阿吽の呼吸で陛下を支えた、 阿南惟幾氏と鈴木貫太郎氏をご紹介します。 (鈴木貫太郎氏その3)

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国際情勢が緊張する中、鈴木貫太郎氏は昭和天皇の意に添いつつ、軍備増強に関わります。

この頃、諸外国は日清、日露戦争に勝利して領土拡大して来た日本を警戒し、日本の軍備増強に制限をかけて来ます。

1930年に、ロンドン軍縮条約を突きつけられました。これは海軍の保有する戦艦などの制限でした。
海軍軍令部長・加藤寛治はロンドン軍縮条約に反対し、単独で帷幄上奏をしようとした際に、これ以上諸外国との摩擦を懸念した鈴木貫太郎氏は、後輩の加藤を説き伏せ思い留まらせました。

帷幄上奏とは、軍事に関する事項を、内閣を通さずに直接天皇に上奏する権利を指します。本来、この帷幄上奏を取り次ぐのは侍従武官長であり、鈴木貫太郎氏の行動は越権行為のおそれがあったとあります。

また、昭和天皇の信任が厚かった反面、国家主義者・青年将校たちからは、日本の国防を阻害したと思われて、牧野伸顕氏と並ぶ「君側の奸(かん)」と見なされてしまいます。この頃から、鈴木貫太郎氏は命を狙われることになり、また一方で宮内省側でも青年将校らの動向が懸念されていたさい、ある人が「若し軍人が宮中に武装してきたらどうするか」と論議されたときには、鈴木貫太郎氏は即座に「軍人でもなんでも無法の者は撃て」と述べたとあります。

そんな中、二・二六事件が起きます。 

鈴木貫太郎氏は事件前夜に奥さんのたか夫人と共に駐日アメリカ大使ジョセフ・グルーの招きで夕食会に出席し、11時ごろに侍従長官邸に帰宅したとあります。やれやれ、と寝る支度して床についた午前5時ごろ、突然の怒声、物音に飛び起きます。鈴木貫太郎氏を襲撃したのは、鈴木貫太郎氏と知人の安藤輝三陸軍大尉の指揮する一隊でした。鈴木貫太郎氏はすわ!敵ぞ!!と、応戦するために納戸に置いていた刀を取りに行きましたが、刀が無く、なんと襲撃をうける前に奥さんが泥棒が入られた時に刀でも持ってこられたら困ると思い片付けられていました。
 刀が無いのを見て、鈴木貫太郎氏は仕方ないな。と、手ぶらで反乱軍の前に出ていきます。そこには、はじめ安藤の姿はなく、血の気走った者達に囲まれ、奥さんのたかさんは邪魔しないよう兵たちに抑え込まれます。下士官が前に出て「閣下でありますか?」と鈴木貫太郎氏に問います。鈴木貫太郎氏は荒ぶる兵たちの前で、落ち着いた様子で、「そうだ、私が鈴木だ。何事がおこってこんな騒ぎをしているのか、話したらいいじゃないか」と冷静に言います。

が、下士官たちが答えることはなくそのうち「暇がありませんから撃ちます!」と言い鈴木貫太郎氏は淡々と「じゃあ撃て!」と言いドンと構えます。下士官が一瞬気圧されるも兵士たちに発砲を命じ、鈴木貫太郎氏に銃弾を浴びせます。この時鈴木貫太郎氏は肩、左脚付根、左胸、脇腹に被弾し倒れ伏しました。血の海になった八畳間に現れた安藤大尉は下士官の一人に「中隊長殿、とどめを」と促され、軍刀を抜くと、部屋の隅で兵士に押さえ込まれていた妻のたかさんが旦那がまだ息をしていることに気づき、

待って下さい!と大声で叫び、「老人ですからとどめはお止め下さい。どうしても必要というなら私が致します!!」と気丈に言い放ちます。安藤大尉はうなずいて軍刀を収め、「とどめは残酷だからよせ、鈴木貫太郎閣下に敬礼する。気をつけ、捧げ銃」と号令します。そして、たかさんの前に進むと、たかさんは「何事があってこのようなことになりましたか」と尋ね、安藤大尉は「閣下の考えている事と、我々躍進日本を志す若者との意見の相違です。それで奥様にはお気の毒なことを致しました。」と静かに語り、自分の名前をたかさんに告げ去ります。安藤大尉は、帰り際に女中部屋の前を通った際「こうして鈴木閣下を殺してしまった以上自分も自決しなければならない」と言っていたとあります。この際、この玄関での会話を聞いていた警視庁の巡査は警視庁に、鈴木死亡と連絡します。

一方、安藤大尉が去ったのち、たかさんが鈴木貫太郎氏に駆け寄ると、鈴木貫太郎氏はシッ!と手で黙ってろと伝え、反乱部隊が去った後に、普通に鈴木貫太郎氏は自分で起き上がり、びっくりしている奥さんに「もう賊は逃げたかい」と尋ねました。また、出血多量で死にかけますが、愛するたかさんの叱咤激励にて鈴木貫太郎、死の淵から復活し、医者や周りの人達を驚かせました。

不死身の鈴木貫太郎氏、ここにありです。
(ウィキペディア、エピソード参照。)

今回はここまで。
次回は2.26事件後の鈴木貫太郎氏をご紹介します。その4に続きます。

文責 神奈川県 神奈川のY

2 件のコメント

    神奈川のY

    2025年5月18日

    あしたのジョージさま、コメントありがとうございます。
    鈴木貫太郎氏のこの時の状態ですが、想像すると、体中熱い鉛の痛みと火傷、出血多量で一つでも気を抜いたら天に召される状態と推察します。あるところで部屋入ったら、額を切って頭をぶつけて切ってしまって部屋中血まみれの人と出会った事があり、当人はドーパミン出てるせいか、血がビュービュー出てるのに意外と普通にされて「何?何かあった?」という事がありました。

    あしたのジョージ

    2025年5月17日

    鈴木貫太郎氏、凄いですね~
    普通なら即死だと思いますが、人に気を使うぐらい元気だったのですからね~
    トランプ大統領もタフだけどそれ以上だなぁ〜🥹

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