笹幸恵さんの質問状と長島議員の回答

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ジャーナリストの笹幸恵さんが皇位継承問題について長島昭久議員に送った質問と、長島議員からの回答を掲載します。

(笹さんの質問1)
「皇位の万世一系とは、形式的な皇位の継承ではなく、遡ると必ず初代天皇に行き着く『血統』の連続性」だと書いているが、その血統は、なぜ男性に限られるのか。なぜ女性ではダメなのか。

(長島議員の回答1)
そもそも「男性に限られ女性はダメ」というのは、事実誤認です。皇統において限られるのは男系であり、男性ではありません。したがって、男系女子は皇統に含まれ、女系男子は皇統に含まれません。
いずれにせよ、我が国の皇統が初代以来約2000年にわたり「男系」のみによって継承されてきた歴史的事実を重く受け止めます。この点は、政府見解も歴代首相の国会答弁も「男系」ないし「男系重視」で一貫しております。
たとえば、現行憲法制定時の内閣法制局「想定問答」は「皇統は男系により統一することが適当であり、少なくとも、女系ということは皇位の世襲の観念の中には含まれていない」とされ、
平成24年の野田佳彦首相答弁でも「古来、ずっと長くそういう形(男系継承)で続いてきたことの歴史的な重みというものをしっかり受け止める」と述べています。

(笹さんの質問2)
皇位継承が男系男子と定められたのは明治時代だが、女帝が不可となったのは「今の世情が男尊女卑だから」。
現在の皇室典範も明治典範を踏襲しているが、令和の今、それが妥当だと考えるか。またそれはなぜか。

(長島議員の回答2)
明治時代に井上毅を中心に皇統の歴史に関する関連古文書を渉猟し精査した結果、皇統が初代以来「男系」により例外なく継承されてきた事実を確認した上で、当時の社会規範に照らし女帝を不可として『皇室典範』(明治典範)が定められたものと理解しております。
したがって、皇位継承の根本原理である「男系継承」が維持される限り、古来の先例に倣い女帝の即位を否定するものではありません。
ただし、女性による皇位継承を認めた場合に、その配偶者をどうするか、その子への皇位継承をどう考えるか、をめぐり初代天皇以来の男系継承の伝統が崩れてしまいかねない皇室の正統性に関わる重大問題が惹起されることを懸念します。
また、今日の憲法学における最高権威の学説でも、以下のように現行憲法下での皇位の「女系」継承は否定されています。たとえば、美濃部達吉東京帝国大学教授「皇統は専ら男系に拠る」(『日本国憲法原論』)、
宮沢俊義東京大学教授「我が国では皇族の身分をもたない者は皇位継承の資格はないが、皇族の身分をもつためには、かならず『男系』により皇統に属することが必要」(『憲法(改訂版)』)、佐藤幸治京都大学教授「皇統は男系性を要求される」(『憲法(第3版)』)などをご参照ください。

(笹さんの質問3)
古代は男系・女系の双方が機能する双系的な社会であり、男系継承はシナの父系制の影響によるところが大きい。シナの影響を多分に受けている「男系での継承」は、本当に日本の伝統であり、かつ「あるべき姿だ」と考えるか。

(長島議員の回答3)
「古代が双系的な社会である」とか「シナの影響」云々についてはそのような説を唱えている学者が存在することは承知していますが、皇位継承に関する私の考え方とは全く無関係です。
むしろ、古代における皇位継承をめぐっては、母方も男系で継承されている例はあるものの、男系が断絶して母方のみで継承している例はないものと承知します。飛鳥から奈良時代に女帝が誕生したのは、権力闘争の結果ではないでしょうか。
すなわち、飛鳥時代は蘇我系と非蘇我系の争い、奈良時代は天武系の中で草壁皇子(持統天皇の唯一の皇子)の系統に次がせるべく起きた争いです。それでも、男系継承は貫かれました。
したがって、我が国有史以来の皇統の歴史的事実に鑑み、「男系継承」を堅持することが、今日においても皇位継承の「あるべき姿」であると考えます。

(笹さんの質問4)
このまま男系継承のしばりが続けば、悠仁さまのお妃が絶対に男児を産まなければならない。自分の努力ではどうにもならない出産や性別を一人の女性に強要することは妥当だと考えるか。

(長島議員の回答4)
皇統の歴史に則り、可能な限り男系継承を追求するべきであるとの考え方に些かの揺るぎはありませんし、ご懸念の点については、悠仁親王殿下及び旧宮家子孫の方々のお子さまが全員女子だった場合に、初めて他の手段を検討する必要性に直面するものと考えます。
少なくとも、現状の皇位継承順位を変更する必要性を認めません。
また、男児出産の圧力(ここで敢えて「強要」との文言は用いません)につきましては、仮に「直系継承」を採ったとしても、男女児に拘わらず皇室を存続させるためには、出産圧力は同様にかかってくるものと考えます。
むしろ、皇統における重要な先例の一つである「傍系継承」(皇室の藩屏として直系以外に幾筋も傍系を準備しておく)に従うならば、直系のお后である一人の女性に過度な出産圧力はかかりにくくなるものと考えます。

(笹さんの質問5)
「男系の血統」を重視するあまり、旧宮家系の男系男子を養子とする案があるが、ひとりの国民男性の人生を血統によってより分けることは「法の下の平等」「門地による差別の禁止」に反しないか。また人の一生を将棋のコマのように右から左へと動かす、それが現実的に、本当に可能だと考えるか。

(長島議員の回答5)
この点が、現行憲法上、最大の争点になると思います。但し、皇位の世襲による皇室の存在は、憲法14条の法の下の平等の例外とされることに異論はないと思います。それ故、皇室典範第一条が女性の天皇を禁止したことは憲法違反でないと解されるべきで、それが政府見解でもあり憲法学界の通説です。
それでも、かつて皇族だった旧宮家の子孫とはいえ今日では一般国民である方々を、他の一般国民とは(その出自の故に)一線を画して皇籍を取得する、あるいは養子として皇室に迎えることについて、門地による差別に当たるのではないかとの疑義が呈されることには一理あると考えます。
ただし、これも憲法学の最高権威の一人である芦部信喜東京大学教授が唱えた「合理的区別論」に従えば、①目的が必要不可欠な公共的利益に資するもので、②その手段が必要最小限度のものであれば、「合理的区別」として差別に当たらないとされますから、
憲法および皇室典範により認められた皇統に属する男系男子による皇位の継承を確保する(との公共的利益に資する)目的に照らし、恒久法ではなく「特措法」という必要最小限の手段で、旧宮家の男系男子孫を養子に迎える、もしくは皇籍を取得していただく法制度を整えることについては、
「門地による差別」に当たらず、「合理的区別」と解すべきと考えます。しかも、皇族になられるということは、ほとんどの人権の行使を制約されることを意味し、およそ「特権」と呼ぶにふさわしいものではないことも付言しておきます。

(笹さんの質問6)
天皇を敬愛するか。またその理由は何か。女性・女系天皇が即位した場合、その敬愛はなくなるのか。それはなぜか。

(長島議員の回答6)
天皇陛下は勿論敬愛していますし、仮に女性天皇、女系天皇となろうともそれは変わりません。しかしながら、今ここで議論しているのは「皇位継承のルール」の話です。
繰り返し述べてきましたように、有史以来126代、約2000年にわたり例外なく男系継承されて来た皇統の歴史の重みを考えれば、可能な限り男系で継承していくための方策を追求すべきであると考えます。

(笹さんの質問7)
皇位の継承を少しでも安定的なものにする、これは国家のあり方を考えていく上での大前提だが、男系の血統こそが正統だというのは、ご自身の安全保障政策と同様、観念論ではなく、現実的な視点で熟考された上での発言か。

(長島議員の回答7)
上述したように、皇位の男系継承は歴史的事実であり決して観念論ではありません。日本国が日本国であり続けていくためにも、皇統の歴史と伝統は今後とも堅持されるべきものであって、その正統性こそが天皇の権威を確立せしめる本質だと考えます。
したがって、その皇位継承を安定化させるために、現在の閑院宮系に加え、「世襲親王家」たる伏見宮系に連なる「皇統に属する男系男子」のご子孫に新たに皇族に加わっていただき、皇室の藩屏としていざという時のためにご準備いただくことこそ最も現実的な方策であると考えます。

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6 件のコメント

    ゴロン

    2023年2月23日

    自民党等の多くの国会議員に聞いても、こんな回答なんでしょうね。長島氏はご自分で読んでいるのでしょうか。
    すべて気持ち悪い答えですが、一番気持ち悪いのを2点だけ。
    「旧宮家の男系男子孫を養子に迎える、もしくは皇籍を取得していただく法制度を整えることについては、「門地による差別」に当たらず、「合理的区別」と解すべきと考えます。しかも、皇族になられるということは、ほとんどの人権の行使を制約されることを意味し、およそ「特権」と呼ぶにふさわしいものではないことも付言しておきます。」
    この説を有権者が「ああ、そうですよね」と納得すると思っているのか。「この方は特権が与えられるのではなく、人権を制限されるのだから、他の人は、同情して敬ってあげてね。」と言っているようだが、気は確かか?それを門地による差別というのではないか。
    「「世襲親王家」たる伏見宮系に連なる「皇統に属する男系男子」のご子孫に新たに皇族に加わっていただき・・」
    そんな大層な肩書を付けても、その者もただの国民です。そもそもGHQが関与しなくても、大正9年の皇族降下準則で伏見宮系は、現在は消滅しているはずです。
    基礎医さんの言う通り、「もはや時間がない」のが、何故、国会議員は解ろうとしないのか。私益だけだからなのでしょう。もう答えは出ているので、Twitterじゃなく、国会で議論を進めて欲しいものです。

    殉教@中立派

    2023年2月22日

    (後半部です)
    長島4「お子さまが全員女子だった場合に、初めて他の手段を検討する必要性に直面するものと考えます。(中略)男女児に拘わらず皇室を存続させるためには、出産圧力は同様にかかってくるものと考えます。」
    回答4「『万策尽きたら女性天皇』って、まだそんな事言ってんのか。時代遅れの化石らしいね。あと、皇族方に止む無く圧力をかけてしまうなら、『より負担の軽い方(子供の性別を問わないこと)』を選ぶのが、気遣いであり、皇族方への感謝だろうが。アンタは『皇族身分をやっていただいている、有難い』など、一度も考えた事が無いだろうな。」

    長島5『恒久法ではなく「特措法」という必要最小限の手段で、旧宮家の男系男子孫を養子に迎える、もしくは皇籍を取得していただく法制度を整えることについては、「門地による差別」に当たらず、「合理的区別」と解すべきと考えます。』
    回答5「んな勝手な法解釈しやがって。『合理的区別』なんて、アンタの物差しで使える武器じゃなかったね。○○に鉄砲とはこの事か。また『特権』『差別』は、プラスとマイナスのベクトルは違うが、どちらも『門地による差別禁止』の、一直線上にある概念だ。他人の人権を奪って、恬として恥じぬ奴が、政治家を名乗るな。」

    長島6「天皇陛下は勿論敬愛していますし、仮に女性天皇、女系天皇となろうともそれは変わりません。」
    回答6「敬愛と言う割には、双系継承にごちゃごちゃ文句を付け、陛下や皇族方に、余計なご心労を強いているではないか。『愛しているからこそ、君に暴力を振るわなくてはいけない』と思い込む、DV夫と同レベルじゃないか。」

    長島7「『皇統に属する男系男子』のご子孫に新たに皇族に加わっていただき、皇室の藩屏としていざという時のためにご準備いただくことこそ最も現実的な方策であると考えます。」
    回答7「憲法違反のアイディアを『現実的な政策』扱いするとは、流石のモンチッチ・モンチロチョウ振りだなあ。これで安定化するのは、お前の支持者からの支持率だけであり、皇位の継承は安定しない。あと現代の民衆が、『男系』に権威を感じている、みたいな言い方をするな。幅広く民衆に語り掛け、彼ら彼女らの(素朴な)考えを知ろうと努めるのが、政治家というもの。アンタはむしろ、一部のカルト信者に崇められる、教祖サマに似ている」

    殉教@中立派

    2023年2月22日

    みんなの最近の論破、ますます磨かれている。上手く言えないが「危機感を滲ませた怒り」が伝わってくる。自分もまた、久々に「論破させてクリ」に参加したい。という事で前半部。

    長島1「我が国の皇統が初代以来約2000年にわたり「男系」のみによって継承されてきた歴史的事実を重く受け止めます。」
    回答1「欠史八代が男系継承されたという、証拠を持ってこい。あと『女系男子は皇統に含まれません』の発言は、ケケ内のコピペだ。愛子さまの子は『女系の皇族』であり、キッチリと(皇族に)含まれる存在だ。ボーダーラインを勝手に引き直すのはヤメロ。」

    長島2「ただし、女性による皇位継承を認めた場合に、(中略)男系継承の伝統が崩れてしまいかねない皇室の正統性に関わる重大問題が惹起されることを懸念します。また、今日の憲法学における最高権威の学説でも(後略)」
    回答2「高市早苗と同じく『女性天皇は反対しないが~』と前置きして、結局は反対している矛盾よ。しかし、随分とホコリを被った時代の『最高権威』を引っ張り出してきたなあ。権威主義に溺れる前に『目の前の危機』を、正しく認識しろ。アンタは災害時、いつまでも『古い避難ルール』に囚われ、逃げ遅れてしまえばいい。」

    長島3「我が国有史以来の皇統の歴史的事実に鑑み、男系継承を堅持することが、今日においても皇位継承の『あるべき姿』であると考えます。」
    回答3「倉山の技『ご都合主義の歴史解釈』を会得したか。『草壁皇子を経由したので男系継承』って台詞、お前らの鉄板だけどよ。継承はあくまで、先代天皇ー次代の天皇の、2者のみで判断するんだよ。一般国民にとって、自然に受け入れられる継承こそ、現代の『皇室と民の相思相愛』の鍵となるのだ。」

    mantokun

    2023年2月22日

    ここまで来るともはや信仰の域ですね。まさか現職の国会議員の男系男子継承への執着がここまで酷いとは思いませんでした。
    着地点を絶対に「例外なく2000年続いてきた男系継承の重み」に持っていくので、会話が成り立たない。人の話を聞くつもりが全くない。

    皇統が例外なく男系で2000年続いたなんて誰にも証明できないし、そんなものを今生きている方々の権利を侵害し、名誉を傷つけてまで絶対的に履行しなくてはならない理由はない。
    何で誰かに極端に負担がかかる制度を、憲法違反には当てはまらないから今後も変更せず続けようだなんて平然と言えるのか。所詮人ごとで、自分が何かの責務を負うわけじゃないから別にいいやと軽く考えているとしか思えない。

    今の皇室典範の皇位継承法は人道上の見地からも問題だし、実現不可能なんだと言ってるのに、たったそれだけのことがなぜ通じないのか。
    百万歩譲って、旧宮家系国民男性の皇籍取得が門地による差別に当たらなかったとしても、旧宮家の子孫だというだけの生まれた時から一般国民だった人から、どんな正当性をつけて、国民として保障された数々の権利を剥奪するんですか。それも、天皇陛下の直系の立派に成長されたお子様がいらっしゃるのに、その方は女性だから皇位は継がせませんなんて理由をつけて。

    今、世界的にLGBTの権利保護や女性の社会進出後押しが呼びかけられている世界情勢の中で、一応先進国と見なされている日本が、そんな異常極まりない人権侵害を堂々とやらかすことが可能かどうか、またやったが最後、世界からどんな風に見られるか、想像すらできないんですか。
    長島議員のホームページには「未来に誇れる日本へ!」と書いてありましたが、そんな人権侵害と差別がまかり通る日本の未来の何に誇りが持てると思うんでしょう。

    そもそも、旧宮家子孫の皇籍取得案が俎上に上ってから10年は経ちますが、いまだに誰一人皇族になってもいいという候補者の影も形も見えないのに、こんな案が実現可能だと思って期待してる国民なんか、男系男子固執派の人たち以外誰もいません。
    旧宮家の子孫の方々は皇族や天皇になりたくないから名乗り出ないんだろうとしか思わないのが普通ですが、長島氏のような男系男子派の国会議員は、そんな人の首根っこをつかまえて無理やり皇族にしようとでも考えてるんですか?現職の国会議員がそんな憲法無視と権力濫用を目論んでいるなんて、皇統断絶とはまた別の問題で恐怖です。

    旧宮家系国民の皇籍取得などという案は某研究者の言葉を借りれば、それこそ「空前絶後の重大な先例やぶり」なのに、なぜそれはあっさり許されるのか。
    男系男子固執派は「皇位継承について新儀を定められるのは、当事者たる天皇陛下のみ」という根本の大原則をわきまえないから、どんどんドツボにはまって、論理が破綻した現実化不可能な妄想と暴論ばかり言い出す。
    国民の8割が望む敬宮殿下の皇位継承を「2000年続いた男系継承の重み」などというあやふやな観念で潰そうとし、さらにそのために恣意的な憲法解釈をして国民の権利を侵害することに一切の躊躇がない長島議員は、国会議員として能力や適性に疑問がつく以前に、もはや危険思想の持ち主だと思います。

    urikani

    2023年2月22日

    笹さんがこの長くて中身のない返答に再び質問をされていますね。

    「長島議員に再度聞きたいこと(前半)。」
    https://www.gosen-dojo.com/blog/39006/

    チーム長島がどのような返答をされるか楽しみです笑

    基礎医学研究者

    2023年2月22日

    貴重な情報、ありがとうございました。まず思うのでは、「ダンケー」でもケケ田やクミコ、のような、エキセントリックな言動、あるいは、知識の粉飾はして煙にまく論法はとりつつも、「まず男系があって~」という本音をさらけ出す倉山とは、異なる答え方なのだということが理解できました。で、なるほど。今回の笹さんへの返信は、この問題をよく知らない人、さらに関心の薄い人が見たら、一見エキセントリックな感じもしないし、官僚の答弁のような答え方なので、「もしかしたら、騙されてしまう人もいるのでは?」という警戒感を、感じます(長島議員自身が、この回答をひねり出したのならばある意味大したものですが[前者の方々よりは手ごわい]、まーさんが別のブログに書かれているように、自分も違うと思います(私は、官僚のアドバイスがあったのではないかと思います))。
     さて、自分自身はどうかというと個別には長くなるので、ここでは質問6と質問7の回答にしぼって意見を書きます。
    質問7については、男系継承を「歴史的事実」と言い切ってしまうところに、やはりドグマ(教条主義)を感じます。最大限好意的に見ても、系図をそのようにみることもできなくはない、という程度。それでも、「天照大神以来の神話からの連続性」、「神武天皇の次からの欠史8代の問題」、および「女系継承は存在した事実」に関する矛盾はあるので、男系継承こそが「観念」なのではないかと思いますが、いかがでしょうか?でも、これは「皇位継承」の問題に関心を持ち、ある程度「思考」を積み重ねているから指摘できることかもしれず、政治家がこのようなミスリードを意図的にすることには、問題を感じます。そして、さりげなく「皇位の継承を安定化させるために「旧宮家」を復活させて・・・」というのは、正面から言えることなのでしょうか?旧宮家の方々が「どのような意味で特別なのか?」を国会でどう説明されるのかは正直見物ですが(失礼ながら)、それならば「旧宮家の子孫の方々は、生まれた瞬間から一般国民」という事実は、是非正面から論じてほしいと思います。
     しかし、本質は質問6で、長島議員が「皇室はもちろん敬愛していますし、仮に女性天皇、女系天皇となろうともそれは変わりません」というのならば、現在の男系男子の縛りこそが、「皇位の安定継承」を脅かしている、という現実に向き合うべきだと、自分は思いますが(私見では、笹さんのこの質問は、長島議員にそのようなことを諭しているのであり、別にその場の討論に勝とうと思って指摘されているわけではないと思いますが)。
     繰り返しになりますが、今回のような回答をみると、まるで現在の「皇位継承問題」が、「男系継承」に正当性があるのか?それとも「男女関係ない直系継承」に正当性があるのか?という歴史正当性論争のような印象を国民一般にあたえそうですが、それはすでに決着のついていることであり、国会でそのようなことを議論している時間はないはずなのです。ましてや、現政府のように先延ばしにしているゆとりもないなのです(その意味では、主張には賛同しませんが、「維新の会」が国会でそのことを指摘したことは、評価できます)。いかがでしょうか?
     最後に、自分が申し上げておきたいのは、「もはや時間がない!」ということに尽きると思います。ですので、政治家は変な論争でミスリードすることや先延ばしをすることなく、この問題に限っては、党派を超えて「皇位の安定継承への道」、すなわち「皇室典範」を改正することによって、男女関係なくできるだけ長子優先で直系継承への道を開く、また「女性宮家の創出」の道を整備する、ということになると思います。それこそが、「皇室の弥栄」を願うことだと、思う次第です。

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