【皇室を蝕む三大病理】その2. モンスターカスタマー?歪んだ「国民主権」意識

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国民主権

という言葉に、どのようなイメージを抱かれているでしょうか。

なんか、国民がこの国で一番偉そうですね。

それと、一般に国との関係性を一番強く感じるのは、税や社会保険とその見返りとしての行政サービスでしょう。

この2つのイメージが合わさって、国と国民は
国=お店、国民=お客さん
(お客様は神様=一番偉い)
みたいな関係性で捉えられているように感じます。

そして中には、モンスターカスタマーのように傍若無人に振る舞う国民もいます。
その振る舞いは、ものを言えぬ皇室にとりわけ強く向けられます。


眞子さんと圭さんのご結婚に際しては、ご本人たちの気持ちを考慮することなく、常軌を逸したバッシングが繰り広げられました。

現在発売中の「文藝春秋」七月特別号には、「緊急提言 『愛子天皇』を諦めない」と題して鼎談が組まれています。

ありがたい提言ですが、冒頭で眞子さんを非難して愛子さまを持ち上げる部分には違和感を拭えませんでした。

全体としては、歴史的な正統性や皇位の安定性など、様々な観点から「愛子天皇」の意義を語られているだけに、とても残念です。

加えて、愛子さまが受け継ごうとされている、上皇陛下や今上陛下のなさりようを、
国民に支持されてきた象徴天皇のスタイル」
と表現しているところも引っかかります。
「国民に寄り添ってくださってきた~」などの表現もあるのに)

皇室は国民のニーズに応えなければならない立場だぞ
愛子さまはその点わきまえておられるから素晴らしい

根底にこのような考え方がありはしないか?
そうであれば、それは本質的に愛子さまをペットのように扱っているも同然であり、許しがたい態度です。

そのような態度では、今度はいつ愛子さまに矛先が向けられないかわかりません。


「国民主権」なんだから、皇室も自分たちの思うがまま、等と考えている国民が多いように感じます。

ですが、客であっても、お店で好き勝手やっていいわけがありませんし、
そもそも国をお店とするならば、国民は、経営者であるという側面も持っています。
お店(国)を好き放題に荒らせば、痛い目を見るのは国民自身です。

「国民主権」は、
「国の意思を、他国や他の何にも干渉されず、国民の意思を総合して決定する権利」
とでもいうようなもので、その際には
その権利を守る責任も、
権利を行使した上での結果責任も、
当然主権者である国民が負わなければなりません。


眞子さん・圭さんへのバッシングなどの皇室報道に触れていると、国民の不安や不満が一身に皇室に向けられているように感じられます。

この先まともに生きていけるか不安だ
給料も上がらないし
コロナで暮らしがどうなるかもわからない
他国から侵略されたらどうなるのだろうか
国は頼りにならない


せめて皇室は国民の味方だと思っていたのに、眞子さんは国民の言うことを聞いてくれない

「国民主権」なのに、こんな世の中おかしいじゃないか

憲法で定められているはずの「国民主権」。
自分が一番偉く、自分を幸せにしてくれるはずのその言葉が、現実を前にどんどん無力化していき、
最後の砦として、皇室を、自分の願望を押し付ける対象とみなす。
そんな心情が読み取れます。

でも、国民が抱く不安・不満はすべて、政治や社会へのアプローチなども含めて、
国民自身が解決しなければならないことです。

皇室に「国民様」のいうことを聞かせようとしたって何の解決にもならないし、
皇室だってそのような身勝手な物言いには応えられません。


皇室の方々は、国民が自分の意思を持って前に進んでいけるよう、傍で優しく見守ってくださいます。

私は、そのような皇室が末永く続いていって欲しいと思います。

今後、この国の民に皇室を戴く資格があるのか、主権者としての国民の態度が問われます。


※12時掲載と予告したのに大分遅れました。大変スイマセンでしたm(_”_;)m
※その3. は、6月19日(日)正午掲載を予定しています。
 遅れないようガンバリマス。


文責:静岡県 L.K (40代、男性)

9 件のコメント

    サトル

    2022年6月17日

    「国民主権」「公共の福祉」……
    言葉の定義、また概念の歴史的意味を「あやふや」にすることが、今に至る、今なお続く、「恣意的解釈」に繋がるのかと思います。
    「暗記」と「学ぶ」は違いますし。
    このサイトの意義は、大きいと思います。皇室問題だけでなく。

    urikani

    2022年6月16日

    (;-;)

    京都のS

    2022年6月16日

     「国=お店、国民=お客さん(お客様は神様=一番偉い)」、ほとんどの国民の意識はこういうものでしょう。この場合であっても、客がクレームを付けるべき相手は国家を動かす政府です。もし、この構造の中に皇族方を当てはめるなら、やや不敬な感じを受けますが、皇族方は国のイメージキャラクター(象徴に近い?)だと思われます。もし、ある企業の製品やサービスのせいで自分が不利益を被ったからと言ってCMに登場するイメージキャラクターをボロクソに言う奴が居たら、それは相当ヤバい奴です。現代日本にはヤバい奴が溢れていると言わざるを得ません。
     行政サービスに文句が有るなら政府に対して言うべきであり、皇族方を貶めるなど「お門違い」も甚だしいです。失政を繰り返す政府権力は、国民の(政府への)不満を皇族への不満にすり替えることで自らの地位の安泰を図っています。しかし、政治家も政府官僚も、そのレベルは国民のレベルに相応しいものにしかなり得ません。であれば、今の日本国民には皇室を戴く資格が無いということです。何だか絶望的な気分ですが、このまま3を待ちたいと思います。

    ダダ

    2022年6月15日

    今回も面白かったです☆
    国民主権って憲法のつまみ食いですよね。
    憲法前文の結び【日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う】
    ・・・国民のハードルが高すぎる!主権者には本当はかなり厳しいことを要求されています。

    ついでに若者感覚でいうと立憲民主主義はコスパ悪いですよね。
    しかし、それを求めることには価値があるのだと、中国・ロシアを見ていると実感できます。
    皇室も国も無くなってからでは取り戻せません。全身全霊の象徴天皇を戴ける様に精進いたします。
    ※ブログ掲載の遅れまではお気になさらないでください ^^) _旦~~

    殉教@中立派

    2022年6月15日

    「リスクの無い人生はないし、リスクの無い国際社会はない。リスクには、自分で備え自分で対処する、それが基本。」(よしりん辻説法3巻・P88)

    「国防のリスク」から逃げたがる国民性では、「権利への要求」ばかりが肥大化してしまい、現在の皇室叩きに繋がっていると思う(そして儲けの為に、『そうした欲求を発散させる記事』を書き散らすメディアも)。新戦争論1などでは、国民に「当事者意識」を持たせるべきだと書かれていた。なるほど「お店(国)を好き放題に荒らせば、痛い目を見るのは国民自身です。」に納得できる。

    「主権」は、「よい結果への道のりを、不当な干渉から守る」のに有用だが、「よい結果それ自体の実現」までは保証しない。国は、あくまでそのリソースが許す範囲でしか「人権」を保障しない。そうしたリソースの拡充とは、国民ひとりひとりが果たす「公」への役割であろう。それを(努力が報われなかった場合であっても)「公」の体現者たる、天皇陛下や皇族方が見守って下さる。「お天道様が~」ではないが、そうした「眼」は、意識されるべきだろう。

    基礎医学研究者

    2022年6月15日

    興味深く読ませていただきました。l.Kさんの論考でも言われていますが、「国民主権」って怪しい概念だな、とやはり思うようになりました。確かに、明治憲法の「臣民」という定義には高校生のときに多少抵抗がありましたが(今思うと、社会科の先生がそのように誘導していったような気がします)、これを天皇と国民は相互の敬愛で結ばれていると言い換えれば、それはその通りなのではないかと思います(要するに、「国民主権」には歴史・伝統の育みが感じられないということであります)。
     そして、L.Kさんが、最後に言われていることは、重要ですね。おそらく、天皇を戴く資格があるのか?ということを自分なりに言い換えますと、「愛子天皇への道」が切り開ける気概があるのかどうか?ということに、なりましょうか。

    じーま

    2022年6月15日

    皇室の問題というのはやはり巡り巡って国民の問題に行き着くものなのでしょう。
    皇族方を神として仰ぎ見ろとまでは言わないまでも、運命を背負った一人一人の人間であるという認識を持たない限り、この状況は続いていく気がします。
    また、この傲慢さは無知から来るところもあると思いますので、皇室の情報発信のあり方も含めて考えていく必要があるでしょう。

    このサイトがその傲慢さを正す一助となることを期待します。

    秋田のタカ

    2022年6月15日

    自給自足の生活ができていないから、皇室の皆様に自分たちの足りないものを求めてしまう人たちがいるのかなと思い、的外れかもしれませんが、まず、自給自足の生活ができるようにしようと思いました。

    Richard Tiger

    2022年6月15日

    これ、めっちゃ理解出来ます。

    私も、今後日本社会で問題になるのが、消費者権力、お客様意識だと感じています。

    やはり、こういう魔の手が、皇室にも影響を与えていると思うと、日本社会の危機を感じざるを得ません。

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