倉持麟太郎氏の動画、「このクソ素晴らしき世界」で、元内閣法制局長官・阪田雅裕氏と対談しています。倉持氏の圧巻の説明&質問と、阪田氏の淡々とした回答に注目です。
無知な国会議員は完全に論破されていますね。
「法の番人」は誰か? ゲストは元内閣法制局長官! 倉持麟太郎「このクソ素晴らしき世界」#82 presented by 8bitNews
https://www.youtube.com/live/zPHWXccYNag?feature=share&t=2049
※できるだけ動画に忠実に文字起こししましたが、内容を変えない範囲で読みやすくしている部分もあります。
倉持氏:坂田先生に来ていただいたので小泉内閣時代の法制局長官でいらしたということで、もちろんその時の話ともその後の話もいろいろお伺いしたいんですが、一つは今日はせっかくなので大きな話というかですね、憲法で言うと1章2章みたいな話をちょっとぜひお伺いしたいと思っていて。今、私も結構個人的にあの興味があるというかいろいろ法律家になってから接する機会が多くて、追っているこの国の形アイデンティティにも関わるものだと思ってるんですが、皇位継承の問題がありますね。小泉内閣の時は女性天皇もそうですし女性宮家も女性女系、そして女性宮家まで踏み込んだ報告書を出されて、っていうことがあってその後ただ、悠仁様がお生まれになってですね、1回頓挫して今に至るわけですけども。当時の、その空気というか雰囲気とかあとは法制実務も含めてどういう状況だったんですか?
阪田氏:今の陛下の後の皇位継承者が存在しないという状況の、悠仁親王生誕前でありましたからね。という状況でやっぱり相当内閣としても必死の思いというか何とかしなければという思いだったのだと思いますね。だからあの典範の解釈についてずっと勉強を。確か諮問会議あったんですかね。
倉持氏:そうですね。
阪田氏:法案の準備を進めていたことは事実です。
倉持氏:かなり閣議決定手前ぐらいまで行って。
阪田氏:そうですね。女性天皇を前提に立法準備をしていたと記憶しています。
倉持氏:でも悠仁様がお生まれになって…。
阪田氏:お生まれになるというか、秋篠宮妃が懐妊をされたという時点でもちろん作業をストップしたという。
倉持氏:先生はちょうど予算委員会で驚いた小泉さんを目の当たりにしたとおっしゃってましたよね。
阪田氏:法案の閣議決定を、スケジュールの中に入ってた時点でなったものですから、総理に驚かれていたのを記憶していますね。
倉持氏:1回流れてしまってというか、ずっとその話が進まずに政権交代もありですね。で第1次安倍内閣で第2次安倍内閣となって、2016年に今の上皇陛下のお言葉があってですね、生前退位の制度を恒久的なシステムとして作るべきだという趣旨のお話があって。で2017年の6月に特例法という形で 生前退位が一応実現をしたとで。で平成29年だから2017年の6月7日に生前退位特例法ができてですね。でやっぱりもう、いくら悠仁さまお生まれになったとはいえ、結局そう考えるとまあ皇太子が今いない状態で。皇嗣しかいない状態でいるわけで、もし何かあったらって話も含めてかなり 緊迫した状況だと思うんですね、皇位継承者に関しては。それもあって生前退位特例法の 時に、(スライドの)赤字のところですけども、安定的な皇位継承を確保するための諸課題女性宮家の創設等について先延ばしにすることはできないと。その結果を速やかに国会に報告することってことを付帯決議で決めたんですよ。で、安定的な皇位継承を確保するためにちゃんと報告をしなさいと言ってこれ2017年に決めたにもかかわらず今も2023年で、もう6年経ってますが一向に進展がない中で令和3年、2年前ですね、2021年の年末に岸田総理のもと、有識者会議を作って報告書を出してですね、これが安定的な皇位継承の話から皇族数の確保っていう話に相当話が矮小化されてまして。
倉持氏:でこのプランとして2つ(①内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を確保することとすること②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること)こういう報告っていうのを出してます。その有識者会議が 報告という形で本当にいろんな方々にヒアリングもして、ここに、配信にも来てくださった君塚先生もヒアリングの対象に入ってますし、憲法学者の先生等々も入っていると。この報告書が出した案というのが女性宮家を作るとか女性天皇を認めるとかいう話は一切触れずに一つは内親王、女性皇族が 婚姻した後も皇族の身分を離れることなく皇族の身分を確保したままにするっていう案と、皇族にも認められていない養子縁組、今認められてません、これを可能として皇統に属する男系の男子を皇族とすることと。想定されているのは 旧宮家、11宮家の方を養子縁組として入れるってこの2つの案を出したわけです。で、一番の話もですね皇族の身分のままで一般男子と結婚すると憲法24条はその夫婦は同権だって書いてあるのに一方は権利制限される、まだ皇族でいるのかどうかとかいろんな問題があるんですけども、②の方が非常に憲法上問題があるというふうに指摘がありました。東京大学の宍戸先生、憲法学の先生が書いてますが法律等で養子たルール資格を皇統に属する男系男子に限定する。つまり養子として選ばれる資格っていうのを一般国民全員全員ではなくて、皇統に属する男系男子その旧11宮家の人みたいな風に限定するとするならば、一般国民の中での門地による差別に該当する恐れがあるという指摘をされてます。
倉持氏:で、門地による差別ってなんやねんと。もう響きからすると皆さんカタカナかもしれませんこれ。一応憲法14条1項に書いてありまして、全て国民は法のもとに平等であって人種信条性別社会的身分または門地、生まれですね、によって政治的経済的または社会的関係によって差別されない。この門地に反するという風に指摘をされています。でこれは憲法学者の先生方からも一部指摘があるところで。やっぱりその非常に正当性が一番厳密に問われる存在だと思うんですね皇族の方々っていうのは。憲法上疑義があるような制度の下で皇族になるということは非常に問題であると思いますけれども、これ内閣法制局長官であった先生からしてこの指摘っていうのは、宍戸先生の指摘がどうお考えになるかなと思って今日ぜひお伺いしたいと思ってたんです。いかがですかね。
阪田氏:ちょっと門地にあたるといえばその通りだろうと思いますし、やっぱり旧皇族のいわば皇室復帰ということなんでそれはどれだけ国民の納得感が得られるかということだろうと思います。まあそういう意味ではちょっとなかなか国民の理解得にくい案なのかなと思いますけどね、養子にというのは。旧皇族がどういう方がいらっしゃるのか私も全然知らないんですけど。もう今の憲法になって70年以上近く経つわけですよね。おそらく国民の中にもあまりかつての皇族に対する敬意みたいなのは失われていると思いますのでね。突然その方々がまた皇族に戻られるということもなかなか理解がされないんじゃないでしょうか。
倉持氏:憲法上もやっぱりこの宍戸先生みたいな恐れっていうのはありるっていう風にお考えでしょうかね。
阪田氏:そうでしょうね。おっしゃるように、憲法上、疑問があるというような…。天皇は本当に日本国憲法第1章でありますからね。国民の総意に基づくと書いてもあるわけですから。多くの方から納得できるような形じゃない皇族、天皇というのはやっぱり問題がある だろうと思います。
倉持氏:小泉総理の時もそうだったのかもしれないですけど、もう亡くなってしまいました安倍晋三氏が割とこの皇室問題に関しては消極的だなって印象私は当時生前単位の時にこのプロセスに関わっていて感じていたんですけども、なんかその辺の印象って坂田先生ありますか。
阪田氏:私も直接そんなことについて安倍元総理とお話ししたことはないので推測でしかありませんけれどやっぱり男系男子ということに対する強い思いがおありだったのかなというふうに思いますね。
倉持氏:その辺の坂田先生ご自身のお考えというのは。やっぱりもう女性は…。
阪田氏:いや、もうやっぱりそれは。男系男子であることを要件とはしていないと。もちろん憲法上も、思いますし、今の時代ですから本当に男女を問うという考え方自身が理解できないですね。
倉持氏:そうですよね。ありがとうございます。
9 件のコメント
ダダ
2023年3月17日
時代が変われば立法事実も古くなる等、憲法を生かすための心得を学ばせて頂きました。
それにしても、女性天皇のくだりは即答でしたね!
30:30あたり。
倉持氏がある最高裁判事の発言に触れ、最高裁には憲法の専門家がいないので憲法判断(とくに内閣法制局が合憲と判断したものに対して)には及び腰。
内閣法制局と最高裁では憲法判断の覚悟が違う。が参考になりました。
これは、違憲となる養子案の実現を求める【皇室の伝統を守る国民の会】の会長:元最高裁判所長官への間接攻撃となっていますね。
https://kdentou.com/
この会の役員について
田中恆清(神社本庁総長)は分かるとして、
桂由美(全日本ブライダル協会会長)
古森重隆(富士フィルムホールディングス株式会社元会長)
須田寬(東海旅客鉄道株式会社顧問)等、有名企業の社風が心配。。
それから、
野村万作(狂言師)
片岡仁左衛門(歌舞伎俳優)
舞の海秀平(大相撲解説者・元力士)
山下泰裕(東海大学副学長・元柔道選手)は職業柄、伝統という言葉に弱いのかな。。
かずず
2023年3月13日
中々動画見る機会ないので、文字起こしすごい助かります。ありがとうございます。私も旧皇族の復帰は、国民に受け入れられるとは思わないですね。
ユディト
2023年3月12日
倉持先生、ありがとうございます。また書き起こしも大変ありがたく読ませていただきました。まっとうなご意見だと思います。このようなお考えを元内閣法制局長官 阪田雅裕先生が示された事は大変重要なことですね。政治家は襟を正して受け止めるべきです。自分たちの都合のいいように皇位継承問題を扱っていては、いつか自分の首を絞めることになります。
uki
2023年3月12日
書き起こしでよく頭が整理されました。ありがとうございます。
この真っ当な論理が国会議員レベルでなぜ浸透していかないのか?が問題ですね。
ただし
2023年3月11日
書き起こし、どうも、ありがとうございました。
とても、勉強になり、また希望が湧いくる内容でした☆♪
倉持弁護士、そして、愛子さまサイトの方々、どうも、ありがとうございます!!!
(*^0^*)
チコリ
2023年3月11日
悠仁さまがお生まれになったからと言ってなんの解決にもならないのに、男系論者は、「男さまが生まれた!男さま誕生!」と神風呼ばわりで感涙かっ!聞いて呆れるわ!
小泉首相がハッとしてグッときてパッと目覚めて、これでひとまず安心、と棚上げになったのか? 何やってんだかっ!
生放送聴き始めたら、食後と仕事疲れで眠くなってまだ全然ちゃんと聴けてません。
でもこうして文字起こしを読むと、倉持氏ガンガン畳み込み詰めていますね、皇統問題に対する真剣さと情熱がひしひしと伝わってきます。
「今の時代ですから本当に男女を問うという考え方自身が理解できないですね」遠回しな言い方とは言え、これがすべてです。
基礎医学研究者
2023年3月11日
書き起こし、いつも大変ご苦労様です。このようなアジテーションとは無縁の常識に基づいたお話しを聞けると、安心しますね(いまさらながら、やはりこの段階で「皇室典範」が改正されればよかったと思います)。
L.K
2023年3月11日
書き起こしありがとうございます。
とても常識的な考えですね。
ゴロン
2023年3月10日
良い話が聴けました。小泉時代に時最後まで進んでいて欲しかったですね。