【考えてみた】男系女系の定義、からの【愛子さま応援祭り】

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今更ですが男系・女系の定義を考えてみました。
後半には直系継承トリビアもあります。
お時間あるときにご一読くださいませ~(*´▽`*)

●男系・女系の定義
複雑に考える必要はなく、憲法(天皇条項)と皇室典範(皇位継承条項)において、どのような意味で使われているか、で判断できます。
他分野にあるか分かりませんが、法曹分野や遺伝子分野などにおける定義は関係ありません。外に定義を求めると、一般的には養子の世襲もあるので旧宮家養子プランは合法。というデタラメな解釈に繋がります。

憲法第2条:皇位は世襲のものであって(後略)
皇室典範第1条;皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

皇統に属する男系の男子という表現から、皇統には男系と女系が含まれていることが分かります。それぞれに男子と女子が含まれていることも分かります。
一方、憲法の世襲には、男系(男子・女子)、女系(男子・女子)の縛りがありません。
以上から、皇室典範における男系・女系とは世代間の属性と考えられます。簡略化すると天皇と子の関係です。従って、元明天皇(母)→元正天皇(娘)は女系継承です。

元正天皇も父親を遡ると神武天皇に繋がるから男系継承だ。という反論があります。
しかし元正天皇の父親:草壁皇子は天皇では無く、父から娘への皇位継承が確認できないので、男系継承とは見なされません。

時代背景から補足すると、当時制定されていた大宝令に「皇兄弟・皇子はみな親王とせよ【女帝の子もまた同じ】」という条文があり、女性天皇の子にも皇位継承資格があったことから、母から子への皇位継承が公認されていた社会と考えられます。そうでなければ【女帝の子もまた同じ】を明記しません。
私たちの先祖は、シナ文化(男尊女卑・男系主義・父系社会)を否定したのです。

別の視点から。
皇統譜(天皇の血統を示す公文書。安倍晋三一派に改竄されなくて良かった!)では、女性神の天照大御神が世系第1で、神武天皇は世系第6・皇統第1です。

男系固執派はこの皇統第1に男系継承の正当性を見ているのかも知れませんが、欠史八代の問題もあり、「男系継承が古来例外なく維持されてきた」(安倍晋三のセリフ)とはとても言えません。それは妄想の類です。
あの八木秀次ですら、令和・有識者会議で「歴史学では第10代崇神天皇が実質上の初代天皇と考えられている」と神武天皇を避けて皇統を語っています。それでも「一度の例外なく男系で継承されている」と述べていますが・・・(;一_一)

男系・女系という言葉が使われ始めたのは明治以降と言われています。
あえてその言葉を使うのなら、歴代天皇は天照大御神の女系子孫ということです。

●愛子さまを皇太子に
万世一系という言葉があります。
男系固執派は、この一系こそが男系だと妄信しています。
現に、施 光恒は直系カルトという言葉で、愛子天皇を否定しました。
(直系カルトは上皇陛下、今上陛下にもかかっています。極めて不敬です)
しかし、先に述べたように歴代の皇位継承は男系限定ではありません。

性別に関係なく皇長子を皇位継承順位1位とし、女性宮家を創設する。
憲法と皇室典範の枠組みを外れない(違憲・違法とならない)範囲で、これよりも安定的な皇位継承の方策があるのなら、男系固執派にはそれを示す責任があります。
現代には存在しない血縁集団の「姓」の観念に取り付かれて、直系継承を妨害するのなら、男系カルトと称されるのは当然です。

天皇と国体を形容するなら、万世一系よりも万葉一統。
男系・女系に囚われることなく、次世代に皇室を繋げていきましょう。
より安定的な皇位継承を実現するための皇室典範改正。

つまり、”愛子さまを皇太子に”です。

ちなみに、、、直系継承は江戸時代119代の光格天皇から126代の今上天皇まで8代続いていて、愛子天皇が誕生すれば9代連続となり最長とのことです! めでたいッ\(^o^)/

7月23日(日)に開催される 公論イベント【愛子さまを皇太子に】

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文責 茨城県 ダダ
(40代男性。継承と聞いて漫画ならジョジョ、ゲームならロマサガ2を思い出す派)

20 件のコメント

    mantokun

    2023年5月25日

    すみません、以下のコメントの、「陰謀論に染まった秋篠宮ご一家のアンチ以外は」は不要でした。別のことを書こうとしていた時の文章が残ったままになっていました…。失礼しました。

    mantokun

    2023年5月24日

    もともと論破祭りは女性天皇、女系天皇実現の論は上皇陛下の長年の悲願であり、それを実現しなくてはというところからスタートしているので、男系派と応戦されている方々もそこを論点にしていると思います。

    男系派が判で押したように「例外なく続いてきた男系継承を続けるべき」と主張してくるから女系継承はあったと切り返しているのであって、小林先生にしろ、公論戦士の方々にしろ、愛子様即位の唯一の根拠として「元明天皇から元正天皇へは女系継承だ」と主張してる人なんていない(と私は思う)ので、一体なぜ男系女系の厳密な定義にそんなにこだわる方がいるのか、正直理解できません。論点はそこじゃないですよ…。

    また、
    >「男系」かどうかに注意を払っていない多くの国民は、現在の皇室典範の「男系男子」の縛りがおかしいとは感じていない、絶対に改正しなければならないとは思っていない

    これはちょっと極端すぎるような気がします。基礎医学研究者様やふぇい様が度々、周囲の方に聞いた話を投稿なさっていますが、皇位継承に男系男子の縛りがあることを知っている人は、意外といないようですよ。
    それに、知ったら違和感を覚えるのが普通なので、今ごろ男系男子限定を知った上で続けろなんて言う人は、陰謀論に染まった秋篠宮ご一家のアンチ以外はカルト男系派か統一協会信者の可能性が大だと思います。

    私の母は昔から皇室ネタや古代史好きで男系男子限定継承も知っていますが、雅子様のご出産前に性別の縛りをなくす典範改正がなかったことをいぶかしんでいました。庶民の常識と、皇室の声なき声を政治家に思い知らせるのが難儀な世の中で嘆かわしいですが、小林先生ご自身もTwitterでの論破を大変頼りにしていると評価されているのですから、「「便所の落書き掃除」をいくらしても、「いたちごっこ」状態で、国会議員の大多数は男系固執派の大きい声に流れています」とまで書かなくてよいのでは?

    まー

    2023年5月24日

    ざっとではありますが、みなさんのコメント拝見しました。
    現状の認識や解決に向けての方法論は違えど、真剣に考えていることが伝わってきます。

    戦史などを読んでいても、後世から見れば当たり前の判断も、その当時の現場では色々な意見が出て判断が難しいのだなということが分かります。
    「男系継承」を推進する主体が何で、どういう構造で皇室軽視の現状があるのか、は後世から見れば自明なことなのでしょうが、同時代を生きる私たちには確定できません。

    つまり、どこを攻めるべきかは確定的に決められることではありません。現状に対する情報が不足しているのですから。

    各々が持つ現状認識から攻めどころを判断し、攻めてみましょう。
    それこそが個の連帯たりうる戦いであると思っています。
    戦ってみた結果、報告してくださいね。

    Dr.U うさぎ

    2023年5月24日

    みなさまから頂いたコメントを、ゆっくり咀嚼して、自分の考えを深めたいと思います。ありがとうございます。

    蛇足:ひなたさんのコメントは、かなり気になります。

    ひなた

    2023年5月24日

    「便所の落書き掃除」なら、なおさら「男系・女系」という用語を使わずに論破する方が良いですね。
    男系固執派が、「男系」という用語を使っても、「日本にはもともと男系という概念はなかった。父方と同様母方も世襲の上では重要だった。男系という概念は明治以降であり、たった150年程しか経っていない誇るほどのない概念である」と、それだけの反論で十分です。
    古代の継承の「元明天皇から元正天皇への継承を女系天皇である」と反論すれば、男系固執派の「便所の落書き」は、さらに増加しますし、あまり関心のない国民には、「男系・女系」という概念が日本の古代からあったものだと誤解を与えてしまいます。
    「男系」かどうかに注意を払っていない多くの国民は、現在の皇室典範の「男系男子」の縛りがおかしいとは感じていない、絶対に改正しなければならないとは思っていない、国会に任せておけばいいとしか思っていません。
    「便所の落書き掃除」をいくらしても、「いたちごっこ」状態で、国会議員の大多数は男系固執派の大きい声に流れていますし、ほとんどの国会議員は責任を取りたくないので積極的に皇室典範を改正する気がなく、その結果、どんどん先送りされます。
    男系固執派を説得する目的で「論破」しないのであれば、どのようにして「国会を動かす」ことができるのでしょうか?
    「国会を動かす」案の提示をお願いします。

    ダダ

    2023年5月23日

    Dr.U うさぎさん
    解説ありがとうございます。
    私が出自の概念を誤解していました。出自については男系出自・女系出自が否定されるので双系ですね。

    うさぎさんの仰るとおり、言葉の定義について信頼のおける文献・辞典を参照することは賛同します。
    しかし、男系・女系を「出自」に関連付ける用法に囚われる必要は無いと思います。
    うさぎさんが出自の定義から「関係」に着目し「双系」を導き出したように。

    出自を特定できない以上、「男系」男子という言葉に矛盾があり、男系派がよく使う「例外なき男系継承」は自動的に破棄されます。

    内閣法制局の見解には、出自と継承を切り離していること、世代間の皇位継承を想定していることが伺えます。
    内閣法制局執務資料 憲法関係答弁例集2『皇位は世襲のものであってとは、天皇の血統に繋がる者のみが皇位を継承することを意味し、皇位継承権者の男系女系の別または男性女性の別については規定していないものと解される。
    したがって、皇位を世襲とする限り、憲法を改正しなくても、女系または女性の皇族が皇位を継承することを可能にする制度に改めることが出来る。』

    私の考察結果を再掲しますが、憲法と皇室典範における男系・女系の用法から、元明→元正は女系継承(世襲)と判断できます。

    うさぎさんの見解は了解しております。変更を求めるものではありません。

    基礎医学研究者

    2023年5月23日

    (編集者からの割り込みコメント)
    この間、編集者として自分自身もコメントを書き、また編集ブログのコメントもみておりました。で、この間のやりとりを見てまして、長くなりますが、自分もさらに書かせていただくことにしました(なお、これは「編集チーム」でコンセンサスがとれた話ではなく、あくまでも、自分個人の意見でございます)。

    私、「男系継承」については、“そのような見方ができないこともない”という認識でございます(現に、産経新聞に意見・投稿したときにもそのような表現を用いました)。でも、逆にいうとその程度のもので、「皇位の安定継承」さらには「皇室の弥栄」とは関係のない話だと思います。

    Dr.Uさんのコメントを見ていて思いますのは、「男系」、「女系」の問題は学術論争として行っているのでしょうか?ということです。あなたが、以下の人類学の定義を出してきて、「男系」「女系」の厳密な定義を元に議論を深めたい!ということは、コメントのやりとりでよくわかりました。

    「出自とは、ある個人が過去の祖先との間に、その系譜的連鎖によってもっている関係をさす。そしてその系譜的連鎖の特定の形態が規則によって規定され、意味を付されているとき、出自は人の集団への帰属、集団の構成を決定する働きをもつ。・・・(以下、略)」

    なるほど、そうなのでしょう。自分は遺伝形質を持ちいた「系統学」しか知りませんが、「系統」というものが「世代から世代に続き、共通の祖先に由来する」と定義され、それが系統樹という仕方で表現されることと照らし合わせると、似た概念であると思います。系統学では、男系とか女系という言い方はなく、「父系」および「母系と」いう定義がされ、このときにY染色体は父親からのみ伝達されるので、父系の系統をたどれます。一方、ミトコンドリアDNA(mtDNA)は母親からのみ伝達されるため、母系の系統をたどれます(母親のmtDNAは男子にも伝達されますが、精子由来のmtDNAは次世代に伝達されません)。で、これならば、Y染色体は男→男→男で女性は入ってこず、男系女子などという概念はでてきません。一方、mtDNAは女→女→女で男性は入ってきません。それゆえ、男系という概念は女性天皇が即位された時点で成り立たないはずであり、また元明天皇から元正天皇への継承は女→女なので、母系ということになろうかと思います。

    しかし、ブログ主のダダさんも書かれたように、「皇統」に遺伝子などの外からの概念を持ち込むのは、“為にする議論”だとやはり自分は思います。そしてDr.Uさんは、結論としては“「双系」という言い方が妥当”と言われているので、それ以上、議論は進まないのではないでしょうか?

    mantokunさんも言われていますが、やはりこのエネルギーは、「ダンケー」の方々に向ける方がよくないですか?少なくとも自分の理解では、ケケ田、久美子、そして八木は、Dr.Uさんの言われるような「厳密な定義」などをしていないと思いますが。

    で、やはり思うのは「男系」という概念を持ち込んだのは、そもそもこちら側なのでしょうか?ということです。本来はこの議論をしないで「皇位の安定継承」を考えることができるのならばそれが一番よいと思いますが、「ダンケー」の方々は、絶対にそれを許さないでしょう。

    >「彼らの動機はただただ女性が天皇になるのが嫌で、双系派どころか天皇陛下にまでマウントを取りたいだけなのですから、学問上の定義にこだわって誠実な態度を見せたところで、余計に嵩にかかって双系派を攻撃してくるだけです。」
    → この点については、同意できかねます・・・(以下、略)

    Dr.Uさんはこのように言われていますが、私は、僭越ながらDr.Uさんに同意しかねます(逆に少なくとも自分は、mantokunさんに共感します)。あなたは次のコメントで、以下のようにいわれておりますよね。

    「つまり、認めればいいんですよ。「あぁ、たしかに『元明→元正』を女系継承と呼ぶのは、ちょっと無理があったわ。ごめん。」さらっと不手際を認めるのは、結構、相手にとっては嫌なものですよ。押すだけじゃなく、いきなり引くんですよ。肩透かしになりますよ。」

    この後にも具体的なことが書かれていたので少し安心したのですが、本当にこれで大丈夫なのでしょうか?あえて、アホなこといいますが、もしかして「ダンケー」の方々を唸らせて、考えを変えさせようと思っていませんか?

    自分は、mantokunさんも言われるように、それは絶対に無理だと思います。それが自分の邪推で、その対象が80%いると言われる「女性天皇」を支持する人達、ということならば、まだ分かります。でも、こういう方々は、そもそも「男系」かどうかなどには、ほとんど注意を払っていないと思いますが。

    ならば、便所の落書き掃除をするしかないのでは?

    最後に、Dr.Uさんが物事を深く突き詰め、厳密に考えようという姿勢は、よくわかります。でも、そのエネルギーは「皇位の安定継承」を成立させるために国会議員を動かすことに使う方が建設的ではないですか? Dr.Uさんが7月の「愛子さまを皇太子」のイベントに参加いただけるかどうかわかりませんが(いままでも、イベントに参加されていたのかもしれませんが)、お待ちしております。

    ひなた

    2023年5月23日

    男系固執派との議論において、「男系・女系」の概念は、定義を一致させていなければ、非常に混乱を招くものだと思います。
    天皇から天皇への継承で「男系継承・女系継承」であるという定義で見れば、古代で挙げれば、推古天皇から舒明天皇、斉明天皇から天智天皇、持統天皇から文武天皇、元明天皇から元正天皇、元正天皇から聖武天皇、称徳天皇から光仁天皇、これらは女性天皇からの継承をもって「女系継承」となります(親子・直系継承ではない例が含まれる)。
    また、仮定として、「男系男子の皇位継承」が保たれた上で、女性宮家(一代限りではない)が創設され、女性皇族が民間男性との婚姻後にも皇族として残ることができるようになったとすれば、将来、悠仁様が天皇になられ、そのお子様が女子で、愛子様のお子様が男子だった時、悠仁様から愛子様のお子様・男子への継承が行われます。
    男性天皇からの継承をもって「男系継承」とし、女性天皇からの継承をもって「女系継承」とする定義の場合、これは「男系男子継承」となります。
    男系固執派は、愛子様のお子様・男子への継承は「女系継承」であるといいます。
    双系派は、「男女問わず・直系長子への継承」を主張していますが、「男系・女系・双系」で男系固執派と議論をするとかなりの混乱が起きます。
    何が言いたいかと言えば、「愛子様を天皇に(男系男子の縛りを解除する)」という目標には、女性天皇からの継承をもって「女系継承」とする定義は意味がありません。
    この「男系・女系・双系」の議論を、直系継承が優先されていなかった古代を例にしてするのは無理があります。
    父親も母親も天皇ではなかった御方が天皇に即位された例がありますが、これは男系固執派の主張のごとく「父方を遡って天皇に繋がる」と結果論ではありますが言えてしまい、一般的に正当性があるように聞こえてしまい、このため一般に多くの国民が納得させられてしまいかねない方向に議論が流れてしまいます。

    Dr.U うさぎ

    2023年5月23日

    mantokunさま
     つまり、認めればいいんですよ。「あぁ、たしかに『元明→元正』を女系継承と呼ぶのは、ちょっと無理があったわ。ごめん。」
     さらっと不手際を認めるのは、結構、相手にとっては嫌なものですよ。押すだけじゃなく、いきなり引くんですよ。肩透かしになりますよ。
     その上で、
    「私たちが言いたかったのは、元明→元正という継承においては、そりゃあ、元正のお父さんの血筋も大きかっただろうけれど、それと同等に、お母さんが天皇だったという事実も、大きくものをいったはずだ、ということ。新しく即位した天皇の権威は、その母方の血筋に由来するところも、小さくなかっただろう、ということ。」
    「そうである以上は、もし仮に愛子様が即位なさって、さらにその(将来の)お子様が即位なさるとすれば、その新帝の権威の源泉は母上愛子様との血の繋がりだけ、ということになるわけだけれど、それは母子関係をも重視する日本社会および皇室の伝統にのっとったものだから、決して不自然でも、目の色変えて反対すべきものでもないんだよ。」
     と、こういうふうに話を持っていった方が、よほど筋が通りますし、誰にとっても分かりやすいと思うのですが。
     大事なことは、皇室の歴史において、母子関係も相当に重視されていたこと。このことを、論点にすべきです。「元明→元正を女系とか言ってたくせに」って嫌味を言ってきたら、しつこいなぁ、って言って、あとは無視すりゃいいじゃないですか。

    Dr.U うさぎ

    2023年5月23日

    ダダ様
     コメント、ありがとうござます。以下の点について、私見を。

    >「皇統譜から、特定の祖先=天照大御神=母系・女系出自集団となりますよね」

    → この件についてですが、皇祖を天照に設定した場合には、血統の最初の最初に「母子関係」が入ってきます。そうしますと今上陛下は、自分の血統を振り返って多数の「父子関係」を遡り、最後に「母子関係」を経て皇祖に至る、というわけですから、今上は皇祖の「男系」子孫ではないということになります。同時に、今上は「母子関係」のみで皇祖に至るわけではないので、「女系」の子孫でもありません。
     「男系」と「女系」概念について、『文化人類学事典』(日本文化人類学会編)の「親族・親類」の項には、以下のような説明がなされています。

    「祖先を起点として子孫を区画する原則を出自と呼び、祖先と子孫を媒介する関係を父子関係に限るものを父系ないし男系出自、母子関係に限るものを母系ないし女系出自、両者を総称して単系出自と呼ぶ」

     つまり、今上から皇祖までの血統は「母子関係」と「父子関係」の組み合わせということになるので「単系出自」ではないということです。そしてそれは理論的には、二種類の「関係」の双方が組み込まれている、という意味で、「双系」と呼ぶのが適切ということになります。
     『文化人類学事典』(弘文堂)の「相続」の項には、以下のような記述があります。

    「親族原理に基づく継承または相続の中から、文献に多出するものを以下に列挙する。①単系出自(unilinealdescent)。集団成員権などが、父系(男系)または母系(女系)により継承されるシステム。」
    「⓶双系制(non-unilineal or cognatic system)。財産、集団成員権などが、父方母方双方を通して継承される双系出自制(bilineal descent)、父母どちらか一方を通して継承される選系制(utrolateral system)、始祖から子孫へつながる出自でなく、単に世代間の継承が父母双方と通して行われる双方制または双側制(bilateral system)など雑多なシステムを一般に〝双系制”と呼んでいる。」

     純粋に男系でもなく女系でもなく、父子関係と母子関係をともに重視する血統の見方(いろんなパターンがあります/両親が天皇である場合など)を、一括して「双系」というということです。以上を根拠として、天照を皇祖を設定する場合には、日本の天皇の血統は「双系」である、ということになります。

    ダダ様のもう一つのコメント、

    >「法の番人:内閣法制局は、憲法の世襲に、男系・女系・男子・女子を含むとしています。法治国家の日本でこれ以上の対応、解釈はないと思います。」

    → 申し訳ありません、この点については、御真意を十分にくみ取ることができません。内閣法制局の説明は、「世襲」は何かということについての見解で、それを説明するのに「男系・女系」という概念を用いている、そして「男系・女系」という概念の意味は社会(および学界)の一般的理解に準じている、という仕組みではないのでしょうか?

     いずれにしましても、何か議論をするときに、そこに普段使用しないような専門用語が出てきた場合には、社会学事典でも人類学事典でもよいですが、信頼のおける文献でその言葉の意味を調べ、その基本的用法に基づいて議論に参加する、というのが正しい在り方ではないでしょうか。

    Dr.U うさぎ

    2023年5月23日

    mantokunさま
     コメントをいただき、ありがとうございます。以下の御指摘について、考えるところがあります。

    >「愛子天皇の実現を願うための論破祭りにおいて、元明天皇から元正天皇への継承が男系か女系かの定義を厳密に行うことは、そもそも目的ではありません。」

     →この点について、私も同感です。大切なことは愛子様や佳子様、そしてその(将来の)お子様が即位できるように制度改正することです。だとすれば「元明→元正」は「女系継承」であるとする、理論的にはかなり苦しい主張を、これ以上続ける必要はないのではないでしょうか。「元明→元正」は、たとえばもっと一般的な用語で「母方」継承である、としておけば、男系固執派と「女系」という言葉を奪い合う苦しい戦いを戦う必要も、そもそもなかったはずです。ましてや、高森先生がなさっているような、歴代天皇は「男系・女系・双系」のどれに当たるかと言う紛糾した苦しい議論は、そもそも全く必要のない努力であるように思えて仕方ありません。
     いかがでしょうか。

    >「男系派は我々が元明→元正間の継承を女系と呼ぶのをやめたところで、今までと変わりなく「皇室が一つの例外もなく男系継承だったのは間違いないんだから、それを今後も続けるべき」としか言わないのは明らかです。」

    →おっしゃる通りだと思います。これに対しては、次のように答えればいいかと。

    「『元明→元正』は確かに形式的には男系継承の枠から外れていない、しかし、だからといって、このケースにおいて母方の血筋が大きな役割を果たさなかったことにはならない。他にも手白香の例など、女性・母方の血筋が大きな意味を持ったケースは歴史上多数あるのだから、男系固執派はそれを過小評価すべきではない。」

    >「彼らの動機はただただ女性が天皇になるのが嫌で、双系派どころか天皇陛下にまでマウントを取りたいだけなのですから、学問上の定義にこだわって誠実な態度を見せたところで、余計に嵩にかかって双系派を攻撃してくるだけです。」

    → この点については、同意できかねます。少なくとも私の眼には、「元明→元正」を「女系」であると主張するのは、結構、無理があるという印象です。男系固執派が、「男系」「女系」という言葉を、まったく一般的あるいは学問的な使用例とは異なる意味で使用しているのなら話は別ですが、残念ながら状況は逆です。そういう状況において、「過ちを認めたら余計に嵩にかかってこちらを攻撃してくる」からという理由で、論理的で厳密で正確な用語の使用に努めるという当たり前の「誠実さ」を放棄するというのは、一種の自殺的行為です。
     それでは、論理とか整合性とかを無視して、相手をひたすら罵倒して勢いでマウントをとろうとする倉山と、同じ穴のムジナではないですか。正しい根拠に基づいて、正しい論理に従って、自らの考えを、堂々と主張する。この誠実さを自ら放棄したら、おしまいです。
     

    ダダ

    2023年5月22日

    mantokunさん
    コメントありがとうございます。
    言われてみれば、カレーせんべいさんのサイトでお見かけしたかも知れません(>_<)
    重複してしまい申し訳ありませんが、明るい話題ですので大目に見て頂けると幸いです。

    直系継承には皇位の正当性や連続性がありますし、国民が皇長子を産まれたときから見守ってきたからこそ、自然と敬愛が湧く側面もありますよね。皇室と国民の紐帯はそこにあるのであって、男系継承を強いることではありません。

    私のうさぎさんへの返信にある「なにより皇室の意志を無視して論ずることに意味がありません。」は男系カルトに向けたものですが、奴らは皇統が断絶しても態度を改めることは無いでしょう。男を産まない女が悪い。そう開き直りますよ。

    mantokunさんの男系派の分析は正しいと思います。
    奴らに理性がないことは周知の通りです。

    mantokun

    2023年5月22日

    ダダさんの論考、非常に分かりやすいです。特に、最後の「直系継承は江戸時代119代の光格天皇から126代の今上天皇まで8代続いていて、愛子天皇が誕生すれば9代連続となり最長とのことです」という部分、私も以前に(確かカレーさんのファンサイトで)書いた記憶があるのですが、「江戸時代後期の光格天皇以来、200年にわたる直系継承」が、動乱の幕末から明治維新、二度の世界大戦から敗戦を経て戦後の復興期の日本において、継続した国の歴史という安心感、一体感をもたらした影響ははかり知れないと思います。
    江戸時代以前までは、庶民は天皇の後を誰が継ぐのかに関して、基本的には「やんごとなき方々がお決めになること」で埒外だったでしょうが、明治から特に昭和になってからは、マスコミの発達によって皇太子のご誕生からご成長に触れる機会が増えたことで、より「直系継承が自然」という意識を持ちやすくなったと想像されます。愛子様に天皇になっていただきたいという声が多いのは、この200年にもわたる直系継承の歴史の影響が大きいでしょうね。男系派がよく言う「2000年の男系継承の重み」に全く実感が伴わないのとは対照的です。

    ところで、うさぎさんがたびたび言及される元明天皇から元正天皇への継承が女系か否かという点、毎回どうも噛み合っていないのが気になっていまして、実は以前の記事(愛子天皇論第14回感想:25.“皇統”とは天皇からの継承では!?)のコメントに私なりの考えを書いたのですが、再度こちらで要点をまとめます。

    愛子天皇の実現を願うための論破祭りにおいて、元明天皇から元正天皇への継承が男系か女系かの定義を厳密に行うことは、そもそも目的ではありません。男系派は我々が元明→元正間の継承を女系と呼ぶのをやめたところで、今までと変わりなく「皇室が一つの例外もなく男系継承だったのは間違いないんだから、それを今後も続けるべき」としか言わないのは明らかです。彼らの動機はただただ女性が天皇になるのが嫌で、双系派どころか天皇陛下にまでマウントを取りたいだけなのですから、学問上の定義にこだわって誠実な態度を見せたところで、余計に嵩にかかって双系派を攻撃してくるだけです。

    近代以前の皇室が男系男子継承を優先していたことは確かでしょうが、もしもそれが絶対的な条件であれば、元明天皇や元正天皇の即位は実現しなかったはずですし、養老継嗣令に「女帝の子もまた同じ」などとわざわざ記さなかったでしょう。

    2022年11月21日のトッキーさんのブログで、「出来るだけ広く国民の関心を呼び起こして、国民の力で皇統断絶を防ぐというのが、よしりん先生の戦いです。
    ですから、誰にでもわかる、大筋で正しいところを追究することが第一となります。」とありますが、私も同感です。少なくとも、元明・元正への継承が紛れもなく男系と言い切れない以上、女系継承との論がうさぎさんに毎回否定されるのもおかしな話です。
    それでもなお、うさぎさんが元明・元正間の継承を女系と呼ぶのは許せないとおっしゃるなら、小林先生や愛子様サイトの管理人さん、公論戦士の方々に対して考えを改めるよう迫るよりも、男系派に対してその観点から論破されればよいのではないかと思います。

    双系派は厳密な学問上の定義に照らして愛子様即位の根拠を述べているわけではなく、日本は古来双系を重んじた社会であり、女系天皇が誕生する土壌があったのだから、愛子様が皇位を継承されることは伝統に則しているということを主張しているのです。

    ダダ

    2023年5月21日

    Dr.U うさぎさん
    コメントありがとうございます。
    皇統譜から、特定の祖先=天照大御神=母系・女系出自集団となりますよね。
    法の番人:内閣法制局は、憲法の世襲に、男系・女系・男子・女子を含むとしています。
    法治国家の日本でこれ以上の対応、解釈はないと思います。
    それを国内や海外の学者から疑義がある(または男系限定である)と指摘されて、皇室典範の改正を躊躇していたら、永遠に安定的な皇位継承は実現できません。
    なにより皇室の意志を無視して論ずることに意味がありません。
    皇室と共に在る国民として出来ることは、一刻も早く、愛子さまを皇太子に!ですね。

    Dr.U うさぎ

    2023年5月21日

     私もこの「男系」「女系」の問題については、以前から強い関心を持っております。「男系(父系)」や「女系(母系)」の概念は、近代以降、日本の人文学で広く使用されてきた概念ですが、この言葉の学問的起源は民族学の親族論にあると考えられます。

     ここで、『日本大百科全書(ニッポニカ)』の中の 「出自・出自集団」の綱目の説明文を転載します。https://kotobank.jp/word/%E5%87%BA%E8%87%AA%E3%83%BB%E5%87%BA%E8%87%AA%E9%9B%86%E5%9B%A3-1544649

    「出自とは、ある個人が過去の祖先との間に、その系譜的連鎖によってもっている関係をさす。そしてその系譜的連鎖の特定の形態が規則によって規定され、意味を付されているとき、出自は人の集団への帰属、集団の構成を決定する働きをもつ。すなわち、ある社会で、特定の祖先a(男)から代々、男のみをたどり、彼または彼女に至る系譜的関係が特定化されているとき、それを父系(男系)出自patrilineal descentとよび、そのような出自をもつ者が構成する集団を父系出自集団とよぶ。また、同様に女祖から代々、女のみをたどる出自と、その集団を、それぞれ母系(女系)出自matrilineal descent、母系出自集団とよぶ。」 

     ここに記されている「出自」は「血統」と同義の語と理解して差し支えありません。そして上にある「父系(patrilineal/男系)出自集団」や「母系(matrilineal/女系)出自集団」という概念は、19世紀以降の世界各地で研究が蓄積されていく中で出てきた、学問的な概念です。それが明治以降、日本社会を分析するためのツールとして日本史の分野にも導入されたものと考えられます。
     上の引用文中の「特定の祖先a(男)から代々、男のみをたどり、彼または彼女に至る系譜的関係が特定化されているとき」という文言の中の「彼または彼女に至る」にご注目ください。これはいわゆる、「男系男子」と「男系女子」のことを指しています。
     つまり、旧皇室典範以来、現在に至るまで100以上にわたり使用されてきた「男系・女系」などの概念は、それ使用法自体は社会学・人類学分野で普遍的に用いられてきた客観的概念に則ったものだということです。
     結論として、私は男系固執派の議論には全く賛成できませんが、彼らの「男系・女系」概念の使用法自体は客観的であるように思われます。(おそらく海外の社会学者や人類学者たちに「元明→元正」の間の皇位の移行は「男系の継承 patrilineal succession」であるか、と質問したら、大半はその通りだと答えるはずです。 )

     なお、高森先生は男系派が使用している意味での「女系」とは異なる意味でこの言葉を使用し、歴代天皇が「男系」「女系」「双系」のどれに当てはまるか、複雑な――失礼ながらかなり紛糾した――論考を示されています。この問題について一言だけ言わせていだだければ、先生は「説明概念」と「記述概念」を混同していらっしゃるようだ、ということです。

    ダダ

    2023年5月21日

    突撃一番さん
    コメントありがとうございます。
    皇統譜が公文書ということで、公文書改竄が代名詞の安倍を出したのですが、、その目論見はなかったと思います。誤解させてしまって申し訳ないです。。

    >元正天皇のお父さんである草壁皇子は「皇統第○○」には含まれていないので、「元正天皇は父親からは皇統を受け継いでいない!」という事になり、女系継承が確定してしまいます。

    その通りですね!
    例外なき男系継承の根拠って妄想でしかないです。

    基礎医さん
    編集&強調ありがとうございます!
    遺伝子分野のくだりは基礎医さんを意識しました(⁠^⁠^⁠)
    男系・女系の判断材料が揃っているのに、わざわざ外から持ち込む必要ないですよね。

    基礎医学研究者

    2023年5月21日

    (編集者からの割り込みコメント)興味深く読ませていただきました。私、今回のダダさんのブログを編集していて、「(男系・女系の定義)法曹分野や遺伝子分野など法曹分野や遺伝子分野などにおける定義は関係ありません。」という箇所には、共感します。私自身、理系の研究者で、人類遺伝学という分野を多少はわかりますが、それでも、そのように思います。
    また、あえてダダさんが後半部分で「直系継承は江戸時代119代の光格天皇から126代の今上天皇まで8代続いていて・・・」と書かれていたことに感銘を受けまして、黄色四角で強調してしまいました~(≧▽≦)。やはり、「聖域」で育まれたものが継承されるもの(ここに、男女の区別はない)こそが重要であり、安易に“傍系”という形がでてこなかったことは、もっと世の中に知られても良いことかと私は思います。そして、ダダさん言われますように、「愛子さまを皇太子に」。是非、盛り上げていきましょう!

    ダダ

    2023年5月21日

    ひなたさん
    コメントありがとうございます。
    世間に男系・女系の概念は浸透してないと思います。
    なので、憲法と皇室典範の範囲で決めるしかありませんが、男系・女系の判断が困難なものもあります。
    こちらをご参照ください。
    https://aiko-sama.com/archives/21449

    >「男系・女系」の概念が皇位継承の原理・原則ではないということを主張していった方がいいと思います。

    仰る通りで、原理原則は男系or女系ではなく皇統ですよね。
    双系の本来の意味も分かりにくいので、「性別を問わない直系継承」の方が伝わりやすいかも知れませんね。

    突撃一番

    2023年5月21日

    本当にダダさんの仰る通りですね。

    安倍晋三は皇統譜の改竄まで目論んでおったのか・・・。
    まあ、確かに頭のネジ外れまくって、尊皇心なんかどっかに吹っ飛んだような男だったから、何するかわからん所はあったけど。

    あと付け加えるに、旧譜皇統譜における、神武天皇を第一とする「皇統第○○」は、あくまで「皇位についた人」という程度の意味であり、皇室典範にいう「皇統に属する・・・」とは、意味合いが異なるみたいですね。

    もし本当に、男系カルトが言うように、「皇統第○○」という表記が血統を意味するのであれば、元正天皇のお父さんである草壁皇子は「皇統第○○」には含まれていないので、「元正天皇は父親からは皇統を受け継いでいない!」という事になり、女系継承が確定してしまいます。

    神武天皇の「皇統第一」を根拠にマウント取ってくる男系カルトには、そのように切り返してみるのも面白いかも知れませんよ(笑)?

    ひなた

    2023年5月21日

    >【皇室典範における男系・女系とは世代間の属性と考えられます。簡略化すると天皇と子の関係です。従って、元明天皇(母)→元正天皇(娘)は女系継承です。】

    「皇室典範における男系・女系」の定義が確定しているのかはわかりませんが、歴史的(日本書紀等においては伝承として)には、皇位継承は親子関係のみならず、兄弟や傍系、隔世の継承は多くあります。
    この場合の男系・女系の判断は、何によって決定すればいいのでしょうか?
    現在、世に知れ渡っている「男系・女系」の概念は、残念ながら男系固執派の神武天皇の血統(父親のみを遡れば繋がる)による概念です。
    男系固執派を論破することのみならず、多くの国民に男系固執派の主張の妄想を理解してもらうためにも、「男系・女系」の概念が皇位継承の原理・原則ではないということを主張していった方がいいと思います。

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