兵法のことわりで、国難の大国相手に勝つ秘策をご紹介します。 (三国志編その11、赤壁編その7)

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(前回のあらすじを含みます。) 大陸を半ば制した曹操軍は、自分達に与しない劉備軍・孫権軍に業を煮やし、南下して劉・呉の水軍に負けない大軍を率いて攻めこむも、計略合戦にて孔明・周瑜の軍師に追い込まれていきます。

三国志を観ますと、古来から戦は兵法にあり、数の不利はどうにでも逆転する、という事があり、曹操自身も官渡の戦いにて数で不利だった戦況でもその才知で切り抜けて来ました。

しかし、同時に兵法の常の理(ことわり)で、慢心は敗戦の一番でもあり、曹操は天下統一に王手がかかった今、慢心の病にかかります。 日本の大東亜戦争時での連戦連勝と慢心がきっかけの大敗にも通じてるところです。

曹操は慢心でありましたが、戦の準備は抜かりなくして計略を駆使していきます。 曹操は経験少ない水軍指揮に手こずっている最中、賢者に偶然、スパイとして忍ばせた蔡中の招きで出会います。 その賢者の名は龐統(ほうとう)、字は士元(しげん)とあり、孔明と並ぶ才知があり、鳳雛(ほうすう・鳳凰のひなの意味)を持つ人です。 当時は臥龍(孔明)と鳳雛(龐統)を召し抱えたら天下統一出来ると言われたそうで、曹操はまさに天の計らいと喜んで、曹操軍に招き入れます。
 龐統は曹操軍を視察し、曹操に「素晴らしい大軍です!さすが天下の曹操軍ですなあ!孫権軍と大違いですね!」と褒めます。曹操も散々孔明や周瑜達に煮え湯を飲まされて来たので嬉しさが倍増です。 そこへ、龐統はおや?と懸念する顔になり、 「しかし、心配なところがありますなあ。」とこぼします。 曹操は「何でしょう、先生?」と不安になります。 龐統は船全体を指し、「船は揃っていますが、いかんせん、兵士達が船に慣れてないのであちらこちらに病が観られ、観たところ、医者も不足です。これでは勝てるものも勝てません。」 とのたまい、曹操の心を揺さぶります。 曹操は龐統にどうしたら良いか問うと、龐統はキラリ!と目を一瞬光らせます。「船を連結して揺れを少なくし、水軍に兵士達を慣らしてはどうでしょうか?」と進言します。 曹操は「なるほど!確かに揺れは少なく、兵士達も慣れるし、病も防ぐ事が出来る!しかも連結していれば物資や人や馬の移動もスピーディー!その意見乗った!!」と快諾し、さっそく対応します。しかし、曹操軍の軍師達は“ん!?”と思い、曹操に待った!をかけます。

「殿、連環されたら船同士は揺れが少なくなりますが、火攻めされたらひとたまりもないですぞ!?」と懸念します。 曹操は分かっておるわい!と言い、 「今の季節には東南の風が吹かない限り大丈夫だ!」といなします。 曹操が去ると龐統は”してやったり!”とほくそ笑みます。龐統は周瑜と孔明と与して、スパイを潜ませる反間の計のスパイでした。龐統は、 この船同士を繋ぎ火計を成功させる計略や、曹操のスパイを利用してスパイ返ししてなど、複数の計で大きな効果を狙ったり、敵内部に弱点や争点をつくりだして攻めやすくするのを連環の計と呼ばれます。(三国志の連環の計にはもう一つ、一人の美人を利用して両者を同士討ちさせるハニートラップのやり方もあります。)
 最初は曹操も龐統をスパイと疑っていましたが、 龐統は孔明や周瑜にない、人の懐にスッと入りこむ飄々としたところがあり、曹操を油断させます。曹操は「先生ほどの人が何故我が軍に?」という問いに、龐統は「我が才知は孔明・周瑜に引けを取らないのですが、いかんせん、この顔が不味くて周瑜達に我が軍にはいらん!と言われまして。曹操さまは傲慢不遜な周瑜達のような輩と違い、才知ある者には寛大と聞いてますゆえ・・・」との答えに曹操は警戒解かれてしまいます。 実際、赤壁の戦いの後で、魯粛が推薦して龐統は孫権と謁見しますが、顔がイケメンではないと言われ、その容子が引っかかり、登用されなかったとあります。魯粛が龐統の才知を惜しみ、それでは忍びないし、才知がある人物を用いないのは国益を損なう。我が君が駄目と言うなら敵に行かれるより、同盟の劉備達に勧めよう!と龐統を劉備達へ紹介されたりします。

そんな龐統は”我が計、成れり!”と思った時、 “おいおい、我が軍を火だるまにする気か?”と 背後から声をかけられます。 龐統が” しまった!”と振り返ると、劉備と孔明の友の徐庶がニコニコしています。 龐統は徐庶の事を聞いてるのか、敵ではないとひとまず安堵します。 龐統は「まさか、曹操に言うつもりじゃないよな?この計は江東の人民達の命がかかってるのだ。」と徐庶に問うと、徐庶は「まさか。私は曹操の為には動かんよ。」と返します。 しかし、このままだと徐庶の身が危ない為、龐統は一計を徐庶に授けます。
 翌日、曹操軍内に西北方面にある群雄に動きがあるという噂が流れ、徐庶はその防備にあたると言い、戦地から脱します。

今回はここまで、(三国志編その12、赤壁編その8)に続きます。
次回は東南の風と赤壁の戦い前夜へ参ります。

文責 神奈川県 神奈川のY

2 件のコメント

    神奈川のY

    2025年4月9日

    あしたのジョージさま、コメントありがとうございます。龐統は顔がむさいおじさんだったのか、顔で損してたみたいです。なので、孫権より曹操の方が器が広いと思います。(でも裏切りますが。)また、龐統は孔明より合理的な性格で結構えげつない策略もしたりしますが、結果因果応報なのか途中で討ち死にします。才知と義は兼ね備えた方が良いと思った次第です。

    あしたのジョージ

    2025年4月9日

    自信を持つ事は良いと思いますが、自惚れと紙一重だと思います。
    常に油断大敵ですね。

    孔明と同じぐらいの頭の良さがあるのに、ルッキズムでまともに相手にされないなんて、気の毒ですね。
    中身が同じぐらいなら見た目がいい方が良いのはわからなくもないですが、戦でルッキズムにこだわるのもどうかと思います。
    命とりになるかもしれないのに。

    人の心の奥底を見抜く事は、中々容易ではないと思います。
    本当に曹操を騙せたんでしょうか。
    次回を待ちます。

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