④国民への14条差別について「憲法が要請している論」が論拠になるの?からの続きです。
木村第1部長
現時点では、まあ具体的な制度を、あの念頭に置くことは出来ませんので、一般論として申し上げます。まずあの前提と致しまして、憲法は第14条において、「法の下の平等」を定めつつ、その特則の規程と解される第2条におきまして、「皇位」は「世襲」のものとし、また第5条および第4条2項におきまして、「摂政」、「国事行為の委任」、の制度を設けておりまして、これらの制度を円滑に運用することは憲法の要請するところであり、このために、現在一般国民である皇統に属する方を、新たに皇族にすることを可能とする制度を、法律によって創設することについては、憲法自体が許容しているものと解されます。
⑤その他も問題点がてんこ盛り!
私のような憲法の素人が言わなくても、①②③④のほかにも、いわゆる皇統に属する国民間での別異取り扱いの論点、国民として生きるという自己決定を幼少時に否定するという論点等々が、宍戸教授等から国会での発言で指摘されています。合憲とするには、これら全ての論点を明確にクリアする必要があります。
17日の答弁は、「実は国民の中にも種類があってね。普通の国民とは違う、言わば準皇族的な立場の国民がいるんだよ。だから、その人達を特別扱いしてもいいんだよ。」とでも言うような恐ろしい程の差別意識が、実は前提になってしまっています。木村第1部長は、ご自分がどれほど恐ろしい前提を置いて発言しているか本当に分かっているのでしょうか(たぶん何の覚悟もない忖度答弁だろうなぁ~)。
天皇とは、言うまでもないですが「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」(憲法第1条)なんですよ。国民「統合」の象徴なんですよ! 統合する象徴について、わざわざ国民を分断する、強烈に国民間で差別をしちゃう法律を作ってしまったら、その存在意義の最重要点を思い切り毀損しちゃうんですよ!
この国民「統合」の象徴に対する裏切りは、時間がたつほど深刻な問題を呼び起こすと思います。もし本当に木村第1部長の答弁が前提してる立法、つまり「国民を血統で選抜し、しかも男女のうち男だけを選抜する」立法が、合理的な差別として憲法14条に違反しないとするなら、あれほど敬愛されている天皇・皇室は、国民を血統と性別で差別した、差別の象徴だ!との烙印を押されるでしょう。
そして、天皇・皇室が差別の温床だとの理屈に正当性が宿ってしまい、悲劇が引き起こされると思います。私がもし人生において血統により差別されるという理不尽で苦しい状況を味わっていたら、天皇・皇族に恨みを抱いてしまうかもしれない。天皇・皇族も被害者なのにです。なんと不条理で悲しいことでしょうか。本当に誰も幸せにならない!
人権が万能なはずはないけれど、今のような状況こそ、未来の人権侵害を予防するために、権力に対して強烈な批判をするべきです。憲法学者、法哲学者、マスコミ、人権団体、一般の庶民、誰でもよいので、とにかく力を合わせて何とかしようぜ!