「立皇嗣の礼」ってなに? その意味と問題点を解説します!

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皇位継承に関して、政府は「立皇嗣(りっこうし)の礼」という儀式を行う予定です。

現在、新型コロナウィルスの影響で延期されていますが、いずれにせよ執り行われるでしょう。

今回は、この「立皇嗣の礼」とは何をするものなのか、どのような意味があるのかをお伝えします。

■もくじ
①立皇嗣の礼とは、「皇嗣」を広く表明する儀式
②「立太子の礼」との違い
③皇太子と皇嗣の違い:今の日本には皇太子がいない!
④立皇嗣の礼をしても、皇位継承問題は解決しない
⑤なぜ政府は「立皇嗣の礼」をするのか

①立皇嗣の礼とは、「皇嗣」を広く表明する儀式

そもそも「皇嗣(こうし)」とは何でしょうか。

皇嗣とは「その時点で、皇位継承順位が“第1位”の皇族」(高森氏)です。
あくまで現時点における、次に天皇となられる方を指す言葉です。

立皇嗣の礼とは、皇嗣となられた方を国内外に広く表明し、社会的な認知を高めるための儀式です。


②「立太子の礼」との違い

一方で「立太子(りったいし)の礼」という儀式があります。
これは「皇太子」となられた方を儀礼的に広く表明するものです。
意味合いとしては立皇嗣の礼と同様ですね。

「立皇嗣の礼」と「立太子の礼」の違いは、対象が「皇嗣」か「皇太子」であるか、という部分です。

皇太子と皇嗣。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。


③皇太子と皇嗣の違い:今の日本には皇太子がいない!

皇太子とは「皇嗣たる皇子」(皇室典範)です。
つまり次の天皇となる(=皇嗣)、天皇のお子様(=皇子)を指します。

具体的には、秋篠宮殿下は現在のところ皇嗣ですが、天皇陛下のお子様ではなので皇太子ではありません。

一方、愛子さまは天皇陛下のお子様(かつ長子)ですが、現在の皇室典範では女性に皇位継承資格を認めていないので、やはり皇太子ではありません。

そう。令和2年現在、日本には皇太子がいないのです。

皇太子と皇嗣は、単に言葉の意味だけではなく、制度上も明確な区別があります。
例えば皇室典範第11条には、以下の記述があります。

「親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」

皇族の「皇籍離脱」に関する規定ですが、()内で「皇太子及び皇太孫を除く」と明記されています。
つまり原則として、皇太子は皇籍離脱ができないのです。

秋篠宮殿下は皇太子「ではない」皇嗣です。
そのため理論上、殿下が皇室を離れるという事態も、制度として想定しているのです。

端的にいえば「皇太子」と「皇太子ではない皇嗣」では、立場の<重み>が違います。

秋篠宮殿下という個人の問題ではなく、皇太子がいない現在の皇室は、その継承において制度上の不確定要素を孕んでいるのです。


④立皇嗣の礼をしても、皇位継承問題は解決しない

以上のことから、たとえ立皇嗣の礼というパフォーマンスを行ったとしても、「皇太子がいない」という本質的な問題は解決しません。

国民の中で何となく「次は秋篠宮さまが天皇になるんだな〜」という気分が共有されるだけで、むしろ問題の本質を曇らせてしまうのです。

皇位の安定的継承を考えるうえで、立皇嗣の礼なるものに有意義な価値は認められない、と言わざるを得ません。


⑤なぜ政府は「立皇嗣の礼」をするのか

それではなぜ、安倍政権はこの儀式を行うと決めたのでしょうか。
これはもう、皇位継承問題から目を背けたいから、と考えるほかありません。

周知の通り現在の皇室には、皇位を継承できる方が極端に少ないです。
現実的に考えれば、秋篠宮殿下と悠仁さまのお二人しかいません。

これは現在の皇室典範において、天皇になる資格を「男系の男子」に限定しているからです。

そのため皇位の安定的な継承を実現するために、「女性天皇」「女系天皇」の議論は避けて通れません。
安倍首相は、これを嫌がっているのでしょう。

強硬な「男系絶対主義」の集団を支持基盤にする首相は、皇位継承資格を女性皇族にまで広げる議論自体をしたくない。
だから立皇嗣の礼によって、あたかも次の天皇が秋篠宮殿下で「確定」したかのような印象を与えたいのだと思われます。

しかしこんな誤魔化しでは何の解決にもならず、皇室の危機は増すばかりです。

まずは私たちが「皇太子がいない」という現状を知り、政府の「嘘」を見抜いていくことが大事だと思います。

文責 福岡県 ゾウムシ村長

【参考】
■皇室典範
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000003

■『ゴー宣ネット道場』以下のブログ
「皇太子と皇嗣」2020年2月21日
https://www.gosen-dojo.com/blog/25551/
「「立皇嗣の礼」では何も確定しない」2020年3月3日
https://www.gosen-dojo.com/blog/25667/
「皇位継承の「直系」主義」2020年3月29日
https://www.gosen-dojo.com/blog/25910/

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1 件のコメント

    ナクラ

    2020年5月23日

    男系男子に拘る方の危機管理能力はどうなっているのでしょうか。
    今、コロナ対策でバタバタしていますが、韓国、台湾では、感染対策を準備しており素早い対応ができました。
    日本は対策を先送りして、医療関係の整備が遅れ、危ない橋を渡りました。
    防災対策を先送りして、東日本大震災で原子力発電所で被害が出たのも記憶に新しいところです。
    何事も、危機管理能力を持ちたいものです。

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