シリメツレツにも、学ぶ歴史アリ(その5)

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●女帝が一般男性と結婚し、その子が天皇になれば、その男性には「上皇」になる資格がある。小室さんが上皇になってしまえば、皇室ではなくなる。
倉山満「言論ストロングスタイル vol222」『週刊SPA!』2024年2月27日号より

〇「は?」って思ったでしょ?
読んでてワケわかんないでしょ?

「いきなり何言ってんだコイツ!? 皇族になったからって小室さんが上皇陛下になんか、なれるわけあるか~!!」と、思わず校舎の屋上から叫びたくなったでしょ? 

「3年〇〇組の最終フェイスさんが好きだ~~!!」みたいな。

それが常識ある国民の反応だとは俺も思いますよ。

仕方ないから、彼の言わんとする事をマニアの俺が補足してあげますよ。言葉足らずの倉山君は俺に感謝して、酒の一升でも持ってきなさい!! 純米大吟醸ね。

一応、「天皇には即位してないけど、上皇として待遇された先例」なら歴史上、あるみたいですよ。倉山満の名著『皇室論』に曰く(笑)。

以下、簡単に列挙させていただきます。

・守貞親王(鎌倉時代)
承久の乱後、幼少の堀河天皇の父として院政を行った。

・後亀山天皇(南北朝時代)
北朝が正統とされた時代に、足利義満(北朝側)の和議に応じ、即位したとは認められていないが、上皇として扱われた。

・伏見宮貞成親王(室町時代)
後花園天皇即位に伴い、その父として「後崇光院」の尊号を送られる

・誠仁親王(戦国時代)
正親町天皇の皇太子だったが急死、息子の後陽成天皇即位に伴い「陽光院」の尊号が贈られる

・典仁親王(江戸時代)
光格天皇の父。光格は江戸幕府に対し、父への尊号を送るよう求めたが拒否され、明治17年に「慶光院」の尊号が贈られる。
(以上、倉山前掲書p234~236より)

※ 一言付け加えておきますが、基本的にこれ全部、倉山満の記述をそのまま要約しただけです。従って字面通りに史実として解釈していい情報かどうかは、私にも正直わかりません。

残念ながら今回、裏付けを取るヒマは無かったけど、論理の落とし穴や事実誤認は、どこかに絶対あると思ってます。 なにしろ、結婚後も身分は臣下のままであった光明皇后ですら、無理矢理「皇族」扱いするような人ですから(倉山前掲書p26)。

そのまま信用なんか、出来るわけないよねwww

ただし前提として押さえておかねばならないのは、仮に、10000歩くらい譲って、これら5つの「先例」を全て信じたとしても、全員が少なくとも、皇族としてお生まれになった方々の事例ばかりだという事です。

民間出身者が、即位も経ずに「大上天皇」として扱われた「先例」なんか、どう解釈しても皆無なんですよ。

文責 北海道 突撃一番
(この項、続く)

参考文献
倉山満『決定版 皇室論 日本の歴史を守る方法』ワニブックス 2023年2月10日

5 件のコメント

    基礎医学研究者

    2024年3月9日

    >突撃一番さん
    そうか、自分編集していて、つい赤文字で強調してしまいましたけど、「あの番組」のパロディーだったのですね(全く意識していませんでした)。

    あと、そうか。自分はシンプルに、天皇陛下になっていない皇族が「上皇」はありえないだろうと思っていましたが、倉山の出した例はあえて「天皇」を経ていない皇族が上皇陛下になった場合のことを取り上げているのですね。しかし、これはかなり極端な例で、よい「先例」とはとてもいえないと思いました。

    突撃一番

    2024年3月9日

    皆さん、コメントありがとうございます!

    俺と同世代くらいの読者の方ならお解りかと思いますが、冒頭のネタは、民放の某人気番組のパロディですからね。(確か、「未成年の主張」というコーナーだったと思う)
    従って、最終フェイスさん云々の話は決して俺の心の声ではありませんので、変な勘繰りをなされませぬように( ´艸`)

    それはそうと、中盤で上げた「即位せずに上皇とされた事例」の話は、仮に全部史実だったとしても、次号のブログでもちょこっと触れる如く、必ずしも「吉例」といえるものでもありません。

    小室さんが皇族になったところで、その「先例」をわざわざ明文法で制度化するとか、いくら自民党政権でもそこまでパープリンではなかろう、と俺も信じたい所なんですがね・・・。

    SSKA

    2024年3月9日

    文字や用語に拘りすぎてその正確な意味や背景まで捉え様としない、腐れ儒者という言葉以外見つかりません。
    天皇家が弱体化した時代に足利義満も授かろうとした説があるくらいですから、天皇と違い即位の事実と一致しない為に軽く扱われたとしてもそれは制度が曖昧だった前近代の話で、国民も関わる現制度においては即位された方と誤解を招かぬ様に考慮し近代初の譲位制度に新設された上皇后様の様に状況に応じて検討される、それだけの話ではないしょうか。
    皇室の方々が普段から仰られる通り本来重要なのは役割(内容)のはずです。
    譲位に関して陛下のお言葉であるから従えと反対派に偉そうに説いていた倉山ですが、実際彼は制度の内容まで全く吟味していない様です。

    基礎医学研究者

    2024年3月9日

    (編集者からの割り込みコメント)今回も、楽しく読ませていただきました。いや、突撃さんのブログを編集していて思うのですが、倉山って、結構変な極論を出してきますよね。今回も、さすがに「小室天皇」とはいわなくなりましたが、「小室上皇ですか( ̄▽ ̄;))」。男性が婚姻を経て皇室に入るのならば、それはありえないでしょう!で終わりのハズですが(「君臣の別」というものを舐めてますよね)。まあ、アジテーションが目的だから、ありえないことでも大声でいって何か「危ないぞー」みたいなことをやっているとしか、自分には思えないですけどね。

    京都のS

    2024年3月9日

     突撃様、今回も爆笑論破でした。「民間出身者が、即位も経ずに『大上天皇』として扱われた『先例』」を無理くり捻り出すなら、道鏡が法王(=法皇???)に成りかけた事態でしょうか(笑)。
     まぁ、これも義江明子氏が『女帝の古代王権史』で詳細に否定されていましたが。

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