そこで、ここでは少し強引な整理になってしまうかもしれませんが、
何となく皇室存続派に底流する特性を整理してみました。
(前編からの続きでございます) 実は、私がこれまでの反証を1~5のように並べておりますのは、
番号が進めば進むほど、打開することか困難なように思えるからであります。
そのような意味で、5の「何となく皇室存続派」というものが ,
実は一番油断のならないレベルということになるかと思います (ある意味「男系主義者」と併せて、結果として最も「皇室終了」に加担する可能性が高い為)。
・ニヒリズムは、
本来極めてヨーロッパ的な概念で、
あえて一言でいうと「最高の諸価値の崩落」ということになり
そして、この影響は現代文明を持つ日本にも波及し、
「ならば、絶対的な価値などいらない」という価値相対主義が出現し、
そして「どうせ何をやっても何も変わらない」という、
ニヒリズムの一形態であるシニシズム(冷笑主義)へと至り、 非常に厄介です。
・それに加えて日本にあるのは、
ヨーロッパ的自己である「個」ではなく
「世間(日本的自己を規定する「所属・立ち位置」)であります。
・一方「個」が弱い分、
「和の精神」で集団的に物事に処するのは日本人の特性で、
これは日本人の良いところである、と私見では思います。
しかし今回「コロナ渦」で露呈してしまったことは、
「個」が弱いという性質より、有事の時の振れ幅が極端であったということであります。
こう書いてみますと、「何となく皇統終了派」というのは、
結局のところ倉持 麟太郎氏が定義した「中間層」に他ならない、
と私見では思います。
そして、そうだとするのならば、
「何となく皇統終了派」に反証するとは、
「皇統問題」を支援してくれる政治家を選挙で選出することを選択し、
このような方々が投票所に足を運んでくれるような“熱量”を伝えられるのか?
ということになろうかと思います(倉持氏が言われるように、現在の陣営にいる人達を動かすことは、まず期待できません)。
いかがでございましょうか?
参考文献
,阿部 謹也ら 1994『いま「ヨーロッパ」が崩壊する〈上〉殺し合いが「市民」を生んだ』(カッパ・サイエンス新書)光文社
倉持 麟太郎 2020 『リベラルの敵はリベラルにあり』(ちくま新書)筑摩書房
佐伯 啓思 2003『20世紀とは何だったのか 「西欧近代」の帰結(現代文明論 下)』(PHP新書)PHP研究所
(後編に続きます)
文責:大阪府 基礎医学研究者
7 件のコメント
ただし
2021年9月18日
基礎医学研究者さま、同世代ですね。
(^^)
そう、スカしている、です。
基礎医学研究者
2021年9月15日
コメントありがとうございました。いや、恐縮でございます(m_ _m)。また、なるほど~。ただしさんは自分と同世代のようですので(「ちぇぶラージオ」の感想会でご一緒させてもらっていることよりご判断しました(^_^;))、この感覚、共感できますかね(現在は、死語と化している言葉も入っておりますね)。私もあえて死語(笑)を使いますが、”スカしている”みたいな感覚ですかね(^_^)。以上、失礼しました。
ただし
2021年9月14日
知恵の輪が解きほぐされていく感じに似ていて、読んでいて、気持ちが良かったです。
ニヒリズム・シニシズムにおちいるにしても、個で対峙して、責任も自分で引き受けられれば、まだ可愛げがあるのかな、みたいな感じに思いました。日本人は、すぐ周りにも広めようとする気がして。
今思うと、小学校の終わりから中学校に入る頃に掛けて、何となく、ニヒリズムやシニシズムがカッコいい、これからの時代はコレなんだ、みたいな空気が形成されたような感覚があります。自分が思春期だったから、神経過敏になり、そのように感じたのかも知れませんが…。
熱血はダサいんだよ、ドライに振る舞うのがナウいんだよ、というような。
基礎医学研究者
2021年9月10日
ダダ様
コメント恐縮でございます。「リベリベ」は今回の論考を書く際に、非常に参考になりました。そして、まさにダダさまおっしゃるとおりで、この人任せ、無関心という層が、実はもっとも警戒すべき存在かと、自分も思います。後半には、それに対抗する”私案”を載せましたので、引き続きよろしくお願い致します(m_ m)。
京都のS様
コメントありがとうございました。いや、まさにおっしゃる通りで、確かにこれだと”絶望的な未来予測”になってしまいますよね。ただ、といいながらも、これに対抗する”私案”を一応は考えてみましたので、引き続き後編よろしくお願いします。
かずず様
コメントありがとうございました。いや、まっとくおっしゃる通りで、おそらくこのようなことと、これからよしりん先生が展開しようとしている「日本人論」とは大きな関係にあるのだと思います。でも、私はまだ「愛子さま 皇太子への道」はあると信じておりまして、後編に”その私案”を書いた次第です。引き続き、よろしくお願いします。
かずず
2021年9月10日
この日本を覆うニヒリズムやシニリズムは、なんなんでしょうね。困ったものです。
京都のS
2021年9月10日
なるほど、中間層=無党派層は、なんとなくマスコミに騙される層ですね。「皇室って男系で続いてきたんだから、それでいんじゃね?」層であり、コロナ禍にあっては「テレビがコロナ怖いって言ってんだから、そうなんじゃね?」層ですね。これが世間ファシズムの構成員ですから、コロナ自粛と男系継承が何となく続いてしまう現状から動きにくいのでしょうね。大東亜敗戦なみの破局が訪れない限りは…。
絶望的な未来予測となりましたが、後編に期待します。
ダダ
2021年9月10日
リベリベ、私も読みました。
ニヒリズムが中間層(多数派)に蔓延していて政治に興味が無い状態が、権力には好都合なんですよね。
人任せなので、存続派にも終了派にもなり得る。これは確かに侮れませんよね。
双系継承という、古代からの伝統を推し進めていきたいです!