男系固執派 vs双系派、王道を歩んでいるのはどっち?

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まずは、愛知県の叶丸さんから投稿されたブログをご覧ください。

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最近、自分は少年ジャンプで連載中の「逃げ上手の若君(松井優征作)」にはまっています。

同作の主人公は鎌倉幕府十四代執権・北条高時の嫡子である北条時行(ときゆき)。敵役は室町幕府初代将軍・足利尊氏です。討幕軍から逃れた時行は信濃の国でかくまわれ、幕府滅亡の2年後に諏訪頼重と共に中先代の乱を起こします。

これに対して尊氏が討伐に動いた事によって、南北朝時代が始まるきっかけになりました。乱の後、尊氏は後醍醐天皇を裏切って持明院統(北朝)の血統の光明天皇を即位させ、時行は後醍醐天皇に手紙で許しを請うて尊氏と対立する南朝(大覚寺統)に属しました(※皇室の歴史としては、両統迭立(りょうとうてつりつ)。安易に傍系を適用したために、皇位継承が不安定になった、という教訓があります)。

逃げ上手の若君の時行は優しく素直な性格でありながら、絶大な神力(しんりき・太平記の世界観を表現する為の設定)を宿す尊氏に対して、諦めずに挑み続ける人物として描かれています。更に危険を楽しむ気質が強く、その点が逃げ上手や生命力の強さに繋がっています。

時行の目的は、尊氏への復讐や北条家の再興であり、(その事自体)は私的なものかもしれませんが、本来ならば時代の流れで生命力に変換されて人々に行き渡るはずの神力が過剰に集中している尊氏を倒す(神力を失わせる?)事は、(神力のバランスを回復するという意味で)公の為になるでしょう。

そんな時行の師匠の一人だと言っても良い武将が楠木正成です。

正成は京で時行と出会った時、彼に「逃げる事は生きる事」である、と教えました。
おそらく、この言葉には2つの意味があります。まず一つは、時行の得意な物理的な逃げ(回避)。そしてもう一つは、「柔軟」と言う事です。

かつては認められていた女性・女系天皇から逃げる男系固執派と、明治に決められたに過ぎない男系男子限定継承から逃げる双系派。どちらが逃げ上手なのかは言うまでもありません。

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叶丸さんは、漫画の内容と皇位継承を絡めた投稿をよくされています。このブログでは、「逃げる」という言葉を、本来の意味の「面倒なことや嫌なことを投げ出すこと」に加えて、故事成語である「三十六計 逃げるに如かず(一見して負けて後退しているようにみえても、最終の勝利を手に入れる)」の定義を活用します。これに照らすと、叶丸さんのブログの結論は、このようになると思います。

男系派と双系派。確かに、どちらも逃げている。しかし、その“逃げ”の意味は大きく異なり、「皇位継承」という本質をとらえ、皇位を存続するためには、因習を排除して、男女関係なく直系長子優先の皇位継承を可能にする(双系派)ことが、本来の道であると。

いかがでしょうか?

ナビケート:「愛子天皇への道」サイト編集長 基礎医学研究者

公式サイト

https://www.shonenjump.com/j/sp_nigejozu/

アニメサイト

https://nigewaka.run/

11 件のコメント

    叶丸

    2023年10月12日

    いえ、自分も説明が足りていなかったです。
    ブログには使えなかったと思いますが、メールにマンガの写真を添付していれば解りやすかったかもしれません。
    ちなみに、第12巻の第102話を参考にしました。

    基礎医学研究者

    2023年10月12日

    (編集者からの割り込みコメント)
    叶丸さん、コメントありがとうございました。確かに、その箇所は叶丸さんの原文を生かしながら、多少いじって、文脈を整えました。自分は、漫画の原文は知らないのですが、結果として論理は通っていてよかったかと。で、まあ今回は自分担当させていただきましたが、こういうところは気にせず、自由に書いてもらえばよい、と思います(僕らも、編集メンバーの間で意見交換はしているので、基本その形で何とかしております)。
     少なくとも編集ということでいえば、僕らは編集のプロではありませんが、今大問題になっているSPA!連載の倉山満の「言論ストロングスタイル」は担当編集者がさじを投げているんじゃないか?疑惑の状態よりは、マシだと自負はしております。それでは、引き続き、よろしくお願いします。

    叶丸

    2023年10月11日

    修正ありがとうございます。
    お手数掛けました。

    叶丸

    2023年10月11日

    指摘が遅れてすみません。
    今読み返したら、「時代の流れで」の記述は自分がそちらにメールした文章だと「本来ならば」の後になっていました。
    原作のセリフからも、そう書くのが正しいです。

    ねこまる

    2023年10月10日

    あまり(物語で)扱われていない時代のお話なので、とても興味深く読んでいます。日本史では王道に扱われる尊氏が悪役なのは面白いですね。
    この時代は、天皇との適度な距離感が武士の天下を左右していて、勉強になります。

    突撃一番

    2023年10月9日

    サトルさんと同じく、俺も積ん読。
    読もう。

    確か、『暗殺教室』と同じ作者なんだよね。
    週刊から飛び出して、ジャンプSQとかで連載した方が、本領発揮できるような気もする。

    サトル

    2023年10月9日

    北条時行は、出版界でもちょっとした話題になってますよね。「中先代の乱  中公新書 鈴木由美著」。
    特にこの著書は「市井の学芸員の女性」(K美子とは雲泥の差(見習え!))が地道に調べ上げた本。

    京都のSさんもコメントされてるとおり、NHK地上波(歴史探偵等)、BSでは「英雄の選択」と。司会の磯田道史が興奮してたのを覚えています。(私は例によって積ん読です(^_^;))

    読まねば……。

    ふぇい

    2023年10月9日

    叶丸さま
    投稿ありがとうございました(^^)

    京都のS

    2023年10月9日

     気になっている作品です。NHKの歴史番組で特集されていたので、それほど漫画が画期的だったのだろうと認識できました。私も平均的に「判官びいき」なので大楠公は好きです。この際だから北条時行にも注目していきたいですね。
     私は「少年ジャンプ」から「呪術廻戦」を題材にしたブログを2度もブッ込んだことがあるので、その方面で親近感を持っています。

    基礎医学研究者

    2023年10月9日

    (編集者からの割り込みコメント)基礎医でございます。いや、少しはお役に立ててよかったです(どうやら、叶丸さんが言われることの主旨も外していなかったようで(;^_^A)。自分、最近のジャンプは良く知らなかったのですが、南北朝の時代を扱っているのですね。自分たちは、皇統問題に関心があるのでやはりそちらに目がいくのですが、南北朝は本当に皇室にとっては受難な時代で、その火種は時代を遡り、後嵯峨天皇の後に、後深草天皇(兄:持明院統)→亀山天皇(弟:大覚寺統)と皇位継承を継承する時点で、すでに生じていました(その後、大覚寺統と持明院統が交互に皇位の継承する、ということが起きてしまいました)。後嵯峨天皇がおそらく幕府の意向も加味して私的な気分を出してしまったところに原因がある(亀山天皇の方が天皇の資質があると思って重宝していた説あり)、と私見では思います(後深草天皇には、子供がいたにも関わらずです)。
    自分は、皇位継承をもし問題にするのならば、男系か女系などという話でなく、できるだけ直系か傍系か?こそが、論じるべき問題と思います(それが、歴史の教訓ではないですかね)。
     いずれにしましても、投稿ありがとうございました。私たち編集スタッフもおりますので(ちょっと、えらそうですね)、機会がありましたら、是非よろしくお願いします。

    叶丸

    2023年10月9日

    掲載ありがとうございます。
    自分の色々足りていない拙文(笑)が基礎医さんの力で凄い事に!!
    自分は歴史に興味はあっても詳しくは無いので、他に相応しい投稿者が居るのではと思っていましたが(希蝶さんや京都のSさんなど)、ここまでのレベルに仕上げて下さって嬉しいです。
    本当に、投稿した甲斐がありました。

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