憲法調査会は女性天皇を認める共通の認識 立憲 長浜博行参議院副議長 令和4年3月14日 参議院予算委員会 議事録読み②

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安定的皇位継承を巡る全体会議に、現在は参議院副議長(令和4年・2022年8月3日就任)として臨んでいる長浜博行議員が3年前、令和の有識者会議の報告がなされた三か月後に行った質疑について、さらにみてゆきます。

第208回国会 参議院 予算委員会 第13号 令和4年3月14日(161長浜博行議員~)

○長浜博行君 午前中の質疑では、大日本帝国憲法と日本国憲法における皇位継承の法的根拠の違いまで行わせていただきました。

そこで、法制局長官に伺います。皇室典範の件です。

同じ漢字四文字なんですけれども、戦前の皇室典範、先ほど御説明したように、宮務法の皇室典範とはその法的性格を異にする、日本国憲法第二条にある国会の議決した皇室典範とは何か特別なものなのでしょうか。現在、多く存在している、まあ国会でも質疑をする法律のワン・オブ・ゼムなのでしょうか。その点についてお答えをください。

○政府特別補佐人(内閣法制局長官(当時) 近藤正春君) お尋ねの現行の皇室典範、これは昭和二十二年の法律第三号でございますけれども、この皇室典範はいわゆる法律であるというふうに理解しております。

すなわち、憲法第二条は、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と規定しておりますけれども、皇室典範が法律であることは、同条が国会の議決したもの、つまり法律であるということとしているとともに、皇室典範自身、その第三十七条あるいは附則において自らを法律と称しておりまして、いうことからも明らかだと思いますので、法律については特別の区別はございませんので、一般の法律と同じような効力を持つものと考えております。

皇室典範は、一般の法律と同じ。ならば、改正も出来るはずですね。

○長浜博行君 なお、先ほど来、男系という言葉がよく出てきますけれども、男系の子孫とは父方の血統をたどって天皇とつながる子孫のことを言って、女系の子孫とはそれ以外の子孫というようなことで言われておりますので、なかなかふだん余り使うことがない言葉ですが、御理解をいただきたいというふうに思います。

ちょっと本題からずれますが、皇位継承の議論をしておりますと、時々、女性天皇と女系天皇の違いが分からない人がいるとか、アンケート調査をやられると女性と女系の区別が付かない人が多いとか、こういうことをおっしゃる方がいらっしゃいますが、まあ仮にそうだとして、これはなぜなんでしょうか。

先ほど、午前中もやりましたように、日本国憲法に真っ先に書かれている天皇については、どこでどのように教えられているんでしょうか。総理はいかが思われますか。天皇や天皇制については、話題とすることには何か差し障りあるいはタブーなようなものがあって、余り触れない方がいいという、こういう雰囲気なんでしょうか。

女性天皇と女系天皇の違いが分からない日本国憲法に真っ先に書かれている天皇は、男性も女性もいる「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」。違いが分からないのではなくて、日本国民統合の象徴を男女で区別していないという正しい庶民感覚。

タブーなようなもの令和の有識者会議の報告概要の末尾「皇室をめぐる課題が、政争の対象となったり、国論を二分したりするようなことはあってはならず、静ひつな環境の中で落ち着いた検討を行っていただきたい。」→3年後、ようやく静謐は破られました。

○内閣総理大臣(当時)(岸田文雄君) タブーのようなものがあって触れない方がいいのかという御質問ですが、そのタブーのようなものということについて私もちょっと、十分その、どういうことか理解はしておりませんが、政府としては、皇室、例えばこの安定的な皇位継承の維持、これはもう国の基本に関わるものであり、重要な問題であると認識をしています。

こうした議論が静かなこの環境で議論されるということは重要であると認識をいたします。

○長浜博行君 別に皇位継承のことを伺ったんではなくて、天皇とか天皇制ということを、おぎゃあと生まれて今日に至るまで、御自身のことを振り返られても結構なんですが、どういう形で普通の国民は天皇や天皇制ということに触れますか

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 日常生活でそうしたこの議論に触れる機会というのはそう多くはないとは思いますが、しかし、皇室というものを考える際に、天皇陛下、あるいは皇室の歴史とか制度、こうしたものに国民が正しい、正確な理解、先ほど委員が御指摘になられた女性天皇や女系天皇といった言葉に対する正確な理解、これは必要であると考えます。

日本国民統合の象徴を男女で区別していない正しい庶民感覚に対し、男系男子に固執するがゆえに、女性天皇や女系天皇といった言葉が発せられることがわかる答弁。

○長浜博行君 さて、皇位継承についてなんですが、今から十七年ほど前に小泉総理の諮問により提出をされた報告書があります。それに基づいて、法律である皇室典範の改正が行われようとしたことがございます。

平成十七年、これは二〇〇五年ですが、十一月二十四日に、皇室典範に関する有識者会議報告書でございます。総理も官房長官も当時国会におられたと思います。私も衆議院にいたのかもしれません。皆さん覚えておられる郵政選挙の年であります。

官房長官にお尋ねをいたします。

この報告の結論はどのようなものであったんでしょうか。また、その中には旧皇族の皇籍復帰を検討された様子も見られるんですが、この結論について、簡潔かつ端的に御説明をいただければと思います。

○政府参考人(内閣官房内閣審議官(当時) 溝口洋君) お答え申し上げます。

小泉政権当時、皇室典範に関する有識者会議が平成十七年十一月に取りまとめた報告書におきましては、皇位継承の在り方については、女性天皇や女系の天皇を可能とすることは、社会の変化に対応しながら、多くの国民が支持する象徴天皇の制度の安定的継続を可能とする上で、大きな意義を有するものである、このような意義に照らし、今後の、今後における皇位継承資格については、女子や女系の皇族に拡大することが適当であるとされております。

また、報告書におきましては、旧皇族の皇籍復帰につきまして、補論として、昭和二十二年に皇籍を離れたいわゆる旧皇族やその男系男子子孫を皇族とする方策については、男系男子による安定的な皇位継承自体が困難になっているという問題に加え、国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題があり、採用することは極めて困難であるとされているものと承知しております。

現在、安定的皇位継承を巡る全体会議内閣官房皇室典範改正準備室長として参加している溝口洋氏の発言。三年前は、平成の有識者会議の報告書は、旧皇族やその男系男子子孫を皇族とする方策については採用することは極めて困難であるとされているものと承知していました。

○長浜博行君 確認ですが、天皇の直系子孫を優先をして、男女区別をせず、長子優先ということですね。官房長官、それでよろしいですか。

○国務大臣(内閣官房長官(当時)松野博一君)お答えをさせていただく前に、先ほどの午前中の答弁におきまして、皇室典範特例法の正式名称を引用する際、天皇の地位について定めると申し上げてしまいましたが、天皇の退位について定めるということでございますので、訂正をさせていただきます。

今の御質問でございますけれども、平成十七年の十一月二十四日の報告書の結論としては、今ほど政府参考人が答弁させた内容でございます。

○長浜博行君 また、この年は、これは報告書は十一月ですが、四月に衆参両院の憲法調査会が日本国憲法についての報告書を提出をしています。

事務総長に来ていただいておりますので、皇位継承について言及されたところはどのような記述があったのでしょうか。ちなみに、衆議院の報告書、ここにございますが、その中には、女性の皇位継承権を認めるべきであるとする意見が多く述べられたと書かれております。参議院はいかがでしょうか。

○参事(憲法審査会事務局長 岡崎慎吾君) 該当部分を抜粋して御報告いたします。

女性による皇位継承を認めるか、女性天皇の是非について議論がなされ、本憲法調査会では、女性天皇を認めることについて、おおむね共通の認識があった、との記載がございました。

以上でございます。

憲法審査会事務局長が引用した報告書も掲載してみます。

参議院憲法調査会 日本国憲法に関する調査報告書 3 女性天皇など皇位継承の在り方

皇位継承については、象徴天皇制にかんがみ、国民の支持が得られ、かつ、日本の歴史や伝統に配慮した制度であるべきことが言われている。憲法は皇位を世襲のものと定めるが、皇位継承については、国会の議決する皇室典範によるものとした。同典範では皇統に属する男系の男子が継承すること等が定められている。この点に関し、女性による皇位継承を認めるか、女性天皇の是非について議論がなされ、

・党の新憲法起草小委員会の検討(平成17年)においては、女帝問題を含め、皇位継承の資格や継承順位については、皇室典範において規定することが適当であるとしている(自由民主党)、
・女性天皇の是非を論ずる際の前提問題として象徴概念の純化を図るべきである、
・皇位継承者が男子に限られている皇室典範は改正すべき、
・女性天皇賛成が80%という世論調査もあり、そういうものも考えていくべき、
・男子誕生のプレッシャーを天皇家に掛けるのは良くない。女性天皇は過去にも存在したし、時間がたってから仕方ないからということではなく、早急に皇室典範を変えるべき、
・皇室典範の改正により女性天皇を認めることは可能であり、天皇を男子に限る合理的根拠はなく、女性天皇について内閣が検討することについては賛成である、

など、本憲法調査会では、女性天皇を認めることについて、おおむね共通の認識があった
なお、女性天皇の是非の議論は、男女平等など平等原則の適用に加え、人間の尊厳や個人の尊重の問題など基本的人権とも密接な関係を有する。天皇及び皇族の人権について、その地位から一定の制約がなされることは憲法が定める例外であるとされるが、

・天皇・ロイヤルファミリーにおいても、特殊性はあっても一人の人間としての人格は基本的に守られるべき、
・天皇も国民の一人として人権が尊重されるべきことは当然であるが、象徴としての立場を全うするために様々な人権が制限されており、憲法上、特別の存在であることも否めず、いかに折り合いをつけるかという問題になる。ただし、プライバシーなどについては、国民一人一人も思慮を持って臨むべき、

などの意見が出された。

3 女性天皇など皇位継承の在り方 各党会派の委員(議員)の発言はこちら
3 女性天皇など皇位継承の在り方 参考人・公述人の発言はこちら(園部逸夫先生の御発言記載)

参議院憲法審査会
Q.憲法審査会は憲法調査会とはどう違うのですか?
A.憲法調査会は、日本国憲法について広範かつ総合的な調査を行い、調査の経過及び結果を記載した報告書を作成し、議長に提出することを目的として国会の各院に設置され、活動期間は5年をめどとされていました(平成12年1月設置、17年4月に報告書提出、19年8月に国会法改正により廃止)。参議院憲法調査会の活動内容や報告書の内容は憲法調査会/日本国憲法に関する調査特別委員会関係資料の中の参議院憲法調査会の項で、衆議院については衆議院憲法審査会ホームページで御覧いただくことが可能です。
 これに対し、憲法審査会は、常設的な機関であり、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するものです。

まともな結論を出していた憲法調査会が廃止されてしまったために、現在の安定的皇位継承を巡る全体会議も憲法上の疑義のある養子案について「問題を顕在化させないような検討、工夫が必要」などという非道が罷り通るようになったのでしょうか。

長浜議員の質疑、さらに続きます。

「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ

2 件のコメント

    くりんぐ

    2025年4月17日

    皇位継承とは、天皇の地位の継承。
    男系か女系か、それは皇位を両親のどちらかから継いだかの区別に過ぎません。
    男性が継げば男性天皇、女性が継げば女性天皇。
    それだけのことです。

    「男子誕生のプレッシャーを天皇家に掛けるのは良くない。」
    その通りです。
    それは悠仁さまに対しても同じこと。
    現代医療をもってしても、新しい命を必ず授かれる方法は無く、その命の性を自由に決める方法もありません。

    英国王室では先代のエリザベス2世が、男子に恵まれないだけで酷いバッシングに苦しめられた雅子さまを不憫に思われたことをきっかけに、王位継承が男子優先から長子優先へ変更されました。

    なのに日本は、今度は悠仁さまのご結婚相手に雅子さまへの仕打ちを繰り返そうとしています。
    悠仁さまの幸せのためにも、皇室の未来にも、直系長子優先の双系継承へ変える責任が国民にはあります!

    SSKA

    2025年4月16日

    改憲派の希望の星だった安倍晋三は軍事・安全保障のみならず皇室に対しても憲法を蔑ろにし形骸化する事で党や政権の力を長期拡大化する目標をある一定の期間果たしただけで、後世の日本に有益な精神の構えは何一つ残さず破壊し尽くしたと言う事ですね。

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