12月6日の有識者会議の骨子案に対し、さっそく野党2党が国会で言及してくれました!
特に立憲民主党については、他にも色々と期待できるところがあります。
最近の政治の動きについてまとめてみました。
● 首相の所信表明演説では言及なし
12月6日に臨時国会が召集され、冒頭に岸田首相の所信表明演説が行われました。
所信表明演説は、選挙などを経て首相に任命されたり再選されたりした後の国会で、首相自らがその所信を表明するものです。
岸田首相は、自民党総裁選に勝利して首相に任命された後の10月臨時国会に次いで、2度目の所信表明演説となります。
全文は、官邸HPに掲載されています。
映像で見ることもできます。
第二百七回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説 – 首相官邸ホームページ –
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2021/1206shoshinhyomei.html
この中で、皇位継承に関する発言は一言もありません。
岸田首相が、皇位継承問題をいかに軽く捉えているか、あるいは触れたくない問題とみなしているかがよくわかります。
● 代表質問で野党2党が言及
首相の所信表明演説に対する代表質問が、衆参両院で8~10日にかけて行われました。
ここで、
立憲民主党・西村智奈美幹事長(衆院・新潟1区)と、
国民民主党・玉木雄一郎代表(衆院・香川2区)が、
首相の演説では触れられなかった皇位継承について言及してくれました。
西村幹事長の質問と岸田首相の答弁(いずれも関連部分を抜粋)
質問:
安定的な皇位継承について。
政府・有識者会議の報告書骨子案によれば、女性皇族が結婚後も皇室に留まる案と、養子縁組による、皇統に属する男系男子の皇族復帰の2案を軸とすると報道されております。
岸田総理は、この点をどう受け止めていますか。
また、国会が附帯決議で求めた女性宮家の創設につながるとお考えですか。
さらに、女性・女系天皇のあり方も含めた検討を行うべきと考えますが、岸田総理のご見解を伺います。
(映像:https://youtu.be/DOeDIXr_Um8?t=9154 (2:32:34より))
答弁:
安定的な皇位継承等についてお尋ねがありました。
ご指摘の附帯決議に示された課題について、有識者会議において議論が続けられており、これまでしっかりとした議論が丁寧に重ねられてきているものと受け止めています。
ただ具体的な内容について、私の考えを述べることは控えたいと思います。
引き続き、この会議の議論を見守って参ります。
(映像:https://youtu.be/DOeDIXr_Um8?t=10519 (2:55:19より))
玉木代表の質問と岸田首相の答弁(いずれも関連部分を抜粋)
質問:
皇位の安定継承について伺います。
先日、皇位継承に関する有識者会議は、旧皇族の男系男子を養子として皇族にすることも提案しました。
政府として、今20代・30代の旧皇族の男系男子が何名いらっしゃるのか把握していますか。
また、皇族となる意思を確認しているのか、答弁を求めます。
(映像:https://youtu.be/qJdqy4K_TSw?t=7001(1:56:41より))
答弁:
安定的な皇位継承についてお尋ねがありました。
政府としては、昭和22年に皇族の身分を離れた方々のご子孫の現状については承知はしておりません。
ご指摘の有識者会議においては、引き続き議論が続けられており、今後ともその議論を見守って参ります。
(映像:https://youtu.be/qJdqy4K_TSw?t=8237(2:17:17より))
西村幹事長は、有識者会議骨子案への見解に触れるだけでなく、附帯決議に記された女性宮家、さらには女性・女系天皇への議論の必要性についてまで言及しました。
ここでふと思い出すのは、皇位継承について問われたときに安倍元首相が判を押したように使っていた表現、
「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討」
です。
岸田首相も、自民党総裁選時には「皇位継承は例外なく男系天皇が継承してきた」と発言したとされており、女性・女系天皇にまで踏み込まれた質問に対して、このお決まりのフレーズを使用してもよかったはずです。
にもかかわらず、何の反論もしなかったのはどういうことか。
少なくとも安倍元首相とはちょっと様子が異なるようです。
玉木代表は、旧宮家系男性の動向について問い質しました。
こちらは、そうした調査がまったく進んでいないことがはっきりわかりました。
● 代表質問で質問した意義
代表質問は、所信表明演説などに対して党の代表者が質問を行うもので、特に野党においては、党の姿勢を表明する場として重要視されています。
上皇陛下のご退位に向けて議論された平成29(2017)年通常国会の代表質問では、 当時、民進党幹事長だった野田佳彦元首相(現・立憲民主党、衆院・千葉4区)が、退位の三要件を示すなど詳細まで言及し、議論をリードしていく姿勢を鮮明にしました。
そのときに比べると、今回の2議員の質問は、まだ様子見に近いものともいえます。
しかし、代表質問で皇位継承問題について言及されたのは、ご譲位後初めて本格的に開かれた、令和元(2019)年10月の臨時国会まで遡ります。
このときは、譲位・改元ブームによる盛り上がりの真っ只中でした。
その中で、立憲民主党・長浜博行議員(参院、千葉選挙区)が、皇位の安定継承の議論をいつ始めるかを質しました。
少なくとも、それ以来の気運の高まりを両党が感じ取っていると見てよいでしょう。
● 文藝春秋に掲載された野田氏らの「愛子天皇」論
現在発売中の『文藝春秋』新年特別号には、前出の野田元首相を含む鼎談記事が掲載されています。
鼎談は、
- 現在の有識者会議批判
- 小泉政権時の有識者会議の評価
- 皇室の続く理由 – 「世襲」で受け継いできた、国民に寄り添う姿勢 –
- 解釈の余地がある「万世一系」
- 旧宮家皇籍取得案の限界
- 「愛子天皇待望論」という選択肢
という流れで展開。いずれも深く頷ける内容です。
ようやく国会論戦の場に移行しそうなタイミングでこの記事が掲載されることに、野田元首相の意欲、発言力がいまだ健在であることを伺わせます。
この記事については、皇室研究家・高森明勅先生もご自身のブログで評価されています。
野田佳彦元首相の危機感と「愛子天皇待望論」への支持 – 明快!高森型録 –
https://www.a-takamori.com/post/211215
Web上では、一部無料で公開されています。
愛子天皇は実現するか「緊急特集 天皇と日本人」 本郷恵子×野田佳彦×古川貞二郎(文藝春秋digital、令和3(2021)年12月11日)
https://bungeishunju.com/n/nb115538cebb1
● 期待される立憲民主党の陣容
衆院選後に代表が交代した立憲民主党は、これまでと陣容が様変わりしました。
そして、皇位継承について言えば、期待できる布陣と言ってよいものとなっています。
まず、代表の泉健太氏(衆院・京都3区)、幹事長の西村智奈美氏(前出)、政調会長の小川淳也氏(衆院・香川1区)、国対委員長の馬淵澄夫氏(衆院・奈良1区)は、いずれも女性天皇容認の立場です。
このうち、西村幹事長は、先述の通り、代表質問で皇位継承問題を積極的に取り上げてくれました。
また、馬淵国対委員長は、上皇陛下のご退位に関する特例法案の審議で尽力された方です。
無役ながら、上皇陛下のご退位に向けて国会全体をリードした野田佳彦氏(前出)も健在です。
今国会は21日に閉会します。
皇位継承論議については動きはもう無いでしょう。
しかし、来年の国会に向けて、面白い布石が置かれました。
今回の質問が戦略的なものであるか、散発的なものに終わるか、注目していきましょう。
来年の通常国会は、1月17日に召集される見通しです。
文責:静岡県 L.K(「愛子さま 皇太子への道」実行責任者)
8 件のコメント
チコリ
2021年12月25日
「貴重な情報」を、ありがとうございます!
とても、とても嬉しかったです!
私も議員に応援メッセージを送ります!
アクション!(!いっぱいですみません)
jacker
2021年12月19日
私も、先程小川議員、馬渕議員に応援メッセージを送りました。
urikani
2021年12月19日
西村幹事長の国会質問者のことは、このサイトのブログで知りました。
今回は代表質問での質問の意義や、他の議員の動きなどを教えて頂き、ありがとうございますm(*_ _)m
これからも真の尊皇派議員がぐっじょぶ!出来るよう応援して参ります!
てるてる
2021年12月19日
皇統問題に対する国会議員、政党の現在の姿勢がよくわかりました。
ありがとうございます。
立憲民主党を応援しながら、”わかりつつある”自民党の動きにも注目したいと思います。
タルト
2021年12月19日
L.K.さま、いつも貴重な情報を分かりやすくまとめていただきありがとうございます。
野田佳彦氏、立憲民主党の泉健太代表、西村智奈美幹事長、小川淳也政調会長、馬淵澄夫国対委員長に、頑張ってもらいたいです。私も応援メッセージを送ります!
れいにゃん
2021年12月19日
いつも、解りやすい現状まとめをありがとうございます。「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重み」が国会で聞こえなかったことは嬉しい変化です。立憲民主党がこの布陣で、女性天皇、女性宮家実現の為に動きやすくなるように、来年に向けて応援メッセージを、様々な型で送ろうと思います。
基礎医学研究者
2021年12月19日
いつもながら、非常に貴重な情報をまとめていただき、ありがとうございました。L.Kさんの言われる通り、野党の代表質問において、有識者会議でなぜか外された「女性・女系天皇」にまで幅を広げて意見を求めたこと、および「男系・男子」の対象者の把握が政府としてはできていない、ことを国会で引き出せたのは、大きかったのではないかと思います。
そして。。。岸田首相が、このフレーズ「「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討」を使用しなかったのは、自分は腰が引けているというよりも、実はこの説自体が恣意的なものであることを、首相になって以後(感覚的にだと思いますが)、悟ってしまった可能性がある、と解釈しました。
いずれにしても、この「皇位の安定継承」問題に限っては、政党を越えて検討すべき懸案事項なので、国会議員にはしっかり向き合ってほしい、と切に願います。
ダダ
2021年12月19日
いつも情報をまとめて頂き、ありがとうございます。
岸田首相は有識者会議に逃げている時点で話になりませんね。
野田議員は発言内容から皇統問題を真剣に考えていることが分かります。
・このままでは日本から皇室がなくなってしまうとすごく危機感を抱いています。
・旧皇族の方(正確には旧宮家系男性で皇族だったことがない人)が復帰(皇籍取得)したとしても、果たして国民は、他の皇族と同様に受け入れられるのか疑問に思います。
・愛子さまは成人されたのに『将来、天皇になるのか』『結婚したら民間人になるのか』と全く異なる2つの進路がまだ開かれている状況です。あまりにお辛いと思います。
立憲民主党を応援します!