本日、ふぇいさんより森暢平先生の上記内容に関するブログが掲載されていますが、サトルさんからも、同じオピニオン記事に関する論考が投稿(依頼原稿ではありませんが、敬意を込めて”寄稿”といってもよい)されましたので、以下に掲載いたします。併せて、読んでいただければ、幸いです(by基礎医)
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サトルです。
今回は、6/16の産経新聞7面オピニオン欄に載った記事について書きました。
左隣に「正論」として、倉山満氏の論説がありますが、内容的にはSPA!最新号掲載文と大差はありません。(※それはそれで大丈夫なんだろうか?…とは思いますが。)
→そうですね。「正論」と6/7の1面にでた内藤慎二記者まとめの記事と較べると、まだあちらの方が読むのが耐えられるかも。ただ、こういうものが紙面に出るのは、産経新聞のqualityとしてどうなのだろう、とは私見では思う(by基礎医)
問題はこちらです。産経新聞論説委員長・榊原智氏の「女系天皇が違憲になる理由」を読みました。
まず確認しておきます。
これは一評論家の随想ではありません。産経新聞論説委員長として発行された論説です。読者はその前提で読むことになりますよね?記名もあるし、最後に(論説委員長)とある。なので、産経新聞社の論説委員長としての論説として、読ませて頂きますね。
題字は「女系天皇が違憲になる理由」。当然、読者は違憲である理由が示されるものと思うでしょう。
・どのような憲法解釈によって女系天皇が違憲になるのか?
・なぜ憲法と両立しないのか?
・どの条文と、どのように抵触するのか?
その説明が行われるものと思うはずです。ところが実際に冒頭から展開されるのは、男系継承の歴史、伏見宮家、猶子、皇統、王朝論です。確かに歴史説明はあります。知識量も豊富なんでしょう。しかし、違憲論証は見当たりません。
歴史を説明することと、憲法違反を論証することは全く別です。
論説委員長が書く、男系継承が続いてきた…は歴史的事実なのかもしれません。しかし、それが仮に事実だとしても、直ちに「女系天皇は違憲である」という結論は導けません。その間には、本来なら埋めなければならない論理があるはずです。
ところが本稿では、その部分がほぼ省略?されています。
男系継承が続いた。
↓
だから、維持すべきである。
↓
だから、女系天皇は認められない。
↓
だから、違憲である。
最後にあるのは、そのような結論です。
これでは歴史論から違憲論へ移る論理が確認できません。これは、論理の階段ではなく、結論への跳躍に見えます。
さらに気になったのは日本国憲法第1条の取り扱いです。榊原氏は「国民の総意」を、過去・現在・未来の国民を含む概念として説明します。しかし、それは憲法第1条そのものに書かれているわけではありません。憲法解釈を提示するのであれば、その解釈がどのような論理によって導かれるのかを示さなければならないはずです。
ところが、その説明も見当たりません。結果として、「国民の総意」を論じているようでいて、実際には榊原氏自身の歴史観や価値観が語られているように見えます。
そして、最も驚いたのは次の部分です。眼を剥く…と言っても良いかもしれません。
榊原氏は、
「天皇を廃止するような日本の国柄の破壊や、天皇ならざる『女系天皇』の登場」
と書き、さらに、
「日本の天皇が天皇ならざる『女系天皇』へ墜ち、皇統が断たれて別王朝になる仕掛け」
とも書いています。
私はこの表現を、そのまま受け取りました。産経新聞論説委員長として、社会に向けて示された認識である、と。しかし、ここでも論証は示されません。示されるのは断定です。
「天皇ならざる女系天皇」 「墜ちる」 「別王朝」
これらは本来、論証の結果として導かれるべき結論です。
何故なら、天皇とはまさに「憲法第1条で規定されてる、ご存在」だからです。ところが本稿では、その結論を支える論理が見当たりません。ここまで強い断定を行うのであれば、その根拠もまた同じだけ明示されなければならないはずです。
そして最後です。
論説委員長の榊原氏は、
「政府報告書も立法府の総意も採らなかったのは幸いだった」
と結びます。
ここにも驚愕しました。幸いだった…で済む話なのでしょうか?会議は政府の下で行われた議論です。立法府の総意は議論の積み重ねです。いずれも現行憲法の枠内で行われた公的な議論です。もしそれらが誤っているというのであれば、なぜ誤っているのかを論証しなければなりません。もしそれらが憲法に反するというのであれば、どのような論理で憲法違反になるのかを示さなければなりません。
しかし本稿で示されるのは、その論証ではありません。「幸いだった」という評価です。題字は「女系天皇が違憲になる理由」です。違憲論を掲げた以上、本来求められるのは評価ではなく論証です。
ところが本文で展開されるのは歴史論であり、最後に置かれるのは価値判断です。
読み終えて残った疑問は一つです。
・この文章は誰に向けて書かれているのでしょうか?
・既に同じ前提を共有している読者への確認なのか?
・それとも社会への説明なのか?
論説委員長の仕事は、仲間内の確認ではありません。社会への説明です。まして産経新聞論説委員長です。その立場で、
「天皇ならざる女系天皇」 「別王朝」 「違憲」
とまで激しく断定するのであれば、その結論に至る論理を社会に向けて説明する責任があります。題字が「女系天皇が違憲になる理由」である以上、読者はその説明を期待します。だから最後に、論説そのものへ問いを返したいと思います。
「女系天皇が違憲になる理由」は、どこに書かれていたのでしょうか?
3 件のコメント
サトル
2026年6月18日
コメントありがとうございます。
私は、産経新聞社が男系支持であろうと、養子案支持であろうと(不愉快極まりないですが)、今回の記事の重大さとは別問題だと考えています。
産経新聞社は単なる印刷業者ではありません。
たとえ論説委員長個人の署名記事であっても、それを掲載・発信した以上、編集責任は産経新聞社にあります。
しかも今回の記事は「違憲」という極めて重い主張をしています。
榊原氏がどのような認識でこの言葉を用いたのかは分かりません。しかし、「違憲」と断じる以上、その憲法上の論理や解釈を説明する責任があるはずです。
私は、女系天皇に賛成か反対か以前に、「なぜ違憲なのか」の説明を榊原氏に求めたい。そして、その記事を掲載した産経新聞社にも説明責任があると考えています。
少なくとも現状の記事からは、その論証過程が見えてきません。
mantokun
2026年6月18日
あまりにも禍々しくて、どこからどう批判(というレベルでは収まらないが)すればいいのか、呆然とする酷さですね。
「違憲」とは「憲法に違反すること」です。日本国憲法には、天皇の地位は国民の総意に基づくこと及び世襲であることは定められていますが、大日本帝国憲法とは異なり性別の規定はありません。さらに、国民は数々の世論調査や週刊文春のアンケートに対して、圧倒的多数が女性・女系天皇に賛成しています。
つまり現行憲法において、憲法の要請を満たしているのは女性・女系天皇のほうです。榊原は違憲の意味を取り違えているとしか思えません。
>日本の天皇が天皇ならざる『女系天皇』へ墜ち、皇統が断たれて別王朝になる仕掛け
「堕ち」とは堕落を指すものと思われますが、今上陛下のお子様である愛子さまが皇位継承され、愛子さまのお子様が即位されたら、天皇の地位の何が、なぜ、どう堕落するのか。
さらに、女系天皇とは「母方から天皇の血を引く天皇」と一般的に解釈されますが、女系天皇だとなぜ皇統が絶たれるのか、そもそも「誰に」絶たれるのか?
第一、皇室には姓も名字もないのに、なぜ父方から天皇の血筋を引いていないと別王朝になるのか。榊原は女系天皇の何をもって「別王朝」だと判断しているのか?
自分が立てた命題を証明できていないばかりか、読者が共有もしておらず、法的にも実質的にも成立していない諸条件を勝手に前提として置き、単なる個人的な感想を並べただけの代物です。
こんなものを自称皇室研究者の倉山満のコラムと並べて配置するとは、「社会の公器」という建前を自ら放棄し、新聞紙面を個人的鬱憤を吐き出すためのアジビラと勘違いしているとしか思えない。産経新聞は、曲がりなりにも全国紙として掲げてきた看板を自ら真っ二つにへし折りましたね。
京都のS(サタンのSjane-し)
2026年6月18日
榊原智「『女系天皇は違憲』論が何処に在ったかだと?ンなもん現行憲法の方が男系至上主義からズレてるからぢゃねーか!西部邁も言ってたろ?『憲法9条は自衛隊に違反してる』ってな!?…男系至上主義の根拠?ンなもんトゥルーマザーの教えに決まってんぢゃねーか!」
この辺りが榊原の本音かもしれませんね(笑)。