立憲民主党の野田代表が全体会議の合意を妨害しているとの百地章氏の言説を産経新聞が報じています。
すり替えられた立民の見解
安定的な皇位継承と皇族数確保のため有識者会議が示した結論は、以下の4点であった。①秋篠宮皇嗣殿下、悠仁親王殿下と続く皇位継承の流れをゆるがせにしない②女性皇族が婚姻後も皇族身分を保持③その配偶者と子は皇族としない④皇統に属する男系男子を養子に迎える―である。
この4点について意見書を提出した自民、公明、日本維新の会、国民民主、有志の会など主要8党・会派は全て賛成している。それ故、「立法府の総意」はすでにまとまっていると見るべきだ。
有識者会議が示したのは、皇族数確保に限定した単なる論点であり、結論ではなく、だからこそ全体会議で議論されています。
全体会議に参加しているのは13党・会派。そのうち8党・会派(自民、公明、維新、国民、保守、参政、N国、有志の会)が有識者会議の論点に賛成、5党・会派(立憲、共産、社民、れいわ、沖縄の風)が疑義を呈しており、8:5、すなわち賛成6割、疑義 4割となっています。
読売新聞(5月3日 「将来の皇位継承「不安」71%…読売世論調査」)は、「皇族の養子縁組を可能にして、旧皇族の男系男子を皇族にすることに「賛成」は24%、「反対」は20%で割れた。「どちらともいえない」は55%だった。」としており、養子案に賛成は僅か2割。
毎日新聞(4月27日 陛下のお考えは?=野口武則)によれば、「上皇さまの退位に関わった宮内庁幹部は「皇室制度改正は国民の8割以上の支持がないと進められない」と話していた。」とのことで、養子案はまったく真逆、8割の国民が支持していないので、進められないということになります。
国民の信託を受けた国会議員の構成する立法府も当然のことながら、概ね、8割以上の支持が必要と考えられ、百地氏の「「立法府の総意」はすでにまとまっていると見るべきだ。」とする言説は、適切ではありません。
さらに、昨年9月に作成された全体会議の「中間報告」で「③(女性皇族の配偶者の方とお子様は皇族としない)については「様々な意見が述べられました」④(養子案)には「反対論もありました」との評価になっているのは、「中間報告」のため衆院法制局が事前に作成した「各党・各会派の意見の要点〔一覧表〕」で、本来「結論なし」として空白とすべき立民の欄に、野田氏と馬淵澄夫氏の「個人的見解」が盛り込まれていた」からとしています。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応についての中間報告(令和6年9月26日)
「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果」に対する各党・各会派の意見の要点(令和6年5月 23 日全体会議机上配付)
本来「結論なし」として空白とすべき立民の欄とは、「立憲民主党 安定的な皇位継承 に関する検討委員会 論点整理 令和6年3月12日」に、「(「特定の結論に誘導することにつながらないよう留意」した、とある)」ため、「立憲民主党の意見書は「論点整理」にとどまり、「結論」は示していない」ので空白とすべきなのに、「各党・各会派の意見の要点〔一覧表〕」に、以下の見解が記載されているということ。
・(女性皇族の)配偶者・子に皇族としての身分を付与する案(野田内閣「論点整理」Ⅰ-A案)を含めた検討が必要(4頁)
・(女性皇族の)配偶者・子に皇族としての身分を付与しない案(野田内閣「論点整理」Ⅰ-B案)は憲法上の諸課題(24 条 1 項、14条 1 項など)が指摘されている。(6頁)
・(養子案の)憲法上の諸課題(14 条 1 項など)をクリアにする必要がある。(7頁)
・ 現実的に養子の対象となり得る方がおられるのかを、その方の意思とともに慎重に確認した上で、制度設計の議論に移らなければならない。(6-7頁)
これらの見解は、すべて立憲民主党 安定的な皇位継承 に関する検討委員会 論点整理 令和6年3月12日の各頁に記載されており、「野田氏と馬淵澄夫氏の「個人的見解」が盛り込まれていた」という言説も、適切ではありません。
3年間繰り返し同じ質問
さらに分かったことは国会が政府から報告書を受け取った令和4年1月から今日までの3年間、野田氏と馬淵氏は「女性宮家の創設は?」「女性皇族の配偶者と子も皇族に」「旧宮家からの養子は憲法14条に違反」と、予算委員会、内閣委員会さらに皇室問題の個別聴取や全体会議において、同じ質問を繰り返してきたことである。
安定的皇位継承に寄与しない令和3年12月22日に提出された有識者会議報告を受けて、平成の有識者会議、および付帯決議に沿って、野田代表、馬淵議員が、納得のいく答えを得るまで繰り返し同じ質問をするのは、国民の信託を受けた国会議員として当然のこと。
「皇室典範に関する有識者会議 報告書」(平成17年11月24日)の概要
1.問題の所在
現在の皇室の構成では、早晩、皇位継承資格者が不在となるおそれがあり、安定的な皇位継承を可能にする制度を早急に構築することが必要。
2.基本的な視点
象徴天皇にふさわしい継承制度の在り方につき、①国民の理解と支持を得られるものであること、②伝統を踏まえたものであること、③制度として安定したものであることの3つの視点から検討。
3.安定的で望ましい皇位継承のための方策(提言)
(1)皇位継承資格
○女子・女系への拡大は、社会の変化の中で象徴天皇制を安定的に維持する上で、大きな意義。
○女性天皇・女性皇族の配偶者確保には、適切な環境整備が必要。
(2)皇位継承順位
○「長子優先」又は「兄弟姉妹間男子優先」が適当。
○その中では、幼少の頃から、将来の天皇として国民が期待を込めて成長を見守ることができるような安定性という意味で、出生順に順位が決まる長子優先が適当。
(3)皇族の範囲
○継承資格の拡大に伴い、女子が婚姻後も皇族にとどまることが必要。
○皇位継承資格者の存在を安定的に確保するため、世数限定とせず、永世皇族制を前提とし、皇籍離脱制度の弾力的運用により規模を調整することが適当
天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議
一政府は、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、皇族方の御年齢から しても先延ばしすることはできない重要な課題であることに鑑み、本法施行後速やかに、皇族方の御事情 等を踏まえ、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を、速やかに国会に報告すること。
二一の報告を受けた場合においては、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、「立法 府の総意」が取りまとめられるよう検討を行うものとすること。
三政府は、本法施行に伴い元号を改める場合においては、改元に伴って国民生活に支障が生ずることがな いようにするとともに、本法施行に関連するその他の各般の措置の実施に当たっては、広く国民の理解が 得られるものとなるよう、万全の配慮を行うこと。 右決議する。
さらに野田代表の一連の言動を解釈するために、以下のような文言が引用されています。
野田代表の狙いは女系天皇
(前略)
野田氏は、平成29年に朝日新聞のインタビューで次のように答えている。「これからの10年間でまず女性宮家、次に女性・女系天皇の問題に決着をつけなければならない」(7月29日)
それだけでなく昨年9月、漫画家、小林よしのり氏のブログでもこのように紹介されている。
「辻元清美氏から電話があった。(略)園遊会で愛子さまと会ったなんて言っていた。そして野田佳彦氏は『女性・女系天皇に賛成だ』と言っていた。いざとなったら、徹底的に論戦するべく、理論武装しているらしい」
「女性・女系天皇」の実現を目指してきた野田氏の決意は今も変わらないようだ。このような野田氏らとの「妥協」など、あり得ないのではないか。
「愛子さま立太子」=「女性・女系天皇」の実現のために、野田代表が一連の言動をしているとの認識で、小林先生のブログまで引用した百地氏。この認識は、適切であることを願います。
「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ
1 件のコメント
SSKA
2025年5月8日
野田代表は譲歩の様に見せかけて相手の退路を断っているんですね。