安定的皇位継承のための最適解は、すでに20年前の2005年に「皇室典範に関する有識者会議 報告書」で出ています。改めて少しずつ読んでみましょう。
「皇室典範に関する有識者会議 報告書」平成17年11月24日(〔参考)などはPDFでご確認ください)
I.
問題の所在
象徴天皇の制度をとる我が国にとって、安定的な皇位の継承は、国家の基本に関わる事項である。
現行の皇室典範を前提にすると、現在の皇室の構成では、早晩、皇位継承資格者が不在となるおそれがあり、日本国憲法(以下「憲法」という。)が定める象徴天皇制度の維持や長い歴史を持つ皇位の継承が不確実になりかねない状況となっている。〔参考1〕
したがって、将来にわたって安定的な皇位の継承を可能にするための制度を早急に構築することは、現在の我が国にとって避けて通ることのできない重要な課題である。
男系男子限定の皇室典範を前提にすると、安定的な皇位の継承がなされないことが問題。
II.
基本的な視点
憲法においては、我が国の歴史・伝統を背景としつつ、国民の総意により、天皇が、日本国及び日本国民の統合を象徴する存在として位置付けられており、また、その地位は血統に基づいて継承されるべきものであるとされている。〔参考2〕
象徴天皇の意義は、天皇の存在そのものや憲法に定められた国事行為により明らかにされており、また、戦没者の慰霊、被災地のお見舞い、福祉施設のご訪問、国際親善のためのご活動、伝統的・文化的なご活動などを通じて、天皇と国民との絆はより強固なものとなっている。このような制度の意義や様々なご活動があいまって、象徴天皇の制度は、多くの国民の支持1⃣を得るものとして今日に至っている。〔参考3、4、5〕
象徴天皇の制度は、我が国の歴史と深い関わりを持ち、国民の支持2⃣の上に成立するものであることから、これにふさわしい皇位継承制度について、以下の3点を基本的な視点として、総合的な考察を行うこととする。
① 国民の理解と支持3⃣を得られるものであること
皇位継承制度は、天皇に関する最も基本的な制度の一つであり、我が国の歴史や制度に対する深い理解に基づく国民の広範な支持4⃣が得られるものでなければならない。
皇位継承制度の在り方については、国民の間に多様な意見が存在するが、これは、天皇の制度や歴史・国家に関する国民の間の様々な考え方を反映したものであり、それぞれの立場は十分に尊重されなければならない。このため、このような多様性を前提としつつ、社会の変化の中で、将来にわたって大多数の国民の安定的な支持5⃣が得られると思われる制度の在り方を探る必要がある。
国民の支持という言葉が5回も登場しています。国民の総意により、天皇が、日本国及び日本国民の統合を象徴する存在であるために、そして安定的皇位継承の方策は、国民の支持が無くてはならないということ。
② 伝統を踏まえたものであること
憲法における天皇の位置付けの背景には、歴史的・伝統的存在としての天皇があると考えられるため、皇位継承制度も、このような天皇の位置付けにふさわしいものであることが求められる。
伝統の内容は様々であり、皇位継承についても古来の様々な伝統が認められるほか、戦後の象徴天皇の制度の中で形成されてきた皇室の伝統もある。さらに、例外の有無、規範性の強弱など、伝統の性格も多様であると考えられる。
また、伝統とは、必ずしも不変のものではなく、各時代において選択されたものが伝統として残り、またそのような選択の積み重ねにより新たな伝統が生まれるという面がある。
このため、社会の変化や現在の状況に照らして、皇位継承制度に関する様々な伝統の中で、何をどのような形で次の時代に引き継ぐのか、という視点が重要である。
・伝統とは、必ずしも不変のものではなく、各時代において選択されたものが伝統として残り、またそのような選択の積み重ねにより新たな伝統が生まれるという面がある。
・このため、社会の変化や現在の状況に照らして、皇位継承制度に関する様々な伝統の中で、何をどのような形で次の時代に引き継ぐのか、という視点が重要
→伝統の説明として、これ以上はないほど完璧な文言が並んでおり、今年の御誕生日の際のお言葉とも合致します。
皇室の在り方や活動の基本は、繰り返しになりますが、国民の幸せを常に願い、国民と苦楽を共にすることだと思います。また、時代の移り変わりや社会の変化に応じて、状況に対応した務めを果たしていくことが大切であると思います。
皇室を構成する一人一人が、このような役割と真摯に向き合い、国民の幸せを願いながら一つ一つの務めを果たし、国民と心の交流を重ねていく中で、国民と皇室との信頼関係が築かれていくものと考えております。
天皇陛下お誕生日に際し(令和7年)
③ 制度として安定したものであること
象徴としての天皇の地位の継承は、国家の基本に関わる事項であり、制度としての安定性が強く求められる。
安定性の内容としては、
・ 必要かつ十分な皇位継承資格者が存在すること
・象徴としての役割を果たすための活動に支障がないこと
・ 皇位継承者が一義的に決まり、裁量的な判断や恣意の入る余地がないものであること
などがあり、これらを総合的に考慮する必要がある。
・ 皇位継承者が一義的に決まり、裁量的な判断や恣意の入る余地がないものであること
→天皇陛下のお子様が皇位継承をされる=一義的(いちばん大切な意味をもっているさま)に決まり、男系男子固執などという裁量(その人の考えによって判断し、処理すること)的な判断や恣意(論理にかなった必然性がなく、自分勝手なこと)が入る余地がないものが、制度の安定性として求められています。
「愛子天皇への道」サイト運営メンバー まいこ
1 件のコメント
くりんぐ
2025年5月13日
男系男子による継承は、正室以外の「男子を産む為の」側室を持つことが可能であってこそ成り立ってきたもの。
妻以外の女性と関係を持つことが忌避される現代において、側室を持つことは困難。
一夫一妻で男系男子に皇位継承者を限定していては、安定的な皇位継承は無理。
天皇の地位の継承は、現在の天皇陛下ともっとも血筋の近い方によって受け継がれるべき。
天皇との血筋の近さよりも「男であること」が優先されれば、それは天皇の地位の継承ではなく男の王の継承。