揺れ動く孫権と曹操の謀略から国難脱する話をご紹介します。 (三国志編その8、赤壁編その4)

Post's thumbnail

前回のあらすじを含みます。 単身で諸葛亮孔明は、呉に同盟を結ぶため、曹操の大軍に震える降伏派を弁舌でなぎ倒して呉に殴りこみ、孫権が降伏に気持ちが傾いてるのを察し、孫権にもズケズケと物を言い、主戦派をハラハラさせつつ、何とか孫権の気持ちを孔明と主戦派に向けさせました。 しかし、孫権はまだどこか腹が決まっていない様子で降伏派もしつこく粘ります。

孔明と魯粛は降伏派にとどめ刺すには“あの人”の声が必要不可欠、と思い立ち、”あの人”のところに赴きます。 “あの人”とは、 先代の孫権の兄と義兄弟の契りを交わし、軍を率いて国防の要、美周郎と呼ばれる周瑜でした。 周瑜のところにも曹操のお手紙が届いた時から、 立て続けに降伏派と主戦派が訴えに行き、 周瑜はそれぞれの言い分を聴いて帰らせ、動きませんでした。何かを考えている様ですが、友と呼ぶ魯粛にも気持ちを明かさないため、魯粛は孔明を連れて面会します。
 周瑜は、孔明と魯粛が来るや否や降伏か戦うかの話になったさい、「私は降伏した方が呉の為と思っている。曹操には叶わん。」とのたまいます。 魯粛はまた話が違うじゃないか!と周瑜に詰めよりますが、孔明は周瑜の目の光を見逃しません。 周瑜の才は曹操の耳に届くほどです。 孔明は「まあまあ、魯粛殿。」となだめます。 ここで、演義では孔明が周瑜の本音を引き出そうと意地悪します。
 「周瑜殿の言ってる事も然りです。 戦わずして呉を護れるのなら、それが最上でしょう。」 周瑜はそうでしょう、そうでしょう。と答えます。孔明はそう言えば、と「曹操に武力使わせず、呉から撤退させられる方法があります。」 と2人に言うと、周瑜はその話は何だと尋ねます。 「曹操に呉のある2人を遣わしたら、曹操は引き上げます。曹操はその2人に御執心だとか。」 孔明の言葉にピリつく周瑜でしたが、話の先を促すと、 「曹操は大の女好き。しかも、人妻が好きであり、支配した地に美人(人妻)がいれば手に入れない訳ないでしょう。今回の南下も孫権殿の地とその美人を手に入れるのが目的とか。周瑜殿はその2人を探して曹操に献上すれば良いのです。確か、大喬、小喬とか・・・。」
 孔明は何も知らないかの風に言った瞬間、 周瑜は憤怒の様子で「それは真か!?嘘だったら承知せんぞ!!」と孔明に詰め寄ります。 孔明は怪訝そうに、曹操が2夫人を侍らして天下を治めたいと言う詩を周囲に披露していましたと伝え、益々真っ赤になる周瑜に、何故こんなに怒るのかと尋ねると、魯粛はお前は何てことを言うのだと言い、その美人の大喬は先君の夫人で、 小喬は周瑜の奥さんだと説明します。 孔明は慌てて周瑜に謝罪すると、周瑜は孔明より曹操に怒りが向き、「元々曹操と戦う腹積もりだったが、今の話を聞いたら絶対に降伏させん!!」と本音をさらします。

孔明は内心、ニヤリとし、”我が策、得たり!”とガッツポーズをします。 孔明はあらかじめ、呉の情勢を把握し、主戦派のキーパーソンの魯粛だけでは孫権を動かせないと観るや、日和見のポーズをしつつも、開戦のきっかけがもう一つ欲しかった周瑜を口説くのが一番と観ていました。

周瑜側からしても先代の夫人を敵に献上するのは、不義にあたり、国の威名を落とすとし、開戦の大義名分として孫権に開戦踏み切らせるところでしょうか。ともあれ、周瑜の姿勢を主戦派に決めさせ、周瑜は孫権に謁見し、皆がいる場で劉備との同盟を進言しました。 また、降伏派達がすがってくるのを「君主に仕え、その禄を食みながら、君主を悪戯に降伏させるのは不義不忠である!そんなに我が身の保身が欲しいのか!恥を知れ!」と蹴飛ばすように言いのけ、孫権も周瑜、魯粛の言葉もあり、宣戦布告を決めます。
 こうして孫・劉の同盟がなり、周瑜は大都督という位を得て、魯粛を補佐に曹操の大軍を迎え撃ちます。 これでめでたしと終われば良かったのですが、演義では周瑜が孔明に一杯食わされた!と孔明を危険視し、色々と命を狙って来ます。

人形劇三国志では、”宣戦布告後の周瑜のセリフに”いつどこで真実(情報)を明かすかということは恐ろしい武器になる!”とあります。孔明の恐ろしさは必要なタイミングを外さず、的確に情報を開示して利用するタイミングを見逃さない、ところでしょうか。

*今回のブログは、皇位継承問題とは直接関連しませんが、この部分は「皇位継承問題」にとって、味わい深いモノを感じます(by基礎医)

孔明は単身で劉備達の命運を背負っている身、君主を活かす為にもその才を振るいます。 自分が倒れれば劉備達も倒れるので、孔明も気を抜けれません。

今回の話はここまで。次回は 演義の見どころの周瑜と孔明の駆け引き、赤壁の前哨戦に行きます。
(三国志編その9、赤壁編その5)に続きます。

文責 神奈川県 神奈川のY

4 件のコメント

    神奈川のY

    2025年3月9日

    皆さま、コメントありがとうございます。
    若干、Yの三国志人物は血の気、毒気が多いですが、御愛敬で観て下さると幸いです。
    ・宜しければご教示下さいさま、
    コメントありがとうございます。
    もし、その推進派に策士がいなければ意見を送り込んだり、人を観て育てると伸びるかもしれません。人の琴線を探し出すのも策の一つですよね。
    ・あしたのジョージさま、
    孔明は表向きは涼しい顔でやり過ごしていますが、内心は結構ドキドキしてるかもしれません。でも、劉備達がいるので、思い切り良く、いざという時は大胆にやってのけます。
    ・基礎医さま、
    編集、いつも配慮ありがとうございます。
    三国志編を書いてると、皇位継承問題のヒントが結構見つかり、目から鱗が出ています。
    あと、魯粛の、人のいいオジサン度が強く、ごめんなさいです。なんか、この場面では安心感あるおじさまのイメージが出てしまいました。次回も魯粛は苦労人で大変な目に遭いますが、呉の人物で一番安心感のある人です。魯粛の人のいいオジサンの面、尊い感があります。

    基礎医学研究者

    2025年3月9日

    (編集者からの割り込みコメント)今回も、面白く読めました。少し、注釈入れましたが、皇室の話に一見関係ないようにみえますが、これは見方によっては、「皇位継承問題」と大きく関係する部分があるのでは?と、自分は思います(具体的に書かないのは、戦略上の問題があるため、とご理解いただければと)。

    *ここは、三国志マニア的な感想。そうか、今回の周瑜を見ていると、横山光輝の「三国志」よりもより才能がある人物として描かれていますね。一方、魯粛は、人のいいオジサン度が増しているような気が(個人的には、ここはちょっと不満ですかね(笑))。

    あしたのジョージ

    2025年3月9日

    緊張感が半端ない周瑜と孔明の面会シーンでしたが、孔明の粘り勝ちかと思われましたが、後から周瑜も一杯食わされたと命を狙ってくるんですね。
    孔明にとっては交渉力が、自分と劉備達の命を救う剣のようなものですね。

    宜しければご教示下さい

    2025年3月9日

    「無知の知」で、周瑜を翻弄する孔明の人心をも把握して利用する様は見ていて痛快ですね。
    こう言った「策士」が「附帯決議」推進派に居ればと思わざるを得ません。

コメントはこちらから

全ての項目に入力が必須となります。メールアドレスはサイト上には表示されません。

内容に問題なければ、下記の「コメントを送信する」ボタンを押してください。