
『旧約聖書』の記述によれば、悪人が多く棲むソドムとゴモラの街は唯一神ヤーウェが降らせた火に焼かれて滅びたそうです。同性愛を指す言葉が「ソドミー」であることを思えば、ソドム住民の罪とは性的な乱れ(同性愛や肛門性交を含む)だったと判ります。 ところで、2005年に開始されたヨルダン考古局とトリニティー・サウスウエスト大学(米)の調査により、死海の北東部にあるタル・エル・ハマム遺跡がソドムの有力候補地として挙がりました。遺物に3000℃以上の高熱で焼かれたような結晶化の痕跡があったため、街は紀元前1700年頃に落下した隕石のエア・バースト(空中爆発)によって破壊されたと考察されました。
この隕石空中爆発と対比されやすいのは、同じく高熱による結晶化が観察される原爆実験です。ソドムとゴモラが神の意志では無く自然災害で滅びたのなら、後付けの理由「悪人が棲む街だから神の逆鱗に触れた」は成り立ちません。同様に「広島と長崎(および日本)は悪人が棲む土地だから神の逆鱗に触れた」のではなく、他者の意志が介在しない「自然災害」でもなく、多額の予算が付いた開発計画の成果誇示や戦後の対ソ戦略、人体実験、有色人種へのレイシズムなどを動機として敢行されたと考えるのが妥当です。長崎に多く住んでいたキリスト者の嘆きに対し神は「沈黙」を貫き、ボックスカー(B29)の乗組員は「神の加護」を祈りながら搭乗してファットマン(プルトニウム型原爆)を非戦闘員の頭上でバーストさせました。しかし今も多くの米国人は「太平洋戦争を早く終わらせて米兵の犠牲を減らすために原爆投下は(広島も長崎も)必要だった」と信じています。
さて、昭和20年8月15日にラジオで流された「終戦の詔書」には「敵ハ新ニ残虐ナル爆弾ヲ使用シテ頻ニ無辜を殺傷シ惨害ノ及フ所真ニ測ルヘカラサルニ至ル」という一節が有り、ここから同胞虐殺に対する昭和天皇の静かな怒りが伝わります。一方、被爆者の子孫からなる「山口被爆二世の会」は、戦後80年に際し天皇皇后両陛下の「慰霊の旅」は天皇の戦争責任・戦後責任の放棄に繋がるとして抗議しました。彼らが本当に開戦責任や戦争継続責任が天皇に有ると思っているのか、山口県という親米派の多い土地柄ゆえ対米戦争に複雑な思いを抱くのか、反天皇カルト(統一教会)を呼び込んだ人物(岸・安倍)の地元だからか、動機は杳として知れません。
文責:京都のS
7 件のコメント
京都のS
2025年6月6日
パワー様、※ありがとうございます。長州は吉田松陰や高杉晋作など偉人を多く輩出してきた土地ですが、薩長閥が長く権力を独占し過ぎたせいで堕落したという側面も伺えます。ただ、文中で触れた「山口被爆二世の会」の件は山口県民を否定する意図は全く無いということをご理解いただきたく思います。
パワーホール
2025年6月5日
山口県と言えば戦争論の高村武人さんや上皇陛下の側近で皇位継承問題につき警告を発する羽毛田氏の出身地でもあります。明治政府に対する萩の乱も起こっています。
京都のS(サタンのSでも飼い慣らすし)
2025年6月5日
ジョージ様、※ありがとうございます。その映画は変態が多い街と印象付けることで神の罰を正当化しています。「カルトとしてのキリスト教」の本領ですね。
キリスト教原理主義者は、水兵の立ち寄る公娼・私娼が林立した日本の港町・呉を擁する広島などは「神の火」(原爆)で焼き尽くしても一切の痛痒を感じないでしょうね。
あしたのジョージ
2025年6月5日
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督のソドムの市という映画を観たことがあります。
かなりの変態映画で人によってはトラウマになると思います。
本題と余り関係ないですが。🥹
京都のS
2025年6月5日
明日鍍様、※ありがとうございます。その通りですね。
本稿を投稿した時、実は不安もありました。西田昌司氏と同じ轍を踏んでいないか?という問題です。西田論は米軍よりも沖縄県民を批判したように見えるのに対し、本論は米国に対する怒りを直接的に表せていると判断して送りました。
京都のS
2025年6月5日
掲載ありがとうございました。本論はTBS日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」と「御上先生」に触発されています。導入は『旧約聖書』のソドムとゴモラですが。
明日鍍 禮Xロックに抗議中
2025年6月5日
当初は文化遺産のあった京都に落とす予定が、天候が悪くて効果を確認出来ないから「広島、長崎」になっただけの、唯の差別主義的実験でしかない。
文明の野蛮そのものですよね、白人連中の有色人差別の総括が原爆投下と思ってます。