
5月3日に最終回を迎えた「対決」(松本若菜×鈴木保奈美・渡邉真子脚本:NHK BS)は医科大学の女子一律減点問題を扱う社会派ドラマでした。日邦新聞のP担(検察担当)記者・檜葉菊乃(松本)は統和医大の裏口入学問題を追っていましたが、取材を進めるうちに受験生の中で女子だけが減点されているとの噂を聞き、檜葉はP担チームの仲間に無断で追い始めました。ある男性医師(橋本淳)は「女医は結婚・出産で離職しやすい」「だから仕方ない」と言い、ある女性医師(渡辺真起子)は「腸が煮えくり返るから考えないようにしている」「でもパンドラの箱は開けない」と言います。このネタを追いたいとキャップ(大倉孝二)に持ち掛けると「フェミニストなの?」とツッコまれますが、檜葉は「(この問題は)私たち世代が(男尊女卑と)戦わなかったからです」「戦いたいから記事を書きます!」と宣言しました。
統和医大で不正入試問題や女子一律減点問題の対応を任されていた理事の神林晴美(鈴木)と檜葉との対決がドラマの主軸ですが、女子の合格者を増やせば眼科医と皮膚科医ばかりになるから加点してでも男子学生を取りたい医学界の事情も明示し、また医師だった弟が超過勤務の末に過労死した過去が神林の男尊女卑体制維持に手を貸す動機となっており、それらは物語に深みを与えていました。
上記のような複雑で難しい問題を根本的に解決するには国民意識を転換するしかありません。つまり、結婚・出産・育児・介護による離職のリスクを女性にだけ負わせないような社会改革を進めるしかなく、それは「パンドラの箱を開くこと」とセットなのです。その契機となり得るのは、女性天皇の誕生と女系継承の制度化だと筆者は考えます(属人的な愛子様人気に依拠した変化では不十分)。劇中の檜葉(松本)は「戦わなかった」自分を恥じていましたが、上野千鶴子氏や田嶋陽子氏のように戦ってきた人々を正当に評価すべきだと筆者も認識を改めました(※「真剣さが見えない~」参照)。
ちなみに傑作ドラマ「東京ラブストーリー」(織田裕二×鈴木保奈美・坂元裕二脚本)は男女雇用機会均等法の第一世代である赤名リカ(鈴木保奈美)が主人公でしたが、鈴木を「対決」の敵として起用した制作陣のセンスに脱帽です。また同法第一世代と言えば小和田雅子氏(現皇后陛下)も該当しており、結婚には今上陛下の深謀遠慮すら感じられ、非常に示唆的です。
文責:京都のS
1 件のコメント
京都のS
2026年5月7日
BS NHKのドラマはNHK総合に天下りしてくることが多いので、「対決」の視聴をオススメします。1月期後半のナンバー1でした。