い ん で す よ ね 。 と こ ろ が 明 治 憲 法 に は 男 系 男 子 が 書 か れ て い ま し た 。こ れ が な く な っ た 理 由 」について、内閣官房参与・山崎氏が試みた説明は、まったく要領を得ていませんでしたが、「憲法2条(皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。)について、なぜそれまであった皇男子孫を省いたのかという質問」に対して、「根本的な支障のない限り男女の差別を置かないというのが憲法の考え方だということで憲法2条について建前として男女の区別につきましては法律問題として自由に考えて良いという立場である」と第1次吉田内閣の憲法担当国務大臣であった金森徳次郎氏の発言を元に説明されたところも、見事。
政府の側が質問に応えきれていないところを、きちんとすくい上げて、ニッチな論点に絞られた第四回の全体会議で、男系男子限定の皇室典範改正をする根拠となる「憲法2条について男女の区別について法律問題として自由に考えて良い」という憲法解釈が、すでに1946年の時点で行われていたと開示したこと、全体会議の中でも白眉といえる場面になっていたのではないかと思います。議事録の公開が楽しみです。
13:47~
NHK:前半の全体会議の確認なんですが、テーマとしては女性皇族の婚姻後の扱いと、それから男系男子を養子に迎える、旧皇族の方を養子に迎えるということの二点について、個別じゃなくて全体の…
小池議員:しかも、そのテーマだけじゃないですよ。その中のごくごくもう、本当にニッチなというか、すごく狭い範囲でのテーマ設定で、そこについて意見を言ってくださいというようなね、進め方でした。
NHK:小池書記局長としては、この前もおっしゃってますけど、女性天皇・女系天皇をやっぱり、ちゃんと正面から議論すべきだっていうのが1番の今日の主張だったということですか?
小池議員:そうですね。男系だから男系男子っていうことを不動の原則にするから、非常に、特にこの後半のですね、皇統に属する男系男子を養子に迎えるっていう、到底国民的な理解や合意が得られないのではないかなというような中味を進めるっていう立場で議論がされているってことが、大きな問題ではないかなという風に思います。
前半の女性皇族の婚姻後の身分の問題もやっぱり前提としてその女性天皇女系天皇を実現するっていう大きな議論の中で議論すべきで、そこはあの脇に置いた上で、どういう範囲を皇族にするかとか、婚姻した場合の配偶者や子の身分をどうするのかっていう、そこの議論になってるんですけど。
それより前にやっぱりまず女系天皇・女性天皇を実現するんだ。そのための手段として、これは女性皇族の婚姻後の身分っていうのは考えるべき、考えられるべき問題ではないかなということだと思います。
NHK:いずれの問題についても、やっぱり正面から女性天皇、女系天皇をちゃんと議論すべきだということが根底にあるということですか?
小池議員:それはやはり天皇の制度っていうのは憲法で言う国民の総意に基づくものであるということで、女性が天皇になってはいけないということは全くないわけですからそういったことを議論するというのが筋だし、何よりやっぱり世論調査等でですね、やっぱり女性天皇を認めるというか女性天皇でいいっていうそういう世論が多数なわけですから、そういった国民の声に答えていくということが必要なんではないかなということであります。
NHK、素晴らしい質問です。平成28年・2016年7月13日の『NHKニュース7』の冒頭で、天皇陛下(現在は上皇陛下)の生前退位の御意向について報じ、同年8月4日「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」は地上波テレビ各局で放送されることになりました。
NHKは、2024年の衆議院選挙においても、女性天皇・女系天皇に賛成か反対かと国会議員に問うアンケートを行っており、女性・女系天皇を争点として挙げてくれていました。今年の夏に行われる参議院選挙においても、有権者が正しい判断を出来るように、しっかりと争点として、各候補に問い質していただきたいですし、放送や報道に反映をお願いします。
時事通信:衆参正副議長が次回に取りまとめを示すということなんですが、その政府が言ってる2案どちらかに絞るとか、あるいは併記するとかその辺の方向性についても説明はあったんですか?
小池議員:いや特にそういうことはなかったですけど、もうある意味ではそれを前提とした議論を、今日そういうテーマ設定でやられましたから。だからそれが憲法上どうなのかっていうの発言をした方には、ちょっと途中で遮げるような場面もありましたからね。だからそういう点で言うと、この2つの大きな方向性を前提とするような取りまとめを考えておられるのかなということが、今日の議論の進め方だったと思います。それはやっぱり私は相応しくないと、国民の総意に基づく制度を議論していくっていう上で、そういう議論のやり方自体は相応しくないし、そういう取りまとめが出てきたらこれは厳しく批判をせざるを得ないなという風に思っています。
憲法上どうなのかっていうの発言をした方には、ちょっと途中で遮げるような場面、共産党以外の政党・会派からの発言も、途中で遮られていたことが分かりました。
天皇陛下のおことば 第217回国会開会式令和7年1月24日(金)(国会議事堂)
本日、第217回国会の開会式に臨み、全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。
国会が、国民生活の安定と向上、世界の平和と繁栄のため、永年にわたり、たゆみない努力を続けていることを、うれしく思います。
ここに、国会が、国権の最高機関として、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します。
国民の信託に応えねばならない国会議員が、憲法上の疑義があると指摘しているのに、発言を遮る玄葉副議長への小池議員の怒りが感じられます。
立憲民主党の会見でモヤモヤしていたところを、きちんと指摘してくれました。今後も、共産党の発言に注目したいと思います。
「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ
5 件のコメント
くりんぐ
2025年4月19日
旧宮家系国民男性の皇籍取得は、平成の有識者会議で既に否定済み。
旧宮家系国民男性は一般国民として暮らすようになって、78年近く経過。
今上陛下との共通祖先は約600年も前の室町時代の北朝三代崇光天皇。赤の他人です。
そんな人たちを今上陛下の直系の愛子さま、今上陛下と血筋の近い佳子さまたち女性皇族を蔑ろにしてまで皇族にしたがるのは、男系継承維持のため。
これは男の王の継承ですか?
皇位継承なら、天皇との血筋の近さを最優先すべきではないですか?
養子縁組が禁じられているのは、自然血縁(実系)と法定血縁(養系)が混在することで皇統が混乱するのを防ぐため。
皇族の身分を離れた者及びその子孫が再び皇族の身分を得ることを防ぎ、皇統と国民の明確な区別を守る。
皇位継承資格の純粋性を守る為、養子縁組によって血縁の無い者が皇位継承資格を得るのを避けなければならない。
皇室典範の立法趣旨は、皇位継承資格の純粋性の維持の為、君臣の分義の維持の為。
旧宮家系国民男性養子案はこの立法趣旨に背くもの。
女性・女系天皇公認は、皇位継承資格の純粋性も、君臣の分義も守れます。
佐々木
2025年4月18日
男系カルトが毛嫌いしてる共産党が一番筋の通った発言してるという、この逆転ぶりwww。
SSKA
2025年4月18日
額賀は昨年の事で風当たりが強いから、野党の副議長に仕切らせ政府案で進める会議の批判を和らげる目的なら最初からグルだったとしか言えません。
ダダ
2025年4月18日
>日本国憲法の条項とその精神に照らして合理性を持つ女性天皇について正面から検討すべき。
反天皇であるはずの共産党が立憲的姿勢で尚且つ、皇室と国民の願いを理解した上で安定的な皇位継承を実現しようとしているのですから、絶賛せざるを得ない。素晴らしい!
それから、やはり額賀衆院議長と玄葉衆院副議長は最後まで不適合者のままでしたね。
ありんこ
2025年4月18日
完全にお株取られちゃってますね…立民…