古代の女帝を描くドラマから皇統問題を考える

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NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」や「太平記」の脚本を書いた池端俊策氏は「聖徳太子」「大化改新」「大仏開眼」という古代史ドラマ3作の脚本も書きました。

・「聖徳太子」(厩戸皇子:本木雅弘、李真:ソル・ギョング、刀自古郎女:中谷美紀、蘇我馬子:緒形拳、物部守屋:宝田明、推古天皇:松坂慶子)…推古天皇の摂政となって十七条憲法や冠位十二階を制定し、隋と対等な国交を持つ律令国家の礎を築いた厩戸皇子(後の聖徳太子)が主人公です。百済から渡来帰化した鍛冶屋・李真(オリジナルキャラ)の影響で厩戸が仏法僧を重んじ、また十七条憲法の条文のヒントも得ていく描写が斬新でした。

・「大化改新」(中臣鎌足:岡田准一、蘇我入鹿:渡部篤郎、車持与志古:木村佳乃、南淵請安:仲代達也、中大兄皇子:小栗旬、宝皇女:高島礼子)…中大兄皇子(後の天智天皇)と共に乙巳の変~大化改新を成し遂げた中臣鎌足が主人公です。鎌足と入鹿が同じ学堂で学んだ幼馴染にして互いに与志古を取り合う三角関係で、二人の仲が決定的に壊れる契機が鎌足の心酔した南淵請安(貧民を救済しつつ蘇我の独裁を糾弾した)の入鹿による殺害である点が斬新でした。

・「大仏開眼」(吉備真備:吉岡秀隆、阿部皇太子:石原さとみ、玄昉:市川亀治郎、藤原仲麻呂:高橋克典、聖武天皇:國村隼人、光明皇后:浅野温子)…遣唐使に参加した学者にして阿部皇太子(後の孝謙天皇)の教育係となった吉備真備が主人公です。大仏建立への思いを募らせる聖武帝に対して民の疲弊を理由に反対する真備、藤氏長者による独裁制の復活を目論む仲麻呂を命懸けで論難した真備、学者とは思えない行動力が斬新でした。

 この3作に共通するのは次の2点です。

1.推古帝・皇極(斉明)帝・孝謙(称徳)帝という女帝が活躍した時代を描いている。

2.国と民、そして帝(シラス存在)を思うナショナリストにして国と民を私する権力者(ウシハク存在)と鋭く対峙する人物を主人公に据えている。

公共放送を標榜するNHKのドラマですから公に資するものでなければなりません。国のトップに女帝が立ってよいこと、そして帝を支える存在はナショナリストであるべきこと、以上の2点は令和の公にも正しく適っているように、私には思われるのです。

(メールより)文責:京都のS

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6 件のコメント

    京都のS

    2021年12月12日

     基礎医様、コメントありがとうございます。こういう仕事をしてくれるなら公共放送と認めても良いですが、感染者(PCR陽性者)が過去最多という速報をガンガン流されると…。
     ただし様、「麒麟がくる」も民と帝を思うナショナリスト十兵衛が皇位継承にも口出しするほど増長した権力者の信長と鋭く対峙する作品でした。ナショナリストなら燃えますね。

    ただし

    2021年12月12日

     そのようなドラマがあったのですね。内容も、キャストも、とても魅力的で、見てみたいです。レンタルショップで探してみます。

     3作の共通点ですが、②は、日本のドラマや漫画で、見ていて熱く燃え上がる良作の黄金パターンかと思いました。
     天皇と共にある日本の歴史を勉強した今、①の要素がプラスされた作品は、きっと1番見心地がよく、心にしっくりとくるんじゃないかなあと想像しました。
     本来の日本人の王道なのだろうなと思います☆♪
    (*^^*)

    基礎医学研究者

    2021年12月9日

    興味深く読ませていただきました。なるほど、古代ドラマ3作というものがあったのですね。これは、勉強になりました(m_ _m)。そして、京都のSさまの論考を見る限りでは、確かにNHKは公を一応は体現しているといえるのでしょうね(こういうところは、民放に較べると素晴らしいかと)。自分も、ダダさまが書かれているような女性天皇の意義が、公共放送で伝わればよい、と思います。

    京都のS

    2021年12月9日

     ダダ様、ありがとうございました。
     この3作は、最近になってBSプレミアムで続けて再放送されました。また「英雄たちの選択」の持統天皇回も12月1日(愛子様の誕生日)に再放送されました。これらの意味するところは、女性・女系天皇が立つべき時だと政府も公共放送も判っていることの証左ではないかと考えます。

    ダダ

    2021年12月9日

    称号の意味で、最初の「天皇」は推古天皇。
    国号の意味で、「日本」で最初の天皇は持統天皇。
    今の日本があるのは前述の女性天皇がいたから!!といっても過言ではないです。

    古代ではシナ文化(男尊女卑)を回避したものの、21世紀の今になって自らシナ文化に染まるとは、、非国民の考えることは良く分かりません。

    京都のS

    2021年12月9日

     天皇も皇室も極めてナショナル(国民的)な存在ですので、ナショナリスト(国民主義者)にしか守れないと考えます。しかし現在の日本では、男系固執派というアンチ・ナショナリストが右派・保守派・尊皇派・ナショナリストの顔をして喋っています。男系保守派から皇室を奪還し、皇室から心が離れた無関心層にも再び尊皇心を取り戻してもらわねばなりません。

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