一年程前に逃げ上手の若君(松井優征作・メインの監修は本郷和人)がテーマのブログを掲載してもらいましたが、今回は同作のラスボスである足利尊氏に執事として仕える高師直(こうのもろなお)について。
まずは、以下のセリフから。
「全国民が崇めるべきは尊氏様のみ!」「崇めぬ者はただ滅べ!!」
これは北条時行が北畠顕家(きたばたけあきいえ)軍の武将として参戦した石津の戦いの最中の第164話「従える者1338」に出て来たセリフですが、師直が絶大な神力をその身に宿し、この世の全てを欲しがる尊氏を神として崇めている事がよく解ります。
その危険なイデオロギーは、以下の第17巻収録の第150話「フルメタル1338」での師直と尊氏の弟である足利直義(ただよし)の会話(一部省略)で既に示されていました。
直義「師直…何だこれは」
師直「全金属製の…帝を試作しています」
「いずれ今の帝(光明天皇)には…この全金属製帝にご譲位頂こうかと」
直義「…師直貴様」「帝を廃位する気か」
師直「廃位ではなく譲位です」
直義「合理主義も大概にしろ!」「民の心をまとめるには現人神の帝こそ必要なのだ!」
政治利用的な感じですが、天皇の存在意義が解っている直義は「保守」でしょうか。
尚、第1巻収録の第4話「諏訪1333」に「この時代の日本では、京の天皇・出雲大社の当主・諏訪大社の当主の三者は現人神として大勢の信仰を集めていた」と言う記述がありました。
師直「直義様」「鎌倉幕府がなぜ滅びたかわかりますか?」
「鎌倉滅亡の原因は…こいつら(実際は・で強調)を尊重しすぎた事」
この後、師直のこいつら(帝と公家)への不満のセリフが続きます。
師直「帝は全金属製の象徴で残し」
「人間の崇拝は尊氏様一人に集め」
「公家の土地は没収し武家に与える」
「合理的かつ単純明快」「実力だけが評価される武家社会となる」
直義「師直…お前」
直義が戦慄するのも解ります…危険過ぎますから…!
尊氏一神教な師直の理想は当代は尊氏個人のカリスマ性で民がまとまったとしても、尊氏の死後はどうなるのでしょうか?
天皇の権威無しでは、国が安定するとは思えないです。
※南北朝時代に詳しい人によると、全金属製帝の設定は作者の松井優征先生が太平記の記述を基に膨らませたらしいのですが、マンガと言うフィクションの話とは言え、高師直は恐ろしい人物だと思いました。
現代の男系固執派は師直に似ていると思います。
自分は全金属製帝から万一実現してもお飾りの象徴にしかならないであろう旧宮家系の天皇や皇族を連想しましたが、女性皇族に皇位継承権が無く夫と子供は国民と言う案や、「女系天皇が誕生したら王朝交替」「悠仁様までの流れは揺るがせにしてはならない」などのふざけたセリフも、皇室を滅ぼすと言う意味では師直と同じでしょう。
師直の合理主義には良い面もあったかもしれないですが、男系固執には悪い面しかありません。
皇室についてで言えば、両者は「未来」と言う視点が無いところが共通しています。
師直と同じく、男系固執派は後世の人間から悪いイメージで見られるでしょう。
特に男系固執派の国会議員は日本会議や神社本庁などの目先の恐怖では無く、未来の日本人から逆賊と蔑まれる事を恐れて欲しいものです。
※自分は趣味でエブリスタと言うサイト(女性が多いらしいです)に登録しているのですが、以下の作品に教えてもらいました。
物語る諏訪の《記憶》〜光〜https://estar.jp/novels/25773681
第4話該当ページhttps://estar.jp/novels/25773681/viewer?page=4
第150話該当ページhttps://estar.jp/novels/25773681/viewer?page=152
第164話該当ページhttps://estar.jp/novels/25773681/viewer?page=166
叶丸のページhttps://estar.jp/users/122624240
文責 愛知県 叶丸
(色々な意味で美しいキャラだった北畠顕家が石津の戦いで討ち死にしたのが悲しい…だがそれで良い)
10 件のコメント
昭和43号
2024年9月24日
足利尊氏といえば、平成3年のNHK大河ドラマ『太平記』では、今話題沸騰中の真田広之さんが尊氏役をクールに演じていました。
反対に弟の直義は、高嶋政伸さんが熱く演じていました。
高師直は、藤原道長役が好評な柄本佑さんのお父様、柄本明さんでした。
元々の顔つきか役柄のせいか、ずっとふてぶてしい表情だった気がします。
美少年の北畠顕家は、なんと当時まだ女子高生だった後藤久美子さんでした。
『太平記』は創作が多いらしく、悪役として書かれている高師直も虚実が混在しているようですが、大河ドラマは面白く見ていた記憶があります。
叶丸
2024年9月23日
ふぇいさん基礎医さん。
修正ありがとうございました。
京都のSさん。
松井優征先生独特のキャラ立ちについてはここでは伏せますが…楠木正成の時行への影響はかなり大きいです。
基礎医学研究者
2024年9月23日
>叶丸さん
自分は、今回の編集に関わっていませんが、とりいそぎふぇいさんに代わり、リンクを修正しました。ご査収よろしくお願いします(by基礎医)
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2024年9月23日
TBSでアニメを楽しんでいますが、後半にはクズ野郎によるクズ展開が待っているんですね。政治利用できりゃ何でも良いという感覚は、現代でも所属陣営の左右を問わず極左ですね。大楠公の本作での扱いが気になるところです。
fei
2024年9月23日
ふぇいでございます。
今出先で、リンクを変えてみたのですが、スマホからではうまく行かず💧後ほどPCで変更します。少しお待ちください。
叶丸
2024年9月23日
パワーホールさんへ。
それは本当に不敬ですね…。
師直は作中屈指の悪役だと思います。
直義は兄の尊氏に従っていますが、その危険性を感じているようです。
後の史実が基になる展開への伏線でしょうか。
叶丸
2024年9月23日
削除ありがとうございました。
お手数ですが、今見たら最後の自分のページのリンクが間違っていた(自分のミスです)ので、そちらもお願いします。
正しくは、以下になります。
https://estar.jp/users/122624240
パワーホール
2024年9月23日
高師直、現代人の私から見ても不敬極まりないですね。足利尊氏とのことですが、同じく征夷大将軍となった徳川家康にも天皇を伊勢神宮の神主にしてしまえと主張した側近がいるとのことです。どの時代にも天皇と皇室に対して不敬かつおぞましい考えを持つ者はいるのですね。
fei
2024年9月23日
叶丸さま
ふぇいでございます。
ブログ投稿ありがとうございました。
ご指摘いただいた最後の部分削除しました。
どうも失礼いたしました。
「全金属制の象徴」って、えらいことですね。
叶丸
2024年9月23日
掲載ありがとうございます。
今回は担当のふぇいさんはじめ、愛子天皇への道の皆様に余計な時間を取らせてしまい、すみませんでした。
おそらく、現在構想中の北畠顕家がテーマのブログはここまでの文字数にはならないと思います。
それから、最後の作者の人への許可の部分はブログには含まれないので、削除して下さい。