文字起こし【言論アリーナ】緊急討論!旧宮家の養子案で「愛子天皇」は不可能になるのか【アゴラチャンネル】養子案は事実上、愛子天皇を封じるための法案

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養子案への疑義について、島田裕巳(宗教学者)氏と 池田 信夫(アゴラ研究所所長)氏が動画を出しています。

【言論アリーナ】緊急討論!旧宮家の養子案で「愛子天皇」は不可能になるのか【アゴラチャンネル】

【出演】 島田裕巳(宗教学者) 池田 信夫(アゴラ研究所所長)

文字起こしでお伝えします。

池田氏:今日は緊急に愛子天皇というテーマで、宗教学者の島田裕巳さんとお話をしたいと思います。よろしくお願いします。

島田氏:はい、よろしくお願いします。

池田氏:今日たった今、衆参正副議長の取りまとめ案というのが出てきて、いわゆる旧宮家を養子に入れるという皇室典範の改正案を8日にも出すという話になったわけですけども、そもそもこの旧宮家を養子にするというよくわからない案について島田さんからその解説をしていただけませんか?

島田氏:天皇の血筋をかに保つかっていうことで、相当、歴史的に苦労してきたわけですよね。江戸時代なんかも、そういうのが途切れる可能性っていうのがあって、新井白石が考えたことで閑院宮家っていうのを、新たに創設して、これが機能したっていうようなことがあったわけですよね。

明治に入る段階で、もう出家していたような人たちを、皇族復帰させて新たに宮家を立てるっていうようなことをやったわけですよね。これが旧宮家って言われているそういうものになって、元々、1 番古いのは、伏見宮家っていうのは室町時代に創設されてますけれど、その系統の家っていうものが続くようにしたっていうところが旧宮家。戦後に、1947 年にその人たちが臣籍降下して、民間人になったということですから、もう80年ですよね。 だから歴史の中で忘却されていた旧宮家っていうのが、この議論の中で急にクローズアップされて登場したんで、 国民としては一体何のこと?そういう話になってんじゃないですかね。

池田氏:何のことやらていう感じですよ。何のためにそんなやこしいことを考えたのかってとがわかんないわけですよ。

島田氏:これはやっぱり小泉政権下で有識者会議ってものが作られて、その時は秋篠宮家に悠仁親王がまだ生まれてない段階だったんで、女系天皇、女性天皇ってことを容認するっていう提言をして、この線で皇室典範を改正するってことになったら、紀子妃がご懐妊して、それ以降そういうものが途絶えたっていうその頃に、保守派と言われてる人たちがですね、それに対抗するような形でこの養子案っていうものを考えたと。だから直接復帰するっていう案もありますけれど、養子として入って皇族になるっていう、そういうものを考えたわけですから、当初からですね、女性天皇、女系天皇っていうのを阻止するために養子案が作られたと。その意図が明確になってないんで、な んだかわかんないっていう、そういう状況だと思うんですよね。

池田氏:率直に言って、要するに女性天皇を阻止するためにいろんなことを考えてこういう無理な案が出てきたということなんだけど、そういうことを考えてる人たちもその目的を言わないんですよね。要するに女性天皇を阻止することが目的だということを誰も言わないから、 何のためにこんなことやってんのか、ほとんどの人、わかんないと思うんですよね。

島田氏:そうですね。 だから、そこはもうすでにもうそこからも 20年ぐらい経ってるわけですから。本人たちもあんまりその頃、政治家だったわけじゃ、みんなないので分からないんじゃないですか。

池田氏:今の政治家も分かってない可能性がありますよね。

島田氏:比較的、今、麻生さんは85ぐらいですよね。 その下っていうのは71 歳ぐらいしかいないんですよ。だから意外と国会議員っていうのは今、高齢化じゃなくって若返っていってる部分があって余計わかんなくなっちゃってんじゃないですかね。

池田氏:しかもこれはっきり言って、やっぱり法律としては非常に無理のある法律ですよね。そもそも今の皇室典範で養子って認めてないわけだから ね。それも変えなきゃいけないわけでしょ。普通はね、こういう法律が国会で通る時は法制局を通すわけですよね。法制局ってのは、法律の整合性ってものすごくうるさく言うから、しかもね、さっきおっしゃったように、いっぺん一般人になって 80年経った人が 皇族になって、そういう特別な一般の国民とは違う、特権を持つと同時に人権を制約されるわけですよね。法の下の平等ということから見てこれはおかしいんじゃないかっていう行政訴訟が起こされる可能性だってあるわけですよね。

島田氏: そうですね。これお金が絡んでくるんで、訴訟の可能性っていうのは当然ありますよね。

池田氏:これは僕は法制局、通らないんじゃないかという気がするんだけど、

島田氏:そういう作業はおそらく進んではいると思うんですけれど、

池田氏:検討は、法制局も一応話は聞かされてるんでしょうね。

島田氏:実際にそれが出てきた時にですね、本当に憲法 14条のいろんな差別を禁じてるっていうところに抵触しないのかどうかですよね。そういう形で法律が作ることができるのかどうか、かなりマジカルなやり方を取らないと難しいんじゃないですかね。

池田氏:やっぱり、この問題の根本的なところは、やっぱり女性天皇をなんとかして阻止したいという人たちが、自民党の中にかつてはかなりたくさんいたと。今は僕はそんなにいないと思うんだけども、まあ一部ね、そういう人たちが強硬にまだ主張していると。この女性天皇を阻止したいと いうその意思っていうのが、どこから来てるのかということもちょっと僕は、わかんないとこあるんですけど。それこそ小泉内閣の時は、もう容認する方向だったわけですよね。

島田氏:ただあの頃も、かなり小泉さんに対する批判っていうのがあって、その頃、御厨貴さんの研究室にいたので、話し合う機会があったんですけど、ちょっと小泉内閣が危ないねっていう話をしたような記憶があるんですよね。その頃の方が今からもう 20 数年前ですから、はるかにタブー意識っていうのは強かったと思うんですけど、そういう状況があったってことはあったと思うんですよね。

池田氏:さっきおっしゃったように、男の子が生まれたんで、しばらくは先送りできるってことだったわけですよね。 その後、安倍さんが棚上げしちゃったと。 安倍さんは個人としてはそういうやっぱり女性天皇っていうのは嫌だったということがあったわけですかね。

島田氏:そうですね。それからやっぱり戦後レジームからの脱却ってことを言ってましたから、戦後の憲法とかそれからそういう旧宮家を臣籍降下させるっていうこと自体に対する抵抗感っていうのを安倍さんは持ってたんじゃないですかね。その影響っていうのは、自民党の中で影響してる可能性はありますよね。

池田氏:そういう意味ではやっぱり戦後の GHQの、いわばGHQは天皇家をもっとこう小さく しようとしたわけだけど、日本側が抵抗して今の宮家は残ったわけだけど(?)、 11あった宮家が4 つに今なってるわけですよね。もうそれだけしかないと側室もいないと先細りになるってことは、ほぼ明らかなわけですよね。

島田氏:そうですね。 これだんだんやっぱり段階的に、難しくなってきてるってのはありますよね。 だから明治の時の旧皇室典範で、すでに養子っていうのはダメだっていうことになって、戦後の皇室典範の中で今度は、側室っていうのが実質的に庶子は継承できなくなりましたよね。だからどんどんどんどん狭めてきて、その中で男系男子じゃなきゃいけないっていう、もうそこまで絞っちゃうと逃げ道がないんですよ。 だからむしろ皇位が継承できなくなることをなんか願ってるんじゃないかなっていう風に疑いたくなります。

池田氏:他の国の例を調べてみると、他の国でもやっぱり昔はその男しか継承できない国は結構多かったんだけど、やっぱりそれではもうどんどん継承者がいなくなっちゃうということで、やっぱり女性も認めるっていうのは、先進国では、ほとんどそうなってるわけですよね。ところが日本だけが男系男子に拘る人がまだいたと。それを妥協するために、そのわけのわかんないこの養子案っていうのが出てきたわけだけど、そもそもね、その元を辿どって考えると、男系男子とか男系の皇統とか言われる伝統というのが、日本古来からあったのかという問題 に遡っちゃうわけですよね。

島田氏:だからやっぱり血で繋げなきゃいけないっていう意識がなかったわけですよね。特に平安時代なんか考えてみると、朝廷の文化っていうものが後宮っていうのがあるわけですけど 世界の場合はハーレムっていう形で閉鎖的な社会を作るわけですよね。男子はそこに入ることができないと。

池田氏:あるいは宦官みたいな形で生殖ができないと。

島田氏:そういう制度を作るはずなのに、日本ではですね、全くオープンな、むしろサロン的な、そういうものを作っちゃったわけですよね。ってことはやっぱり、血による継承ってことに対してこだわりっていうのがなかったとしか考えられないですよね。

池田氏:それを結果論で見てね、なんか男系で繋がっていたのだという風に、明治時代に井上毅が言っちゃったと。それを今の自民党の政治家の皆さんは信じてるとこがあるんですよね。

島田氏:そうですね。神武天皇以来とか言ってる人もいるくらいですから、もう何を言ってるのかよくわからないっていう、そういう感じですよね。

池田氏:そこはちょっと不思議なのは、麻生さんの世代は分かんなくもないけど 小林鷹幸さん、今の政調会長が読読新聞で「神武天皇以来、126代例外なく 男子によって継承されてきた」という。僕はびっくりしたんですけど。

島田氏:そうですね。チームみらいの人もそんなこと言ってましてね。

池田氏: 皆信じてるんですね、まだ。

島田氏:そういう風に言うしか、なんかないっていうことですよね。伝統ってことになると一体、いつから始まるのかってことになりますよね。今の天皇家っていうか、大和王権っていうのは、大体、継体天皇ぐらいってことから始まるってのは、歴史学の方の合意ですよね。 そこからってことになっちゃうと、じゃあ、そこで伝統が生まれたってことになるんで、本当の伝統なのかっていうことに対する疑いが出てくるから、神武天皇を持ち出してくるっていうね、そういうことですよね。だから議論がそれじゃできないっていう。

池田氏:それはね、神話としては別に、そういう神話があるのは構わないと思うんですけど、その神話を無理やり現実の制度論に持ってくるから、いろんな矛盾がいっぱい出てくると思うんですよね。

島田氏:アメリカでも福音派っていうのが強くて、福音派っていうのは進化論、否定してますよね。この世界っていうのは神が創造したと。 だけどそれを制度に落とし込むようなことっていうのは行われていないわけですから。 日本の場合は神話を制度に これから落とし込もうっていうのはすごいことですよね、近代先進国で

池田氏:考えられないことですよね。 ある意味でね、学問的に1 番面白いのは、その辺の問題で歴史学者は大体分かってるんだけど、一般の人々は全然知らないし、政治家の中でもおそらく今、島田さんおっしゃったような、継体天皇の前はなんか天皇家というものは、あまりはっきりしたものはなかったんじゃないかっていうようなことは、歴史学の中でも割と最近、定説に使い説になったわけですよね。

島田氏:これは古墳時代の研究で、古墳っていうのがどうやって拡大して、地方にいろんな巨大な前方後円墳ができた後に大和に集中していくと。その過程を見ていくと、それ以前の段階では、有力な王権っていうのが複数あったと。それが最終的に1 つにまとまったってことが、そこから明らかになってくるんで、そこで継体以降っていうような話が、学問的に証明されたような形になってるというですよね。

池田氏:ということは、少なくその神武以来 126代とか万世一系とかいうことはもう、事実としてありえないわけですよね。

島田氏:万世一系っていう言葉も、幕末あたりにできた新しい言葉であって、それ以前にそういう言葉がないんだから、それ以前の人たちはそんなこと考えてなかったってことですよね。

池田氏:万世一系じゃないっていうことは、男系の皇統も継体天皇の以前には、そんな確立した伝統はなかったはずだし、その後も男系なんて言葉は1度も使われてないわけですよね。

島田氏:そうですね。大体、女性天皇がたくさん現れて、飛鳥時代なんて半分ですよね。 治世も長いし、やったことも色々やってるわけですから、双系って言って男の系統と女の系統を、あまり区別しなかったっていうのが古代のあり方ですよね。

池田氏:だからその辺は、日本の本来の伝統と、律令制度と一緒に中国の皇帝の継承制度を輸入してからの制度っていうのが、 日本の明治以降の制度の中では天皇ってのがもう昔から、神代の昔からあったっていう風に、遡及して話を正当化してるんだけど、実際には今おっしゃったような継体天皇あたり以降、天皇っていうのが、かなり中国の伝統を輸入して新しく作られたもんだと いうことが、分かってきたわけですよね。

島田氏:だから日本の律令、大宝律令とか養老律令って唐の律令をそのまま、ほぼ持ってきてるわけですよね。 だから自分たちで憲法に当たるようなものを古代の日本人は作ることができなくて、唐に習ってそれを作ったと、そういうようなことがあるので、中国の影響は非常に大きいんですよね。

池田氏:そういう歴史に基づいて、継体天皇以降の王朝ではこういう風になってましたっていうことを ベースに議論するんだったら、まだ分かるんだけど、そこを自民党の政調会長までが、日本書紀を根拠にして制度改正をすると いうのはね、僕はその部分だけでもちょっと、 よろしくないと思うんですよね。

島田氏:そしたら天皇親政に戻した方がいいんじゃないですか?保守主義で行けば天皇親政っていう伝統があるわけで、天皇が政治の中心になるっていう今の象徴天皇制とは違う、全く違うような形っていうのが伝統であるってことも言えるわけですよね。そこに戻ろうっていう人は、さすがにないわけですけど、そういうことも含めてやっぱり議論する必要はあるんじゃないですかね。

池田氏:まずやっぱり、その神話ベースに制度が論じられてるってことに非常に違和感を感じるんですよね。もう1 つ現実の問題に戻ると、今度の養子案とかなんか、そういうものが出てくると本当にそれが法改正が仮にできるとすると、事実上、愛子天皇を封じるための法案と考えられるわけですね。 本当に それを通していいものだろうかと。

島田氏:だから、不思議なもので、こういう議論が進めば進むほど愛子天皇待望論が、高まってきてるわけですよ。今、その最盛期に来てるっていう、そういう状況で、世論調査なんかをすると、女性天皇、むしろ女系天皇を容認する声の方が、朝日新聞の調査なんかでは高いんですね。そういうような事態が起こってますから、国民の世論っていうものと、国会での議論とのズレっていうのがどんどん大きくなってるっていう状況ですよね。

池田氏:一般の国民にとってはね、今の天皇皇后の長女なんだから、愛子さまが継承するってのはごく当たり前のことだと思うわけですよね。それこそ、ファーストフードのレストランで隣のおばさんたちが世間話するの聞いてると、「愛子さまがなるのが当たり前なのに、なんでダメなんだ」とかね、みんなやっぱりね、その辺はなんかちょっと納得できないものをみんな感じてますよね。

島田氏:これは天皇家の意思っていうのも愛子さまを中心にするっていうのは、はっきりしてきてるんじゃないですかね。 非常に象徴的なのは、野球のWBC があった時に一家でオーストラリア戦を観戦してますよね。その時に真ん中に愛子さまが座ったんですよ。 同じく今年、天覧相撲が 1 月にあった時は天皇陛下が真ん中だったんです。ところがWBC、あれは3 月ですか。その時には愛子さまが真ん中だった。こういう席順っていうのは天皇皇后が考えたんじゃなければありえないですよね。

講書始の時も、講書始っていうのは、そもそも天皇と皇后に対して講師が話をするっていうのが前提になってて、それを他の皇族が一緒に聞くっていう形式ですね。懇談会の時に、これは御厨さんが言ってたんだけど、最初は天皇陛下と皇后陛下が入ってきたんだけど、その後に講師と挨拶をした後に、愛子さまが入ってきて3人で懇談をしたっていう、 こういうこともやっぱり、愛子さまを全面に出そうっていう天皇陛下、皇后陛下の意思が、今年になって非常に明確になってるっていうことだと思いますね。

池田氏:しかし憲法の定めでは、天皇がそういうことを発言することはできないですよね。

島田氏:一方、秋篠宮家の方では、秋篠宮さまが「自分は即位するつもりはない」という風に発言をされているから、じゃあ悠仁さまを将来の天皇として育てているのかっていうと、あまりそういうところが見られないですよね。 ってことはもう秋篠宮家としては、自分たちはもうそういうのに関わりたくないっていう意思を持っていて、天皇と秋篠宮の兄弟の間で、何らかの合意ができているんで、今のような状況が作られてるんじゃないんでしょうかね。

池田氏:そうは言っても秋篠宮さまは、なんて言うんですか、立皇嗣の礼って言うんですか?あれで要するに後継者だっていう、なんていうか儀式を経てるわけですよね。だからもう既成事実は決まってるんだという人もいるんですけどね。

島田氏:ただやっぱり、皇太子にって話もあったみたいなんですけれど、皇太子になる意思はないっていうようなことを、その時言ったら、そのためには皇室典範を変えなきゃいけないんですけど、そういうようなこともあるし、全体的な雰囲として積極的ではないと。 ただ今の皇室典範だと、どうしても次の天皇は秋篠宮になっちゃうんだけど。そういう意思はあんまりないっていう、そういうことをメッセージとして発してる部分はありますね。 だから天皇家の意思っていうのも、第一子が継ぐべきだっていう国民が求めてることと同じような、そんなこと意識してるに決まってますから。 その方針で今、臨んでるんじゃないですか。だから国会での議論っていうのが、どんどんどんどん、おかしなものに、それはやっぱり国民と天皇家、皇室との間の議論と全然違う方向に行っちゃってるっていう、そういうことだと思うんですよね。

池田氏:現実の問題としてね、愛子さまが、これから次の天皇になるためには、少なくとも皇室典範改正しないといけないわけですよね。じゃあ皇室典範改正したとして、ここまでいろんな既成事実が積み重なってきたのをパーにできるのかという反対論も結構あるんですよね。その辺はどうなんです?

島田氏:根本から考え直さないと 難しいんじゃないですか。今のままでいくと本当に皇統って言われてるものが途切れてしまう可能性って結構あると思うんですよね。これはですね、日本の国家のあり方っていうものが根本から変わってしまうので、どうするかってことですよね。 天皇っていうものが不在になると日本の国家って機能しなくなるんですよね。だって国会も開けないですから。法律も通らない。何もできなくなるんですよね。そこのことっていうのを議論しないとこの問題の意味っていうのがちょっと分かってこないと思いますね。

池田氏:もうある意味でものすごい根本的な議論で、要するに日本が共和制になるのかどうかということが、将来、問題になってしまうわけですよね。

島田氏:だからそれも、議論の対象としてやっていかないと、本当に国のあり方っていうものが、人間が不在になることっていうのはいくらでも起こるわけですよね。今、皇位が継承できる人っていうのがもうごく限られていて、3 人しかいないわけですよね。そのうちの常陸宮はもうすでに 90歳ですから、秋篠宮と悠仁親王しかいないと。 本当にそれで大丈夫なの、日本は?っていう。 そういうことに対する危機感っていうのを誰も抱かないってところが本当の危機じゃないですかね。

池田氏:僕はね、これを機会にやっぱり天皇というものが日本人にとって何なのかっていうことを考え直す意味もあるかなっていう気がするんですよね。僕は昔、丸山 眞男 (まるやま まさお 政治学者 思想史家)の本を書いたことがあるんですけど、その時に丸山は晩年にね、天皇が危篤状態になってからのいわゆる自粛は3ヶ月ぐらい続いたわけですよね。 あれを見て、「大正天皇の時でさえこんなことは全くなかった」と。「 今の日本人の天皇についての思考停止ってのは非常に深刻だ」と。これがやっぱり「日本人が本当に自立した自由な人間として物を考えることを妨げてるんじゃないか」という風なことを、晩年に言ってるんだけど。僕はね、天皇についてのタブーの意識というのが、こういろんな意味で日本の政治を、制約しちゃってて、非常に前例主義で一ぺん決めたことは元に戻れないと いう風なものの決め方が、役所も政治もあるいは企業も一ぺん決めたことは戻れないという空気の支配というか、 そういうのは非常に強いと。 それをね、やっぱり考え直すきっかけにもなるんじゃないかなていう気がするんですけどね。

島田氏:やっぱり天皇に関する議論としてタブー化されてるっていうのは、昭和天皇の戦争責任ですよね。これが、ある種、曖昧な形で責任を問われないっていうことで 来てしまったが故えに、戦後すぐの段階っていうのはやっぱり昭和 天皇が戦争を引き起こした1つの大きな要因ではないかっていうのが、 国民全体が考えてることで、必ずしも皇室に対して好意的ではなかったっていう時代が あったわけですよね。それが昭和天皇が全国を、廻ることによって国民との関係を作ることで次第に 皇室が国民に支持されるような方向ができたと。確かに戦争と切れた、軍隊が なくなったってことが非常に大きいので、国民に愛される皇室、開かれた皇室 っていうことで進んできたことによって、かなり親しみの産んだ けれど、一方でそういうタブーっていうようなものも、同時にいろんな事件 もありましたから生まれてきたんじゃない ですかね。

池田氏:そういう意味ではね、天皇のあり方っていうのはやっぱり日本人の極めて本質的なところに関わるんで、それをね、今回の養子案のような小細工でね、なんか問題をごまかすような、 そのやり方は僕は非常に良くないと思うんですよね。皇室のやり方を考えるんだったらやっぱりちゃんと国会でね、きちんとオープンに議論をすべきだと思うんですけどね。

島田氏:旧宮家って言われてる人たちが、まだ皇族だった時代に、どのように捉えられていたかっていうこともあると思うんですよね。必ずしも評判が良くなかった。今の皇室を思い浮かべると、かつてのそういう人たちっていうのは、ちょっと違うんですよね。いろんなスキャンダルがあって、女性関係で非常に浮名を流したそういう人もいる。 お金の問題なんかもあったし、戦争なんかで皇族は軍人になるっていうのは結構、あったわけですけど、最前線で戦ったわけじゃないんで、皇族でその亡くなるような、戦死するような人ってのは現れなかったと。だから、奥に隠れていてですね、いい御身分だみたいな、そういう世論っていうのもかつてはあったわけですよね。だからそういうことも全て洗いざらい出していかないと、ちょっとわかんないんじゃないですかね。

池田氏:あとはちょっとテクニカルなことで言うと読売新聞が女系天皇っていうことをはっきり社説として出してるでしょ。あれよく読んでみると今、直ちに愛子天皇にすべきだということは必ずしも書いてなくって、既成事実として秋篠宮に継承するということは当面やるとしても、最終的に愛子天皇を排除すべきではないという言い方をしてるんですよね。そういう意味では僕は一旦、秋篠宮に継承して彼が愛子さまに譲位するとかね。やっぱり最終的には 愛子さまを天皇にする方向の改革というのは考えてもいいんじゃないかと思うんですけど。

島田氏:だからやっぱり譲位っていうことに関して、今の上皇陛下が退位するっていう時に、大騒動になりましたよね。これは皇室典範に譲位の規定というものがない。 これも伝統ってことを考えると、江戸時代までの天皇っていうのは譲位っていうことができたわけですよ。相当、昔の時代になると幼い3歳とか5 歳とか、そのぐらいで天皇に即位するっていうような例もあって、それによって新陳代謝っていうのが行われてきたってこともあるわけで。今のような高齢化社会になって、天皇、皇族が長生きをするっていう状況になってくると、高齢になってまで、その地位にあっていいのかっていうことを、これも考えなきゃいけないことじゃないですかね。

だからやっぱり愛子天皇の待望論っていうのはそういう若さっていう要因も1 つ大きい。日本の社会に活力ってものを与えるためにどうするかっていう、そういうところがある。天皇家が愛子さま中心にっていうのを打ち出してるっていうのも、やっぱりそういうことが、日本の活力をいかに取り戻すかっていうところに来てるわけで、そういうことも含めて議論しないといけないのに、結局、譲位の時も安倍さんのせいだと思うんですけど特例法でやってしまいましたよね。改正まで至らなかったと。 そうなってくると次の時に、また同じことしなきゃいけないから。

だから現在の天皇はそれに関して、多分ちょっと自分から言い出すってことはできにくいんじゃないですかね。だからそういう問題もあると思いますね。

池田氏:そういう意味ではね、これをきっかけにして、やっぱり天皇のあり方っていうのを国会でちゃんとオープンに議論した方がいいと思うんですよね。

島田氏:そうですね。 少なくともそういうことを今まで有識者会議とかやってきたわけですから、大々的な形でそういうものを作って議論していくってのが必要で、今の議論はもう議員だけでやってるわけですよね。そこに大きな問題っていうのはあるんじゃないですかね。

池田氏:8日に一応、その取りまとめが出るという話になってますけど、おそらくちゃんとした法律として成立するのは、かなり難しいと思うんですよね、今国会で。

島田氏:例え、この法律がそういう形で養子案が、認められたとしても、まず養子になる人がいるのか、 それからどの宮家が養子を取るのか。これかなり難しいんじゃないですか?

日曜討論でですね、保守派の学者の人が、そういう皇族として生まれてない人間が皇室に復帰した例っていうのでなんか、醍醐天皇とかあげたみたいですけれど 、あれは宇多天皇の息子で、ほぼ2 歳ぐらいの時に復帰してるんですよね。 今の養子案に出てくる対象の人は、もう皇族であった時代っていうのは自分のひいおじいさんぐらいの代ですから、全く関係ないわけですよね。 我々だって曾祖父って一体誰なのかって知らないんじゃないですかね。私も最近、曾祖父の名前を初めて知ったんですね。ちょっとしたことで。だからそのぐらい遠い関係の時代のことですから。ずっと国民として生きてきた人が、皇族に戻る、1 回戻ったら、そこから抜けることできませんから、 相当ハードルが高いと思います。

池田氏:どう考えてもありえない法改正だと思うんですよね。

島田氏:だから、机上の空論としてやってきてるっていう、そういう形ですよね。

池田氏:この問題はね、ある意味で言うと、天皇っていうのを日本人が改めて考え直すいいきっかけになると思うので、今ね、島田さんがおっしゃったようなことも含めて、日本の歴史とか伝統とかということまで含めた議論をね、国会でもあるいはマスコミとかね、そういうとこでも、もうちょっとタブーを意識しないで議論をした方がいいと思いますけどね。

島田氏: だから、例えば共和制に移行するっていう時に、そういうのも1つの選択肢ですよね。 その時、愛子さまが大統領になれば全て丸く収まるんじゃないか? そういうことも最近ちょっと考えていて 皇室の伝統ってことだったら、その祭祀の部分、そこは悠仁さまにやっていただくなり、旧宮家の養子の方にやっていただくっていう、そういう方向で、文化として伝えていくっていう、そういうやり方もあり得うるのかなっていう風に一応思ってますね。そんなこと議論の対象にはならないと思うんですけれど。

池田氏:でも日本の天皇家ってのは大部分は実質的には共和制みたいなもので、全く形式的なものだったわけですからね。

島田氏:今だって象徴ってことですから、 なんか政治的な権限があるわけではない。だけど政治的権限がない権威っていうものが頂点にあることによって日本が安定してるわけで、その安定した部分っていうのが失われてしまうとですね、これ結構難しいことになります。 ここが1番、懸念されることじゃないですか?

池田氏:そういうことも含めて、日本の国の形みたいなものを改めて考え直すいいきっかけになると思うんですけどね。どうも今日はありがとうございました。

リベラル左翼の御二方らしい表現が散見されますが、男系固執派よりは
ずっと現実的に、養子案なんてあり得ない!という見解を示していて
どっちが保守か分からない、保守逆転といった様相でしょうか。

様々な立場の識者が声を上げることで、ますます養子案が
愛子天皇を阻むものであると周知されますように。

「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ

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