安倍元首相への追悼 そしてこれからの日本に思うこと

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出典:宮内庁HP 新年をお迎えになったご一家のご近影(お写真)令和2年


安倍元首相が銃撃を受け、亡くなりました。
元首相のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

政治家を標的とする事件が起こると、どうしても政治信条が犯行動機として思い浮かべられます。
(今回の殺害犯はその意図は無いと供述しているようですが。)
しかし言うまでもなく、政策に関する主張は言論によって行われるべきです。

主権者とされる国民は、一人一人がその責任を自覚して、日本の言論空間を支えていく意識を持たなければなりません。


今回の事件を受けて、暴力による言論の委縮を懸念する声が伝わってきます。
いわば、政治家側の言論の委縮です。

しかし、今回の犯行には政治的動機が見えないので、政治家側が委縮するのは考えづらいです。

むしろ私は、政治家、特に権力(多数派勢力)を批判する国民側の言論が委縮することを危惧しています。

ただでさえ権威主義的で政治への関心が薄く、他者の考えを理解しようとしない今の日本では、
政治に関心を持ち、権力に不満を持つ者は疎外されかねません。

そうした空気が蔓延すると、まず国民が委縮して、権力を批判しづらくなります。
そうなると、野党はますます支持を得られなくなります。

そして権力側は、強い支持と犯罪防止対策の名目で、強権化を進めていきます。
気が付いたときには、日本は中国や北朝鮮と変わらない姿になっている・・・。

私は、今後日本がそのような過程で崩壊していかないかと心配しています。


かつて「高信頼の国」と言われた日本。
しかし、他者との信頼関係はどんどん失われていっています。
これからの危険な社会に、備える覚悟も持たなければなりません。

だけど、他者を信じる覚悟もやはり必要なのではないか、とも同時に思うのです。
それが無ければ、もとより他者の考えを理解することはできません。
理解できないからこそ、ものの区別ができずにすべてに対して疑いを抱いてしまうのではないでしょうか。

「信じるものは救われる」
「与えよ。さらば与えられん」

現実の厳しさは理解しつつも、これらの言葉もまた真理の一端を突いているのではないかと感じられるのです。

まずは他者を信じ、関心を持ち、その考えを理解する。
その上で自分の考えを固める。
もちろん、政策においては国・社会に責任を持つことが前提です。

その意識が日本の言論空間を守り、社会を安定させるのではないかと、私は考えます。



ここまで書いていて頭に浮かぶのは、やはり皇室の方々です。

他者への信頼、関心、理解。
これらを広く深く実践されているのが皇室の方々です。

国・社会を維持するために必要なことは、皇室の方々を見ればわかります。
そう思うと、改めて皇室の存在をありがたいと感じます。

そのような皇室が存続していただくためにも、
一人の国民として、「愛子天皇」並びに皇位の安定継承を実現させる責任を改めて感じた次第です。


文責:静岡県 L.K(40代、男性、土曜日ブログ担当)

9 件のコメント

    L.K

    2022年7月10日

    皆さま
    コメントいただき誠にありがとうございます。
    私もトッキーさんや笹師範がブログに書かれている通り、これまでの政治家としての所業を水に流すつもりはありませんが、このような形で命を落とされたことについては、ね。

    早くも安倍礼賛で言論空間が埋め尽くされつつあることに危機感を抱いています。
    今は喪に服す時期だから、というのはあるでしょうが、時が移ったときにきっちり総括することができるのかどうか。

    私情に流されるまま、公のための議論がなおざりにされてはならないと思います。

    殉教@中立派

    2022年7月9日

    ・・ううむ。私は安倍氏には「ご冥福を・・」という心情が沸いてこないなあ。安倍氏は「最悪ミスリード総選挙・皇室破壊の戦犯編」があれば、ノミネートされること確実な人物だし・・具体的には「悠仁さまご生誕→女性宮家案潰す」「上皇陛下の退位妨害、反対派の学者結集」など。安倍氏が下手を打たなければ、私達の戦いも、少しはやりやすかったかもしれない。いわば「安倍氏の残した、因習万歳の亡霊」と戦っている、という側面も(私達には)あると思う。

     ただ、価値の順列を付けるならば。L.Kさんの「政治家、特に権力(多数派勢力)を批判する国民側の言論が委縮することを危惧しています。」に同意。政治家と国民の距離は(可能な範囲で)近い方が、私達の重ねてきた「王道の戦い」もしやすい。カレーせんべい氏の言う「信頼のインフラ」の上でこそ「候補者さん、愛子天皇お願いします!」の訴えが、初めて意味を持つ。それを破壊した犯人は問答無用で粛清し、そうした「信頼のインフラ」を、社会で幅広く共有するのが大事だろう。

    「信じることにも、また覚悟が必要だ」にも同意。私の信仰する宗教は、やたらと殉教者を出してきた歴史があるので腑に落ちるし、自分も「生命より信仰」というのが、昔からの考え。ただ、陛下や皇族方はそうしたものを抜きにしたうえで「普遍的な信頼・祈り」を実践してくださり、頭が下がる思いだ。「信頼のインフラ」「安心のインフラ」を、陛下や皇族方に用意できる主体は、政治や国民の側だと意識しよう。
     より広い範囲で「公」をとらえ直し「皇室と民の分断」「民同士の分断」を、最小限に抑えていく術を模索する。いつの世も、それを諦めてはいけないと思った。

    れいにゃん

    2022年7月9日

    阿部
    他者への信頼、関心、理解
    その上で自分の考えをまとめる…
    新憲法の国民の一項目かと思いました。心にとどめおきたいと思います。
    今回の凶行が、政治信条に寄るものではないのは納得です。生命至上主義に乗っかった「言論封殺は許されない」の言葉の上滑り。政治家からは覚悟の言葉が聞きたいのに。小林よしのり先生のように。

    マメシバ亭主

    2022年7月9日

    この事件がきっかけで益々政治家と有権者との距離が離れてしまわないか心配です。既に自分の身内は事件前から萎縮していて政治家とコミニケーションを取る事は犯罪のように思っていますから。

    タロー.G

    2022年7月9日

    こうなる前に各候補者に愛子天皇お願いします!と訴えることができて良かったと思いました。行動を起こすキッカケを作って下さったこのサイトの運営者さん、カレーせんべいさん、そして小林よしのり先生に感謝します。

    ただし

    2022年7月9日

     お疲れさまです。
     気付かされることの多い文章でした。おかげさまで、私の頭の中も整理されました。

     これからは、権力への批判が厳しくなると予想されること。
     他者を信頼する覚悟の話。
     そして、国・社会を維持していくために何が必要かは、皇室の方々を見れば分かること。

     これらを胸に刻んで、これからの日々を暮らしていきます。
     どうも、ありがとうございました。

    チコリ

    2022年7月9日

    ダダさんのコメントの最後、
    「確かなのは、権威(皇室)がないと無秩序に陥るということ」
    私にはそれしかない、これには確信がある。

    ダダ

    2022年7月9日

    丸山眞男の言葉ですが、民主主義を目指しての日々の努力の中に、初めて民主主義は見出される。

    民主主義を壊したのは政治家?国民?憲法?、の点検は必要ですが、L.Kさんが危惧される通り、強権化は進むと思います。政治家が民主主義を理解していない生命至上主義のヘタレだから。

    本来の法は、剣にも盾にもなります。
    やり直すしかありません。
    確かなのは、権威(皇室)がないと無秩序に陥るということです。

    京都の

    2022年7月9日

     安部元首相への追悼、テロへの嫌悪感、言論の委縮・自粛への懸念、そこから日本人の「正の国民性」としての高信頼、その源泉としての皇室を守るべし…という論理展開が冴えまくっています。お見事です。
     最近の私は「負の国民性」としての権威主義や世間主義ばかりを見つめていたので良い転機にもなりました。ありがとうございます。

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