サトルです。
今回は「暗い山ツッコミ」…ではなく、放送中からサポーターや、視聴者の間でも話題になった3/16(蓮舫さんの国会質問のあった日!)に放送されたNHKBSの圧倒的人気番組「英雄たちの選択」について、4回に分けて解説?&ご紹介したいと思います。
まず最初に。
この「英雄たちの選択」という番組ですが、司会に国民的に人気知名度の両方が高い、磯田道史氏の歴史観をメインに番組は進行します。
(彼の「歴史」観についての参考に)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD033EU0T00C25A9000000
また彼は「面白い人物」で、番組内容に何か言いたい(けど言わない)時、不満がある時は「顔に出してしまう笑」「奥歯にモノが挟まった言い方」をするのが、特徴です(実はワタクシ彼の著作は全部持ってますし、出演番組は、ほぼ全て視聴。異論も時にはありますが、なかなか面白い人物です)。
そんなことを踏まえ…進めたいかと。
(副題は私の「感想」からつけました)
では。
番組冒頭
「古代史の歴史を大きく転換させた人物にまつわる(番組ナレーションより)遺跡」として、奈良明日香村にある向原寺(こうげんじ)の映像。
そして境内にある、飛鳥時代の王宮跡地…豊浦宮(とゆらのみや)を。「ここを推古天皇が直々に歩いていた」と嬉しそうに語る住職。
(ナレーション)
「593年…この地で即位した推古天皇…日本史上初の女性天皇である。…」
史上初…に皆さま異論はおありでしょうが、ここは後で、磯田道史自身が「奥歯にモノが挟まった言い方」をしますので、進めますね。
「…今からおよそ1400年前の6世紀、国の政治は武力を持った豪族たちが動かしていた。…」
「…困難の中で推古天皇は…」と、その後「仏教」を元に豪族たちをまとめあげようとしたことや、「日出る…」の文書で降りかかった「難題」を収め、それどころか、その直後には120年ぶりに中国との国交を再開し、逆に深く結びつけた実績を丁寧に説明する。
で番組タイトルロール(このいつものタイトルロールが素敵。劇画タッチで日本史の人物を次々出すのだが、最初は「天照大神」なのです!さすが!)。
スタジオへ。
女性アナの「日本史上初の女性天皇…推古天皇…(略)」のフリに答える磯田氏
「ん…ん、もちろん…確かな…最初の…女性の天皇…である…ということと(もぞもぞ話し、体を揺らす笑)…」
(いきなり語気を強く)
「あと中国大陸との関係にぃ!非常に難題に挑んだ…という点ですね…。でぇやっぱり推古天皇っていうのは、よく女性はガラスの天井って良く言いますけど、最初にそのガラスの天井をバァーン!と破った先駆者かもしれませんよねぇ…」
(まだ奥歯に…な磯田道史氏笑 やたらスタッフ?を見る)
「…推古天皇がこの国のかたちを方向性を決めたってのもあったんじゃないか?って思いますね…。(チラとまたスタッフに視線)あ!あとそうそう聖徳太子との関係とか、興味が尽きません…」
はい笑
全国各地を飛び回り「古文書漁りで有名」な磯田道史氏が「神功皇后」を知らないわけがありません。断言します。
磯田道史は「神功皇后」の存在を良く知っていると。間違いありません。
(熱心な視聴者には)実にわかりやすい笑
磯田道史あるあるです。
番組はナレーションメインで、敏達天皇崩御からの「血みどろの権力闘争」を日本書記を基に丁寧に説明。
キーマンである、皇后…額田部(ぬかたべ)皇女…のちの推古天皇や、額田部の異母弟の穴穂部(あなほべ)皇子の「殯(もがり)」の時の狼藉策略ぶりを説明(番組では「犯行」と強い表現)。
その原因は敏達天皇を継いだ用明天皇が病弱だった為、「生前から次期天皇が取沙汰される中」額田部と穴穂部が、有力候補と目されていた…と。
ほほう。
「女性天皇は中継ぎではない」…との考えがなければこの表現は使いませんし、もはや「歴史学の通説として定着」していなければ「NHK 」は使わないことは明らか。
さらにナレーションは、
「穴穂部は額田部を妻にすることによって、天皇の座を手に入れようとしたのだ」と断言。
「妻にすることによって」…NHK …やるじゃないか!
場面変わり、本を捲る手元から人物へ…。
ナレーション
「穴穂部の強引さには、豪族たちへのアピールがあったと、歴史学者の義江明子さんは考えている」
!!!
横顔に「帝京大学名誉教授 義江明子さん」の文字。
(ナレーション)
「義江氏はこう語る。」
(義江氏)
「豪族たちがこの皇子(みこ)は見込みがある、自分たちのリーダーとして良い!と思わせることが!大事…で、つまり穴穂部が額田部と結びつくことで、それも1つの!これは政治力…なわけですよね。敏達没後の混乱の中で機敏な判断を働かせて笑、額田部に迫って合意を得て正式な婚姻関係に持ち込む…ということはつまり、穴穂部の統率力、政治力の強さを見せつけたことになるので、つまり豪族の支持が得られると」
(おそらく)TV媒体初の義江氏の登場!
しかもこの「英雄たちの選択」は、メイン解説者(今回は間違いなく義江氏)の話を軸に進めますし、ゲストの発言も重要。今回はヤマザキマリ。
あの「持統天皇の回」での里中とは違うでしょうし、その里中の発言に「不満げな磯田道史」を観ていた私には、大感激。
(ヤマザキマリは磯田道史の大親友) これは…何か磯田道史が匂わせる…と確信しました。(実際、最後に磯田道史が番組を締めるまとめ…考えを発言するのがこの番組。皆さま期待大です。)
ここから、番組は畳み掛ける。
(ナレーション)
「当時、倭国と呼ばれた日本では豪族は大きな力を持っていた。彼らは武力や経済力で王権を支えるだけでなく、皇位継承権の決定力を持っていた。…」
(テロップで「群臣推挙」の文字)
「…群臣推挙の仕組みである。(画面には図が出される)天皇は自らの後継者を指名することは出来ず、天皇が死去した後、候補者の中から豪族達が話し合いによって次期天皇を選ぶのが慣例であった。」
慣例?…つまり「先例」とも解されますね。
さりげなく入れてくるNHK !♪
そこから怒涛の説明。
(ナレーションは更につづくが長いのでまとめます)
番組は、その後の血みどろの権力闘争に「額田部の強い意志」と蘇我馬子の天皇の権力や経済力の拡大の貢献の強さを日本書記から説明。
額田部と穴穂部「双方にとって伯父」でもある馬子が「額田部を選択」していることにも触れる。
そして、用明崩御後、巻き返しを謀る敵対する穴穂部…後ろ楯の豪族「物部(もののべ)氏」を滅ぼすのは、馬子ではなく「額田部の強い主導権」であったと解説。
しかし額田部が天皇になるには、当時は軍を率いて戦う男性が皇位を引き継ぐのが、100年以上続く不文律だった…「ガラスの天井」と説明(テロップで「皇位継承は男帝優先」の文字)
「やむなく」額田部と馬子は穴穂部の弟の崇峻天皇を擁立するも、傀儡を嫌った崇峻が対立してきたため、4年後に大陸侵攻を計画する崇峻を「無謀な遠征は国を滅ぼす」として、馬子は刺客を放ち崇峻を謀殺したと。そして次期天皇を決める群臣会議で「豪族たちの脳裏に焼き付いていたのは、これまでの権力闘争に見せた額田部の水際立った行動だった」と解説。
ここで義江氏登場!(VTR)
「女の皇子(みこ)でも機敏な判断で兵を動かしたということを評価!されたはずなんですよ。実際に殯(もがり)での行動を見ても非常に的確な判断で穴穂部を退けていると。あの、そういう全体的なことから言って、額田部と!その背後にある蘇我氏の側についた方が自分たちの将来は開ける…という判断を下したハズなんです!」
ナレーションは引き継ぎ、
「崇峻暗殺からの1月後、豪族たちは額田部を推挙、日本史上初の女性天皇に即位した。だが本当の闘いはここからだった…」
以上長く細かい説明でした。番組開始から20分を越えます。しかし全て、その後の番組に「必要な説明」とフリ。
ここから回収に入ります。
※今回は長い説明でしたm(_ _)m
全て「必要な知識…前提」です。
「要約を誠実」に致しました。
(暗い山さん…とは違います笑)
次回からは「肝である」ゲスト並びに磯田道史の「示唆的」な発言をメインに進めます。
続く。
9 件のコメント
サトル
2026年3月21日
追記。
日経の対談でもわかるように、彼は作家と仲良しです。逆に歴史家にはあまり?好かれていませんし、彼自身は歴史家の先輩をリスペクトはしてますが、作家ほど仲良くしてる節はない笑
だからからか、彼は出世?には、全く興味を示してませんね笑
面白い男です。
コロナでの発信は気に入りませんでしたが、やっぱり嫌いにはなれないのです。
サトル
2026年3月21日
>京都のSさん
コメントありがとうございます。
そうなんです。磯田道史はどうも気になる人物でして笑
ただ彼の場合、日経にも顕著ですが「場によって違う」のが悩ましい。
ただ、顔や態度にモロ出るので、そういった意味でも面白いです。
同じBSでも、「英雄たちの選択」では、かなり大人しくしてる笑
日テレBSだと伸び伸び笑
例外は、城郭研究の千田教授かヤマザキマリが出てると、かなり言いたい事思ってることを炸裂させる男です。
子供か!…みたいに。
テーマには慎重なタイプです。
サトル
2026年3月21日
>ゴロンさん
コメントありがとうございます。
そうですね…放送すぐに騒いだのはワタクシでした笑
放送自体はお知らせしてましたが、ゲストが気になっていたのが、直前にヤマザキマリだったので、安心と期待はありましたが、まさか義江氏が出るとは思わず、すぐに騒ぎだしてしまいました笑
地上波はまだまだ先な気がしますが、「神宮皇后論」の出版と、持統→推古…と来てますから、神宮皇后はあり得ると思っています。
全ては「神宮皇后論」にかかってると、個人的には思っています。
京都のS
2026年3月21日
サトル様、お疲れ様です。やっと磯田道史氏を推している理由が判りました。そして同時に氏が『老人支配国家・日本の危機』(Eトッド著)でトッド氏と対談して「双系システム」という概念をブッ込んだ意味も何となく解りました。やはり彼は面白いですね。
ゴロン
2026年3月21日
サトルさんの情報のおかげで、途中(崇峻を謀殺あたり)からでしたが、見ることができました。ありがとうございます。3月25日pm5時の再放送は予約しました。
画期的な番組だったと思います。地上波の番組でも同様なネタで欲しいですね。
神功皇后の話でも磯田先生が生き生きしそうで良いですね。
サトル
2026年3月21日
>mantokunさん
コメントありがとうございます。
そう…暗い山登山より全然「楽しい」です笑
結構シンドイですが(なにせ番組側が、これでもか!というくらいナレーション説明(もちろん役者や、劇画、資料もふんだんに使い)が膨大。
あと…笑ってしまう…のが、聖徳太子について。番組冒頭で「あ!そうそう…」と磯田道史は言ってますが、最後まで全く興味を示しません笑。出てくるけど。…磯田道史面白い。
サトル
2026年3月21日
あと1つ。
「天照大神だけ」劇画調になっていませんし、なにより、「皇祖神天照大神」を「最初」に持ってくる「センス」が素敵だと毎回思います。
サトル
2026年3月21日
掲載&編集ありがとうございます。
今回珍しく?複数の方々から「書きません?」「書きましょうよ…」「書け!」と…ふんわり笑、ありましたのでチャレンジ致しております。
まあ(義江氏が出てる!と)騒いでたから…が、たぶん正確ですが💦
追加しますと、磯田道史氏は全国各地の寺社に留まらず(古文書がありそうな。蔵がある)由来のある家や、忍者調査や過去の災害資料を探索するのをライフワークにしている人物。しらみ潰しに探る人物(偽物の家系図は良く見つかるそうです笑)。忍者調査なぞ、家屋の建て方(土地の形状)から、見つけだし古文書を土間から見つけだし、それで住人が「先祖が忍者だったのを初めて知る」なんて、ザラにあります。
そんな人物が「神宮皇后」が、日本の歴史…庶民の歴史上どのような存在であったか…を知らないはずがありません。
また日経の対談での発言も、ずっといい続けてること。この歴史への姿勢…誰かに似てると思いませんか?…なのです。
しかし…義江さんが出てきた瞬間は驚愕でした。ゲストが誰か?は直前に掴み、少し安心はしてましたが、まさかまさかの登場…でした。
mantokun
2026年3月21日
すごい!私はBS契約してないので、実家に帰省するまで「英雄たちの選択」はお預けにするつもりでしたが😅、サトルさんの臨場感あふれる記事のおかげで、番組を見ているかのように楽しめました。ありがとうございます。
> 当時は軍を率いて戦う男性が皇位を引き継ぐのが、100年以上続く不文律だった
ここでもう、「本当は推古天皇は史上初の女性君主ではない」ことを匂わせちゃってますね。神功皇后の伝承も残されていたでしょうし、当時の大和朝廷は高句麗や百済からの渡来人を通じて、魏志倭人伝にある女王の遣使記事は知っていたでしょうからね。飯豊青皇女は記紀編纂時に「即位せず、あくまで臨時の執政者」だったことにされましたが、日本書紀が「崩」の字を用いていることからも、実際には女王だったのでしょう。
額田部皇女の擁立当時は、彼女の曽祖母である手白香皇女が即位せず、地方から遠縁の王として迎えた人物を入婿にして即位させた記憶もまだ新しかったはずです。しかし、額田部が崇峻天皇の誅殺を見事に指揮したことで、男王に引けを取らない軍事的判断力と統率力を備えていることが誰の目にも明らかとなったことで、群臣推戴されて即位した。推古天皇は本当に偉大な女性ですね。
これだけの有能な女性だったからこそ、東アジアが動乱する中で100年超の不文律を破って即位できたのだし、それほどの偉大な女帝を、まだ二十歳そこそこで政治的な実績もない厩戸皇子が傀儡にできるわけがないんですよね。思い込みって恐ろしいなあ…と改めて思います。
いつもの暗い山登山記とは違い、サトルさんの筆も生き生きと明るく、楽しそうで何よりです。次回も楽しみにお待ちしています!