コメントでも投稿しましたが、私の方は8/11、日本テレビ宛に『愛子天皇論3』を送付しました。その際、日本会議が4/15に開催した「安定的皇位継承の法制化を求める国民大会」という集会の様子がアップされていたページも出力して同封しました。
日本会議事務局はWebサイト内に5/22付で、読売新聞の5/15の提言記事への反論を「問題点」として掲載しています。
https://www.nipponkaigi.org/opinion/archives/18689
私は最初、この記事への反論と共に『愛子天皇論』を日本会議に送ろうかと思ったのですが、今は議員やマスコミへの献本が優先だと考え直し、問い合わせフォームに反論を送るにとどめました。引用して逐一疑問を呈する形式にしましたが、男系派の思考回路がわかりやすいと思ったため、こちらも一部を除き出力して、日本テレビへの献本に同封しました。それについても、手紙で「このままでは次に皇位継承に関する与野党協議が始まっても、また男系派議員が女性天皇に強硬に反対し、意見がまとまらずに先送りされてしまう可能性があるが、もう一日の猶予もない」と懸念を伝えました。
以下、長くなりますがご報告までと思い、日本会議に送ったメールの内容をお知らせいたします。
*****
貴団体の皇位継承問題への取り組みについて疑義があり、お問い合わせいたしました。以下、八つの問題点に逐一反論する形で疑問を述べさせていただきます。
「皇室制度に関する読売新聞社提言の問題点について」に対する疑問
問題点1
提言は「安定的な皇位継承の確保」について、「今国会中に結論を得なければならない」としているが、国会は、皇位継承の問題と切り離して「皇族数の確保のための方策」を議論することで、主要政党が合意している。誤った前提での提言となっている。
皇位継承が問題になっているのは、次世代の皇位継承者が悠仁親王お一人になっているほど、皇族数が減少しているからです。退位特例法の附帯決議では、令和改元にあたり、皇位の安定継承に関して速やかに取り組みを始めることと述べられていたにもかかわらず、これまで何年も先送りされてきたこと自体が国会の怠慢です。誤っているのは読売新聞提言の前提ではなく、これまでの国会の対応です。
また宮内庁の西村長官は、2年前に「現時点の皇室全体を見渡すと、安定的な皇位継承という観点からは課題がある。皇族数の減少は皇室の活動との関連で課題がある」との認識を示されました。これは当然、天皇陛下の御心を代弁されたものと捉えるべきです。皇族数の減少は皇位継承問題と切り離すことはできません。
問題点2
「皇統」とは、男系(父方)の血脈により継承されてきた天皇及び皇族の系譜であり、母方の血筋を継承する女系天皇は、皇統の「存続」ではなく「断絶」につながる。
上記は感情的な反発にすぎません。母方の血筋を継承する女系天皇が即位されたら、なぜ皇統が断絶することになるのか、論理的な説明が一切なく、説得力がありません。敬宮殿下のお子様が即位されたら、一体皇室の伝統の何がどう毀損されて、皇統がなぜ断絶することになるのか、読売新聞に具体的に反論していただけないでしょうか。
ちなみに、母から皇位を継承した天皇は、過去に天智天皇、元正天皇がいらっしゃいますし、文武天皇は祖母から、聖武天皇は伯母から皇位を継承されています。元正天皇にいたっては父は即位せず亡くなった草壁皇子ですから、明確に母からの血統を根拠に、母から譲られて皇位を継承されており、女系の女性天皇です。
女系天皇だと皇統が断絶することになるなら、もうとっくに皇統は何回も断絶していることになりますが、上記の天皇方に対してあまりに非礼かつ不敬な言説ではないでしょうか。
問題点3
提言は、養子案は旧宮家の方に唐突に皇位継承資格を与えると断定し否定的な考えを示している。一方で提言は、女性皇族の配偶者が一般人から皇族となることへの懸念は何も示さず推奨している。
明治に定められた皇室典範で養子を禁じたのは平安時代の宇多天皇のように、一度臣籍に降った皇族が皇籍に復帰して即位することは君臣の別を乱すことにつながり、望ましくないと考えられたからです。
それでも宇多天皇は天皇のお子様(皇子)であり、臣籍にあったのも3年ほどですが、今取り沙汰されている旧宮家の方々は男系で見れば全員、現皇統からは20世600年も離れた血筋であり、さらに臣籍に降ってすでに2世代も経ています。俗世間で生まれ育った国民男性を血筋と性別のみで選別して皇族にするなど、国民の理解が得られないし、そもそも憲法違反であり、否定するのは当然です。
まして国民は度々の世論調査で安定して8〜9割が女性天皇に賛成しています。今上陛下に敬宮殿下がいらっしゃるのに、陛下のお子様を無視して、顔も名前も知らない旧宮家の子孫の国民男性を皇族にすることに賛成する理由がありません。
女性皇族の配偶者を皇族にするのは、男性皇族の妻になられた女性が皇族になられることと扱いを公平にするだけのことです。日本会議の皆様が、女性皇族方が見そめた方には懸念を持ちながら、国民として生まれ育った旧宮家子孫の男性については、お育ちや人格面を不問にして法改正のみで皇室に入れることに懸念がないというのは、女性皇族方に対して二重に失礼な物言いです。
問題点4
提言は、「女性皇族が結婚後も皇室にとどまる方策」と「女性宮家の創設」とを意図的に混同している。
国会では女性皇族が結婚後も皇室にとどまることができるようにする方策は議論されているが、それは、女性宮家の創設を可能にすることとイコールではない。両者を意図的に混同して自らの提言へと誘導しているのではないか。
皇族数の減少を食い止めるには、女性皇族がご結婚後にも皇室に止まっていただくことが、まず不可欠です。そして、その場合には内親王および女王方にも皇位継承権を認めなければ、皇統断絶の危機に対処したことになりません。
先に挙げた宮内庁長官の発言からしても、安定的な皇位継承という観点から、皇族数の減少を解決する策を実現してほしいという天皇陛下のお考えは明らかです。意図的に混同したのではなく、両者は不可分なのです。
問題点5
「女性宮家」を創設する案について、各党の意見が一致しているという事実はない。提言は、明らかな事実誤認である。
麻生太郎最高顧問が、女性皇族のご結婚後の皇族身分保持にすら反対して与野党協議をぶち壊したので、結果的に日本会議の皆様の「事実誤認」との指摘は的を射たものにはなりました。しかし、麻生氏は、喫緊の課題である皇位の安定継承に対する責任を果たすことを放棄したのです。国民の願いを無視し、何より天皇陛下のお気持ちに背く、国会議員として最低の振る舞いでした。
問題点6
憲法第2条の「世襲」規定は「男系」を意味するとする見解は、政府でも学界でも支持されてきた事実を、提言は無視している。
以下、皇室研究家の高森明勅氏のブログから引用、転載いたします。
「必ず男系でなればならないということを、前の(“皇男子孫”による継承を規定した)憲法と違いまして、いまの(世襲という広い要件しか規定していない)憲法はいっておるわけではございません」(昭和41年3月18日、衆院内閣委員会での関道雄内閣法制局第1部長の答弁)
「憲法においては、憲法第2条に規定する世襲は、天皇の血統につながる者のみが皇位を継承するということと解され、男系、女系、両方がこの憲法においては含まれるわけであります」(平成18年1月27日、衆院予算委員会での安倍晋三内閣官房長官の答弁)
「憲法第2条は、皇位が世襲であることのみを定め、それ以外の皇位継承に係ることについては、全て法律たる皇室典範の定めるところによることとしている。同条の『皇位は、世襲のものであつて』とは、天皇の血統につながる者のみが皇位を継承することを意味し、皇位継承権者の男系女系の別又は男性女性の別については、規定していないものと解される」(内閣法制局 執務資料『憲法関係答弁例集〔2〕』平成29年)
上記によれば安倍晋三内閣官房長官(当時)の見解でも世襲には女系も含むとされています。この一連の発言を見ただけでも、憲法第2条の示す世襲が男系に限定されるという見解が、政府でも学界でも支持されているとは到底思えません。
問題点7
宮中祭祀は、天皇陛下が主宰される重儀であり、女性皇族は参列はあっても祭祀を担うことはありません。
7/28日付読売新聞の記事では、これまでは慣習的に宮家の男性皇族が皇族代表として執り行っていた、明治時代に再興された大祓の儀を、 2014年からは女性皇族方も担っておられることが取り上げられています。背景には皇族数の減少があるとのこと。
「令和に入り、大祓の儀で皇族代表を務められたのは、秋篠宮さまが2回、長女眞子さんが1回、佳子さまが9回、三笠宮家の瑶子さまが1回となっている。」と記事にあり、すでに女性皇族方がいらっしゃらなければ祭祀も行えない状況なのです。
大嘗祭を始めたのは女性である持統天皇であり、これまで8方10代の女性天皇が在位しておられたのに、女性皇族が祭祀を担うことはないとは一体何に基づくご見解なのでしょうか。女性皇族の夫を皇族にすることへの懸念といい、日本会議の皆様が、なぜそこまで女性皇族方に不信を抱き、忌避されるのか理解できません。
問題点8
提言は、象徴天皇制の国民への定着と皇室の活動への敬愛を指摘しているが、国民に寄り添う皇室活動は歴代天皇の伝統であった事実に触れられていない。
読売新聞5/15日付朝刊の一面で、社会部長の竹原興氏は「相次ぐ自然災害や感染症拡大などの危機において、天皇を中心とした皇室は、常に国民を思い、国民に寄り添って社会の安寧を祈ってこられた。」と書かれています。こうした皇室の姿が国民に支持されており、将来にわたって維持してもらいたいとの思いから、読売新聞は社会の公器として四つの提言を発表されたのであって、「国民に寄り添う皇室活動は歴代天皇の伝統であった事実に触れられていない。」とは、それこそ事実誤認です。
また、引用されている昭和天皇のお言葉の中にある「皇室もまた国民をわが子と考えられて、非常に国民を大事にされた。その代々の天皇の伝統的な思召し」とは、まさに敬宮殿下が成年の記者会見でおっしゃっていた、「皇室は、国民の幸福を常に願い、国民と苦楽を共にしながら務めを果たす、ということが基本であり、最も大切にすべき精神であると、私は認識しております。」と同じです。
敬宮殿下は、大学ご卒業後に海外留学の道ではなく、日本赤十字社へのご就職を選ばれました。これほど慈悲深くご聡明な皇女さまを日本国民に授けてくださったこと、私は天皇陛下と皇后陛下にどれほど感謝してもしきれません。
逆に、日本会議の皆様は、こうした素晴らしいご発言とお振る舞いをされる天皇陛下のお子様が、ただ女性というだけで皇位継承の道を閉ざされていることを、あまりに不自然だと思われないのでしょうか。天皇が国民に寄り添うご存在ならば、性別は無関係のはずです。
日本会議の皆様は、悠仁親王に男子が授からなければ旧宮家の子孫をと主張されていますが、昭和天皇の直系でない方が天皇になられることに違和感を持たれないのでしょうか。
今いらっしゃる直系の内親王よりも、昭和天皇の血を引いておらず、上皇陛下や天皇陛下の背中を見て育ったわけでもなければ、祭祀を担ったこともない旧宮家子孫の国民が、ただ男性というだけで皇位を継いだほうがいいという発想が、私には全く理解できません。天皇のご存在を貶めているのは、男系派と双系派の果たしてどちらなのでしょうか。
今、皇室に対する国民の支持が厚いのは、これまで昭和天皇から上皇陛下、今上陛下に至るまで、国民と苦楽を共にすることこそ皇室のあり方という思いを皇室の皆様が共有されてきたお姿を見ているからです。現行制度のままではいずれ悠仁親王お一人が皇室に取り残されることになりますが、そんな状況で国民がこれまで通り皇室を支持するでしょうか?
数十年後の日本国民が、「顔も名前も人柄も知らない旧宮家の子孫を皇族にするぐらいなら、悠仁天皇を最後に皇室は廃止して日本は共和国になる方がいい」と選択したら、男系男子継承にこだわっている日本会議の皆様は、一体どう責任を取られるおつもりなのでしょうか。
私は、敬宮殿下のご誕生は八百万の神々の御意思であり、御神託そのものであると捉えております。今、有志の国民が、漫画家小林よしのり先生の最新刊である『愛子天皇論3』の国会議員への寄贈運動を進めています。日本会議の方々が密室で、男系男子の皇位継承以外は認めない、旧宮家の子孫を皇族の養子にせよと国会議員に圧力をかけ続けてきたことは、もう徐々に明るみに出ています。
今後も愛子天皇実現を妨害し続けるのか、それとも天岩戸を開き、女性天皇実現に向けて動くのか、八百万の神々のご神意に沿うのはいずれであるかを、日本会議の皆様にはぜひご再考いただきたく存じます。
文責 東京都 mantokun
8 件のコメント
突撃一番
2025年8月15日
全文を通して、非常に的確な批判だと思いました。
日本会議側がこれにどう反論するのかが、気になりますね。
mantokun
2025年8月14日
くりんぐさん
コメントありがとうございます。旧宮家は女系なら近いと言い訳するくらいなら、素直に今いらっしゃる内親王と女王に皇位継承権を認めればいいものを、単に女性差別を隠すための言い訳なんですよね。
女性皇族方をまるで皇位継承のエサ扱いし、旧宮家の子孫の男性は自由意思が尊重される民間人であることも無視して男系維持の駒扱い。すでに大祓の儀の代表を女性皇族が務めておられることも知らないし、男系派はご公務にも祭祀にもまるで興味がないことが明らかですね。保守でも何でもない。
くりんぐ
2025年8月14日
mantokunさん、素晴らしい反論をありがとうございます!
皇統とは天皇の血統。
皇位継承の正統性は、男系女系関係なく、今上陛下との今上陛下との血筋の近さで決まります。
男系派お気に入りの旧宮家系国民男性は、男系で北朝三代崇光天皇の子孫。
遠すぎて話になりません。
その血筋の遠さを、男系派は「女系で近い方がいる」と誤魔化してきました。
その誤魔化しが通用するのは、「女系も皇統」だから。
女系で近いと言っても、男系派が「皇族の養子に」と望む世代は、近い方でも2世以内の皇族との婚姻が無ければ「皇統交代」と見なされるひ孫(3世)。
ゆえに男系派は、内親王と旧宮家系国民男性を結婚させたくてたまらないのでしょう。
旧宮家系国民男性の皇室入りを、皇位継承を正当化させるために。
そのために内親王が他の一般男性と結婚されるのは困るからこそ、小室眞子さんと圭さんの結婚を何年にも渡って妨害し続けたのでしょう。
日本会議は、大祓の儀を女性皇族方も担われていることを知らないんですね。
皇室の祭祀への無関心さがよく現れています。
mantokun
2025年8月14日
キソイさん、お手数をおかけしてすみません。ご修正ありがとうございました。キソイさんご指摘の有村議員の発言といい、男系派の国会議員や論客のうろたえぶりを見るに、やはり読売新聞提言の威力は相当大きかったんだなと改めて分かりますね。
また、例の愚者の集会(←笑)自体は4/7の開催だったのですか。私がこの時期ニュースを逐一追えていなかったのもあって、今回の献本にあたり日本会議のサイトを見て初めて知りました。
今回の反論には書ききれませんでしたが、雅子様の長きにわたるご療養に対する後ろめたさや申し訳なさが微塵も感じられないところにも、強い怒りと嫌悪感を覚えます。
基礎医学研究者
2025年8月14日
>mantokunさん
編集部として。ご指摘の部分は、修正しました。
つづいて、感想コメント。日本会議の方々にどこまで通じるのかどうかはおいておいて、このように1つ1つ丁寧に反論されると、彼らの読売提言へのうろたえぶりが、よくわかりますね。mantokunさんの文章を見ていて思い出したのは、有村治子の国会における質疑。あれは、国会の場でわざわざ、衆議院の法制局に「文言の確認を問う」というへんな質問をしていましたが、あれは相当うろたえていて、有効な反論はできないけど、なんか反証している!という印象を作りたかっただけ。日本会議にも、これと同じものを感じた次第です。
追記・・・「安定的皇位継承の法制化を求める国民大会」は4/7でして、各紙取り上げていましたね(産経の扱いは、大きかった)。あそこに出席した議員は、まさしく愚者認定の議員ですが、まあ、いまはそういう人も含めての「献本運動」なんだろうと。
mantokun
2025年8月14日
すみません、引用部分の「提言5」と「提言8」はそれぞれ、「問題点5」と「問題点8」ですね。私がコピペミスしていたのですが、気づかずお送りしてしまいました💦
mantokun
2025年8月14日
ふぇいさん、愛子さまサイト編集部の皆様、長い文章を記事としてご掲載いただき、また太字などの編集も加えていただいてありがとうございました。
この日本会議の読売新聞提言への反論(というよりただの反発)は、発表の日付が提言記事発表のちょうど1週間後ということを見ても、日本会議内部での衝撃がいかに大きかったかが窺えます。「とりあえず反論しなくては!」と焦ったためなのか、文章の体裁を取り繕う余裕もなかったことが見て取れました。
なかでも「女性皇族の配偶者が一般人から皇族となることへの懸念」とか「宮中祭祀は…重儀であり、女性皇族は参列はあっても祭祀を担うことはありません。」とか、女性皇族方への見下しを当然のように織り交ぜていることに呆れ果てます。
「国民に寄り添う皇室活動は歴代天皇の伝統」と書いて、わざわざ昭和天皇のご発言まで引用しておきながら、昭和天皇のひ孫にあたる内親王殿下には皇位継承も宮家設立もまかりならん、ただし昭和天皇の血を引いてなくても旧宮家の子孫の国民男子なら皇族にしてもいいとは、矛盾も甚だしい。単なる保守しぐさで昭和天皇を敬うふりをしているだけなのがバレバレです。まさに、「男を尊び女を卑しむ」が全文から漂ってくる内容でした。こんな時代に逆行した偏向思想団体の言いなりになってる国会議員、恥を知ってください。
fei
2025年8月14日
編集部より
mantokunさん。投稿どうもありがとうございました。
完璧な論破。さすがです!
日本会議は反論できるのでしょうか。
「伝統だから伝統だ」しか言えないカルトには、ぐうの音も出ないでしょう。
こんなののほうを向いている国会議員。自分の頭で考えてください。