7月25日、26日に掲載のブログに引き続き、漫画家・小林よしのり先生主宰・第101回ゴー宣道場『女性天皇・女性宮家は不可能なのか?』(令和3年10月10日開催)のゲスト、コラムニストの矢部万紀子さんの思想探究です。
令和2年11月25日、参議院議員会館講堂で行われた緊急シンポジウムの動画が公開されています。
ニコニコ動画 ゴー宣道場チャンネル
【緊急シンポジウム「皇位の安定継承に向けて」】
https://www.nicovideo.jp/watch/so37908553
このシンポジウムは、菅政権が皇位の「不安定継承」を決定づける「皇女」という大愚策を検討していたことが判明した際に、緊急開催されたものです。
(無責任な政府や国会議員は、「皇位の安定継承」という最重要の国家課題を、いまだ放置し続けています。よってこのシンポの内容は、いまもそのまま通用するものとなっており、必見です。)
矢部万紀子さんは、専門的な歴史や制度の観点からではなく、実際に働く女性の立場から、以下のようなことを語られています(非常に慎重に言葉を選ばれておられるので、分かりやすく意訳しています)。
・令和になって雅子様が皇后になられ、女性宮家・女性天皇について考えざるを得なくなった。
・紀宮清子様(現 黒田清子さん)は、いずれ結婚し皇室を離れることがあるために、継続的な責任ある立場(ご公務)を控えておられた。これは非常に切ない。現皇室典範は、女性皇族にそういう制限を強いている。
・現行の皇室典範は、女性皇族の「結婚退職」が明記(強制)されている法律。
・女性皇族にとって、なんのための女性宮家なのか、数合わせに過ぎないのではないか。具体的にどういう役割を、女性皇族・女性宮家に求めるのか。
・もっと分からないのは「皇女」制度。結婚退職を強いておきながら、都合よいコマのように「必ずパートで戻って来い。それに備えて結婚後の人生も制限してくれ」というのは、あまりにも野蛮・冷酷すぎる。
・なぜ女性皇族だけが、このような数合わせ,コマのように扱われることが、いまだ堂々とまかり通っているのだろう。
・眞子様が強く結婚したいと思われているのも、こういった不情理・理不尽な制度への強烈な拒否反応ではないのか。
・女性皇族一人ひとりのお気持ちを、僅かでも考えているのか。政府や国会議員に限らず、一人ひとりが考えなければならない。
矢部さんの「なんのための女性宮家なのか」という問いかけは、女性皇族に限らず人間は何のために働くのか、という問いかけのようにも思えました。
ハンナ・アーレントによれば、人間の条件は、労働(Labor),仕事(Work),活動(Action)にあるそうです。
そのうち、無意識的に強いられる労働よりも、主体的な仕事と活動が人間を人間たらしめていると。
このシンポジウムで漫画家・小林よしのり先生は、退位の意思表示をされたおりの上皇陛下のお言葉
「これまでの天皇としての務めを、国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは、幸せなことでした。
象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に、心から感謝します。」
とまで仰って下さったことに感謝し、
誰にも完全な自由はなく、どこにどのような運命で生まれ、どう生きるかは皇族も国民も変わらず、女性皇族にも(できれば皇室に残って頂いて)生まれてきた運命のもと、上皇陛下のように幸福を感じて頂きたい、といったことを指摘しておられました。
誠に僭越ですが、天皇陛下はもちろん雅子様も、恐ろしく聡明なスーパー愛子様も、人間のそういった普遍的な宿命をご存じだと思います。
秋篠宮様も、個人の幸福追求はやはり制度により制限されるべきではない、とお考えになっておられるかも知れません。
この歪な現皇室典範を放置していては、女性皇族がどんどん結婚され、すぐにでも悠仁様たったお一人の皇室(=皇室消滅)になってしまう可能性も大いにあるのです。
矢部さんが仰っていた通り、世論調査でも女性・女系天皇,愛子様皇太子への賛成は8割もあります。
政府(自民党)や有識者会議・テレビ・新聞が言っている「国論を二分する」というのは、とんでもない大嘘(ないし怠惰や支持団体への忖度を誤魔化す脅し)にすぎません。
そんなものに騙されず、私たちが一人ひとりが現実を直視して、無責任な他人事になるのではなく、主体的に皇室をお支えしていきましょう。
愛子様をはじめ女性皇族の皆様が、それぞれ思い思いのご公務で幸福を感じて頂けるよう、私たちが実現していきましょう。
文責 広島県 三味線
6 件のコメント
ただし
2021年8月10日
改めて、女性皇族方が不遇な扱いを受ける皇室の現状は、今の日本社会の縮図であるとの思いに至りました。皇室典範を現状のまま放っておくことは、女性が生き辛い社会のまま放っておくことと、変わらないです。男性よりも女性の方ばっかりが生き辛いと言うのは、歪んでいますね。
ねこまる
2021年8月9日
自分も昔は「皇室典範の改正は国論を二分する」と思っていました。が、今はこれがペテンだと気付いています。
なにせ女性天皇容認が8割もあるのです。
にもかかわらず「未だに改正されないのだから、きっと難しい問題なのだろう」と勝手に納得する国民の多いこと…。
結局「他人事」にしてしまってるのです。
女性皇族の方々が主体的に公務にかかわれるかどうかは、我々国民にとって大切な事です。
選択肢を増やすために、声をあげていきましょう。
三味線
2021年8月8日
コメントありがとうございます!
矢部万紀子さん、楽しみですね。v^^
のりたま
2021年8月8日
どれも、至極まっとうなものばかりですね。
天皇陛下も皇族の皆様も、お幸せであることが第一です。
今のままでいいはずがありません。
基礎医学研究者
2021年8月8日
先日の三味線様の著書紹介ブログより、矢部万紀子さんの著書をさっそく自分も読みました。特に「皇族」を離れられた黒田清子様の部分については非常に考えさせられることが多く、そしして、断じて「皇室典範の改正」は国論を二分するような議論ではない(国民の大部分が潜在的には支持している)という部分については、激しく同意であります。
ダダ
2021年8月8日
矢部万紀子さんの発言をまとめてくださり、ありがとうございます。
どれも肯けるものばかりです。
雅子さまのお言葉を拝借しますが、皇族の皆さまも「幸せであって頂きたいかけがえのない存在」です。
自分が幸せなら皇族は不幸でもよいという姿勢や態度は厳に慎むべきですね。
国民一人ひとりが皇室を主体的に支える、これに賛同します!!