愛子さまと「立太子の礼」について(その2:そもそも、立太子の礼とは?)

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左:黄丹袍(おうにのほう)右:黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)
(出典:首相官邸HP 即位礼正殿の儀についてhttps://www.kantei.go.jp/jp/singi/gishikitou_iinkai/dai6/siryou1-1.pdf

前回、「愛子さまと「立太子の礼」について(その1:はじめに)」からの続きでございます。

立太子の礼は、近代以前はこの儀式によって “皇太子”としてのお立場が固まるという位置づけでありました。現在は、皇太子が次の日本の天皇であることを、内外に宣言する、行事であります。

明治以降の近代・現代においては、以下のような形で、儀式が行われたようです。

[0. 賢所大前(おおまえ)の 儀]
1.立太子宣明の儀(皇太子であることを公に宣明されるとともに,これを内外の代表が祝われる儀式)
2. 壺切御剣(つぼきりぎょけん)の親授
3. 賢所皇霊殿神殿に謁するの儀
4 朝見の儀(立太子に際し,天皇・皇后にご挨拶をされる儀式)
5. 宮中饗宴の儀(立太子を披露され,祝福を受けられる祝宴)
*その後、伊勢神宮などへのご参拝(こう書きましたのは、歴代の皇太子によって、御参拝される場所が多少異なるためです)

この5つの儀式のうち、1、4、および5については国の行事として、その他の儀式は“皇室の行事(私見では、密教的な要素あり)”として行われるようです。
なお、裕仁親王までは、「賢所大前の儀」という神前の儀式があったようですが、戦後は日本国憲法との兼ね合いで省かれるようになりました。

また、この一連の儀式において、特徴的なことが2つあります。

1つは、儀式に用いられる礼装のことです。皇太子は、黄丹袍(おうにのほう)というオレンジ色の装束をまとい、天皇陛下は、黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう:自分は、後醍醐天皇の肖像画のイメージが強いです)という礼服をまといます。

もう1つは、天皇陛下から皇太子に継承されるという壺切御剣という“一子相伝の秘宝”が、立太子の礼に際し、天皇から皇太子に親授されることであります。

こうしてまとめておりますと、「立皇嗣の礼」が形式として「立太子の礼」の基本部分を踏襲していることは、わかります。
また、今回の「立皇嗣の礼」において、現存する壺切御剣がはじめて宮内庁によって撮影され、その様子も映像で放映されました(これは、かつての宮内庁の姿勢を考えると、一歩前進であると思います)。

ただ、そうであるならば、尚の事、天皇陛下から皇太子への直系継承がアピールされるべきであり、私はやはり愛子さまに「立太子の礼」を迎えてほしい!と、心新たにしました。

いかがでございましょうか?

次回からは、「立太子の礼」が行われた時に発行された記念切手について書かせていたただくことに。

参考文献

  • 皇室事典編集委員会 (編集, 著) 2019『皇室事典 文化と生活』 (角川ソフィア文庫) 文庫 角川書店
  • 高森 明勅 2021 『「女性天皇」の成立』 (幻冬舎新書) 幻冬舎

文責 大阪府 基礎医学研究者 52歳(男性)

「愛子さまと「立太子の礼」について」ブログシリーズ一覧

その1:はじめに

その2:そもそも、立太子の礼とは?

その3:裕仁親王の立太子の礼「記念切手」(1)
 ⇒3月16日(水)掲載予定 

その4:裕仁親王の立太子の礼「記念切手」(2)
 ⇒3月18日(金)掲載予定 

その5:昭仁親王の「立太子の礼」に至る歴史的背景
 ⇒3月20日(日)掲載予定 

その6:昭仁親王の立太子の礼「記念切手」(1)
 ⇒3月23日(水)掲載予定 

その7:昭仁親王の立太子の礼「記念切手」(2)、そして「立太子の礼」への願い
 ⇒3月25日(金)掲載予定

7 件のコメント

    基礎医学研究者

    2022年4月7日

    ただしさん
    ありがとうございます。そう、このパートはお勉強的なのですが、愛子さまが黄丹袍をまとう姿を素朴に見てみたい、というのが、やはりみなさんの願いなのかと。

    ただし

    2022年4月5日

     愛子さまが、黄丹袍を纏った姿は、どうなるのか、想像いたしました……☆
    (*´ェ`*)

    基礎医学研究者

    2022年3月16日

    ねこまるさん
    いつも、コメントありがとうございます。なるほど~urikaniさんや自分のように、黄丹袍を女性用に仕立てるわけではなく”男装”は思いつかなかったですね~(^_^)(といいつつ、我々側のご意見も書かれておりますが(^_^;)。このパートはちょっと”お勉強パート”みたいになったかも、と掲載されたブログを読んで思っていたのですが、ねこまるさんからこのような意見が引き出せたということは、表紙に徳仁親王(当時)さま黄丹袍をまとわれた写真を載せたかいがあったというものです。次回も宜しくお願い致します。

    基礎医学研究者

    2022年3月15日

    urikaniさん
    いや~もったいぶって申し訳ありませ~ん。そして…確かに、今回ぼくらが普段使わない漢字が多いですよね、はっきいって( ̄▽ ̄;)(だから、けっこう読み仮名をふってしまいました(;^_^A。
    で、確かに自分も、これを書いていて、まさにurikaniさんのような情景が浮かんできまして、黄丹袍を女性皇太子用にしつらえ、それを愛子さまがまとわれたお姿を是非見てみたい、という気持ちが沸き起こってきました(^_^)。
    前置き長くなって申し訳ありませんが(立太子の礼を自分自身が良く知らなかったのでこうなってしまったのですが)、引き続きお付き合いいただければ、幸いでございます

    ダダさん
    コメント恐縮でございます。
    「宮内庁HPの用語集には、立皇嗣の礼は未掲載でした」
    →そうなのですよね~私見では、これみるだけで「立皇嗣の礼」というものは、かなり本来の皇室の伝統を捻じ曲げて、無理をしている感じがございますよね(自分は、今回「立太子の礼」の知識的部分をまとめているときに、非常に本来持ち込んでほしくない「政治的なもの」を感じた次第です(勿論、「皇族」の方々には、なんの責任もないわけですが)。
     つぎに、自分も「立太子の礼」で壺切御剣のような”秘宝”が立太子されるときに継承されることは、これを書くまで全然知りませんでした(これは、次以降の切手の話に関連してくるので、是非言及しておきたかったということであります)。そして、1つ補足しておきますと、自分の理解する限りでは、壺切御剣は、天皇陛下→皇太子へと直系継承されるというはず、のものなのですが、「立皇嗣の礼」でそれが果たしてどうなったのかは、よくわかりませんでした(ここは、気になるところであります)。
     いずれにしましても、前置き長くなってしまいましたが、引き続き宜しくお願い致します。

    ダダ

    2022年3月14日

    壺切御剣は初耳で、勉強になりました
    宮内庁HPの用語集には、立皇嗣の礼は未掲載でした( 一一)

    愛子さまの立太子の礼、見たいです!

    ねこまる

    2022年3月14日

    そのまま黄丹袍をお召しになれば、つまり男装ですね。
    愛子さまの男装、見たいです。
    もちろん女性用ということで、変型も良き…。
    髪だけおすべらかしも有り!
    ああ楽しみ過ぎます!!

    urikani

    2022年3月14日

    切手の話しまだだったー!(・▽・)
    難しい漢字多っ!
    ブログを拝読して、愛子さまの立太子の礼、ぜひ拝見したいという気持ちがムクムク湧き上がってきました。
    絶対日本中で盛り上がりますよね。
    黄丹袍を着られるのでしょうか。
    女性用に形が違うものになるのかな?
    ああ…見た過ぎる(*´•ω•`*)…
    次回も楽しみです(*^^*)

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