【文字起こし】5/13放送NHKラジオマイあさ! けさの“聞きたい”「安定的な皇位継承」/ここに注目!

Post's thumbnail

名古屋大学大学院准教授河西秀哉先生が安定的な皇位継承に関して的確な話をされています。

河西先生、NHKラジオグッジョブです!

お馴染みの静岡県 茶吞みじじいさんの文字起こしです。

マイあさ! 月曜7時台 けさの“聞きたい”「安定的な皇位継承」/ここに注目!
5月13日(月)午前7:25放送(敬称略)

プレーヤー | NHKラジオ らじる★らじる
(5/20までこちらで聞けます)
2:15
司会者:7時27分、今朝の“聞きたい”です。安定的な皇位継承のあり方をめぐり、衆参両院の議長と各党の代表者らによる協議が今週にも始まる見通しです。安定的な皇位継承のあり方をどう考えるのか、今後の議論のポイントは何か。今朝は歴史学者で名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんに話を聞きます。
河西さんおはようございます。よろしくお願いします。
まずNHKが5年前に行った世論調査ではですね、安定的な皇位継承のため、皇室制度を改める必要があるかを尋ねたところ、改める必要があると言う人は54%、改める必要は無いは31%でした。また女性が天皇になるのを認めることに賛成かについては74%が賛成、反対が12%でした。河西さんはこうした世論、どのようにご覧になってますか?

3:24
河西 秀哉:はい、この5年前の調査ではですね、かなり高い数字、要するに改める必要があるとかですね、それから女性天皇を認める必要があるというような数値がかなり高い数値を示してたんですよね。
ただ最近ですね、即位5年を前に共同通信が行った世論調査が先月伝えられたんですけど、それによるとですね、皇位継承の安定性について危機感を感じると答えた人は、ある程度を含めると72%で、まあNHKの調査でかなり高いので、女性天皇を認めることについても合計90%の人が賛成で、また女性皇族の子供が天皇となるいわゆる女系天皇についても、合計84%の人が賛同してですね、まあ多くの国民が女性天皇とか女系天皇を望む結果が出ているんですね。でこれは、あの5年前のNHKの調査に比べてずいぶん上がっていて、それだけもう多くの人々にとってこの問題が重要だということを示していて。
で一方、旧宮家の男系子孫を皇族にして男系男子天皇を維持するということについては合計74%が反対してるんですね、共同通信の調査で。つまり旧皇族の男系男子を養子に迎えるという案には反対が多くて。
ただ一方で、これから始まる政治の議論では、女性天皇とか女系天皇の誕生に繋がることがないようにまとめられた最近の有識者会議の報告案をもとにして協議が行われるんですよね。
つまり世論調査で数値が出ている世論とかなりかけ離れていて、国民の大多数が女性天皇とか女系天皇を認める考えなのに、これから本格化する国会の議論ではそういった世論を無視している、女性天皇の選択肢を外して議論を進めているので、「ちょっとこれいいのかな」っていうのが正直なところで。
実はこの点、あんまり皆さんは周知されていないので、今からまさに女性天皇・女系天皇の議論が始まるかのように思っている人達も多いんじゃないかなと思いますね。

5:53
司会者:安定的な皇位継承のあり方をめぐっては、政府は一昨年1月に有識者会議の報告書を国会に提出しました。
2年以上経って今週にも距離が始まる見通しなんですが、この動きに関してはどうご覧になってますか?

6:07
河西秀哉:まず「やっとかな」っていうのが個人的な印象ですね。
これまでの有識者議でも今後の皇室のあり方が検討されてきたんですけど、国会でなかなか議論が進まないわけですね。
で、昨年の12月に額賀衆議院議長が各党に議論を促して、各党の意見が出揃って、長く放置されてきた重要な問題っていうのがやっと協議が始まってきた、というのが今週なんですね。
過去にもですね、小泉内閣があの19年前、2005年に女性天皇とか女系天皇を容認する有識者会議の報告書をまとめたんですけども、結局その時にも悠仁親王が生まれたっていう事もあって、20年近くですね進展がないままこの問題が先送りされてきたので、今回どういう決断ができるかっていうとこがポイントだと思うんですね。
現在ですね、皇室は天皇皇后含めて17人いて、この内の未婚の女性皇族が5人いるんですけど、皇室典範っていうのは女性皇族は婚姻によって皇室を離れるっていうふうに定めているんですね。
そうするとまず未婚の皇族女性5人はもういつ結婚されてもおかしくない年齢になっているので、すると現行の規定だと結婚して皇室を離れるということになるんですね。
そうすると皇族・皇室というのはいろんな公務をしているわけですから、その公務を担う人が短期的にはまず必要になってくるし、長期的にはご本人たちがそもそも皇室に残るか残らないか、これからどうするかっていうような心構えとか今後の人生設計にも関わってきますし、そもそも長期的に皇族の減少が課題となる中で、安定的な皇位継承をどうするかっていうようなものは、ものすごく喫緊の課題で重要な問題なんだろうなというふうには思いますね。

8:11
司会者:それだけ迫ってきている問題、大きな問題なのになぜこれまで議論が進まずにですね、形の上で棚上げといいますか、なってきたんでしょうか?

8:22
河西秀哉:この前の平成の天皇が退位を実現した7年前2017年の皇室典範特例法の国会での附帯決議でのですね、安定的な皇位継承や女性宮家の創設については速やかな検討を求めてたんですね。ところが代替わりがあったりして、行事の忙しさなどがあったりして、なかなか議論が進まなかったけども、それが終わった後、一応政府が有識者会議で議論を始めて、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持して、皇室に残る案とか、それから旧皇族の男系男子が養子に入る案とかが併記されて一応報告されたわけですけども、皇位継承については基本的には棚上げっていうか。
それはたぶん有識者会議のほうもですね、女性天皇とか女系天皇っていうと様々な「国論を二分する」っていうか、どちらかというと少数派の方が声が大きいっていうこともあって、そちらの反発を避けて基本的には有識者会議もなんていうか玉虫色というか、あまり議論を進めない形の案を出したっていうことですね。
ところが、今回当時の衆参議長もいろいろ各党で議論を進めるように要請してたんですけども、まあおそらく弾まなくて。
その背景にですね、議論が先延ばしして時間が経てば、逆にその先ほど言いましたように女性皇族がどんどんと減っていくわけで、そもそも女性天皇とか女系天皇の選択肢がなくなって、もう男系しかいないよねっていうような、そのいわゆる、「いわゆる」(2度目は強調して)保守派っていわれる、(男系を)維持する勢力の意向に添えるっていうのがあったとは思いますし、それからの喫緊の課題ですよね、政治と金とか様々な生活に関する問題が起きて、こういう天皇っていうような大きな問題を議論するっていうことを政治家が避けたんじゃないかなというのが、棚上げの理由なんじゃないかなって思いますね。

10:27
司会者:今週にも国会で始まる安定的な皇位継承のあり方についての協議についてポイントは何か。この後伺います。

(ブレイク)

10:44
司会者:今朝の“聞きたい”、安定的な皇位継承をめぐって名古屋大学、大学院准教授の河西秀哉さんに話を聞いています。衆参両院の議長と各党の代表者らによる協議が始まろうとしていますが、どういう選択肢が用意されてるのか?お願いいたします。

11:00
河西秀哉:はい、政府が一昨年1月に国会に提出した有識者会議報告書の原案がおそらく議論されるんですけども、一応皇族数を確保する方策としては、一つ目が「今残っている女性皇族が結婚後も皇室に残る案」ってことと、それから二つ目が「旧皇族、戦後皇室から離れていった人たちですけども、その男系男子を養子に迎える案」の二つが議論されると思うんですね。
で、ここでの大きなポイントっていうのは、女性皇族が結婚後も皇室に残る場合ってことと、男系男子を養子に迎える場合も、女性皇族が天皇になるっていうことはないんですね。
つまり今回国会で議論される2つの案どちらを採用するにしても、例えば愛子内親王が天皇になることはない、っていうことなんですよね。

だからあの最初に述べたように、世論が女性天皇とか女系天皇について、かなり高い数字で賛成しているにもかかわらず、そこと大きく議論している(「乖離」しているの言い間違い?)っていうことなので、この議論の方向性が良いのかっていうことがポイントになるのかなあと思うんですね。

12:27
司会者:そうしますと今後の協議のポイントはどうなりますか?
12:33
河西秀哉:はい、安定的な皇位継承のあり方っていうのは、これまでもですね、小泉内閣とか野田内閣とか新設された有識者会議で話し合われてきたんですけども、小泉内閣の時は、やっぱり女性天皇と女系天皇、それから野田内閣の時が女性宮家の創設が提言されたのに、結局のところ国会では繰り返し議論が先送りされてきたというのがあります。
でこれから本格化する協議ではですね、かつての有識者会議の報告書は、特に男系男子の旧皇族を養子にするも含めて、そういう方向性が異なる案が最近示されたわけで、それを議論することになるわけですね。
ただ国会でよく言葉に出てくるんですけど、「静かな環境の中で」とか、「(静かな環境の中で)検討が行われるように配慮する必要がある」というような言葉が、一部の主張で繰り返し言われるんですけど、そういう風に「静かな環境」ってことは「静観したまま」っていうことになりますので、国民の意見というものを吸い上げないままに、世論の望む方向が結論になり得ないということを危惧しているというか、そういうふうにならないような形がポイントなのかなあ、という気がしますね。

13:54
司会者:そうしますと河西さんとしては今後どんな議論を期待したいですか?

13:59
河西秀哉:はい、国政選挙なんかを見てると、けっこう各党が実は公約の中に皇位継承問題についても重要な政策課題に位置付けているんですよね。
でこれ実はなかなかいろんな問題が生活とかいろんな問題があって、そこがクローズアップされるんですけど、皇位継承の問題についてやっていて、我々一人ひとりの有権者がこの問題について各党の議論を、姿勢とか考えをちゃんと見極める必要があるんですよね。
実際よく見てると、リベラルだと思うような党がそうでもないというようなことをしてたりすることもあるので、選挙で一票を投じることができるので、そうした投票行動で国会議員に緊張感を伝えることが重要なんだろうなというふうに思います。

14:50
司会者:どうもありがとうございました。
今朝の“聞きたい”は名古屋大学、大学院准教授の河西秀哉さんにお話を聞きました。7時40分です。

3 件のコメント

    茶呑みじじい

    2024年5月16日

    基礎医さん
    たしかに、倉山満や竹田恒泰の妄言・暴言の文字起こしよりずっとストレスないですね(笑)
    全て「その通り!」って感じ。

    リカオンさん
    ありがとうございます〜

    リカオン

    2024年5月15日

    茶呑みじじいさん!文字起こしありがとうございました!
    聞き逃し配信は1週間しかないので、文字起こししておいた方が良いと思いつつ、時間と気力がなくてしていませんでした。

    ファンサイトの方にも紹介いたしますね。

    基礎医学研究者

    2024年5月15日

    茶吞みじじいさん、今回は「文字起こし」のモチベーションあがったのでは(≧▽≦)
    「愛子さまトーーク」に引き付けて申し訳ありませんが(笑)、的確に正しいことしか、いっていませんよね。最初に、共同通信の世論調査結果をNHKの5年前の世論調査と比較して述べていることは、本当に世の中に広まってほしい情報ですし、国民の思いと政治の間のギャップ(女性・女系の皇族が、天皇になれない形での議論を前提にしている)をきちんと伝えてくれている意義は、とてつもなく大きいですよね。これは、政治家にとってプレッシャーになりますよ。さらに、最後は国民が関心を持ち続け、政治家に緊張感をもたせる!というのも、まさに我々のサイトで訴えていることであり、河西先生の発言は「我が意」を得たり、という感じです。いや、増幅スパイラルがかかっているのが、実感できる番組で、これが聴けなくなっても、文字で残された功績は、大きいと思う次第です。

コメントはこちらから

全ての項目に入力が必須となります。メールアドレスはサイト上には表示されません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。