「旧宮家の養子」内閣法制局も合憲ですか?

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1/11 産経新聞の、「正論」というコラムに、百地章氏の意見が掲載されています。

「旧宮家の養子」内閣法制局も合憲 国士舘大学客員教授日本大学名誉教授・百地章
https://www.sankei.com/article/20240111-BR4TQ5GIEBLIDIDSG4X7CGPCWM/

*このリンク先より、一部を読むことが可能です。

正直、問題が多く”取り上げるに値する”内容か?という葛藤はありましたが、「現在の皇室関連の記事には、このようなものもある」ということを知らせるために、あえて示しました(以下、リンク先で触れられていない部分を抜粋・引用しました)・

・「園部氏の直系論は疑問」という項目について

(園部氏の意見に対して)天皇家の系図を見ればわかるとおり、直系が長く続いたのは初代神武天皇から第13代成務天皇までの13代と第119代光格天皇から第126代今上天皇までの8代くらいである。逆に遠い傍系の皇族(宮家)により皇位が継承された例は少なくなく、7~8親等から10親等も離れた皇位継承さえ4回あった。直系継承が困難だったからであり、もし直系継承にこだわっていたら、世界最古の皇室は存在しなかったであろう。

この部分については、まあわかる部分はあります(別に、皇室の傍系を完全否定しているわけではありません。生物学的にも、家系は消滅したり新たに出現するものだと思います)。でも、百地氏は、直系はあくまで「男系」を前提としたものということを、この後にしっかり入れることを忘れていません(これは、本当にそうなのでしょうか?私見では、この一言こそが、”余計なこだわり”と思います)。

「「門地による差別」を否定」という項目について

この部分は、馬淵議員の国会での質問に対する内閣法制局長官の答弁に対する解釈ですが、百地氏に限らず「男系継承維持派」は、これを都合よく取り上げますね。以下、百地氏の言。

仮に「法の下の平等」が適用されても、憲法14条は「差別」を禁止しただけで「合理的区別」は認められる。であれば、皇位継承権を有する男子皇族が3方しかおられない厳しい状況下で、憲法第1章の定める天皇制度を円滑に運用し、皇室典範1条にいう「皇統に属する男系の男子」の確保のため旧宮家の男子孫を養子に迎えるのは「合理的区別」に当たり、全く問題ない(※だから、この答弁によって憲法上の障害はなくなった、と述べています)。

本当でしょうか?私見では、法と憲法の関係性を倒錯させた”大問題”と思いますが。このことについては、当サイトで問題点をかなり指摘しているので繰り返しませんが、毎日新聞がスクープした(2023年12月30日)”懇談会の方針”も含めて、こうも違う理解が出てくるのは、重要なポイントです。

あと、百地氏もそうなのですが、最近は「男系継承維持派」が「皇位の安定継承」というキーワードを用いるようになってきたのも、1つ注目すべきことでしょうか(使い方は適切ではないのですが)?

ナビゲート:「愛子天皇への道サイト」編集長 基礎医学研究者

5 件のコメント

    突撃一番

    2024年1月13日

    直系継承が困難だったのは、冊封体制由来の「男王へのこだわり」があったからでは?

    「長女」でもすんなり継承できる世の中であれば、安定性が倍化するのは小学生でもわかる計算だ。

    John

    2024年1月13日

    男系カルトをどんなに論破しても、ますます意固地になり、頑なになる。
    まるでイスラエルとパレスチナの争いのような解決不能な問題に思えてきます。
    私達は「無関心の善人」である国民に、皇室にはものすごい男尊女卑の制度があると訴えるほうが、より建設的なのではないか?
    と思えてきます。

    mantokun

    2024年1月13日

    何だか徒労感が募る一方です。理屈と軟膏はどこにでも付くという言葉がありますが、男系男子固執派どもは、「皇祖神の天照大御神は女神だろう」と言えば「皇祖は実はオシホミミだ、いやスサノオだ」と勝手に神話と信仰史を捏造し、「古代には女系継承もあった」と言えば「元正天皇は父が草壁皇子で男系だ」と元正に譲位した母の元明天皇を無視し、「旧宮家子孫は生まれた時から国民だ。君臣の別を乱すのか」と言えば「醍醐天皇という例外があった」と、時代背景も政治形態も全く異なる時代の例外を絶対的先例のように扱い、「お妃になる女性に男子出産の圧力を掛けるのか」と言えば「医学が発達して乳幼児死亡率が下がったから大丈夫のはず」と、性別の産み分けは現代でも不可能なことからは目を逸らし、「旧宮家に限り皇族にするのは身分制の創出につながり、門地による差別だ」と言えば「皇族は例外だから構わない」と平気で天皇や皇族方を奴隷のように扱い、基本法典である憲法を一法律にすぎない典範の下に置く。
    一時が万事、当事者の意向を無視した机上の空論かつ手前勝手な屁理屈しか言わない。

    男系男子固執派どもは、人間が国家や国民統合の象徴を務めていることがいかに壮絶で、重く、奇跡的なことであるかを微塵も理解してないんですよね。天皇ご自身の意思なんか認めない、代わりはいくらでもいて、ロボットを挿げ替える程度の意識しかない。大事なのはただただ、「男である」ことの一点だけ。

    だから、「男系男子に継がせるためには、果てしなく傍系に継承権を移動させてもいい」という出鱈目なルールを勝手に創出し、維持すべき伝統に祭り上げ、そのルールにどれだけ重大かつ致命的な瑕疵があり実現不可能であるかを指摘されても、屁理屈をこねまくって全て正当化する。
    もうこんな基地外どもはいくら論破してもキリがないし、こいつら全員ゴジラにでも踏み潰されろ、熱戦で焼き尽くされろと思ってしまいます。

    ありんこ

    2024年1月13日

    世襲の要請を満たせてない法律の要件を満たすために、憲法の内容を否定して運用することを推奨とか、もう憲法改正とか言わないで欲しいですよね。
    憲法よりも法律の価値の方が上なら。
    憲法改正なんて必要ないんじゃないですか?

    京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)

    2024年1月13日

     産経新聞編集部に以下のような意見を送っておきました。

     貴紙の1月11日掲載の「正論」「『旧宮家の養子』内閣法制局も合憲」という百地章氏による記事を拝読しました。氏は園部逸男氏の直系論に疑問を呈していましたが、色々と問題の有る意見だと感じました。
     初代の神武から13代まで(神話の延長部分)と116代の光格から126代の今上陛下まで(ほぼ近現代)しか直系で続いていないと言いますが、神話時代と古代・中世の継承を比較すべきでないことは言うに及ばず、感染症を克服できる程の医療技術が無かった時代と現代を比べるのもフェアではありません。また、その現代とて皇位継承の安定性は薄氷を踏むような状態です。それは何故でしょうか?現行の皇室典範が男系継承しか認めていないからです。であれば、紛争・抗争・病死のリスクが高かった古代・中世・近世の直系継承を論うより、現代における男系継承の不可能性を問題視して皇位継承の安定性を高める方策を模索するのが学者の本分ではないでしょうか?
     また百地氏は、馬渕澄夫議員に対する内閣法制局長官の国会答弁に触れ、皇族男子が3方しか居られない現状を鑑みれば、皇統に属する男系男子を確保する(皇室典範1条を満たす)ために旧宮家系の男系子孫を養子入りさせることは憲法14条違反(門地による差別)に当たらないと強弁しますが、それは憲法の下位法に過ぎない皇室典範が上位法の憲法を凌駕しても良いと思っていることを意味します。このような人物が憲法学者を名乗って良いのでしょうか?そう言えば八木秀次氏も竹田恒泰氏も憲法学者でしたね。自称保守で自称憲法学者の3方が挙って男系論者で、挙って旧統一教会との関係も深いという事実に唖然とします。
     貴紙は1面のコラムを上記の売国的な人物のために確保しておくリスクを感じないのでしょうか?   京都市在住の一読者・○○

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