放送中のNHKドラマ「大奥」は、よしながふみ原作の漫画を森下佳子が脚本化したものです。徳川の世となって間も無く日ノ本中に赤面疱瘡(あかづらほうそう)という若い男だけが罹る奇病が流行って男の数が激減し、女が世を動かすように変わっていくという世界観です。三代将軍・家光が赤面疱瘡で死去すると、乳母・春日局(斉藤由貴)は家光が城外でつくった娘を江戸城に迎え入れて男(家光)のフリをさせました。そして春日は、その女家光(堀田真由)との間に男子をもうけるために男だけの大奥をつくりました(春日の大義は再び戦乱の世に戻さないために徳川家を潰さないこと)。家光に当てがうために大奥に入れられた万里小路有功(福士蒼汰)は、不遇な生まれ育ちのせいで曲がっていた家光の心を癒し、2人の間に子は出来ませんでしたが、やがて本当の恋仲になりました。
その頃、赤面疱瘡の蔓延は日ノ本中を立ち行かなくしており、すでに農工商は女が家業も継いでいましたが、いざという時には戦うという建前の武士だけは男が家督を継ぐルールを崩せずにいました。しかし、春日局が死去すると、今まで御簾から顔を出さずに男のフリをしていた家光は、御簾を上げて自分が女であったことを明かし、集めた大名らの前で次のように宣言しました。
家光「三代家光公は赤面疱瘡によって身罷られた…徳川も女が家督を継がねば立ち行かなくなった…そこもとらと同じようにな…よって以後、女の家督を許すこととする…今日より私は父・家光公の男名を名乗ることとする…わしは父の名代、将軍という名の人柱じゃ!万が一このまま男子が減り続け、この世が滅ぶというのなら、わしも共に滅ぶまでのこと!誰か、わしが女将軍になることに異存はあるかい!?」
上記した女家光の宣言にある「この世が滅ぶ」とは、武家の支配する世が終わるという意味でしょうか。そして、適齢期の男だけが罹る奇病の蔓延という危機にあっては家督の男系継承に固執することは因習と化していたのです。武家の家を女が継ぐことは新たな伝統を模索した結果です。
現在NHKは「大奥」を朝となく昼となく何度も再放送しています。今これを映像化して繰り返し放送する意義を理解しているなら、NHKは公共放送としての本分を果たしていると言えましょう。
そして、「ファーストペンギン」の時も書きましたが、やはり森下佳子は保守のナショナリストだと私は感じました。
文責:京都のS
「ファーストペンギン」について書かれたブログはこちら
3 件のコメント
京都のS
2023年2月3日
urikani様、第4回は堀田真由の演じる女家光がサイコーでした(上記文中の宣言も第4回)。第5回からは綱吉編になりますが、幕末の描き方が最も気になりますね。
朝ドラは観ていませんが、家業の継承は女性でも「問題は無し!」(Adoの声で)です。血統より家系だと西部師匠も仰ってましたね。
urikani
2023年2月2日
「大奥」評判いいようですね!
私は見てないんですが(;^ω^)
朝ドラ「舞い上がれ!」では、リーマンショックでピンチに陥っていたネジ工場の社長が亡くなり、社長の奥さんと主人公である娘で見事立て直しました!
( *˙ω˙*)و グッ!
京都のS
2023年2月2日
「女子が家督を継ぐことに賛成?」と聞かれたら「もちの論助じゃあ!!」と答えましょう(笑)。