「正直なウソつき」の、『嘘だらけ』古代史語録⑭

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【終章④】

●「立皇嗣の礼」において、天皇陛下から秋篠宮殿下に皇太子の証たる「壺切御剣」が授けられたのは、「秋篠宮に皇位を伝える」という、天皇陛下の大御心の表れである。(p265)(後編)
~倉山満『嘘だらけの日本古代史』 終章より~

前回ブログでは、歴史上における壺切御剣の「扱いの軽さ」について考察してみました。

さて、ここからは現代の話に移りましょうか。

壺切御剣を渡されたからといって、本当に倉山の主張通り「天皇陛下の大御心」と言えるのでしょうか? 

そもそも、いくら暫定とはいえ、秋篠宮殿下は継承順位第1位である皇嗣となられたのだから、形式的にでも陛下がそのシンボルとして扱われている御剣を賜るのは、ごく自然な事ではないでしょうか?

壺切御剣の親授行事とて「立皇嗣の礼」の関連行事なんだから、立皇嗣礼同様、国事行為でしょう。 則ち、「天皇の意思で拒否する」という事が不可能である以上、「御剣の親授=皇位に関する天皇の意思」だという理論は、一切成り立ちません。

っていうか、国事行為に対して天皇が意見する自由を憲法で封じ込めておきながら、そして内閣の助言と承認により、御本人の意思とは無関係な行事を一方的に押し付けておきながら、「秋篠宮家に皇位を伝えるのが大御心だ(p265)」などと喧伝しまくるやり方って、まず人としておかしいんじゃないのか?

天皇は、もしイヤでも国事行為を断る権利も、批判する権利も奪われてるんだよ!

倉山のやっている事は、この上なく卑怯な振る舞いであり、もはや不敬を通り越して「天皇に対するいじめ」でしかない。 大御心を手前勝手に捏造する事で、陛下の名誉を傷つけている事に、なぜ気が付かないのだ!?

少なくとも現憲法下において、壺切御剣の親授と大御心とは、全く関係ありません!!

倉山の最後の文章には、大変な怒りを禁じ得ない。

文責 北海道 突撃一番

参考文献

・『北条義時と同時代を生きたキーパーソンたち』株式会社東京ニュース通信社 2021年12月14日 p120
・他、ほぼWikipedia

4 件のコメント

    突撃一番

    2024年1月21日

    皆さん、コメントありがとうございます。

    まさに前回のmantokunさんのコメントの通りです。
    「拒否しないから同意している」は、完全に変質者の振る舞いだと思います。自分もうまい例えが思い浮かばないけど。

    倉山のみならず、X上に巣食うダンケーカルトは、よく立皇嗣とか壺切御剣を引き合いに出す事が多いんで(これが大御心の証拠だ!みたいな感じで)、もし、そんなポストに出会ったら、陛下の名誉の為にも、よーしゃなく論破しましょう!

    さて、次回でこのシリーズ、やっと最終回となります。最後はなんと、倉山のみならず、内閣法制局までクソミソに攻撃するという豪華付録付きでございます!

    あと一回だけ、どうか辛抱してお付き合いください!

    サトル

    2024年1月21日

    今回も実に興味深く拝読しました。
    人は「しるし」から帰納的に考える習性のある生き物ですが、演繹と違い、常に「大きく間違える可能性」からは逃れることは出来ません。

    しかもその「しるしの意味」を取り違える……意図的に変えてしまうのなら、やはり倉山は、「妄想家」か「扇動家」或いはその「両方」ですね。

    SSKA

    2024年1月21日

    皇嗣とは聞き慣れない単語で菅総理(官房長官?)でもぴんと来なかったのに対し皇太子は誰でもすぐに分かる言葉ですから、国民想いの皇室が譲位の際も丁寧なお言葉で説明して下さったのを見れば、その後に続く方に関して自らまどろっこしい事を仕掛けるとは考えにくいと思われます。
    個人的解釈ですけど、あくまでも神器その他の御物は必ず皇位と共に所有権が移動するので現行法制化での予定を指し示すものであっても将来の確定では無いという認識です。
    皇嗣=即位に最も近い立場である事は変わらないですし、今の現状を示す以外の意味は無い為に壺切の移動先も変更可能なもので、儀式は形式でしかないと考えます。
    譲位制の議論の際に特に重要性が指摘されたのが両者間の合意が必要な事でしたが、立皇嗣は後継者を指名するはずなのにそれが欠けている前代未聞の礼であり、これまで行われて来た婚姻でも無理強いしようとしている養子でも前提とされるのを男系派が一貫して無視し続けているのと同じです。
    当事者の意向に反する内容がネット上で散見する様な秋篠宮家全体への批判に直結し紀子様までもが体調を崩されてしまっている現状を何も理解していません。

    基礎医学研究者

    2024年1月21日

    (編集者からの割り込みコメント)今回も、興味深く読ませていただきました。壺切御剣のことが見えてくると、突撃さんの今回の内容には、非常に説得力を感じますね。確かに、「立皇嗣の礼」って基本は「立太子の礼」の内容を踏襲しているようなので(自分も切手のブログを書いたときに、ちょっと勉強しました(;^_^A)、壺切御剣の拝受を水戸黄門の印籠のような言い方をするのは、ミスリードですね。で、あと余談ですが、前回と今回のブログを読んで「壺切御剣のこと」がわかってしまうと、皇太子の切手の図案に、宮内庁やかつての宮内省はもっと普通に協力してほしかったと、改めて思った次第です。

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