衆参正副四者が、ただいま取りまとめ中の皇族数の確保案。
第四回全体会議において配付された資料・「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果」に対する各党・各会派の意見の要点(令和7年4月17日全体会議机上配付)、今回は、第二回全体会議で議論された「女性皇族の婚姻後の皇族の身分保持」について、自由民主党と立憲民主党の意見が追記されているところをチェックしてみます。
皇族数確保のための第1案「女性皇族の婚姻後の皇族の身分保持」について
その賛否について
有識者会議報告書(R3.12.22)
・具体的な制度の検討を進めていくべ き。
・「宮家」という言葉は、独立して一 家をなす皇族に対する呼称であり、 法律に基づく制度ではない。
自由民主党
・皇族数確保のために必要
・国民の理解が十分得られる皇族数確保の方策という観点から議論すべきもの
立憲民主党
・有識者会議報告書では、「女性宮家の創設等」についての明確な結論を示していない。
・(「女性宮家の創設等」の課題については)とりわ け緊急的な課題として議論を急ぐ必要がある。
・女性皇族が婚姻後も皇族として残るというところ までは異論ない。
国民の理解が十分得られる皇族数確保の方策
→付帯決議で提言された「安定的な皇位継承を確保するための方策」をすり替えてしまったので、声高に繰り返していますね。
配偶者及び子の皇族の身分及び皇位継承資格 について
有識者会議報告書(R3.12.22)
・子は皇位継承資格を持たないとすることが考えられる。
・配偶者と子は皇族という特別の身分 を有せず、一般国民としての権利・ 義務を保持し続けるものとすること が考えられる。
考えられる→有識者会議は、あくまで提言であり、決定事項ではないことが分かります。
自由民主党
・配偶者・子は、皇族の身分を有することなく、一般 国民としての権利・義務を保持し続けることが適 切
・男性皇族は、皇位継承権を持っていることが前提
・憲法2条は 14 条の特則。2条に基づき皇統に属する男系男子による皇位の継承を定める皇室典範も当然合憲であるとの共通認識に立って議論を進めるべき。
令和7年4月17日 第四回全体会議 配布資料追記(第二回全体会議での意見の要点)
・男性皇族は、すべからく(当然)皇位継承権を有する。
・女性皇族の配偶者・子に皇族身分を与えたことは ない。
・配偶者を皇族とするのは、女性皇族の婚姻の非常 に大きなハードルとなる。
・皇族と民間人の家族であっても、民法上の同居・ 協力扶助義務は生じ、協力して活動・生活をして いくことは十分可能
・一般 国民としての権利・義務を保持し続ける
→ここも有識者会議の提言は、そのまま自民党の意見と同じ。
・女性皇族の配偶者・子に皇族身分を与えたことは ない
→男性皇族の配偶者が皇族となる先例は美智子さま、紀子さま、雅子さまがいらっしゃいます。
・配偶者を皇族とするのは、女性皇族の婚姻の非常に大きなハードルとなる。
→麻生氏も唱えていた言説。要するに、
「一般国民が皇族になるのは、高いハードルとなる」と宣言したということ。
養子案で大ブーメランになるので覚えておきましょう。
・皇族と民間人の家族であっても、民法上の同居・ 協力扶助義務は生じ、協力して活動・生活をして いくことは十分可能
→「家族としての一体感が損なわれる」ので夫婦別姓に反対している党の発言とは思えません。
立憲民主党
・配偶者・子に皇族としての身分を付与する案(野 田内閣「論点整理」Ⅰ-A案)を含めた検討が必要
・ 配偶者・子は、皇族の身分を持たないとするのが 適切
・ (女系につながる可能性を指摘する意見につい て)皇族としても皇位継承資格とは直結しない。
・配偶者・子に皇族としての身分を付与しない案(野 田内閣「論点整理」Ⅰ-B案)は憲法上の諸課題(24 条 1 項、14 条 1 項など)が指摘されている。
・ 家庭内に皇族と一般国民がいることの是非、内親王・女王が摂政や臨時代行になった場合にその家族が一般国民であることの是非、内親王・女王が 女性天皇になる可能性を踏まえ、配偶者・子が一 般国民でよいのかは疑問
令和7年4月17日 第四回全体会議 配布資料追記分(第二回全体会議での意見の要点)
・皇族としての身分を付与する案は、皇族数の確保 という目的に沿い、憲法適合性もある。近代にお ける家族の姿は家族が一体というのが国民の総意。
・配偶者薨去後の王妃に皇族費が2人分支払われる のは、家族一体という見方が存在すると理解
・現行典範の規定も先例と異なる部分がある。歴史・ 伝統を尊重しつつ、皇室を継承していく上で何が必要かを議論すべき。
・皇族身分を付与しない場合、婚姻に負担・不安が増 すという意見もある。
・皇族身分を付与しない案について、24条1項の問 題が生じないのは理解。24条2項に掲げられた事 項について家族内で明確に権利に差異が生じることに関しては、政府の解釈が示されていない。
・配偶者・子を一般国民とした場合、政党・宗教団 体・営利企業を主宰する自由があることから、女 性皇族の品位や政治的中立性に重大な影響を及ぼ す事態が生ずる可能性がある。
立憲民主党は、馬淵議員が意見を述べたところがまとめられています。
第24条1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
現在の内親王・女王殿下の処遇について
有識者会議報告書(R3.12.22)
現行制度下で人生を過ごされてきたことに十分留意する必要
自由民主党
・現行制度の下で人生を過ごされてきたということに十分配意するべき。
注意したいのは、先例についての意見の要点。
・現行典範の規定も先例と異なる部分がある。歴史・ 伝統を尊重しつつ、皇室を継承していく上で何が必要かを議論すべき。
→ 第二回全体会議「先 例 に は な い と い う こ と で あ り ま す が 、 現 行 の 憲 法 上 で 定 め ら れ た 様 々 な 典 範 の 規 定 も 先 例 と は 異 な る 部 分 が 実 は そ こ に 込 め ら れ て い る 、 例 え ば 男 系 男 子 と い う こ と で あ り ま す が 、 過 去 に お い て は 、 先 例 上 は 女 性 の 天 皇 も い ら っ し ゃ い ま し た 。 し た が っ て 、 今 我 々 が 考 え な け れ ば な ら な い の は 、 歴 史 と 伝 統 を 尊 重 し な が ら 、 ま た か つ 、 現 行 、 近 代 に お け る 家 族 の 在 り 方 、 そ し て 皇 室 を 継 続 的 に 長 ら え さ せ て い く 、 皇 室 を 継 承 さ せ て い く 上 に お い て 必 要 な こ と は 何 か と い う こ と を し っ か り と 議 論 す べ き だ と い う こ と を 繰 り 返 し 申 し 上 げ て い る と こ ろ で す 。 」
「先 例 上 は 女 性 の 天 皇 も い ら っ し ゃ い ま し た」と馬淵議員の意見を述べたのは特筆すべきことで、第四回全体会議で配付された意見の要点に入っていないのは、非常に意図的です。
「女性皇族の配偶者の方とお子様は皇族とするのが適当」とした憲法学者二人の意見が有識者会議ヒアリングで為されたにもかかわらず、真逆の「・配偶者と子は皇族という特別の身分 を有せず、一般国民としての権利・ 義務を保持し続けるものとすること が考えられる。」という提言が記載されたのと同様のことが、全体会議の意見の要点の取りまとめでも起きているようです。
衆参正副四者による取りまとめは、立憲民主党の意見をスルーしないように願います。
「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ
2 件のコメント
くりんぐ
2025年4月24日
男性皇族の結婚相手が国民の場合に皇族の身分を取得するのは、皇室の品格を守るため。
国民であれば憲法で保障された基本的人権と自由を保持したままでは、その言動が皇室の品格を傷つけてしまうおそれがあるため。
明治天皇の女系の玄孫さんの言動をみれば、自由と品格は両立できないことがよくわかります。
皇族の配偶者に「皇族の配偶者」として相応しい振る舞いを求めるなら、皇族の身分の取得は必須です。
婚姻によって皇族になられた方は、「皇位継承権の無い皇族」になられます。
今後女性・女系天皇の即位が可能になっても、婚姻で皇族になられた妃殿下が皇位継承されることはありません。
それは女性皇族の配偶者も同じ。
皇位を継承するのは、性別問わず、「両親のどちらかが生まれてからずっと皇族であり、ご自身も皇族として皇室という聖域で育たれた方」に限られます。
ここ最近は「時の天皇陛下ともっとも血筋の近いお子さま」と「男性であること」がセットである状況が続いてきました。
この二つが分かれた時、どちらを優先するか。
天皇の地位の継承であれば、「時の天皇陛下ともっとも血筋の近いお子さま」一択です。
「男性であること」を優先すれば、それは天皇ではなく男の王の継承です。
SSKA
2025年4月23日
立憲も世襲は性別を問わない点を争わない為に話が全く進みませんが、政府見解がこうだと攻めないのは一体何故なのでしょうか。
世襲と下位の男系は等価値ではない為に守る優先度は一致せず、男系原則を理由に上位のはずの他の憲法の要素が侵される違反が許されるはずも無く、世襲は最重要要件であっても憲法全体や個別の条文に示される法規範やそれに基づく構造を壊して皇室と国民の関係にひびを入れてはならないし、均衡を破って凌駕していいものではないと明言すれば済む話でしょう。