せっかちでいい事、悪い事 皇位継承は1千年後を考えよ【産経新聞】

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産経新聞が皇位継承に関する記事を出しました。

せっかちでいい事、悪い事 皇位継承は1千年後を考えよ【産経新聞】

皇位は初代の神武天皇から第126代の天皇陛下まで、一度の例外もなく男系(父系)によって継承されてきた。この不動の原則に従えば、旧宮家の男系男子の皇籍復帰が自然であり、政府の最終報告書でも復帰案が示されている。にもかかわらず、国会の議論がまとまらないのはどうしたことか。

政府の最終報告書とは、有識者会議の報告を指していると思われますので、その有識者ヒアリングで、専門家がどのように答えていたか、報告書(令和3年12月22日決定)より、示してみます。

問9 皇統に属する男系の男子を下記①又は②により皇族とすることについてはどのように考
えるか。その場合、皇位継承順位についてはどのように考えるか。
① 現行の皇室典範により皇族には認められていない養子縁組を可能とすること。
② 皇統に属する男系の男子を現在の皇族と別に新たに皇族とすること。

旧宮家の男系男子の皇籍復帰=② 皇統に属する男系の男子を現在の皇族と別に新たに皇族とすること。への専門家の意見(報告書(令和3年12月22日決定)68頁~)

大石 眞(おおいし まこと)氏(京都大学名誉教授 専門は憲法学・議会法・宗教法・憲法史)
一般国民の間における平等原則に対して「門地」などに基づく例外を設け、「皇族」という継続的な特例的地位を認めようとするもので、憲法上の疑念があると言わざるを得ない。ハードルは高い。その問題を別としても、現行法が採用する強い嫡出制原理との整合性という点から考えると、「皇統に属する男系の男子」が全て対象者・適格者になるとするのは問題。その観点からは、少なくとも「皇統に属する男系の男子」のうち、その原則に合致する者のみに絞られるべき。

岡部 喜代子(おかべ きよこ氏(元最高裁判所判事 元慶應義塾大学大学院法務研究科教授 特に親族法・相続法を専門とする)
配偶関係や養親子(ようしんし 養子縁組みによって生じた親子)関係による天皇との血族関係の深さなど、皇族となり得る説得的な根拠がないまま皇族になったとすると、皇族とは何かという根本的な疑念が生ずるように思われる。皇統に属する男系男子であれば、薄い血縁でも法律で認められれば皇族となり得ることは、天皇との血縁が濃い一定範囲の者という皇位継承の在り方と全く異なる。ひいては、国民と皇族との区別がどこにあるのかとの問題も生じかねない。この意味で、賛成できない。

宍戸 常寿(ししど じょうじ氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授 専門は憲法・情報法)
内親王・女王との婚姻を通じた皇族との身分関係の設定によらず、一般国民である男系の男子を皇族とすることは、門地による差別として憲法上の疑義がある。

憲法を専門とされる大石氏、宍戸氏が「門地」による憲法上の疑念、疑義を呈し、親族法・相続法を専門とされる岡部氏が「国民と皇族との区別がどこにあるのかとの問題も生じかねない君臣の別」について、はっきりと指摘しておられます。

そもそも、有識者会議の報告においても旧宮家の男系男子の皇籍復帰は、以下のようにまとめられています。

「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」 に関する有識者会議 報告(概要)(2頁)
③皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること
〇 皇族という特別な立場について、一般国民における家族制度とは異なるアプローチをとるものであり、現皇族の御意思は必要としないという面もある。
現在いらっしゃる皇族方と何ら家族関係を有しないまま皇族となることは、②の方策に比べより困難な面があるのではないかとの指摘もある。①・②の方策では十分な皇族数を確保することができない場合に検討すべき。

さらに1月31日に行われた全体会議においても、 衆 議 院 法 制 局 長 ・橘 幸 信 氏は、以下のように取りまとめていました。

令和7年1月31日 天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく 政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議(4頁中段)
な お 、 政 府 の 有 識 者 会 議 報 告 書 で 提 案 さ れ て い る 第 三 案 の 、 皇 統 に 属 す る 男 系 男 子 を 法 律 に よ り 直 接 皇 族 と す る こ と 、 一 覧 表 の 論 点 項 目 で は 4 に な り ま す が 、 こ れ に つ い て は 、 国 民 の 理 解 が 得 ら れ る か と い っ た 問 題 や 憲 法 上 の 問 題 な ど の 指 摘 も 多 く 、 い ま だ 各 党 各 会 派 の 御 意 見 を 整 理 す る 段 階 に は 至 っ て い な い よ う に 存 じ ま す

旧宮家の男系男子の皇籍復帰は、有識者会議ヒアリングにおいても、国会議員の意見聴取においても、官僚の取りまとめにおいても、そして国民の女性天皇賛成の心情においても、問題外。

復帰案には、一般にはあまり知られていない旧宮家の方が皇族になっても、すぐには国民の理解は得られない、という反対論が一部にある。だが、それこそせっかちというものだ

国会の議論がまとまらなくて、せっかちになっている男系派の心情をつぶさに報じていただいたことは、感謝したいと思います。

「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ

5 件のコメント

    ダダ

    2025年3月2日

    旧宮家の男系男子の皇籍復帰?
    今上陛下より年上の高齢者を復帰させても意味がありませんよね、
    皇籍復帰と取得の違いも分からない新聞社はがあることに驚いています。

    SSKA

    2025年3月1日

    旧宮家系子孫が皇室にも国民にも受け入れられない事をとっくに承知しているからか、千年先の事と曖昧に濁して逃げを打とうとは随分身勝手で都合のいい話だと思います。
    そんな将来世代を呪う老人の世迷言を天皇陛下のお写真と共に平然と載せられる神経もまともとは思えません。

    くりんぐ

    2025年3月1日

    欠史八代で男系継承は終了しました。
    文武天皇から元明天皇への子から母親への継承は、男系継承とも女系継承とも言えません。

    皇位継承資格の純粋性(君臣の分義)を守るため、一度皇族の身分を離れれば二度と皇族には戻れません。
    元皇族の国民が皇族に復帰することすらできないのですから、その子孫というだけで生まれてからずっと国民の方が皇位継承権のある皇族にはなれません。
    国民は皇族との婚姻以外、皇族になる方法はありません。その場合皇位継承権はありません。

    旧宮家系男系男子は北朝三代崇光天皇の男系男子。
    今上陛下とは血筋が離れすぎていて、万が一旧宮家系男系男子への皇位継承が実現しよう物なら、間違いなく王朝交代とみなされます。
    復帰案は不自然、門地による差別に該当する憲法違反行為。

    皇室という聖域で皇族として生まれ育たれた愛子さまたちを差し置いて、国民として生まれ育った旧宮家系国民男性が皇位継承なんて論外です。

    突撃一番

    2025年3月1日

    皇族の人生がかかってんだから、せっかちになるのはアタリマエです。むしろなんで男系派は、そこまでのんびり「悠仁様までは安泰だ~」と構えてられるのか、さっぱりわからない。

    憲法が許す範囲内で、少しは慌てろ!!

    ありんこ

    2025年3月1日

    天皇の子をその天皇の性別から男系女系に分けて、その待遇に差をつけることを伝統とするならば(なお女帝の子もまた同じとあるので伝統的にはそのような扱いはなかった)、天皇の地位は男女の別の下位に置かれる地位でしかなくなるんですよね。
    産経新聞は天皇の地位を男女の別の下に格下げしろと言っているわかりやすい逆賊ですね。

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